猛暑

猛暑が原因による死者も増えている?気を付けるべきこととは

  • 2020年7月21日
  • 2022年7月15日
  • 猛暑

夏になると発生する猛暑日は、人を含む生命にとって非常に危険です。
様々な不具合を身体に与え、バランスを崩すほどの気温が襲い、対処が遅れれば命を奪われるほど危険な日もあります。
この記事では猛暑による死者は増加しているのか、その危険性や気をつけるべき点などを踏まえて紹介します。

猛暑の原因とは?気候変動について見直そう

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猛暑と熱中症の出現


今では夏になると、その危険性や予兆が警戒される猛暑日と熱中症ですが、この言葉は2000年以前の日本にはあまり馴染みのない言葉でした。
この言葉が気象庁による予報用語として使われるようになったのは、2007年の予報用語改正時によるものであり、天気予報などで利用されるようになりました。

新たに追加されるということは、それらが必要であるためです。
実際にこの頃から猛暑日の増加や、それに伴う熱中症が増加しており、夏が近づけば、気象庁や天気予報などで猛暑日や熱中症に警戒が呼びかけられるようになりました。

  • 猛暑日は、人を含む生命にとって非常に危険な暑さを伴う日
  • 猛暑日と熱中症は、2007年に予報用語として追加された
  • 猛暑日の増加に伴い熱中症は増加している
  • 死者も出てしまう猛暑日、その基準は?


    猛暑日は気象庁により最高気温が35℃以上の日を指す言葉として定義されています。
    現在は夏場に35℃を超える日が何日かありますが、その日数は増加傾向にあります。1994年を境としてその傾向は顕著であり、年間平均日数は1990年から2019年までの30年間で約2.3日となりました。

    これは1910年から1939年までの30年間の約0.8日と比べて約2.9倍まで増加しており、1910年から2019年までの100年あたりで1.8日も増加しています。
    また猛暑日を5日以上記録したのは1942年、6日以上を記録したのが1994年、7日以上を記録したのが2018年であり、年間日数の増加はもとより、近年過去最高を更新しています。

    さらに2018年7月には観測史上最高気温となる41.1℃を埼玉県熊谷市で観測し、最高気温の歴代ランキングにおいて10位以内(同率順位があるため13位まで)に同年の観測気温5つが入るという過去に例を見ない猛暑が到来しました。

    順位 都道府県 地点 観測値
    起日
    1 埼玉県 熊谷 41.1 2018年7月23日
    2 岐阜県 美濃 41.0 2018年8月8日
    岐阜県 金山 41.0 2018年8月6日
    高知県 江川崎 41.0 2013年8月12日
    5 岐阜県 多治見 40.9 2007年8月16日
    6 新潟県 中条 40.8 2018年8月23日
    東京都 青梅 40.8 2018年7月23日
    山形県 山形 40.8 1933年7月25日
    9 山梨県 甲府 40.7 2013年8月10日
    10 新潟県 寺泊 40.6 2019年8月15日
    和歌山県 かつらぎ 40.6 1994年8月8日
    静岡県 天竜 40.6 1994年8月4日

    ランキングの上位は軒並み40℃以上であり、体温を超える気温の中で生活を余儀なくされたことが伺えます。
    また6日以上の猛暑日を記録した1994年には2ヶ所で観測された40.6℃が同率10位にランクインするなど、気温が高かったことが分かります。

  • 気象庁により猛暑日は最高気温が35℃以上の日と定義されている
  • 年間平均日数は1990年から2019年までの30年間で約2.3日
  • 猛暑日の年間日数が増加し、近年過去最高を更新している
  • (出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」,2019)
    (出典:気象庁「歴代全国ランキング」,2019)

    猛暑日に死者が出てしまう?


    猛暑日と熱中症は同時期に予報用語に追加されました。
    これは気温の上昇によって人体に影響のある熱中症が増加したことによります。

    厚生労働省の統計による熱中症の死者数について見てみると、1994年以降は年間平均で492人の人が亡くなっています。
    1994年は観測史上2番目に多い6日以上の猛暑日を記録した年に当たりますが、この年は600人近くが熱中症により死亡しています。
    1993年以前は年平均で67人の死者数であることから、1994年以降に大きく変化したことが分かります。

    実際に1994年以降のどの年も、1993年以前の熱中症年間死者数のほとんどを上回る結果となっており、これまでの統計で最も死者数が多かった年が2010年です。
    この年は1994年や2018年に比べると猛暑日の日数は少なかったものの、5日に迫る日数が猛暑日として記録されています。
    加えて東京都だけではありますが、1994年と2010年、2018年の6~9月の最高気温と日最高平均、日最低平均を比較してみると以下のようになります。

    6月 最高気温 日最高平均 日最低平均
    1994年 31.7 26.0 19.1
    2010年 31.8 27.5 20.5
    2018年 32.9 26.6 19.1
    7月 最高気温 日最高平均 日最低平均
    1994年 35.6 31.8 25.3
    2010年 36.3 31.6 25.0
    2018年 39.0 32.7 25.0
    8月 最高気温 日最高平均 日最低平均
    1994年 39.1 32.9 25.9
    2010年 37.2 33.5 25.0
    2018年 37.3 32.5 24.6
    9月 最高気温 日最高平均 日最低平均
    1994年 32.9 28.1 22.0
    2010年 35.9 29.0 22.3
    2018年 33.0 26.6 19.9

    一見すれば1994年や2018年のほうが最高気温や日最高平均は数値の上では高いですが、2010年もそれほど大きく変わらないデータとなっています。

    注目すべきは9月であり、1994年と2018年はどの項目でも2010年を下回っています。
    また2010年は9月においても最高気温が猛暑日の基準を超えており、残暑においてもかなりの暑さが続いていたことが分かります。
    東京だけのデータではありますが、全国的に見ても真夏日が最も多かった年であり、30℃以上を記録する日が1990年から2019年までの30年間の中では最多の年であったとのデータもあります。

    猛暑日、そして真夏日の増加と長期化により、2010年は最も暑い夏として1,731人の熱中症死者数を出しました。
    1994年以降、真夏日や猛暑日に伴う熱中症による多くの死者数を出したことから、危険性を呼びかけ、対策を講じることを進めてきました。
    しかし2018年の記録的な猛暑により、再び1,581人もの死者数を出すこととなりました。
    死者数が1,000人を超えるのは2010年と2013年以降3度目であり、2番目に多い年として記録されています。

  • 気温の上昇により人体に影響のある熱中症が増加した
  • 1994年以降は、1993年以前の熱中症年間死者数のほとんどを上回っている
  • 2010年、2013年、2018年は死者数が1,000人を超えている
  • (出典:気象庁「観測開始からの毎月の値」,2019)
    (出典:厚生労働省「年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死者数の年次推移(平成7年~30年)」,2019)

    熱中症による死者を増やさないために猛暑日への対策をしよう


    真夏日や猛暑日は自然のものとして訪れるものであり、現状は食い止めることができません。
    炎天下の中で過ごせば熱中症になるリスクは高くなり、何もしなければ屋内においても多くの人が熱中症になる危険性があります。

    厚生労働省の報告によれば、年齢を増すごとに熱中症となるリスクは高くなり、65歳代以降でその傾向は顕著です。
    実際に2010年の熱中症死者1,731人のうち、1,372人が65歳以上の高齢者であることが分かっています。
    しかし若年層(15~34歳)や中年層(35~64歳)でも熱中症にかかる危険性はあり、死亡するリスクはあります。
    そのため猛暑日という災害から身を守るために気をつけるべきこと、対策の仕方について見ていきましょう。

    (出典:厚生労働省「年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死者数の年次推移(平成7年~30年)」,2019)

    暑さ指数(WBGT)の確認

    猛暑日や熱中症に気をつけるためには、身を守る上での基準を知っておかなければいけません。
    その上で1つの基準となるのが暑さ指数(WBGT)です。これは1954年にアメリカで提案された指標であり、熱中症を予防することを目的としています。

    単位こそ気温と同じ℃(摂氏度)を用いますが、気温とは異なり、人体と外気との熱収支(熱のやり取り)に着目した指標であり、人体の熱収支に与える影響の大きい、湿度、日射・輻射などの周辺の熱環境、気温の3つを取り入れています。
    この暑さ指数と熱中症患者発生率を比較したとき、28℃を超えると熱中症患者の数が著しく増加することが分かっています。

    暑さ指数における温度基準では25℃未満が注意、25~28℃が警戒、28~31℃が厳重警戒、31℃以上が危険とされています。
    特に暑さ指数の温度基準が28℃以上となれば、すべての生活活動で熱中症が起こる危険性があり、厳重警戒の場合には外出時は炎天下を避けて室内では室温の上昇に注意することが求められています。

    また危険の場合には高齢者は安静状態でも熱中症になる危険性があり、すべての人は外出をなるべく避け、涼しい室内に移動するよう呼びかけられています。
    他にも運動に関する指針などが定められており、スポーツ関係に従事している人やスポーツを行っている人、その管理を行っている人も含め、状況を注視しなければいけません。
    これらのデータは環境省の熱中症予防情報サイトに記載されており、メール配信サービスや電子情報提供サービスなども行われています。

    熱中症の予防方法

    暑さ指数の観点から気温や湿度が高い場所、そして風が弱い場所は危険であることが分かります。
    そのため室内であっても日差しが強い部屋や、閉め切った部屋、エアコンのない部屋は要注意です。

    身体においても、高齢者や乳児はもちろん、肥満の人も危険であり、糖尿病や精神疾患、低栄養状態の人は熱中症のリスクが高まります。
    また下痢やインフルエンザなどによる脱水症状を起こしている人、二日酔いや寝不足などの体調不良の人も注意しなければいけません。
    他にも激しい筋肉運動や慣れない運動、屋外での長時間での作業や水分補給できない状態は非常に危険です。

    これらを原因として体温調整ができず体温が上昇して熱中症となるため、防止方法としては、要因を避けるよう行動することが望ましいです。
    年齢の問題や肥満をすぐに解消することはできませんが、涼しい服装を心がけ、屋外の場合は日陰や日傘、帽子などを利用し、屋内であればエアコンや扇風機などを活用して涼しい部屋にする、無ければある部屋や建物に移動するようにしましょう。

    また水分補給はもちろん、塩分補給も忘れずに行う必要があります。無理をせず徐々に身体を暑さに慣らすことや、室内でのこまめな温度測定なども行うと良いでしょう。

  • 2010年の熱中症死者1,731人のうち、1,372人が65歳以上の高齢者
  • 暑さ指数における温度基準では25℃未満が注意、25~28℃が警戒、28~31℃が厳重警戒、31℃以上が危険とされている
  • 水分補給だけでなく塩分補給も忘れずに行う必要がある
  • (出典:環境省「熱中症予防情報サイト」,2019)

    猛暑日や真夏日に気をつけて熱中症予防を


    猛暑日や真夏日は地球温暖化を含む気候変動によるものであることが近年証明されました。
    この気候変動を緩和することができなければ、今後も真夏日や猛暑日は増え続け、私たちの生活に様々な被害をもたらします。
    その中の1つが熱中症であり、対処していかなければ熱中症による死者数は増加の一途を辿ることになるかもしれません。

    そのためすぐにでも地球温暖化や気候変動への対策に取り組む必要があります。
    熱中症の予防をしつつ、地球温暖化への対策も行わなければいけないのは大変なことではありますが、今やらなければ近い将来さらに厳しい夏が訪れる可能性もあります。
    今起こっている猛暑日と地球温暖化についてしっかりと理解し、どのような対策を行うべきか、何ができるのか考えて行動に移していきましょう。

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    この記事を書いた人
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