産業廃棄物とは?種類や一般廃棄物との違いなど詳しく解説


国連で採択されたSDGsという国際開発目標のなかで、目標12「つくる責任 つかう責任」というものがあります。
そのターゲットとして、12.5 「廃棄物の発生防止、削減、リサイクルおよび再利用(リユース)により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」が掲げられており、2030年までに目標達成することが世界中で定められています。

ゴミの種類には「産業廃棄物」と「一般廃棄物(家庭ごみ)」があります。

産業廃棄物は戦後から増加しており、適正処理が行われない廃棄物は生活環境や公衆衛生を悪化させ、私たちにも深刻な健康被害を 引き起こす可能性があります。
それらを改善するためには、廃棄物問題を理解して対処する必要があります。

実際には産業廃棄物には法令で定められた20種類が当てはまりますが、どんなものが「産業廃棄物」であり、どう処理するのかを知らない方は多いのではないでしょうか。

この記事では、意外と知らない「産業廃棄物」に焦点を当てて解説します。

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産業廃棄物とは


産業廃棄物とは、決して工場から排出されたゴミを指す訳ではありません。
法令で決められた20種類を指して「産業廃棄物」と呼ばれています。

日本におけるゴミ問題は改善傾向にあるものの、世界的に見ても深刻です。
2019年時点の環境省のデータによると、日本のごみ総排出量は4,289万トンであり、一人1キログラムのゴミを毎日出している程の量となっています。

(出典:環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度)について」,2019)

産業廃棄物の種類は?どのようなものがある?


産業廃棄物には、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類と「特別管理産業廃棄物」に分けられます。以下では産業廃棄物に絞った種類を解説します。

燃え殻

石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃排出物など

汚泥

背水処理後および各種製造業生産工程で排出された泥状のもの、活性汚泥法による余剰汚泥など

廃油

鉱物性油、植物性油、潤滑油、絶縁油、洗浄油など

廃酸

写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃塩酸類等すべての酸性廃液

廃アルカリ

写真現像廃液、廃ソーダ液、金属石けん廃液等すべてのアルカリ性廃液

廃プラスチック類

合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず等固形状・液状のすべての合成高分子系化合物

ゴムくず

生ゴム、天然ゴムくず

金属くず

鉄鋼または非鉄金属の破片、研磨くず、切削くず等

ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず

ガラス類(板ガラス等)、製品の製造過程などで生ずるコンクリートくず、インターロッキングブロックくず、レンガくず、廃石膏ボードなど

鉱さい

鋳物廃砂、電炉等溶解炉かす、ボタ、不良石炭、粉炭かす等

がれき類

工作物の新築、改築または除去により生じたコンクリート破片、アスファルト破片その他これらに類する不要物

ばいじん

大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法に定める特定施設または産業廃棄物焼却施設に置いて発生するばいじんであって、集じん施設によって集められたもの

紙くず

建設業に関わるもの(工作物の新築、改築または除去により生じたもの)、パルプ製造業、製紙業から生じる紙くずなど

木くず

建設業に関わるもの、木材・木製品製造業、パルプ製造業、輸入木材の卸売業および物品賃貸業から生ずる木材片など

繊維くず

建設業に関わるもの、衣服その他繊維製品製造業以外の繊維工業から生ずる木綿くず、羊毛くず等の天然繊維くず

動植物性残さ

食料品、医薬品、香料製造業から生ずるあめかす、のりかす、醸造かす、発酵かす、魚および獣のあら等の固形状の不要物

動物系固形不要物

と畜場において処分した獣畜、食鳥処理場において処理した食鳥に係る固形状の不要物

動物性ふん尿

畜産農業から排出される牛、馬、めん羊、にわとり等のふん尿

動物の死体

畜産農業から排出される牛、馬、豚、めん羊、にわとり等の死体

  • 2019年時点の環境省のデータによると、日本のごみ総排出量は4,289万トンであり、一人1キログラムのゴミを毎日出している程の量となっている
  • 法令で決められた20種類を指して、「産業廃棄物」と呼ばれている
  • 産業廃棄物には、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類と「特別管理産業廃棄物」に分けられる
  • (出典:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター) 「産廃知識 廃棄物の分類と産業廃棄物の種類」,2019)

    産業廃棄物と一般廃棄物の違いとは


    廃棄物は産業廃棄物と一般廃棄物に大別されており、法律としては、まず産業廃棄物を定義した上で、それ以外の廃棄物を一般廃棄物としています。

    産業廃棄物と一般廃棄物では、排出後の処理の責任主体や処理方法などが異なるのです。

    一般廃棄物は市町村の区域内での処理を原則としており、市町村に対して統括的処理責任があります。
    しかし、産業廃棄物は都道府県を超えた広域移動も認められており、事業者自らに責任が発生するのです。

    また、産業廃棄物には量的な規定がないことから、個人事業者等の事業規模が小さなものから排出される場合や、1回の排出量が極めて微量な場合であっても、産業廃棄物に認定されます。

    産業廃棄物は、「あらゆる事業活動に伴うもの」と「特定の事業活動に伴うもの」に大別されます。

    例えば、製紙工場から排出される紙くずや食料品製造業から排出される動植物性残渣(※)は「産業廃棄物」になるが、商店や病院から排出される紙くずやレストラン等から排出される残飯類は「一般廃棄物」になるなど、業種が変わることで扱い方も変わる点は注意が必要です。

    ※動植物性残渣(どうしょくぶつせいざんさ):原料として使用した動植物に関わる不要物。

  • 産業廃棄物と一般廃棄物では、排出後の処理の責任主体や処理方法などが異なる
  • 一般廃棄物は市町村の区域内での処理を原則としており、市町村に対して統括的処理責任があり、産業廃棄物は都道府県を超えた広域移動も認められており、事業者自らに責任が発生する
  • 産業廃棄物は、「あらゆる事業活動に伴うもの」と「特定の事業活動に伴うもの」に大別される
  • (出典:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)「2.2 産業廃棄物と一般廃棄物」,2019)

    産業廃棄物の処理方法とは?


    産業廃棄物を処理する手順は、「廃棄物処理法」と呼ばれる法律によって定められています。
    廃棄物の処理には「分別・保管」からスタートし、「再生」もしくは「最終処分」までのすべての行為が含まれます。

    1.分別・保管

    廃棄物処理法第1条において、「廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理」とあるように、事業場で発生した廃棄物を「分別・保管」することからスタートします。

    一般廃棄物では、「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「廃プラスチック類」「金属くず」等に分けられますが、産業廃棄物の場合は、「紙くず」「廃プラスチック類」「金属くず」等、廃棄の種類ごとに分別を行います。

    素材が複合されているものや、分けることが困難な廃棄物は「混合廃棄物」として種類ごとに分別された廃棄物とは別の扱いとします。

    2.収集・運搬

    収集・運搬とは、排出者の保管場所(排出事業場)から、廃棄物を収集し、処分を行う場所まで運搬することを指します。

    排出者が自ら行う収集・運搬には許可が不要ですが、産業廃棄物、一般廃棄物の収集・運搬を他人から委託を受けて行う場合は業の許可を得る必要があります。

    産業廃棄物の許可は原則として都道府県が担当します。広域移動による処理が前提となるため、都道府県をまたいで業を営もうとする場合は、荷積み地と荷卸し地双方の都道府県の(産業廃棄物収集・運搬業)許可が必要となります。

    3.積替・保管

    積替・保管とは集荷した廃棄物を別の車に積み替えて出荷するまでの間、一時保管することをいいます。
    積替保管の許可は単独では取得することができず、収集・運搬業許可に積替保管を含む形で付与されるのです。

    積替保管を行う施設のことを「積替保管施設」といいます。
    積立保管施設に持ち込まれた産業廃棄物は、手選別の後に一時保管されることが一般的です。

    4.中間処理

    発生した廃棄物の約8割は中間処理施設に運ばれ、さまざまに加工されてから次工程に送られます。
    この処理工程を文字通り「中間処理」といいます。

    事業所から搬入された廃棄物は受け入れや確認、計量された後に荷卸しヤードに運ばれます。
    展開検査や粗選別が行われますが、その後、一時保管される場合もあります。

    ラインに投入された後には、処分後の廃棄物種類ごと保管され、出荷を待つのです。

    保管量が大型トラック1台分の量に達した段階で、最終目的地に向け出荷されます。

    5.再生

    廃棄物を加工して原材料化することで廃棄物処理法では「再生」と呼びます。
    いわゆる「リサイクル」であり、以下の3種類の手法に大別されます。

    マテリアルリサイクル 廃棄物を加工し、原材料を再利用
    ケミカルリサイクル 化学反応を利用して再利用する
    サーマルリサイクル 原材料化が困難な廃棄物から熱を回収して再利用する

    6.最終処分

    最終処分は、「埋め立て」のことを指します。

    最終処分場は内陸に設置する場合と、海に埋め立てをする場合の2通りが存在します。
    海面埋立はほとんどの場合、地方公共団体が主体者となり設置を行います。

    その反面、内陸設置される最終処分場は民間設置が多いと言われています。

    昨今は、埋立地設置に住民からの反発も多いことから、設置ハードルは年々高まっています。
    これによって、既存の最終処分場で廃棄物を処理しきれなくなり、最終処分量の削減が強く望まれるようになったのです。

    現在は、少しづつ廃棄物の再生利用量が増加したことで、埋め立て残余量はここ数年は横ばいとなっています。

  • 産業廃棄物を処理する手順は、「廃棄物処理法」と呼ばれる法律によって定められている
  • 廃棄物の処理には「分別・保管」からスタートし、「再生」もしくは「最終処分」までのすべての行為が含まれる
  • 最終処分では、海面埋立はほとんどの場合地方公共団体が主体者となり設置を行い、内陸設置される最終処分場は民間設置が多いと言われている
  • (出典:株式会社 遠藤商会「知って得するシリーズ 第1弾 産業廃棄物の処理の仕方」)

    「産業廃棄物収集運搬業許可」を取得すると何ができるのか?

    産業廃棄物収集運搬業許可」を取得すると、ビジネスとして産業廃棄物の回収が可能となります。
    例えば自動車整備工場から出る大量の使用済みタイヤ、木材加工工場から出る木くず、病院から出る作業用の手袋や不要なレントゲンフィルム、レントゲン廃液などです。

    そして最も大きなメリットが、「条件付きで家電リサイクル法4品目の回収ができる」ことです。
    ここでの条件とは「小売業者又は指定法人若しくは指定法人の委託を受けて」いることですが、「小売業者」とは家電販売店などの店頭販売・新品販売に限られず、インターネット販売や通信販売、リサイクルショップや質店も含まれます。

    通常、一般家庭で利用された家電は「一般廃棄物」になり、本来は回収に「一般廃棄物運搬業許可」が必要です。
    しかし、エアコン・テレビ・冷蔵庫および冷凍庫・洗濯機および衣類乾燥機は「産業廃棄物収集運搬業許可」を持っていれば回収が可能なため、不用品回収業者などの事業拡大にもなります。

  • 産業廃棄物収集運搬業許可を取得すると、ビジネスとして産業廃棄物の回収が可能になる
  • 最も大きなメリットが、条件付きで家電リサイクル法4品目の回収ができること
  • 産業廃棄物収集運搬業許可を取得することで、不用品回収業者などの事業拡大にもなる
  • (出典:一般財団法人 日本リサイクル業IT支援協会 「不用品回収業者は「産業廃棄物収集運搬業許可」を取得すると何ができる?取得方法についても解説」,2018)

    廃棄物削減のための目標


    日本では、2016年に廃棄物処理法基本方針が告示され、廃棄物の減量化の新たな目標量を定めました。
    2020年(平成32年度)における一般廃棄物と産業廃棄物の目標量(2012年度(平成24年度)比)は以下の通りです。

    ゴミの増加により様々な規定が定められたため、年々ゴミの排出量は減少していますが、まだ十分に減ったとは言えません。
    国や地方自治体は目標の達成のために廃棄物処理法、各種リサイクル法等、3Rについての普及啓発などに取り組んでいますが、一人ひとりが行動することも必要です。

    特に家庭ごみは、私たちが意識して取り組みをしなければゴミを減らすことは難しいです。
    余分な食材は買わない、生ごみの水分を切る、詰め替え商品を買うなど、家庭でできることはたくさんあります。
    まずは目標を知り、ゴミを減らす取り組みをしましょう。

  • 年々廃棄物の量は減少している
  • 国や地方自治体以外の取り組みにおいては一人ひとりが家庭ごみを減らすことが必要
  • 2020年度の一人一日当たりの家庭ごみの排出量は500gに抑えることを目標としている
  • (出典:福岡県「第4章 目標の設定 第1節 廃棄物の減量化等の目標の設定の考え方」)
    (出典:環境省「3.健全な資源循環の推進」)

    産業廃棄物に関する資格がある


    最後に、産業廃棄物に関する資格について解説します。

    特別管理産業廃棄物管理責任者

    特別管理産業廃棄物を排出する事業者は、排出した特別管理産業廃棄物を管理するために、特別管理産業廃棄物管理責任者を設置しなければなりません。設置義務は、廃棄物処理法によって定められています。

    廃棄物処理施設技術管理者

    廃棄物処理施設技術管理者は、主に廃棄物処理施設の維持管理するために、法律で設置が義務付けられています。
    一般財団法人 日本環境衛生センターにおいて、廃棄物処理施設技術管理者講習が行われており、【基礎・管理過程】などの講習を終了し、過程を修了された方には、認定証が交付されるのです。

  • 特別管理産業廃棄物を排出する事業者は、排出した特別管理産業廃棄物を管理するために、特別管理産業廃棄物管理責任者を設置しなければならない
  • 主に廃棄物処理施設の維持管理するために、廃棄物処理施設技術管理者の設置が法律で義務付けられている
  • (出典:環境省「特別管理廃棄物規制の概要」)
    (出典:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)「産廃知識 廃棄物処理施設技術管理者」)
    (出典:一般財団法人 日本環境衛生センター「廃棄物処理施設技術管理者講習」)

    産業廃棄物とはどんな問題か知識を深めよう!

    今回は、知っているようで知らない「産業廃棄物」について解説しました。

    ゴミを捨てた後の廃棄物の処理方法や必要な資格など、なかなか知る機会のない様々な規制があります。
    日本の廃棄物は量は年々減ってはいますが、まだまだ改善が必要な状況です。

    SDGsの目標達成に向けて、世界中の国や自治体がゴミ問題に取り組んでいるため、改善はしていますが、ゴミ問題はすぐに解決することは難しいです。

    私たちができることとして、ペットボトルの飲み物を水筒にする、印刷は両面印刷してペーパーレスを推進する、食べ残しをなくすなどがあります。
    また、家電などは修理したりリサイクルに出す、リサイクルした商品を買うといったことも挙げられます。一人ひとりが意識してゴミを減らすように意識すればさらにより良い環境にすることが可能です。

    まずはこのような記事から知見を広げて、産業廃棄物の削減など小さなことから行動してみてはいかがでしょうか。

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