不登校という言葉が使われ始めたのは、数十年前のことであるにもかかわらず、今ではその言葉が世間に浸透しました。
この言葉には明確な定義があり、その定義の下で使用されています。
不登校と同じような意味合いで使われるのがひきこもりですが、ここには大きな違いがあるのです。
この記事では、それぞれの定義や違いなどを解説します。
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不登校の定義
不登校と聞くと、学校に行かない生徒というイメージが強いですが、不登校には明確な定義があり、その定義に従って使用されています。
つまり子どもが学校に行かないから不登校とは限らないのです。
不登校という言葉のイメージはあまり良い印象を持たれていませんが、現代において不登校は増加傾向にあり、決して珍しいものではなく、許容されるものに変わりつつあるのです。
不登校が1992年に定義されるまでは、不登校という言葉すら使われることがありませんでした。
学校教育における基本調査では、それまで欠席理由を、病気や経済的理由、学校嫌い、そのほかに区分して調べており、「学校嫌い」を名称変更して生まれたものが不登校とされていました。
調査で不登校が使われるようになったのは1998年からであり、それまでは学校嫌いが調査対象となっていました。1966年から1990年までは、不登校に当たる定義は、学校嫌いで50日以上欠席した児童生徒、という位置づけでしたが、1991年から1997年までは学校嫌いで50日、30日以上欠席した児童生徒に変わっています。
そして1998年以降の定義は以下の通りです。
何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席したもののうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの
(引用:文部科学省「不登校の現状に関する認識」)
2020年現在の不登校の状況
文部科学省によると2018年時点での不登校児童生徒数は、全国の小中学校で16万4,528人と報告されました。1,000人あたりでは全国平均で16.9人であり、このうち年間で90日以上欠席した児童生徒は、不登校児童生徒数の58.1%を占めており、長期におよぶ不登校生徒が多いことが伺えます。
その理由は様々ですが、いじめによる不登校は一部であり、いじめを除く友人関係をめぐるトラブルや、教職員との関係をめぐる問題、学業不振、進路にかかる不安、学校の決まりなどをめぐる問題、入学・転編入学・進級時の不適応などが挙がります。
高校についても、2018年の不登校生徒数は5万2,723人、1,000人あたりで全国平均は16.3人とこちらも高い水準です。
高校は小中学校とは違い、長期におよぶ不登校が続くと中途退学となることもあり、不登校からそのまま退学してしまうケースが多くあります。
(出典:文部科学省「平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」,2019)
不登校とひきこもりの違いとは
不登校とよく似た状態でひきこもりというものがあります。混同して使われることが度々ありますが、ひきこもりにも定義があり、明確な違いがあります。
ひきこもりは、その形態から定義に違いがあり、「広義」「準」「狭義」に分類されているのです。
ひきこもりの全体的な定義とそれぞれの分類、そして2018年での調査におけるひきこもりの状況も合わせて紹介します。
ひきこもりの定義と分類
厚生労働省によると、ひきこもりの定義を下記のように述べています。
仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅に引きこもっている状態
(引用:厚生労働省「ひきこもり施策について」)
ひきこもりは不登校同様に単一の疾患や障害の概念ではなく、様々な要因が背景にあり生じる問題です。
数年ごとに調査が行われ、分類分けをして調査報告を行い、ひきこもりの定義を「広義のひきこもり群」として、以下の4つの質問をします。
この質問に対して、普段は家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する人を「準ひきこもり群」と定義しています。
そして普段は家にいるが、近所のコンビニなどには出かける。自室からは出るが家からは出ない、または自室からもほとんど出ない人を「狭義のひきこもり群」と分類分けされました。
ただしこの中には自営業や自由業に就いている者、身体的な病気が理由にある者、専業主婦や主夫、家事手伝いで妊娠や介護、看護、出産・育児にあたる者は除外するとしています。
このような分類で見たときに、2018年の調査では広義のひきこもり群は61万3,000人で、そのうち準ひきこもり群が24万8,000人、狭義のひきこもり群が36万5,000人と推計されました。
(出典:内閣府「生活状況に関する調査 概要」,2018)
不登校との違い
不登校とひきこもりには定義に大きな違いがあります。
不登校は小・中・高の児童生徒であることが前提です。しかし、ひきこもりは学校だけでなく会社なども対象範囲に含まれているため、年齢層が幅広いことが分かります。
もちろんひきこもりは学校も含まれているため、条件が一致していれば不登校でひきこもりと認知されることもあるのです。
その日数にも違いがあり、先述したように、不登校は年間30日以上学校に登校していない児童生徒であることが定義されています。
それに対してひきこもりは6ヶ月以上学校や会社に行っていない状態を指すため、ひきこもりの条件を満たすにはかなりの日数が必要です。
そして大きな違いは、社会参加の有無になります。
ひきこもりは家族以外との交流をほとんど持たず、準ひきこもり群でも趣味の用事程度、狭義のひきこもり群でもコンビニに出るくらいで、人との交流をほとんど持ちません。家族とさえ交流を持たないこともあります。
ひきこもりに対して不登校は、必ずしも家や部屋から出ないわけでなく、あくまで学校に登校しない長期欠席であり、友達と交流がある、習い事に通うなど学校以外の社会参加があっても不登校の対象です。
ただし、不登校の中には自室に閉じこもり、社会から完全に自身を隔絶してしまう子どももいるため、ひきこもりとの関連性が強い一群があると、政府や関連機関では見ています。
(出典:厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」)
不登校は決して悪いことではない
長期欠席をする不登校の子どもは、学校に参加することの恐怖や拒否感との葛藤に苛まれることがあります。
不登校が悪であるという印象が、子どもたちを追い詰めてしまっている場合もあるのです。不登校には様々な状況や理由があり、それを回避するための方法としては決して悪いことではありません。
追い詰められることで、社会との交流も拒否したひきこもり状態になることは子どもにとっても良くないことです。
だからといって、無理やりにでも学校に行かせることが正しいことではありません。
原因は何なのか、不登校は悪いことではないということを子どもに伝えながら、子どもを認め一緒に考えてあげることから始めていくと良いでしょう。
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