日本は戦後、高度経済成長によって発展し、大きな飛躍を遂げました。
企業を立ち上げた人は成功し、巨額の富を得る中で、労働者として従事する人々の中には低賃金で不遇な環境で働いている人も少なくありません。
この差は広がり、やがて固定化され、様々な分野へと影響を与える格差社会となります。
この記事では、日本ではなぜこのような現状が広がっているのか、問題点や対策とともに紹介します。
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世界で広がる格差社会
世界では各国の国内で、あるいは国家間で格差が広がっています。これはその国が置かれている状況や経済政策など様々な原因によって起こっています。
その中でも格差を広げる原因として特に挙げられるのは所得格差です。
アメリカを含むヨーロッパ諸国では、国内での富裕層と一般階層との所得の差は広がる一方であり、経済成長の中で資産の増大は一部の富裕層のみとなっています。
また急激な経済成長を遂げている中国やIT大国として成功したインドなどでも、この問題は見られます。
中国では発展する都市部と農村部で所得格差は拡大しており、その差はより顕著なものとなっています。
インドでは識字率の問題で、国内でもIT産業に関われる人は一部だけであり、所得や待遇が良い人と、低所得者との間の格差は拡大し続けています。
開発途上国における実質GDP(※1)成長率は2010年から2017年の間で4.8%増加しています。経済成長は見込めるものの、2020年時点で世界の失業率は6.5%であり*、若者の5分の1は教育や仕事だけでなく訓練にも参加していない、あるいは参加できない状況に陥っています。
これらにより労働生産性などは増加しているものの、低賃金や劣悪な労働環境で働いている人も多く、また就業さえままならない人もいることから、格差社会が世界全体で広がっている現状が生まれています。
※1 実質GDP:GDPは一定期間内に国内で生産されたモノやサービスなどの付加価値のこと。物価の変動の影響を取り除き、本当の価値を算出したものを実質GDPと言う
(出典:国際連合広報センター「SDGs報告2019」,2019)
(*出典:国際労働機関 ILO緊急報告 第7版 COVID-19と仕事の世界 推計と分析ー更新版)
日本は格差社会なのか
日本は戦後の高度経済成長などを経て発展してきましたが、1990年代のバブル崩壊とともに長い不景気へと陥ることになりました。
その頃から格差社会という言葉が見え隠れするようになり、今では国内の至る所で格差社会は広がり続ける状況が生まれています。
格差社会であるかどうかを知る上で一つの要素となるのが所得格差の状況であり、そこから社会における様々な格差につながっています。
私たちの生活する日本社会には格差が存在すると言わざるを得ません。それではなぜ格差社会と言えるのか、そしてどのような現状にあるのか見ていきましょう。
日本で格差社会の現状
格差社会を見ていく上で、所得格差は外せない要因ですが、その現状を知るためにはジニ係数について触れておかなければいけません。
ジニ係数は所得格差を示す指標であり、その係数は0に近いほど完全な所得分配ができており、1に近いほど一つの世帯が所得を独占していることを表しています。
所得についての算出で使われることが多く、当初所得ジニ係数(※2)と再分配所得ジニ係数(※3)の2種類があります。
日本では3年ごとに所得再分配調査を行っており、厚生労働省によると2017年に行われた調査では当初所得ジニ係数が0.5594、再分配所得ジニ係数が0.3721という結果になりました。
これは2014年の結果と比べて当初所得ジニ係数が0.0110、再分配所得ジニ係数が0.0038低下しており、改善が見られることが分かっています。
ただ一方では、当初所得ジニ係数が0.5を超えており、1に近いことから一部の富裕層に所得が集まりつつある現状も示唆しています。
これに加えて、日本における貧困層の現状についても知っておく必要があります。貧困層として特に増加しているのが高齢者層とひとり親世帯です。
日本ではひとり親世帯が増加の一途をたどっていますが、特に母子世帯の貧困率が高い傾向にあります。
経済政策において、ふたり親世帯の平均年収は増加する一方で、母子世帯は減少し続けており、2018年の調査によると平均税込年収はふたり親世帯で734.7万円、父子世帯で623.5万円、母子世帯で299.9万円となっています。
一方で収入中央値はふたり親世帯が665万円、母子世帯が250万円である、概ね平均値に近い値であることから特に母子世帯の多くはこの平均値の前後で生活していることが分かります。
厚生労働省では貧困率についての調査・公表も行っており、可処分所得(※4)が同省の定める貧困線を下回っている母子世帯の割合が51.4%、父子世帯の割合が22.9%、ふたり親世帯でも5.9%存在しています。
さらに可処分所得が貧困線の50%を満たしていない、いわゆるディープ・プアと呼ばれる世帯の割合が母子世帯では13.3%、父子世帯が8.6%、ふたり親世帯で0.5%いることも明らかになっています。
また高齢者においても月収が10万円未満で生活している単身世帯が37.8%も存在しており、貯蓄がない単身世帯も35.6%いることから、3割ほどの単身世帯の高齢者が逼迫した生活をしており、貧困に陥っている状況にあります。
このように一部の富裕層に富が流れつつあり、少子高齢化による高齢者やひとり親世帯の増加と貧困率の上昇から格差は生まれているという現状にあります。
※2 当初所得:所得税や社会保険料を支払う前の雇用者所得
※3 再分配所得:当初所得から差し引き公的年金などの現金給付や医療や介護などの現物給付を加えたもの
※4 可処分所得:給料から税金や社会保険料などを差し引いた収入のこと
- ジニ係数は所得格差を示す指標
- 厚生労働省によると、2017年に行われた調査では当初所得ジニ係数が0.5594、再分配所得ジニ係数が0.3721であり、2014年と比べて改善した
- 貧困層として特に増加しているのが高齢者層とひとり親世帯であり、特に母子家庭の貧困率が高い
(出典:厚生労働省「平成29年所得再分配調査報告書」,2017)
(出典:労働政策研究・研修機構「「第5回(2018)子育て世帯全国調査」結果速報」,2018)
(出典:内閣府「世帯類型別にみた「高齢者の経済・生活環境」について」,2016)
日本が格差社会に陥る原因と対策
日本が格差社会となった背景にはバブル崩壊後の不況下における雇用や地域格差が大きな要因となっています。
高度経済成長期に施行された労働派遣法は、現在緩和によって業種の限定はなく、原則自由化されています。
これにより企業による人材確保に利用され、多くの非正規雇用が生まれました。
経費を削減するための方法としては正当なものですが、その傾向が強くなったことで非正規社員が増加していきました。
正規社員と同等の仕事を与えられますが、所得や待遇には大きな差が出てしまい、社会保障などがまともに受けられず、低所得の労働者が増加することになったのです。
この制度によって、所得格差は拡大することになりました。母子世帯が貧困に陥る原因の一つもこれが挙げられます。仕事と家事・育児を両立しなければいけないなどの理由から、正規社員として雇用される割合が低く、非正規雇用として低所得や待遇の悪い中で労働を強いられることになります。
また、人や物は都市部に流入していくことから、大都市と地域で大きな経済格差が生まれています。そうなれば地域にある企業の発展は妨げられ、そこで雇用される人の収入は伸びず、非正規雇用も増える可能性が高まります。
このような所得格差は教育格差にもつながり、低所得の世帯の子どもは学校外の学習を満足に受けられず、格差が広がることになります。
あるいは経済格差により人が少なくなることから医療格差も深刻な問題となっています。
格差社会において、所得格差や経済格差は根幹に関わる要因となっています。
この状況を打開するための対策として、政府では働き方改革が進められてきました。
厚生労働省によれば「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現する」ことを謳った政策です。
労働における様々な待遇や環境を整備し、就労の機会や所得を得られる機会、選択肢を増やし格差社会の是正につなげるものです。
特に所得においては同一労働同一賃金というものを打ち出しています。これは同一企業における正社員と非正規社員との間の基本給や賞与、あるいはあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることを禁止しています。
- 日本の格差社会は、バブル崩壊後の不況下における雇用や地域格差が大きな要因
- 労働派遣法の緩和により非正規雇用が増加し、低所得の労働者が増加した
- 働き方改革とは、「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現する」ことを謳った政策
日本に広がる格差社会は生活する一人ひとりの問題
格差社会は日本も例外ではなく、世界中で起こっている問題です。その原因は国によって異なりますが、日本国内で起こっている格差は私たち一人ひとりが当事者であり、私たちの問題であることは確かです。
社会全体を巻き込む問題であることから、個人が動いただけではなかなか解決できない問題でもあります。
一方で政府は格差是正のために、働き方改革を中心とした政策を進めています。
しかしそれも行政だけが動いていては大幅な改善は見られないでしょう。行政と民間が互いに協力しあうことで、改善できる可能性が高まる問題です。
私たちはこの問題について深く知り、どうすべきか考えていくことが重要です。
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