日本では小学校入学と同時にほとんどの子どもたちが買ってもらうランドセル。6年間毎日使ってもまだ良い状態を維持できるほど丈夫な作りをしています。我が子とその家族の6年の思い出がつまったランドセル。まだまだ使えるのに捨ててしまうのはもったいない、どこかで役に立ててもらえないか?と考える人は多いと思います。
そこで選択肢のひとつとして考えられるのが、ランドセルを必要としている子どもたちに寄付する方法。
しかしランドセルを寄付したいと思っているものの、
・寄付をする際どんなことに注意すべき?
・寄付先にはどんな団体があるの?
と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ランドセルの寄付について以下の内容をご紹介します。
- ランドセル寄付の仕組みを詳しく紹介
- ランドセル寄付を受け付けている団体
- ランドセル寄付に関する疑問
ランドセルの寄付を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
使い終わったランドセルを寄付できる?ランドセル寄付の基本的な事項を解説!
漠然と「ランドセルの寄付が誰かの役に立つかもしれない」と考えるものの、具体的にどのように役に立つかは実はよく分からない、という方もいると思います。
ここでは、ランドセルがどんなところでどのように役にたっているのか、ランドセルの寄付はどのようにできるのかをご紹介します。
寄付したランドセルはどのように役立つの?
例えば、ある団体に寄付されたランドセルは、アフガニスタン、ウガンダ、ミャンマー、フィリピン、ベトナム、カンボジア、タイなどの発展途上国の子どもたちに贈られています。
これらの国では、貧しくて通学カバンが買えず、教科書や文房具を手で持ったりビニル袋に入れて遠くの学校まで長い距離を登校する子どもが多いです。
また、日本では中学校まで義務教育を受けられますが、発展途上国などの貧しい国では、教育を受けたいのに受けられない子どもたちが多くいます。
貧しい国、特に農村部では、教育を受けられない子どもたちがいることは珍しくありません。教育を受けられず読み書きなどができないと、賃金の高い仕事に就くことができず困窮する可能性が高いです。その子どもも、家計を助けるために働き学校に行けず、世代をまたぎ貧困のループに陥ります。
家計を支えるために労働力として子どもが必要だったり、親が教育を受けてこなかったため教育の重要性が理解できないなどの理由で、子どもの就学に同意しない親たちもいます。そんな親たちも、日本から贈られたランドセルを背負う子どもを見て、学校に行かせて勉強させてやりたいという気持ちになるそうです。
また、男女の教育格差がある地域では、男の子にも女の子にもランドセルを平等に配ることで、「女の子も男の子と同じように学校へ通うのが当たり前」という考えが地域で根づき始めるといいます。
>>世界の子どもを守りたい!国際協力活動に寄付できる団体を5つ紹介
ランドセルを寄付するには?
ランドセルの寄付方法は団体により異なりますが、大まかな流れは同じです。代表例を紹介します。
- 送りたいランドセルが団体の条件に合うかHP等で確認する
- 梱包する
- 団体に寄付をする旨、連絡をする(申し込みフォームなどがある場合も)
- 寄付金や海外輸送経費を振り込む・クレジットカードで支払う
- 発送する
団体に到着したランドセルは倉庫で保管され、ボランティアや団体スタッフにより検品され、箱詰めされたものがコンテナで輸送されたのち、支援地の子どもたちに手渡されます。
ランドセルが支援地の子どもたちの役に立つには、現地まで届けられる必要があり、海外への輸送コストがかかります。そのため多くの団体が発送物の大きさごとの寄付金を設定していたり、輸送費としての寄付金をランドセル寄付の条件にしていたりするものです。
また、旅行者・駐在員・現地視察などで海外に行く方に、ハンドキャリーにより「航空輸送を無償協力」をしてもらっている団体もあります。
ランドセル寄付の注意点
中古寄付を受け入れるとはいえ、どのようなランドセルでも寄付できるわけではありません。送る前に各団体のHPを確認しながら、ランドセルの状態をチェックしましょう。
- ・損傷や劣化の激しいもの
- ・名前が書かれているもの(団体による)
- ・豚革を使用しているもの(宗教上の理由。団体の寄贈先による)
などは寄付できない恐れがあるので、送る前にランドセルの状態は問題がないか、注意が必要です。
条件を満たしていないランドセルは、団体側が費用負担をして処分することも少なくありません。ひとくちに「損傷や劣化」といっても、どのくらいのものならば大丈夫なのか、判断に困ることもあると思います。
また、ランドセルをきれいにし、梱包して発送という手間もかかります。
「モノ」の寄付はなかなかハードルが高いと感じる方は、お金での寄付を検討してみてはいかがでしょうか。お金の寄付は、受け取った団体が支援地のニーズや状況に合った支援方法を選択し、柔軟かつ迅速に支援が必要な人たちのために役立てられます。
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ランドセルを寄付できる支援団体を5つ紹介!
ここでは、「ランドセルを寄付したい」と考えている方へ向けて、寄付アドバイザーの河合さんのおすすめコメントとともに、ランドセルの寄付を受け付けている団体を5つ紹介します。
【ランドセルの寄付を受け付けている団体5つ】
【寄付先1】公益財団法人ジョイセフ:女性に選択する自由を届ける
世界の妊産婦と女性の命と健康を守る活動を草の根で取りむとともに、アフガニスタンの子どもたちにランドセルを贈っています。
「全ての女性が自らの意思で選択できる世界」を目指しています。
寄付アドバイザーが見た注目ポイント!
- 日本において、家族計画、女性のエンパワーメントを中心とした保健分野の国際協力における最長の歴史と最大の実績を有する専門機関
- 日本で役目を終えたランドセルをアフガニスタンに寄贈し、子どもたち特に教育の機会に恵まれない女の子の就学に役立てる「思い出のランドセルギフト」は特徴的な取組み
- 「ジョイセフアンバサダー」に冨永愛さんが就任し広報リーダーの役割を果たす
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【寄付先2】NPO法人 JIYU:学用品提供で貧困からの脱却を支援
文房具やランドセルなどの学用品の寄付を募り、途上国の子どもたちに届ける活動を行っています。
教育支援による貧困からの脱却と、体験型の支援により、感動を共有できる社会貢献の実現をめざしています。
- 個人の海外旅行者や出張者に寄付物資を託し現地に直接届けてもらう「POSTMANプロジェクト」。子どもたちと交流もできる「体験型」の支援方法
- 海外輸送を無償で請け負う企業との提携やPOSTMANプロジェクトで輸送費ゼロを実現している
- 月に2,000円の支援を3年間継続する奨学金の寄付「One to Oneプロジェクト」。支援者の方の写真や名前が子どもたちに伝えられ、支援者にも子どもの情報が伝えられる、人と人の交流を大切にしたプログラム
【寄付先3】特定非営利活動法人国際子供友好協会:子供達の手から手へ愛ある国際支援活動のお手伝いを行う
東南アジアの途上国の子どもたちを支援するため、リサイクル用品の回収事業、発展途上国でのボランティア活動イベント、国内外での災害救援活動、子どもの国際交流促進事業を行っています。
未来を担う子どもたちが明るく平和な社会づくりに取り組む事業を展開することで、社会全体の利益につなげることを目指しています
- ぬいぐるみ、文具、おもちゃ以外にも自転車やベビーカーなどの乗り物、ジャングルジムなどの遊具の寄付も受け入れ、すべて現地に届けている
- 寄付されたものは発展途上国の子どもたちに直接手渡しで届けている
- 関わるメンバーはすべて無報酬のボランティアとして活動している
【寄付先4】特定非営利活動法人ワールドギフト:物品の寄付支援を中心に命を守る支援を行う
アジア、アフリカ各国で、物資支援、食事・食糧支援、医療支援、安全な水支援、清掃活動、日本国内で動物支援などの活動を行っています。
「まだ使える不用品」のパワーで世界中の人々を笑顔にしています。
- 日用品、学用品、雑貨、ベビー用品、食品などありとあらゆるものの寄付を受け付け。これまで物資寄付で88か国を支援
- 物品受け入れ時に、荷物のサイズに応じた寄付金を依頼。受け入れた寄付物資を確実に支援に役立つ仕組みで活動している
- インスタグラムは1日に数回更新、動画や写真で現地の様子を丁寧に報告している
【寄付先5】特定非営利活動法人もったいないジャパン:廃棄されてしまう多くのものを「もったいない精神」のもと社会に還元する
「もったいない」の心を活動の軸とし、フードバンク活動、寄付品の受付・送付を行い、国内及び海外の途上国の人たちを支援しています。
「もったいない精神」を普及することにより、明るく健康で笑顔の絶えない社会の実現を目指しています。
- 日用品、学用品、生鮮食品を含む食料品、おもちゃ、介護用品、OA機器、インテリアなど様々な種類の物の寄付を受け入れ。自然災害、貧困など様々な事情で困っている国内外の人たちに届けている
- 受け入れた寄付物資を選別し、そのまま支援先に送るものと、現金化して団体の運営に充てるものに分けている
- 支援先は、国内の子ども食堂、児童養護施設、生活困窮者支援団体からシリアの難民地区、アフリカやアジアの学校や孤児院など幅広い
ランドセルの寄付でよくある3つの疑問
ここからは、ランドセルの寄付でよくある3つの疑問について解説します。
【ランドセルの寄付でよくある3つの疑問】
- イオンなどの施設でランドセル回収を行っているって聞いたけど本当?
- ランドセル以外の学用品も寄付できる?
- どんなランドセルでも寄付できる?
1.イオンなどの施設でランドセル回収を行っているって聞いたけど本当?
イオンでは「思い出のランドセルギフト」という、使わなくなったランドセルの持ち込みをイオン各店舗で受け付けるプロジェクトを行っています。回収されたランドセルは、ランドセル寄付を受け付けている団体でも紹介したジョイセフへ送られます。近くにイオン店舗がある人にとっては、梱包や発送の手間が省けるので、とても便利な方法です。
今年度はアフガニスタンの情勢を踏まえ、プロジェクトの実施は見送られました。ジョイセフでは変わらずランドセルの寄付を受け付けているので、今すぐ寄付したい方はジョイセフへの直接寄付を検討ください。
他にリサイクルショップなどでランドセルの引き取りをしているところもあるので、お住まいのエリアのリサイクルショップに問い合わせてみてください。
2.ランドセル以外の学用品も寄付できる?
多くの場合、ランドセルの寄付と一緒に学用品の寄付も受け付けています。
鉛筆、色鉛筆、鉛筆削り(手動)、ノート、消しゴム、マジック、ペンケースなどは多くの団体が受け入れています。新品が望ましいですが、品目によっては多少使用してあっても、団体によっては受け入れているところもあるようです。
はさみや彫刻刀などの刃物、シャープペンやホチキスなど補充物が必要なものの受け入れ可否は団体により異なります。なかには、このような物も受け取り後、日本で換金して支援地での活動資金としている団体もあります。
詳しくは各団体のHPをご確認ください。
3.どんなランドセルでも寄付できる?
ランドセル寄付の注意点でも紹介したように、損傷が激しいものは寄付ができません。また、団体の支援地によっては豚皮を使用したものは受け付けていない場合もあります。
ランドセルの色に関しては、どんな色でも受け入れている団体がほとんどです。
詳しくは団体のHPをご確認ください。
発送前に、きれいに掃除し、キーホルダーなど余分なものを外すことも忘れないようにしましょう。
ランドセルの寄付で人の役に立てる!
ここまでランドセル寄付の受け入れをしている団体紹介や寄付の方法、よくある疑問の解説をしました。ここで、紹介した内容をまとめます。
ランドセルという6年間の想い出がつまったものを、どこかでまた大切に使ってくれる人がいるのは嬉しいものです。まだまだ使えるランドセルが手元にある人は、ランドセルの寄付を検討してみてはいかがでしょうか?
また、ランドセルの保管、輸送、配布には経費がかかるため、多くの団体では活動費などの寄付も受け付けています。お金の寄付は、受け取った団体が支援地のニーズや状況に合った支援方法を選択し、柔軟かつ迅速に支援が必要な人たちのために役立てられます。
>>食料や服の寄付は支援に役立てにくい?実際のところを専門家が解説!
ランドセルに限らず海外の子どもたちの支援についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご一読ください。
>>海外の子どもたちを支援するには?課題別のおすすめNPO団体や寄付の方法を解説
もし、ランドセルの寄付をすることは決めたけど、
「どの団体に寄付するか決めかねている・・・」
「寄付先の選び方を知りたい・・・」
とお思いなら、寄付アドバイザーが「あなたに合う寄付先の選び方」を解説する人気記事をおすすめします。
気になる方はぜひ以下のリンクからどうぞ!
>>寄付先のおすすめNPO団体は?失敗しない選び方を専門家が一覧から徹底解説!
NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー大学卒業後、国際協力分野のNGOにボランティアスタッフとして参加。その後、国際交流・協力分野の中間支援組織へのインターンシップ、職員を経て、office musubime (オフィス ムスビメ)を2011年7月に設立。
寄り添って伴走する第三者として、身近な相談相手や多様な人・団体をつなぐ役割を通し、組織診断・組織基盤強化、ファンドレイジング支援など、各団体の支援に取り組む。
大阪マラソンチャリティ事務局担当や、国際協力や子ども/子育て支援、まちづくり分野、コミュニティ財団などの役員、大学の非常勤講師としてNPO論やボランティア論などの担当も。