いじめは、ここ数十年で問題視され、防止のための対策や解決のための対応に追われている社会の課題です。
主に学校で起こる子どものいじめが取り上げられますが、近年は職場などでのいじめなども大きな問題となっています。
この記事では、いじめの定義とは何なのか、その種類や対策方法にはどのようなものがあるのか紹介します。
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いじめの定義とは
いじめは学校や会社などコミュニティが存在するところで発生することがある、特定の人物への一方的な「攻撃」です。
正確には政府が定めた定義があり、それに該当したものをいじめと認定していますが、このいじめの定義は時代により変化しています。
時代に合わせた定義が必要となり、最初に定められた定義から、2020年までに3度の変更・追加がありました。
いじめの定義が定められたのは、1986年に行われた「児童生徒の問題行動. 等生徒指導上の諸問題に関する調査」を行ったときです。
この調査では、自分より弱い者に対して一方的に、身体的あるいは心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものとしています。
その上で学校として、関係児童生徒やいじめの内容など、その事実を確認しているものをいじめとして認定していました。
また、いじめの起こった場所は学校内外を問わないものとしています。
これがいじめの最初の定義ですが、学校が事実関係を確認しているものに限定されていたため、現代ではいじめと考えられていても、実際には認定されていないものもあったようです。
そこで1994年に行われた調査では、学校での事実関係の確認を定義から削除しており、いじめに当たるか否かの判断を表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うことを追加しました。
2006年には「一方的に」、「継続的に」、「深刻な」といった文言を削除し、当該児童生徒が一定の人間関係にある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの、と変更しています。
個々の行為がいじめに当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うのではなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする、とされました。
現在の定義(2020年時点)
いじめの定義は、幾度かの変更と追加が行われてきましたが、2013年に「いじめ防止対策推進法」が施行され、その中で定められたものが、2020年時点でも適応されました。
この法律によれば、いじめとは児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍しているなど当該児童生徒と一定の人的関係のあるほかの児童生徒が行う心理的または物理的な影響を与える行為としています。
これはインターネットを通じて行われるものも含み、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものが該当します。なお、起こった場所は学校の内外を問いません。
さらに、いじめの中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重要なものや、児童生徒の生命、身体または財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれます。
これらについては、教育的な配慮や被害者の意向への配慮の上で、早期に警察に相談・通報し、警察と連携した対応を取ることが必要です。
いじめが至る所で発生していること、その行為がエスカレートしていることから、このような定義になったと考えられています。
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いじめには様々な種類がある
いじめの定義は、学校や会社など現代で起こる多様化したいじめに対して定められたものです。
その種類は様々であり、学校と会社でもいじめの形は異なります。それぞれどのようないじめがあるのか、その事例を紹介します。
学校でのいじめ
学校でのいじめはいくつかに分けることができます。
小学校や中学校、高校、特別支援学校であっても特に多いのは、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」です。
2017年に文部科学省によって行われたいじめの状況に関するアンケートでは小学校や中学校、高校でも60%を超える数値となり、非常に高い割合になります。
次に高い割合を占めるのが「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする」、「仲間はずれ、集団による無視をされる」、「ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする」です。
身体的な攻撃、心理的な攻撃がそれぞれ行われていますが、さらに犯罪行為にも該当する「嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする」、「金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする」、「金品をたかられる」というものも発生しています。
現代はインターネットやSNSの普及により「パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる」といった、発見が難しいいじめも発生するようになりました。
いじめ防止対策推進法における定義は、このようないじめの態様をカバーし、防止するために定められています。
(出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」,2017)
職場などでのいじめ
いじめは子どもたちの間だけで起こるものではありません。成人し、社会人となってもいじめにあうことがあります。
1986年時点では、いじめの定義を学校に限定していたものが、その後の変更で学校のみではないと範囲を広げたのはこのためでもあるのです。
職場などで起こり得るいじめとしては主に「パワハラ」、「セクハラ」、「モラハラ」などがあります。
パワハラとは上司や同僚などから殴られる、足で蹴られる、胸倉をつかまれる、髪を引っ張られる、物を投げつけられるなどです。
ほかにも脅迫や名誉毀損、意図的な仲間外れや無視、過度な業務上の要求なども含まれますが、これらは職務・業務上の人間関係を利用したものに限定されます。
セクハラとは、本人の意に反する「性的な言動」により労働において不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることです。職場における「セクハラ」には、同性に対するものも含まれます。
パワハラと混同されがちなのがモラハラですが、倫理を逸脱している嫌がらせ行為を言います。
無視やチーム・仲間から外す行為、プライベートへの介入、業務上の必要な情報を与えない、過小な業務しか任せないことなどが含まれます。
いじめへの対策や取り組みとは
いじめの定義が3回も変更され、広い範囲で警察を巻き込んだものになったのは、その対策や対応の難しさが要因となっています。
しかし難しいからといって防止策などやいじめに対してのケアや取り組みを行わないわけにはいきません。
いじめへの対策を行っていく上では、家族や周りの理解とサポートが重要となります。
これは子ども、大人に関わらず一人で抱え込むことが事態の悪化を招き、最悪の結果を生み出すことになりかねません。
子どもに対するいじめの対策
子どもの主体性を尊重しつつ、学校やいじめ相談窓口への相談を行っていく必要があります。
子どもがいじめられていることを話せないこともあるため、普段の様子の変化から異変に気付く必要がありますが、これが難しいところです。
しかし注意深く見守ることで気付けることも多くあります。
情緒不安定や、放心する時間が増える、食欲の減退や持ち物の喪失、服の汚れ、小さい傷が増えるなど変化が見られるようなら、学校やスクールカウンセラー、子どもの友達にそれとなく聞くなど、情報を集めていくことも大切です。
親は先走らず、子どもの意志を尊重し子どもが安らげる居場所を確保していきましょう。
子どもに無理に学校へ行くことを勧めるのではなく、心の整理がつくまで待ってあげることも必要です。また、辛いときは我慢せず誰かに頼っても良いことも、一緒に伝えてあげてください。
大人に対するいじめの対策
上司や同僚などに相談をすること、会社にいじめを文書で報告して対処を求めるなどの行動を起こすことが大切です。
上司や会社を頼れないのであれば、各都道府県の労働局に相談する方法もあります。相談し、協力を求めれば、会社への助言や慰謝料を求める斡旋制度も利用可能です。
あまりにも職場でのいじめが辛いようであれば、転職することを考慮しても良いでしょう。
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いじめはどこでも起こり得る問題
いじめはコミュニティがある以上、起こる可能性がある問題です。解決するのは難しく、政府としても常に対策に追われています。
いじめは、私たちの周りに存在する根深い問題であり、当事者ではないからといって見て見ぬ振りをして良いものではありません。
いじめについての知識を深め、対策などを知っておくことは、周りの誰かがいじめにあったとき、あるいは自分自身がその状況に陥ったときにも助けとなるでしょう。