産業廃棄物

廃棄物処理法とは?違反するとどうなるの?

世界では日常的に家庭や事務所、工場などあらゆる場所からごみが出ています。そのごみは指定された出し方で排出され、回収、処理が行われていますが、それには厳格なルールが存在し、違反をすれば罰せられます。

国連で採択されたSDGsという国際開発目標のなかで、目標12「つくる責任 つかう責任」の
ターゲットである12.5 「廃棄物の発生防止、削減、リサイクルおよび再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」というものが掲げられています。

日本を含む世界中で、廃棄物による環境や人体への影響もあり、廃棄物の処理方法や規定がなどが定められてきました。

この記事では、廃棄物処理のルールとなっている廃棄物処理法について、そして違反した場合どうなるのかを説明します。

産業廃棄物とは?種類や一般廃棄物との違いなど詳しく解説

廃棄物処理法とは

私たちは日々の生活の中で様々なものを消費し、不要になったものはごみとして廃棄します。こういったごみは、自治体などが指定した日に回収され、処理されます。
そのごみについても自治体ごとで分別の仕方、ごみとして出す日などが細かく決められており、そのルールに従って出さなければ回収されません。
これは廃棄物処理法という法律で決まっているルールであり、それを元に都道府県や市町村が細かい条例を決めて、適切に処理できるようにしています。

廃棄物は適切に処理されなければ公衆衛生や生活環境を悪化させ、最悪の場合は健康被害をも引き起こしかねません。
廃棄物処理法は、時代と共に変わりゆく廃棄物の質と多様化に対応しつつ、適正に処理されるよう厳しく規制された法律です。

廃棄物処理法が成立した経緯

日本の廃棄物の歴史は古く、この廃棄物処理法に関しても戦後まで遡ります。
戦後間もない日本では復興と経済発展、人口の都市集中によりごみが急増し、その対処が必要となりました。
河川や海洋はごみが投棄、あるいは野積みされ、ハエや蚊の大量発生、伝染病の拡大などの公衆衛生の問題が起こったためです。

こういった問題に対処するため、1954年に制定されたのが清掃法になります。この法律により環境衛生対策としての廃棄物処理の方法が規定され、衛生的で快適な生活環境の保持という公衆衛生向上を目指した取り組みが始まりました。
やがて高度経済成長期に入り、産業の急速な発展と共に産業廃棄物など増大や、公害の顕在化が問題として浮き彫りとなりました。

水俣病やイタイイタイ病は産業廃棄物によって引き起こされた人災とも言えます。
環境衛生対策としてだけでなく、環境保全対策としての廃棄物処理が必要となり、1963年に生活環境施設整備緊急措置法が整備され、7年後には清掃法を全面的に改正し引き継ぐ形で「廃棄物処理法」が制定されました。
この法律により、廃棄物処理の基本体制の整備を行い、公衆衛生問題対策としての廃棄物処理に加えて、公害問題の取り組みを含む生活環境の保全を目的とすることを記載しました。

ただ、時代が変われば産業のあり方も変わり、排出される廃棄物の質や量も変わることから、1976年に初の改正が行われて以降、1991年、1997年、2000年、2003~2006年、2010年、2012年、2017年と度重なる改正が行われ今に至ります。

廃棄物処理法の概要

廃棄物処理法は正式には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」と言います。
改正が重ねられたこの法律は、廃棄物の排出抑制、適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分などの処理により、生活環境を保全することを目的としています。
そのために廃棄物についての定義や分類、処理を行うための基本方針から、処理基準、施設基準などの設定、緊急時の対応などを細かく規定しています。

廃棄物処理法によれば、廃棄物とは「汚物または不要物であって固形状または液状のもの」であり、その廃棄物は産業廃棄物と一般廃棄物に分かれます。
産業廃棄物は、事業活動によって生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類と規定しています。
燃え殻や汚泥、廃油など、どのような事業活動から出たものでも産業廃棄物として扱うものから、排出する業種が限定されているものまであり、そのような品目と条件によって20種類に限定されており、これ以外のものは事務系一般廃棄物として処理されます。

それに対して一般廃棄物は産業廃棄物に該当しないものすべてであり、家庭ごみなどはこちらに含まれます。
また特に「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」と指定されるものは特別管理廃棄物とされており、こちらも特別管理産業廃棄物と特別管理一般廃棄物が存在しています。

このように分類するのは、2種類の廃棄物に関して処理を行う規定が異なるためです。それに伴い処理責任者も違うため、産業廃棄物と一般廃棄物は分けられ、厳しいルールの下で適正に処理が行われています。

産業廃棄物であれば処理責任は排出事業者にあり、自らの責任において基準に従った処理を行うか、委託業者に依頼して処理をしてもらうか選ばなければいけません。
委託先となる産業廃棄物処理業者は都道府県に許可を得なければならず、新規申請や変更などには申請届出と同時に手数料が必要になります。
産業廃棄物処理施設の設置や譲渡などの許可も都道府県が出し、監督を行います。処理責任を負う排出事業者の監督も都道府県の管轄です。

それに対して、一般廃棄物の処理は市町村が処理責任を負い、一般廃棄物処理業者に市町村が事業許可を行い、監督の下、適正な処理が行われます
ただ一般廃棄物処理施設の設置や譲渡などの許可・監督は都道府県が行っています。
このような廃棄物の分類や処理方法、基準などを規定しているのが、廃棄物処理法です。

  • 廃棄物処理法を元に都道府県や市町村が細かい条例を決めて、適切に処理できるようにしている。
  • 日本では復興と経済発展、人口の都市集中によりごみが急増し、1954年に清掃法が制定された。高度経済成長期に入り、1963年生活環境施設整備緊急措置法が整備され、7年後には清掃法を継ぐ形で「廃棄物処理法」が制定された。
  • 廃棄物処理法は正式に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」と言う。

  • (出典:環境省「廃棄物処理法の概要」)
    (出典:環境省「日本の廃棄物処理の歴史と現状」)

    廃棄物処理法に違反したときの罰則


    廃棄物処理法は厳しい規定が設けられている法律です。当然それに違反すれば罰則などが科せられますが、基本的には他の法律同様に行政指導や行政処分、刑事処分が行われます。

    まずは平常時に立入検査や報告徴収が行われ、違反事項が無い場合は検査結果を通知されます。
    しかしここで違反事項があった場合、行政指導に移行します。軽微な違反であれば口頭指導と担当者名指導票の交付のみですが、そうでない場合は文書通知と改善計画書の提出が義務付けられます。
    これにより是正すれば是正確認と経過観察が行われますが、それでも是正されない場合は行政処分に入ります。改善命令や措置命令が下されるため、それによる是正を行わなければいけません。

    是正されれば確認後の経過観察になりますが、命令が遵守されない場合は施設や事業の停止、取消し処分がなされた上で、刑事処分として改善命令・措置命令違反で刑事罰の要求という告発がなされます。
    後は司法の手に委ねられ、警察署での取り調べから立件され検察へ引き渡され、起訴されます。
    その後裁判が行われ、有罪判決が下されれば懲役刑や罰金刑が科せられます。

    ここまでの話は排出事業者や廃棄物処理業者および施設向けの話です。
    実際の事例にも廃棄物処理法の焼却禁止違反に抵触した業者は罰金刑の上、欠格要件に該当するとして産業廃棄物収集運搬業の許可を取り消されています。
    しかし廃棄物処理法が適用されるのは業者だけとは限りません。一般廃棄物を捨てる市民にも適用されます。

    2012年に一般女性がショッピングセンターの駐車場に19kgの家庭ごみを投棄したことで、廃棄物処理法違反として書類送検される事件が発生しました。
    これは廃棄物処理法罰則の第25条に該当し、不法投棄を行ったものとして、五年以下の懲役もしくは千万円以下の罰金に処し、またはこれを併科するという罰則を負うことになります。
    これはポイ捨てなども該当するため、ちょっとした気の迷いで重い罰則を受ける可能性も出てきます。それだけ廃棄物処理法は公衆衛生や生活環境保全に対して厳格であるということです。

  • 廃棄物処理法は他の法律同様に行政指導や行政処分、刑事処分が行われる。
  • 廃棄物処理法が適用されるのは業者だけではなく、一般廃棄物を捨てる市民にも適用される。
  • 平常時に立入検査や報告徴収が行われる。
  • (出典:京都府「違反事例に学ぶ廃棄物処理法」)
    (出典:東京都「産業廃棄物処理業者に対する行政処分について」,2018)

    SDGs目標達成のために産業廃棄物は正しい知識で適切に捨てよう


    廃棄物処理法は廃棄をする責任者や業者だけでなく、ごみを捨てる私たちにとっても大切なルールです。
    これが守られなければ、私たちが住む町はごみだらけになり、不衛生で住みにくい町となってしまいます。
    そうならないために定められた厳しい規定であり、遵守されている法律でもあります。
    SDGsでも廃棄物削減に向けて目標が定められており、世界中で目標達成のために様々な取り組みが行われています。

    廃棄物処理を行う人だけでなく、ごみを出す私たちも廃棄物の処理に関するルールをしっかりと理解し、日々のごみ出しから分別を正しく行い、決められた日に出すよう心がけることが重要です。

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