いじめは今や学校や職場などで起こり得る大きな問題であり、様々な対策や対応が求められています。
個人で解決することは難しく、組織的な対処を必要とすることから、政府は法整備を行い、それに従った取り組みが必要です。
この記事ではいじめへの対策・対応を行うために施行された、いじめ防止対策推進法について紹介します。
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いじめ防止対策推進法とは?
学校や職場などコミュニティが生まれる場所では、いじめが発生する可能性があります。
2011年10月に起こった滋賀県大津市の中学校2年生のいじめによる自殺が、世間では大きな問題として取り上げられ、重大かつ対策が急務であることから政府や文部科学省、各教育委員会は対応に追われました。
2013年2月に教育再生実行委員会議第1次提言会にて、「社会総がかりでいじめに対峙していくための基本的な理念や体制を整備する法律の制定が必要」とされました。そして速やかに法整備がなされ、2013年6月28日にいじめ防止対策推進法が成立し、同年9月28日に施行されました。
(出典:独立行政法人教職員支援機構「いじめ対策のポイントといじめ防止基本方針の改定」)
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いじめの防止などのための基本的な方針
いじめ防止対策推進法では、いじめ防止などのための基本的な方針を定めています。それによると、学校いじめの防止基本方針として、以下のように記されました。
学校は、いじめ防止基本方針又は地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。
(引用:文部科学省「いじめ防止対策推進法」
いじめ防止基本方針では、学校はいじめの防止のための取り組みや早期発見、いじめ事案への対処のあり方、教育相談体制や生徒指導体制、校内研修などを定めることが想定されています。
その上で基本方針に則って、いじめが起きにくい、あるいはいじめを許さない環境づくりに係る取り組み、いじめの早期発見や事案対処のマニュアル実行、定期的または必要に応じたアンケートなどの取り組みを行っていくことを学校に求めているのです。
またこの取り組みに係る達成目標を設定し、目標の達成状況を評価されます。そのため学校側は評価結果を踏まえた上で、いじめ防止などの取り組みの改善を図る必要があります。
(出典:文部科学省「いじめ防止対策推進法」)
いじめ防止対策推進法における組織の役割
いじめ防止対策基本法の基本方針には、いじめの防止のための組織についても定められています。
同時に教育委員会や学校の役割なども明記しており、組織的ないじめの対応を行うことを目指し、学校ごとに設置されるのが「いじめ対策組織」です。
いじめ対策組織
いじめ防止対策基本法の基本的な方針において、いじめ対策組織は以下のように定められています。
学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする。
学校いじめ対策組織は、いじめの防止などの中核となる組織として位置づけられています。
的確にいじめの疑いに関する情報の共有を行い、その情報をもとに組織的に対応できるような体制を作ることが目的です。
事実関係の把握やいじめであるか否かの判断は組織的に行うことが必要とされており、いじめ対策組織が情報収集と記録・共有の役割を担うことから、些細な兆候や懸念、児童生徒からの訴えなどを教職員が抱え込まず、直ちにすべて報告・相談するものとしています。
いじめ対策組織に集められた情報に関しては、個人の児童生徒ごとに記録して、複数の教職員が個別に認知した情報の集約と共有化を図るなどの役割を担っています。
教育委員会の役割
教育委員会のいじめに関する役割は、主に3つとなります。
1つ目は管理下の学校の状況のいじめ問題の徹底把握と徹底指導です。いじめの情報や対策の課題などが教育委員会に集約され、指導主事が問行調査や就学援助率、学力調査などの情報とともにデータ分析を行い、いじめの情報や対策の提案などを教育長に挙げます。
それをもとに教育委員会から学校に指導や助言を行い、要請を待たず積極的な学校訪問も行っています。
2つ目にいじめについて、すべての教職員の意識改革や、いじめ防止対策推進法の教職員への浸透の役割も担っています。
いじめがあることが必ずしも悪でないことや、学校におけるいじめ対策組織を中核とした組織的な対応の徹底なども役割です。
3つ目に学校、特に校長にしっかり指導助言できる指導主事の要請や配置、重大事態が発生した際の警察との連携や地方公共団体の抑えの報告なども行います。
学校の役割
学校の役割としてまず挙げられるのが、校内のすべての教室の状況把握とマネジメントです。
いじめが発生しているかどうか現場の情報がすべてになります。そのため校長や教頭は部下である教職員から報告が挙がってきやすい環境づくりが必要です。
教室を巡回しての観察などを行い、いじめの状況把握などを行います。定期的な面談やアンケートによる早期発見の努力もしていかなければいけません。
その上で、先述したいじめ対策組織により、校長のリーダーシップの下、生徒指導担当や学年主任、養護教諭、学級担任などの教職員、スクールカウンセラーなどとともに指導や支援体制を組む役割を担っています。
いじめが発生し、確認した場合は、児童に寄り添え支える体制をつくり、徹底的に守り通すことや、いじめた生徒に自らの行為の責任を自覚させること、いじめに向かわせない力を育むことが必要です。
またいじめを見ていた生徒に関しても、自分の問題として捉えさせるとともに、いじめを止められなかったとしても誰かに知らせる勇気を持つことを促します。
いじめの事実関係の報告や、今後の学校との連携方法など保護者との連携も行うことで、子どものケアを行うと同時に、いじめを進行させないための取り組みも行います。
学校はいじめが起こる現場となり得るため、把握や情報収集、指導や支援などを組織的に連携していかなければいけない立場でもあるのです。
(出典:文部科学省「いじめ防止対策推進法」)
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いじめ防止対策推進法は子どもたちを守るために必須
いじめはコミュニティがある以上、どうしても発生してしまう問題です。
事実、様々な現場でいじめが発生し、その犠牲となった子どもは少なくありません。
いじめを原因とした不登校や自殺が起こっており、学校だけではなく社会全体の問題として認知されています。
いじめを防止し、子どもたちを守るために定められたのが、いじめ防止対策推進法です。
この法律により、教育委員会や学校から、いじめに対する徹底した取り組みが呼びかけられました。
しかし今なお、いじめがなくなることはありません。この問題には教育現場だけでなく、保護者の協力、あるいは地域住民の協力なども必要となります。
子どもがいる家庭もそうでない家庭も、他人の問題とするのではなく、いじめ防止対策推進法や教育委員会、学校の役割などを把握し、協力していけるように心がけましょう。