猛暑

猛暑日の予想から見えてくる気候変動とは

  • 2020年7月22日
  • 2022年7月15日
  • 猛暑

気象庁によると猛暑日は年々増えており、このままいけば原因を抑えられたとしても、猛暑となる頻度は増え、猛暑日を観測する地点も増加すると考えられています。

この猛暑日の原因は気候変動ですが、今後の猛暑日の予想は、気候変動の将来的な予測についても見えてくるものがあります。
この記事では猛暑日の推移と今後の予想、そして関連する気候変動について紹介します。

猛暑の原因とは?気候変動について見直そう

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猛暑日が増加!今後の予想は?


現代の日本において、夏季に度々発生して危険を呼びかけられているのが猛暑日です。
猛暑日とは最高気温が35℃を超える日のことを言いますが、日本では2018年に観測史上最高となる41.1℃を埼玉県熊谷市で記録しました。

また、全国に置かれているアメダス地点では年間延べ6,000地点以上で猛暑日を観測し、過去最多を記録しています。

世界的にも2018年はヨーロッパをはじめとして多くの地域で猛暑を記録し、熱波に襲われた国や地域もあるほど暑い年となりました。

過去にも異常気象により夏季を通して高温となった年はあります。
しかし近年その傾向が強く、年間の猛暑日の日数が増え、1年に5日以上や6日以上と日数が更新されるまでのスパンが短くなっています。
実際に気象庁の過去100年ほどのデータでは、1910年から1993年までと1994年から2019年までの期間で明らかに猛暑日の日数に違いが見られます。

1910年から1939年までの30年間では平均年間日数は約0.8日だったのに対して、1990年から2019年までの最近30年間では約2.3日と、約2.9倍にまで増加しています。
100年余りの間に1.8日の増加も見られ、年間日数は確実に増加していることが分かります。

先ほど触れたヨーロッパでも2000年以降に猛暑が度々現れ、熱波が襲うようになったことで、それ以前は東京よりも涼しいとされたヨーロッパの夏季の気候が一変することになりました。

2003年には大規模で過酷な熱波が襲い、それまで暑さに対して対策が必要なかったフランスをはじめとしたいくつもの地域で熱中症による多くの死者を出しました。
それ以来、現在に至るまで、夏季は高温や熱波に警戒を必要とする年が何度か訪れており、近年は毎年のように最高気温が更新されるほどの暑さとなっています。

猛暑の今後の予想

猛暑はこれまで地球温暖化との関連が予想されながらも、明確な証明が困難であるとされてきました。
それは地球温暖化だけを分離して検証することが難しく、大気が元々持つ揺らぎにより偶発的に起きた可能性を捨て切れなかったためです。
猛暑日の増加や最高気温の度重なる上昇はここ30年間で急激に増えたこともあり、経験やデータが不足していたことも要因です。

しかし2018年7月の過酷な猛暑が発生したこともあり、そのデータと気象研究所と東京大学大気海洋研究所、国立環境研究所が共同で開発した「イベント・アトリビューション」という新しい手法により、地球温暖化との関連性の評価と、将来の予想が可能となりました。

これによると、現在地球温暖化が進んでいる地域の気候条件と、温暖化しなかった場合の気候条件を比較することで、温暖化しなかった場合の気候条件では、2018年7月の猛暑が発生する可能性はほぼ0%であることが推定されています。
つまり地球温暖化がなければ、あのような猛暑は起こり得なかったということです。

この推定に加え、偶発的に起きた高気圧の影響による猛暑の発生確率が明らかになりました。
そのデータから計算された結果によると、今後の全球平均気温(地球全体の平均気温)の上昇と日本における年間の延べ猛暑地点数の関係を予想として導き出しています。

現在は産業革命以前と比べ、全球平均気温の上昇が1℃であるとされ、約2,500地点で猛暑を観測しています。
そして今後、産業革命以降の全球平均気温の上昇を1.5℃に抑えたとしても3,000地点以上、2℃に至った場合には4,000地点以上が猛暑になると推測されました。

地球温暖化を直ちに止めることはできないことから、今後の気温上昇はやむを得ず、1.5℃に抑えたとしても現在の約1.4倍、2℃に到達してしまえば現在の約1.8倍の地点が猛暑にさらされるということになります。

  • 日本では2018年に観測史上最高となる41.1℃を埼玉県熊谷市で記録した
  • 猛暑日の年間日数は確実に増加している
  • 気温上昇を1.5℃に抑えた場合でも現在の約1.4倍、2℃に到達した場合には現在の約1.8倍の地点が猛暑にさらされる
  • (出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」,2019)
    (出典:気象庁「歴代全国ランキング」,2019)
    (出典:国立環境研究所「平成30年7月の記録的な猛暑に地球温暖化が与えた影響と猛暑発生の将来見通し」,2019)

    猛暑日を予想することで見えてくる気候変動


    猛暑日は地球温暖化が原因で起こっていることが科学的に評価されたことで、今後どのように気候変動が変化していくのか、そしてどうなっていくのかの予想がなされています。

    まず現在も上昇し続けている気温について、今後の予測では2081年から2100年までの21世紀末における世界の年平均気温は、1986年から2005年までの20世紀末と比較すると、RCP2.6シナリオで0.3℃から1.7℃、RPC8.5シナリオで2.6℃から4.8℃上昇するとされています。

    この「RPCシナリオ」とは代表濃度経路シナリオのことであり、気候の予測や影響評価などを行うための基準になるものです。
    地球温暖化は温室効果ガスである二酸化炭素の排出が大きく影響しており、今後の排出量や濃度によって、抑制されるか促成されるかが変わります。
    RPCのそれぞれの数値である「2.6」や「8.5」は世紀末における放射強制力を表しており、W/㎡(ワット毎平方メートル)を単位としています。

    RPC2.6は低位安定シナリオで、将来の気温上昇を2℃以下に抑えることを目標として開発された二酸化炭素の排出量が最も低いシナリオです。
    それに対してRPC8.5は高位参照シナリオであり2100年における温室効果ガス排出量の最大排出量に相当するシナリオです。
    つまり最低まで排出量を抑えたとしても0.3~1.7℃、最大まで排出されたら2.6~4.8℃まで平均気温が上昇すると予想されています。

    また、RPC8.5シナリオを用いた予想では21世紀末における猛暑日の年間日数は増加し、沖縄・奄美では年間で54日程度にまで増えるとされています。

    地球温暖化は数ある気候変動の1つであると同時に、気候変動を起こす要因にもなっていることから、この気温上昇も今後の気候変動の予想の1つとなります。

    自然災害の増加

    気候変動の予想として挙がるものの中には自然災害が含まれます。
    日本も夏から秋にかけて上陸し被害を及ぼす台風の巨大化や勢力の拡大も気候変動の影響であり、大きな変化と言えるでしょう。

    これは日本だけに限らず、地球全体で言えます。
    今後の予想として、地球全体で台風のもととなる熱帯低気圧の発生頻度は減少、あるいは現状維持である可能性が高いと言われています。

    それと同時に、地球全体で平均した熱帯低気圧の最大風速と降雨量は増加する可能性が高くなるという予想が立てられています。
    一例を挙げると日本の南海上からハワイ付近やメキシコの西海上にかけて最大風速が59メートル/秒以上の猛烈な台風が通過する可能性が高いと示唆されているなど、今後の危険性が報告されていました。

    また、2018年7月には日本を記録的な豪雨が襲い、甚大な被害をもたらしました。
    このような強い雨による災害も気候変動により今後増加することが予想されています。
    現状も日降水量について100ミリ以上の大雨となる日数が増加していることが確認されており、1時間降水量50ミリ以上の短時間強雨の発生回数も増えています。

    今後の予想としてRPC8.5シナリオを用いた予想では、21世紀末には短時間強雨の発生回数は増加するとされています。
    一方で用意されているRPCシナリオの4つすべてを用いて予想した場合、21世紀末の無降水日は全国的に増加するとされており、雨が降らない日が増加し、降る日は強い雨が大量に降ると考えられています。
    局所的に短時間で大量の強雨が降れば、洪水や土砂崩れといった二次災害が頻発する危険性も出てきます。

  • 「RPCシナリオ」とは代表濃度経路シナリオのことであり、気候の予測や影響評価などを行うための基準
  • 地球全体で台風のもととなる熱帯低気圧の発生頻度は減少、あるいは現状維持である可能性が高い
  • 地球全体で平均した熱帯低気圧の最大風速と降雨量は増加する可能性が高くなる
  • (出典:環境省「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018」,2018)

    気候変動が生命に危険が及ぶレベルの猛暑を招く


    猛暑日の増加は地球温暖化による災害とも呼べる現象ですが、この猛暑日が今後増加すると予想されると、地球温暖化はますます進行するということになります。

    地球温暖化は気候変動に大きな影響を与えることから、気温の上昇だけでなく、様々な災害などに襲われると予想することができます。
    このままだと人間だけでなく、地球に生息する多くの生物の命が危険にさらされることになります。
    また、環境に適応できない種は絶滅が進み、その種は私たち人間も含まれる可能性もあります。このまま何の対策も講じなければRPC8.5シナリオを用いて予想される世界になるかもしれないのです。
    そうならないためにも、私たちは地球温暖化や気候変動、それに伴って起こる猛暑に危機感を持ち、すぐにでも対策に乗り出す必要があります。

    政府や関係機関による取り組みは大規模なものとして必要ですが、私たちも地球温暖化や気候変動に影響を与える行動をしています。
    日常生活にその原因はあることから、地球温暖化に影響を与える行動について考え、私たちの生活を見直し、できることから取り組んでいくことが何よりも重要な対策となります。

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