「少子高齢化はどんな課題を引き起こしているのか」「政府や自治体はどんな解決策に取り組んでいるのか」「私たち個人にできることは何か」——本記事では、少子高齢化の課題と解決策を、2024-2025年の最新データとともに整理します。
少子高齢化の全体像や関連する政策トピックは gooddoマガジン『少子高齢化』カテゴリ で、団塊の世代が全員75歳以上となる『2025年問題』の医療・介護・経済への影響は 2025年問題とは?医療・介護・経済に与える影響と対策 で詳しく解説しています。本記事は『課題』と『解決策』にフォーカスした一気通貫のガイドです。
少子高齢化の現状(2024-2025年最新データ)
結論からお伝えすると、日本の少子高齢化は想定を上回るスピードで進行しています。まずは最新の一次データで全体像を確認していきましょう。
2024年 出生数は初の70万人割れ・合計特殊出生率1.15
厚生労働省『令和6年(2024年)人口動態統計 月報年計(概数)』によれば、2024年の出生数は68万6,061人と統計開始以来初めて70万人を下回り、合計特殊出生率も1.15と過去最低を更新しました。前年(2023年)の72万7,288人・1.20からさらに減少しています。
(出典:厚生労働省『令和6年(2024年)人口動態統計 月報年計(概数)』)
高齢化率29.3%・世界最高水準
総務省統計局『人口推計』によれば、2024年10月時点の日本の65歳以上人口は約3,624万人、総人口に占める高齢化率は29.3%と、世界主要国の中で最も高い水準にあります。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2065年には高齢化率が38%を超える見通しです。
(出典:総務省統計局『人口推計(2024年10月1日)』/国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(令和5年推計)』)
・2024年の出生数は68万6,061人で初の70万人割れ、合計特殊出生率は1.15と過去最低
・高齢化率は29.3%(2024年)と世界最高水準、2065年には38%超の見通し
・総人口は2010年の1億2,806万人をピークに減少が続いている
少子高齢化がもたらす主な課題

少子高齢化は、経済・社会保障・地方の3領域に深刻な影響をもたらします。ここではそれぞれの主要な課題を整理します。
経済への課題:労働力人口の減少と成長鈍化
生産年齢人口(15〜64歳)は2020年の約7,400万人から2065年には約4,500万人まで減少すると推計されており、労働力不足が国内総生産(GDP)を押し下げる要因になると懸念されています。人手不足を補うため長時間労働が固定化し、それがさらに出生率を下げる悪循環も指摘されています。
(出典:国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(令和5年推計)』)
社会保障への課題:給付と負担のアンバランス
1960年には現役世代11.2人で高齢者1人を支えていた構造が、2024年時点では約2人で1人を支える『騎馬戦型』に、2060年頃には約1人で1人を支える『肩車型』へと移行する見通しです。医療・介護・年金の給付が増える一方で、支え手が減るため、社会保険料と税負担の増加が避けられません。
(出典:厚生労働省『全世代型社会保障改革(社会保障を支える世代のバランス関連資料)』/ 平成28年版厚生労働白書)
地方への課題:自治体運営の困難化
東京圏への人口流入は依然として続いており、地方では急激な人口減少と高齢化が同時進行しています。人口戦略会議の推計では、消滅可能性のある自治体は全国744自治体(全体の約4割)に及ぶとされ、行政サービスの維持そのものが課題となっています。
(出典:人口戦略会議『令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート』(2024年4月/事務局:北海道総合研究調査会))
・生産年齢人口は2020年約7,400万人→2065年約4,500万人に減少し、経済成長を下押しする
・1人で1人を支える『肩車型』社会保障へ移行し、給付と負担のバランスが崩れる
・全国744自治体が消滅可能性ありと分析され、地方の行政運営が課題に
政府の解決策:こども未来戦略・地域包括ケア

こうした課題に対して、政府は少子化対策と高齢化対策の両面から解決策を推進しています。ここ数年で動いた主な施策を整理します。
こども未来戦略(2023年12月閣議決定)
『こども未来戦略』は2023年12月に閣議決定され、2024〜2026年度を『加速化プラン』の集中取組期間としています。児童手当の拡充、育児休業制度の改善、多子世帯支援などがパッケージで打ち出されました。
2024年10月:児童手当の大幅拡充
2024年10月から児童手当が大きく拡充されました。所得制限が撤廃され、高校生年代までが支給対象に。第3子以降は月3万円に増額され、支給回数も年3回→年6回(偶数月)に変更されました。
(出典:政府広報オンライン『2024年10月分から児童手当が大幅拡充!対象となるかたは必ず申請を』)
2025年度:多子世帯の大学等授業料無償化
2025年度からは、扶養する子が3人以上の多子世帯について、大学等の授業料・入学金が所得制限なく国が定める上限まで無償化されました(年間最高70万円)。文部科学省とこども家庭庁が推進する制度です。
(出典:文部科学省『高等教育の修学支援新制度』)
高齢化対策:地域包括ケアシステム
高齢化への対策として、厚生労働省は『地域包括ケアシステム』を推進しています。医療・介護・予防・住まい・生活支援を地域単位で一体的に提供する仕組みで、団塊の世代が全員75歳以上となる2025年をめざして構築が進められています。
・こども未来戦略(2023年12月閣議決定)が加速化プランとして児童手当拡充・多子世帯支援を推進
・2024年10月から児童手当の所得制限撤廃・高校生対象・第3子月3万円・年6回支給が実現
・2025年度から多子世帯(子3人以上)は大学等授業料が上限まで無償に
・高齢化対策では地域包括ケアシステムが推進され、医療・介護・生活支援を地域で一体化
企業・自治体の解決策

政府施策と並行して、企業や自治体の独自の解決策も広がっています。代表的な打ち手を紹介します。
兵庫県明石市:こども政策の総合パッケージ
兵庫県明石市は、こども医療費・保育料・給食費・おむつ・遊び場の5つを無料化する『5つの無料化』を推進し、10年連続で人口増を実現した自治体として全国から注目されています。
企業:くるみん認定・出生時育休の取得推進
厚生労働省の『くるみん認定』は、子育てサポート企業を認定する制度で、認定企業は2025年時点で累計4,000社を超えました。産後パパ育休(出生時育児休業)の取得も進み、男性育休取得率は2024年度に40.5%に達しています。
(出典:厚生労働省『くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて(次世代育成支援対策推進法)』/ 厚生労働省『雇用均等基本調査』)
・自治体レベルでは兵庫県明石市『5つの無料化』が10年連続人口増を実現し、モデル事例となっている
・企業レベルでは『くるみん認定』が累計4,000社超に達し、男性育休取得率も2024年度に40.5%へ上昇
私たちにできる解決策

少子高齢化の解決策は国や自治体だけが担うものではなく、私たち一人ひとりの選択と行動も重要です。今日から取れる4つのアクションを紹介します。
子育て世帯・多世代を応援する消費行動
子育てに寛容な店舗や企業を積極的に選ぶ、多世代型のイベントに参加する、といった消費行動が『子育てしやすい社会』を後押しします。
地域のボランティア・寄付で支える
こども食堂、学習支援、高齢者見守りなど、地域のNPOやボランティアで支える選択肢もあります。時間の余裕がなくても、月1,000円からの寄付で支援団体の活動を継続的にサポートできます。
働き方・家事育児の見直し
自分自身の家庭・職場で育休取得や時短勤務、家事分担を実践することも、少子化を止める一票になります。管理職・経営者の立場にある方は、部下や社員の両立を支援する仕組みづくりを。
情報の発信・世代を超えた対話
SNSや職場、家庭で少子高齢化について正しい情報を発信し、世代を超えた対話を続けることも、社会を動かす小さな一歩になります。
・子育て世帯や多世代を応援する消費行動が『子育てしやすい社会』を後押しする
・地域のボランティア・NPOへの寄付で、こども食堂・学習支援・高齢者見守りを支えられる
・自分の家庭・職場で育休や家事分担を実践することが少子化を止める一票になる
少子高齢化の課題解決に取り組む団体

少子高齢化の課題解決を応援したい方は、gooddoマガジンの 団体を探すページ からテーマ別に支援先を検索できます。社会課題に取り組む企業の最新事例は 企業事例カテゴリ と discover.gooddo.jp も参考になります。
・gooddoマガジンの団体検索ページから、子育て・高齢者支援団体をテーマ別に検索できる
・認定NPO法人フローレンス・カタリバ・むすびえなどが、寄付・ボランティアの代表的な参加先
課題を知り、解決策の一歩を踏み出そう

少子高齢化は日本の未来を左右する大きな課題ですが、政府・自治体・企業・個人の解決策は着実に動き始めています。まずは最新の状況を理解し、自分にできる小さな一歩から踏み出していきましょう。
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