地球温暖化は現在の世界にとって様々な問題を引き起こしています。
その中の1つに猛暑が含まれていますが、これは非常に危険な温度まで上昇し、人々だけでなく動植物にも被害をもたらす現象です。
その原因は元をたどれば私たちの生活に直結しており、このまま行けば自分の行為で追い詰められることにもなりかねません。
この記事では猛暑の原因や気候変動との関連などを紹介します。
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猛暑日とは
近年、日本では夏になると猛烈な暑さに襲われる日が発生するようになりました。
これは天気予報などで真夏日や猛暑日という言葉で表現され、気象庁によって決められた気温を超えたときや警戒を呼びかけるときに使われます。
基準は最高気温が35℃以上の日を猛暑日、30℃以上35℃未満の日を真夏日、25℃以上30℃未満の日を夏日と言います。
この猛暑日という言葉は、2007年の予報用語の改正において、熱中症と共に予報用語として追加されました。
ではなぜ猛暑日を追加しなければいけなかったのか、それまでに猛暑日という言葉がなかったのはなぜか、それには猛暑日の日数などが関係しています。
猛暑日が追加された背景
猛暑日とは最高気温が35℃以上の日であり、人間の体温とほぼ変わらない気温あるいはそれ以上に高い気温になることもあります。
この猛暑日が2007年以降に予報用語に追加された背景には、その日数に関係があります。
1910年以降、気象庁で観測した全国の日最高気温の統計によると、猛暑日、つまり35℃以上を観測した日数が1994年頃から大きな変化を見せていることが明らかになっています。
1994年以前で35℃以上を記録した日数は少なく、1942年を除いてほとんどが3日以下となりました。
一方で1994年には猛暑日が6日以上を記録し、記録的な暑さとなりました。同様に、猛暑日を記録した日数が多かったのは2010年と2018年になります。
気象庁の統計では猛暑日が1910年から2021年までの100年あたりで1.9日増加していることが報告されており、年間日数は徐々に増加しています。
また猛暑日の平均年間日数について1992年から2021年までの最近30年間は約2.5日に対して、1910年から1939年の0.8日であり、約3.3倍も増加していることも明らかになっています。
- 気象庁により最高気温が35℃以上を猛暑日と定義されている
- 1994年以前は猛暑日に該当する日は3日以下に対して、1994年の6日以上を記録してから変化した
- 1994年、2010年、2018年が猛暑日を記録した日数が多い
(出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」,2019)
猛暑日が増えた原因は?
なぜ猛暑日が増えてしまったのか、その原因として考えられる現象が「地球温暖化」と「ヒートアイランド現象」です。
どちらも気温の上昇に関して度々取り上げられる現象であり、私たちのごく身近で行われていること、あるいは人間が構築した社会活動によって起こっている現象です。
地球温暖化
地球温暖化は温室効果ガスが原因であり、その主な気体である二酸化炭素の増加が大きな問題となっています。
地球では太陽からの太陽光エネルギーを受け、地上が温められます。この地上に吸収された熱は夜間に放出されるため、太陽が出ない夜間には熱が溜まらず気温が下がる傾向にあります。
しかし温室効果ガスは地上から放射する熱を吸収し、再放射することで大気が温まってしまいます。温室効果ガスの濃度が上がればこの効果がより強くなり、地上の温度が上昇して、地球温暖化が進んでしまったと見られています。
人間の生産やエネルギーを利用した経済活動は産業革命以降、飛躍的な進化を遂げましたが、同時に石油や石炭などの化石資源を燃やして経済成長を果たしたことから、大気中の二酸化炭素濃度は大きく上昇したと見られています。
また平均気温が上昇するということは、真夏日や猛暑日の日数や最高気温の上昇はもちろんのこと、冬における最低気温の全体的な上昇などが見られ、海水温の上昇から膨張が起こり、平均海面水位も上昇する恐れがあります。
ヒートアイランド現象
都市部で起こるヒートアイランド現象も気温の上昇に影響を及ぼしています。
草地や森林、水田、水面などの植生域では高い保水力により、水分の蒸発による熱(気化熱)の消費が多く、地表面から大気への熱の供給が少なくなるため、日中の気温が上がることを抑えることができます。
これに対して都市化が進む場所や舗装されている土地ではアスファルトやコンクリートなどが多く、日光による熱を蓄積して夜間にも保持し、大気へ放出するため、夜間の気温降下を妨げる効果があります。
このような原因で気温を上昇させる現象をヒートアイランド現象といいます。
地球温暖化などの気候変動やヒートアイランド現象が気温の上昇の原因となっているのは確かですが、特に地球温暖化が猛暑日と関連していることが証明されたのはごく最近のことです。
それまではおそらく影響しているだろうという予想はあったものの、自然である大気の偶発的な揺らぎが重なったという考えは否定できず、猛暑日の発生は偶発的なものである可能性が示唆されてきました。
しかし近年に日本を襲った記録的な猛暑に対して、気象研究所などが新たな手法を開発し、地球温暖化との関連を裏付ける評価を可能としました。
- 猛暑日の増加の原因として「地球温暖化」「ヒートアイランド現象」が考えられる
- 地球温暖化は、産業革命以降の二酸化炭素の増加が問題になっている
- ヒートアイランド現象とは、日中蓄積された熱が夜間に放出される効果が働かず、夜間にも熱が保持されてしまう現象
世界における猛暑の問題
猛暑が問題になっているのは日本だけではありません。世界各地で気温が上昇し、夏には猛暑となる地域は数々ありますが、その中でもヨーロッパやアメリカなどは深刻な問題になっています。
日本における猛暑日の増加は1994年頃から起こっていました。
比較的同緯度にあるヨーロッパの国々でもその傾向は見られていましたが、特に大きな被害が起こった年が2003年のヨーロッパを襲った熱波による猛暑です。これにより、ヨーロッパの広い範囲では気温が平年よりも高い傾向が続きました。
熱波とは「広い範囲に4~5日またはそれ以上に渡って、相当に顕著な高温をもたらす現象」と定義されています。
ヨーロッパ各地は日本と緯度が近いですが、この地域独特の気候により、日本と比べて涼しかったこともあって当時は冷房設備があまり普及していませんでした。
その中で突然の熱波に襲われ、熱中症にかかる人が続出し、多くの死者を出すことになりました。
この熱波は人体だけでなく、農作物にも影響を及ぼし、高温や乾燥により多くの作物が深刻な被害を受けました。加えて森林火災が拡大する原因にもなり、2003年はフランスをはじめとしたヨーロッパ各地で記録にも記憶にも残る夏となりました。
その後も熱波や猛暑の被害は続いています。2010年にはヨーロッパを含め、北半球中緯度の7月の平均気温が多くの地域で平年と比べて高くなるという現象に襲われました。
これによりヨーロッパからロシア西部、東シベリア、アメリカ東部で異常高温となりました。加えて日本でも猛暑日と真夏日の増加が観測された年でもあります。
2010年は日本でも熱中症による死者が過去最高となり、非常に過酷な真夏日や猛暑日が続いた夏でもありました。
また2018年には日本で最も猛暑日が多い7日以上を記録し、熱中症による死者数が2番目に多い年であると記録されています。
この影響はヨーロッパに留まらず北極圏にも及び、森林火災と大規模な氷の融解が起きました。
ヨーロッパ各地では、2022年7月12日、13日にスペイン南部のコルドバで最高気温43.6℃、2022年7月17日にフランス南部のトゥールーズで最高気温39.4℃を観測するなど、観測史上最高気温やそれに追随する気温を記録し、人的あるいは物的被害をもたらす災害とも言える暑さが続いています。
- 2003年に熱波による猛暑がヨーロッパを襲った
- 2003年時点のヨーロッパは冷房設備が普及しておらず、多くの死者が出た
- 2010年にはヨーロッパを含めた北半球中緯度の多くの地域が平年よりも高い気温だった
(出典:厚生労働省「年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死者数の年次推移(平成7年~30年)」,2019)
猛暑日の予測から見えてくる気候変動
猛暑日は地球温暖化が原因で起こっていることが科学的に評価されたことで、今後どのように気候変動が変化していくのか、そしてどうなっていくのか、などの予想がされています。
まず今後の気温についての予測では2081年から2100年までの21世紀末における世界の年平均気温は、1986年から2005年までの20世紀末と比較するとRCP2.6シナリオで0.3℃から1.7℃、RPC8.5シナリオで2.6℃から4.8℃上昇するとされています。
このRPC2.6は低位安定シナリオで、将来の気温上昇を2℃以下に抑えることを目標として開発された二酸化炭素の排出量が最も低いシナリオです。
それに対してRPC8.5は高位参照シナリオであり2100年における温室効果ガス排出量の最大排出量に相当するシナリオです。
つまり最低まで排出量を抑えたとしても0.3~1.7℃、最大まで排出されたら2.6~4.8℃まで平均気温が上昇すると予想されています。
またRPC8.5シナリオを用いた予想では21世紀末における猛暑日の年間日数は増加し、沖縄・奄美では年間で54日程度にまで増えるとされています。
地球温暖化は数ある気候変動の1つであると同時に、気候変動を起こす要因にもなっていることから、この気温上昇も今後の気候変動の予想の1つとなります。
自然災害の増加
気候変動の予想として挙がるものの中には自然災害が含まれます。
日本も夏から秋にかけて上陸し被害を及ぼす台風の巨大化や勢力の拡大も気候変動の影響であり、大きな変化と言えるでしょう。
これは日本だけに限らず、地球全体でも言えます。今後の予想として、地球全体で台風のもととなる熱帯低気圧の発生頻度は減少、あるいは現状維持である可能性が高いと言われています。
それと同時に地球全体で平均した熱帯低気圧の最大風速と降雨量は増加する可能性が高くなるという予想が立てられています。
また強い雨による災害も気候変動により今後増加することが予想されています。RPC8.5シナリオを用いた予想では21世紀末には短時間強雨の発生回数は増加するとされています。
一方で用意されているRPCシナリオの4つすべてを用いて予想した場合、21世紀末の無降水日は全国的に増加するとされており、雨が降らない日が増加し、降る日は強い雨が大量に降ると考えられています。
局所的に短時間で大量の強雨が降れば、洪水や土砂崩れといった二次災害が頻発する危険性も出てきます。
- 猛暑日の増加は地球温暖化が原因で起こっていることが科学的に評価された
- RPC2.6は低位安定シナリオで、将来の気温上昇を2℃以下に抑えることを目標として開発された二酸化炭素の排出量が最も低いシナリオ
- 台風の巨大化や勢力の拡大も気候変動の影響であり、今後短時間強雨の増加が予想されるため洪水や土砂崩れなどの危険性がある
(出典:環境省「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018」,2018)
猛暑日と熱中症との関連
猛暑日と熱中症は同時期に予報用語に追加されました。
これは気温の上昇によって人体に影響を及ぼす熱中症が増加したことによります。
厚生労働省の統計による熱中症の死者数について見てみると、1994年以降は年平均が急激に増加しています。
その中でも最も死者数が多かったのが2010年です。この年は1994年や2018年に比べると猛暑日の日数は少なかったものの、5日に迫る日数が猛暑日として記録されています。
猛暑日、そして真夏日の増加と長期化により、2010年は最も暑い夏として1,731人の熱中症死者数を出しました。
1994年以降、真夏日や猛暑日に伴う熱中症による多くの死者数を出したことから、危険性を呼びかけ、対策を講じることを進めてきました。
しかし2018年の記録的な猛暑により、再び1,581人もの死者数を出すこととなり、死者数が1,000人を超えるのは2010年と2013年以降3度目で、2番目に多い年として記録されています。
- 熱中症の死者数は、1994年以降に年平均が急増している
- 2010年、2013年、2018年の3度熱中症の死者数が1,000人を超えていた
(出典:気象庁「観測開始からの毎月の値」,2019)
(出典:厚生労働省「年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死者数の年次推移(平成7年~30年)」,2019)
猛暑日を減らすための対策
猛暑日が増加すれば、熱中症になる人が増加し、救急搬送される件数が増えることになります。
熱中症は危険な病気であり、死に至ることもあるため、猛暑日の増加は人間にとって由々しき事態です。
加えて陸海空すべての生態系に影響を与えるため、これまで行ってきた農業、畜産、漁業が行えなくなる可能性もあります。
このような災害とも言える猛暑日を緩和するためには、長期的、そして短期的な対策が必要となります。
その1つが二酸化炭素の排出抑制です。地球温暖化の主な原因となるのは温室効果ガスであり、その代表的なものが二酸化炭素です。
これは夏だけでなく年間通して行わなければいけないことですが、冷暖房機の温度を控えめに設定することや、燃料や電力の消費を抑えること、シャワーの時間を減らすことで二酸化炭素を抑えられます。
ここで注意することは、冷房を使わないというのは猛暑日においては大変危険です。使わないのではなくカーテンによる温度調節や服装の軽装化、扇風機や送風機との併用で電力消費を抑えつつ、室外機による熱の放出を防ぐことが大切です。
他にもポットや炊飯器、炊飯ジャーの保温を控えること、電化製品の主電源をこまめに切ること、長時間使わない際はコンセントを抜くこと、通勤通学や買物では自家用車ではなくバスや鉄道、自転車を使うことなどがすぐに行える取組です。
自動車を使う際にもアイドリングストップを行い、エコドライブを心がけるのも良いでしょう。このように私たちにできる対策はいくつもあります。
都市部での対策としてはオフィスを含む屋内での冷暖房の過剰な温度設定を抑えるためのクールビズやウォームビズの導入が挙げられます。
またグリーンカーテンを導入するという手もあります。グリーンカーテンは太陽光を遮り、わずかでも室内温度を下げる効果や、二酸化炭素を吸収する効果が期待できます。
加えて保水力による気化熱の効果により、周辺気温の低下も望めます。ビル群に多くの植物を植えることはできず、建築法なども関係してくるため限界はありますが、これらの導入により、わずかでもヒートアイランド現象を和らげる効果が見込めます。
- 陸海空すべての生態系に影響を与えるため、農業、畜産、漁業が行えなくなる可能性がある
- 猛暑日を緩和する対策として二酸化炭素の排出を抑えることがあげられる
- 二酸化炭素抑制の注意点は、冷暖房などまったく使わないことは生命の危険に繋がるため、過剰な温度設定や使いすぎないこと
猛暑から人類を含む多くの生物や生態系を守るための行動を
猛暑の脅威は、すでに危険な領域にまで達しています。
熱中症となる可能性が高まり、救急搬送となることもあります。最悪、命を落とす場合があるため、真夏日や猛暑日には注意しなければいけません。
現状はこの異常高温となる夏に適応していかなければいけませんが、今後このような高温が続けば、私たちの身体には耐えられない領域になる危険性もあります。
それは人類だけでなく、他の動植物においても同じです。生態系を維持できず、絶滅する生物も出てきます。
そうならないためにも短期的に熱中症への対策を行いつつ、長期的に地球温暖化を緩和する取組を進めていく必要があります。
地球温暖化を含む気候変動は猛暑だけでなく、様々な問題にも関係していることから、対策を講じ、すぐにでも行動を起こしていくことが今の私たちには求められています。
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