砂漠化

砂漠化対処条約とは?内容や日本の取り組みとは

  • 2020年2月14日
  • 2022年7月15日
  • 砂漠化

砂漠化は世界で起こる深刻な問題であり、この進行は日本にも大きな影響を与えると懸念されています。

1977年の国連環境計画による世界の砂漠化の状況についての報告以来、世界では重大な問題として取り上げられ、各国が協力して事態にあたるために砂漠化対処条約を締結しました。

この記事ではこの条約の内容や、日本の取り組みについて紹介します。

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砂漠化防止に取り組む砂漠化対処条約とは

世界では数十年前から、砂漠化が深刻な問題となっており、砂漠化の解決に向けて会議や話し合いが行われてきました。

1977年に国連砂漠化防止会議(UNCOD)が開催され、国連環境計画によって世界の砂漠化の状況が報告されたことで問題が浮き彫りとなったのです。

このとき初めて砂漠化という言葉が定義されました。この定義によると、砂漠化は「乾燥、半乾燥、乾燥半湿潤地域における、気候変動及び人間の活動を含む種々の要因に起因する土地の劣化」とされています。

世界では乾燥地域が広がり、気候変動や人間活動などを要因とした土地の劣化が進行していました。
そういった状況を改善していくことを目的として、砂漠化防止行動計画がこの会議において採択されています。

この計画を元に、砂漠化の防止を目的とした世界各国の取り組みがスタートしました。1991年には国連砂漠化防止会議における世界の砂漠化動向調査の結果が発表されています。
しかし1977年から1991年までに大きな成果は得られず、砂漠化は進行し続けていました。

そこで翌年の1992年には、1994年6月までに砂漠化対策条約の政府間交渉委員会の設置と条約の採択が決議されました。この決議は予定通り1994年6月17日に実現され、砂漠化対策条約の採択が行われ、この日を砂漠化および干ばつと闘う国際デーと定めました。

条約の目的と概要

砂漠化対策条約は「深刻な干ばつまたは砂漠化に直面する国や地域が砂漠化に対処するために行動計画を作成し及び実施すること、また、そのような取り組みを先進締約国が支援することなどについて規定した条約」です。

砂漠化が進行している大半がアフリカ諸国などの開発途上国です。こういった国では砂漠化に対処するための計画を立てても、実施するための資金や技術力の不足が懸念されます。

そこで先進国による資金供与や技術協力を行うことを規定し、開発途上国の計画と実施を支援することを定めています。

さらに砂漠化の影響を受ける締約国の持続可能な開発政策に行動計画を組み入れること、政策の実施にあたって、住民や地域社会、NGOの参加を確保しています。
加えて砂漠化の社会経済要因に特別な注意を払って総合的に取り組むこと、科学技術を強化し活用するため、組織的乾燥や情報収集・交換、研究開発、技術移転を促進することを求めています。

この条約は当初、日本を含む86カ国が署名していました。
しかし年々進行する砂漠化の問題が深刻であるということもあり、2019年には196カ国の国と地域およびEUがこの条約を批准しています。

  • 1977年に砂漠化対処条約が締結、同年に国連砂漠化防止会議(UNCOD)が開催され、国連環境計画によって世界の砂漠化の状況が報告されたことで問題が浮き彫りになった
  • 砂漠化が進行している大半がアフリカ諸国などの開発途上国
  • 砂漠化対処条約は2019年時点で196カ国の国と地域およびEUがこの条約を批准している

(出典:外務省「砂漠化対処条約」,2019)
(出典:環境省「人々の暮らしと砂漠化対処」)

砂漠化対処条約・締約国会議

2019年9月までに、砂漠化対策条約・約帝国会議(COP)が計13回行われており、様々な話し合いが行われてきました。
戦略や制度の措置の検討、各種決議の採択などです。2年に1回のペースで行われており、2019年9月2日から13日にはインドのニューデリーでCOP14が開催されました。
この会議には締約国や国際機関、市民社会団体などから合わせて約8,500名が参加しています。

また、干ばつやジェンダー、砂嵐、DLDD(砂漠化・土地劣化・干ばつ)が、移民を促進する主な原因として、これら4つのテーマ別政策枠組に対処するために36の決議を採択しています。
土地保有を条約の新たな主題分野として認め、条約の下に干ばつに対処する効果的な政策や実施方法について調査するため、予算の許す範囲内で政府間WGを設置することを決定しました。

  • 2019年9月までに、砂漠化対策条約・約帝国会議(COP)が計13回行われた
  • COP14では、締約国や国際機関、市民社会団体などから合わせて約8,500名が参加した
  • 干ばつやジェンダー、砂嵐、DLDD(砂漠化・土地劣化・干ばつ)が、移民を促進する主な原因として、これら4つのテーマ別政策枠組に対処するために36の決議を採択した

(出典:外務省「砂漠化対処条約(UNCCD)第14回締約国会議(COP14)」,2019)

砂漠化対処条約に関しての日本の取り組み

砂漠化対策条約において日本も様々な取り組みを行っています。この条約において日本は先進国として、砂漠化の影響を受ける開発途上国が行う砂漠化対処のための計画・戦略の実施を支援し、適切な技術の移転等を促進するなどの貢献を行うという国際的な責任を負っています。
こうした条件のもと、日本政府の取り組みは3つに分けられ実施されています。

  • 国際機関への拠出
  • 二国間援助
  • NGO支援を通じた草の根レベルの協力

例えば「砂漠化対処条約事務局及びその他の多国間環境条約体等に対する拠出」や水資源保護、森林保全・植林、農業開発、能力開発・教育などの分野への技術協力、砂漠化に関する研究・調査などが挙げられます。

特に研究・調査においては、COP7とCOP8の科学技術委員会において、土地条件や利用方法により異なる砂漠化メカニズムを解明し、砂漠化のプロセスを説明する統合モデルを構築しています。
過去の砂漠化現象の説明や砂漠化防止に最も効果的な土地利用方策、生態系管理計画の提案を行うことを目的とした研究であったことから、この発表により、砂漠化に対する科学的、技術的貢献を果たしました。
その上で日本はODAやNGO、企業による取り組みも行っています。

政府による取り組み

政府ODAによる砂漠化への取り組みとしては1985年から2000年にかけてサヘル地域での緑資源機構による砂漠化防止のための調査が行われています。
また2000年からは国際協力機構(JICA)を中心として調査結果を元に開発された技術を取り入れた小規模総合事業プログラムがマリ共和国のセグー地方南部で行われています。このプログラムでは砂漠化の影響を受ける市民参加型の開発調査として実施されました。
小規模総合事業プログラムは砂漠化だけでなく、貧困問題やジェンダーの問題など複雑に絡み合った問題の解決を図りながら、総合的に推進された農村開発プログラムです。

他にも降雨などの水により土壌が流され、劣化する水食が進行していたブルキナファソのタカバングゥ村では近隣地域において砂漠化対策に成果を上げている伝統的知識や技術、ノウハウを抽出して、住民が習得を望む技術を視察したり、ワークショップを行い、住民自身に選択してもらうことで、普及や定着を住民主体で取り組む活動が実施されました。

ここでは水食対策として劣化した土地を回復させる荒廃地回復技術や、労働負担を減らすと同時に土地に過度な負担をかけないための畜耕技術が習得されています。
また女性が乾季にできる活動として裁縫技術や石鹸製造技術も導入され、定着に取り組まれました。

NPO・NGOによる取り組み

NPO・NGOによる取り組みとしては先述したタカバングゥ村での取り組みがあります。
チャド共和国では育苗・植林支援や金属製及び粘土製改良カマド普及、大豆・稲作普及、穀物備蓄支援、共同井戸建設などが行われました。
さらに隣国の中国における砂漠化も深刻であることから、中国山西省大同市の黄土高原において、様々な緑化協力を実施しています。
具体的にはマツなどを山地や丘陵地に植樹し、水土流失を防ぐプロジェクトや小学校にアンズやブドウの木を植樹し緑化を行いながら、その果樹の収益の一部を教育費に当てる活動を実施しました。

企業による取り組み

日本の大企業の中には積極的に砂漠化対策に参加している企業もあります。NPO・NGOと協力して、中国の砂漠化が進行する河北省豊寧県を21世紀中国首都圏環境緑化モデル拠点と位置付け、6年間に渡る植林活動を推進しました。
またその過程で乳牛モデル農家の導入や、メタンガス施設の建設を通じ、間接的緑化にも注力しています。

  • 日本は先進国として、砂漠化の影響を受ける開発途上国が行う砂漠化対処のための計画・戦略の実施を支援している
  • 政府ODAによる砂漠化への取り組みとして1985年から2000年にかけてサヘル地域での緑資源機構による砂漠化防止のための調査が行われた
  • 小規模総合事業プログラムがマリ共和国のセグー地方南部行われており、砂漠化対策に成果を上げている伝統的知識や技術などの習得を住民主体で取り組む活動が実施された

(出典:環境省「人々の暮らしと砂漠化対処」)
(出典:環境省「砂漠化する地球」)

世界の状況や日本の取り組みを知って、自分でもできることをしよう

世界では今も砂漠化で苦しむ人々がいて、その状況を改善するために多くの国と人々が協力し合い、対策に取り組んでいます。
今回は日本政府やNPO・NGO、企業による活動を紹介しましたが、その成果は確実に現れているものの、一部の国や地域でしか実施できておらず、今後も世界各国と連携しながら条約に基づいた取り組みが求められます。

しかしそれだけでは問題の根本的な解決は望めません。砂漠化の要因には地球温暖化や気候変動も含まれており、これらが緩和されなければ砂漠化の進行は止まることがありません。
地球温暖化や気候変動は私たちの生産活動などから出る二酸化炭素などの温室効果ガスです。このガスの排出量の削減などの取り組みを行わなければ解決には至りません。

世界の砂漠化の現状や日本の取り組みを知り、そしてこの問題に対して私たちができることを知って、できることから始めていきましょう。

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この記事を書いた人
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