LGBT

LGBTQ+(性的指向・性自認)への教育はどのように行われている?政府の方針とは

LGBTQ+は今や世界で様々な議論や取り組みが行われています。性の多様化が進み、LGBTQ+を含む性的マイノリティへの対応が求められていますが、その中でも特に重要な対応となるのが教育現場です。

LGBTQ+は思春期で自認することが多く、学校教育において支援や対応は必須となりますが、現在その教育において様々な課題があります。

この記事ではLGBTQ+に関しての教育における課題や支援、政府の方針などを紹介します。

LGBTQ+に関する課題とは?ジェンダー平等に向けた知識や活動を知ろう

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LGBTQ+に対し教育分野で対応が必要な課題

LGBTQ+とは性的指向や性自認が大多数の人と異なる、性的マイノリティ(性的少数者:セクシャルマイノリティ)にあたる人々を指す言葉です。

性的指向は恋愛対象が誰であるかを示すものとされ、例えば女性が女性を恋愛対象とする女性の同性愛者(レズビアン)や男性が男性を恋愛対象とする男性の同性愛者(ゲイ)、女性と男性どちらも恋愛対象とする両性愛者(バイセクシャル)に分類されます。

それに対して性自認とは身体の性と心の性が不一致となる性同一性障害を表す言葉です。トランスジェンダーとも言われます。

これらは性的マイノリティの一部であり、他にも様々な例が確認されています。 性的マイノリティは多くの場合、思春期、つまり学生時代に気付くものです。

そして周りと自身が違うことから様々な困難に陥るケースが報告されています。特に性自認は身体と心の性の不一致から困惑することも多く、学校生活にも支障をきたすことも少なくありません。

周りもそうした人々に対し、少数派であることから正常ではないと判断し差別的な扱いするケースもあります。 実際に「気持ち悪い」、「男(女)のくせに」などと侮辱的な言葉を投げかけられることもあり、自尊感情を深く傷つけられることもあります。

さらにLGBTQ+の子どもに対して理解を示し、ケアをしていかなければいけない教員でさえ偏見を持たれ他の生徒とは違う態度を取られたなどの例も報告されています。

多くの子どもや教員が1つの場所に集まって生活する学校という環境においては、このLGBTQ+への教育と対応が大きな課題となっています。

  • LGBTQ+とは性的指向や性自認が大多数の人と異なる性的マイノリティ(性的少数者:セクシャルマイノリティ)にあたる人々を指す言葉
  • 性的指向は恋愛対象が誰であるかを示すものとされており、性自認とは身体の性と心の性が不一致となる性同一性障害を表す言葉
  • 性的マイノリティは少数派であることから人とは違うということがいじめの対象となる、あるいは通常の生活を送れないという不安を持つ

(出典:法務省人権擁護局「多様な性について考えよう!」)
(出典:参議院「LGBTの現状と課題」,2017)
(出典:文部科学省「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」,2015)

教育現場におけるLGBTQ+への日本政府の取り組み

LGBTQ+に関する教育分野での課題を受けて、日本政府では教育を含むLGBTQ+への対応として様々な取り組みを行っています。 2003年には性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律を成立させ、翌年7月に施行しました。

これによれば性同一性障害の定義や性別の取扱いの変更を裁判所でどのような条件で審判するか、また審判を受けた人に関する法令上の取り扱いなどについて規定しています。 この法令はLGBTQ+の、特にトランスジェンダーに対しての対応となります。

これを皮切りに児童に対して教育現場での問題が多数あることが確認されたことから、2010年には、文部省から教育委員会への事務連絡として「児童生徒が抱える問題に対しての教育相談の徹底について」の発出を行っています。

その4年後の2014年には学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査を実施したところ、606件の教育相談などがあったことが報告されました。

そして2015年には「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」を発出し、性同一性障害に係る児童生徒への特有の支援など、具体的事項を取りまとめています。

また、文部科学省では教職員向け手引きの作成と公表を2016年に行い、2017年にはいじめ防止対策推進法に基づく基本方針の改定が行われ、LGBTQ+への対応が盛り込まれることとなりました。
さらに2022年には文部科学省で、学校教員用の手引書「生徒指導提要」に性的少数者の児童生徒への対応に関する項目を盛り込む議論が進められています。

このように教育におけるLGBTQ+に関しての政府の対応は進められています。しかし世界的に見ると日本政府は慎重な姿勢を見せていることから、海外と比較するとどうしても遅れている状況にあります。

例えばアメリカでは思春期にあたる中高生のLGBTQ+コミュニティーの組織化を図り、教師を対象としたLGBTQ+教育の徹底、一般人に対しても教育を進め、LGBTQ+であっても過ごしやすい学校環境の構築ができるよう取り組まれています。

  • 2003年に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が成立し、翌年7月に施行された
  • 2010年には、事務連絡として「児童生徒が抱える問題に対しての教育相談の徹底について」を発出
  • 2015年には「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」を発出

(出典:文部科学省「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」,2015)
(出典:参議院「LGBTの現状と課題」,2017)
(出典:内閣府「世界におけるLGBTの権利」)

学校でのLGBTQ+の教育対応

世界からすれば遅れているとしても、現状はLGBTQ+の子どもがいることは事実であり、その対応が求められています。

そのため先述した「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」をもとに、学校側では学校生活での支援、医療機関との連携、相談所の設置といった教育対応が行われています。

それぞれどのような対応がなされているか紹介します。

学校生活での支援

性同一性障害に係る生徒の支援については、まず入学などにあたって生徒あるいは保護者などから相談を受けた教職員だけでなく、組織的に取り組むことを指示されています。

そのため学校内外においてサポートチームを作り、校内には支援委員会、校外にはケース会議などを適時開催しながら対応を進めています。

また過去の調査から、生徒が性同一性を可能な限り秘匿しておきたいケースがあることに留意しつつ情報共有を行い、チームで対応することが効果的な対応を進めるために不可欠であるとされ、取り組まれています。

当事者である生徒やその保護者に対して、情報を供する意図を十分に説明、相談をして理解を得つつ対応を進めることともされています。

そういった対応をしながら性同一性障害である生徒へ配慮し、自認する性別の制服や衣服、体操服の着用を認める、戸籍上男性の場合は標準より長い髪形を一定の範囲で認める、着替えにおいて保健室や多目的トイレなどの利用を認めるといった様々な支援が行われています。

医療機関との連携

性同一性障害への対応は医療機関との連携も大切です。 医療機関による診断や助言は学校が専門的知見を得る重要な機会になります。

また教職員や他の児童生徒、保護者などに対する説明材料にもなり得ます。 仮に当事者である生徒が性に違和感があり打ち明けたとしても、適切な知識を持っているとは限らない、あるいは性同一性障害の傾向にあるか、その他の傾向があるのか判然としていない場合もあるため、医療機関と連携しつつ支援をすることが求められています。

医療機関での受診は強制できるものではなく、あくまでその生徒が希望しない場合は本人に意志を尊重しなければいけません。

しかし専門家からの情報や助言は重要なものなので、学校としては具体的な個人情報に関連しない範囲での一般的な助言などを専門の医療機関に求めることで、より適切な支援ができるよう取り組まれています。

相談所の設置

先ほど学校側の対応として、校内外におけるサポートチームを作り、支援が行われていることを紹介しました。 実際に行われている支援では、校内のサポートチームの中に教職員や養護教諭、学校医だけでなく、スクールカウンセラーが含まれている現場もあります。

校外であってもスクールソーシャルワーカーや児童福祉を担当する児童相談所の担当者との連携も図られています。 性同一性障害においては打ち明けられず、秘匿して生活している生徒が多くいることがわかっていますが、その原因の1つには相談できる人がいないという現状があるからです。

相談に乗ってくれる人、それを理解してくれる人がいなければ打ち明けることはできません。 打ち明けるかどうかは本人の意思であったとしても、打ち明けられる相談所などの環境があるだけで、その割合は大きく変わってきます。

支援を行うためには、まずそのような生徒から、あるいは生徒の保護者から相談を受け、どのように支援や対応をしていくか話し合っていくことが大切です。 そういった観点から、学校での相談所の設置も支援の一環として、取り組まれています。

  • 学校側では学校生活での支援、医療機関との連携、相談所の設置といった教育対応が行われている
  • 医療機関との連携として、一般的な助言などを専門の医療機関に求めることで、より適切な支援ができるよう取り組まれている
  • 学校側の対応として校内外におけるサポートチームを作り、教職員や養護教諭、学校医だけでなくスクールカウンセラーが含まれている現場もある

(出典:文部科学省「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」)

LGBTQ+教育とジェンダー平等実現に向けて

教育分野におけるLGBTQ+への対応は難しい課題です。

当事者である生徒やその保護者への支援や対応と理解はもちろんのこと、支援していく教職員の知識や理解を深めること、ともに生活していく他の生徒への教育と理解を広げていくことが重要となります。

周りとは違う少数派であることから、差別的な扱いや行き違いは起こる可能性があるため、徹底した支援と対応が不可欠となります。 LGBTQ+に関する教育は、学校という環境で必要とされています。

しかし学校だけに頼るのではなく、私たち自身もLGBTQ+に関しての知識と理解を深め、できる支援をしていくことも重要となります。

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