私たちが暮らす日本には、今も多くの自然が残っています。その中には山や森林も含まれ、条件が整うと、火災が起こる危険性があります。
日本では火災が大きくなる前に消し止められることが多く、大規模になることはありません。
しかし世界では大規模な森林火災も起こっており、様々な影響が起こっています。
オーストラリアで起こった大規模な森林火災と、日本への影響などについて紹介します。
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森林火災とは
森林火災とは山や森林などで火が起こり、広範囲にわたって発生する火災のことです。山火事や山林火災、林野火災とも呼ばれるこの災害は、世界各地で発生しています。
日本でも大小さまざまな森林火災が発生しています。大規模な火災が発生していないことから、大きく報道されませんが、発生件数は多いのです。
林野庁の「近年の林野火災の発生状況」よれば、2014年から2018年の5年間では年平均1,255件、焼失面積は平均706haにもなっています。
森林火災は珍しい災害ではないですし、過去には大規模なものも起こっていますが、ほとんどの火事は大規模になる前に消化が間に合っているため深刻な状況になっていません。
ただ条件が揃ってしまうと一気に燃え広がり、人の手で消火しきれないと大規模化することもあります。
森林火災は自然発火と人為的要因のどちらかの要因によって起こります。
自然発火とは、現在の気候が大きく関係していますが、乾燥が要因となります。冬場など乾燥しやすい時期には、落ち葉などの水分が奪われ、乾燥した枯れ葉ができます。
その枯れ葉同士が摩擦を起こすと発火し、周辺にある枯れ葉や枯れ草から燃え広がってやがて木々に燃え移り、森林火災が広がる現象が起こります。
人為的要因による森林火災は焚き火や火入れ、放火、たばこによって発生します。
農林水産省の調査によると焚き火からの出火は約30%と一番多く、次が火入れの17%となっています。人の不注意が森林を焼く原因を作り出していることになります。
日本での森林火災件数は4月が最も多く、2月から5月の間に年間の発生件数が集中しているため、この時期が最も危険と言われています。
(出典:農林水産省林野庁「日本では山火事はどの位発生しているの?」)
(出典:農林水産省林野庁「山火事の直接的な原因にはどのようなものがあるの?」,2018)
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オーストラリアで起こる大規模な森林火災
日本ではそれほど大きな災害になることがない森林火災ですが、海外ではかなり大規模なものが起こっています。
2019年9月頃から2020年2月まで、断続的にオーストラリアの各地で大規模な森林火災が発生しました。
長期に渡って、壊滅的なダメージを与えた森林火災と言えるでしょう。
オーストラリアのニューサウスウェールズ州で発生した大規模な森林火災では、28人を超える死者、住宅や土地の焼失、生態系や環境の破壊など甚大な被害が出ています。
オーストラリアで森林火災が起こったのは、日本での春から夏にかけてのシーズンです。
もちろん日本と気候帯が違うため、全く同じ条件とは言えませんが、日本でも4月から5月の春から初夏に向けて森林火災が起きやすいことには先ほど触れました。
オーストラリアでも2020年の第1週目には、ニューサウスウェールズ州を含め国内南部及び東部の多くの地域で40℃を超える気温や長期の雨不足が観測されています。そこへ強風が重なって火災の危険度は最高レベルにまで跳ね上がりました。
このような気象条件の中で起こった森林火災であり、大規模化及び長期化する条件は整ってしまったと言えます。
その後もオーストラリアでは大規模な森林火災が相次ぎましたが、2月に入り大雨が降り続いたことで森林火災は収束へと向かいました。
オーストラリアの森林火災が及ぼす日本への影響
オーストラリアの森林火災が直ちに日本に悪影響を及ぼすかという疑問に対しては直近の影響は考えにくいものの、今後影響がある可能性があります。
オーストラリアと日本との距離や気流などから、煙が日本にまで届くといったことはありません。
しかし森林火災は地球温暖化や気候変動と大きなかかわりを持っています。
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地球温暖化が加速し、気候変動への影響も
例えば先ほどのニューサウスウェールズ州の大規模な森林火災では、約400メガトンの二酸化炭素が大気中に放出されたと報告されています。
二酸化炭素は温室効果ガスの主となる気体であり、大規模な森林火災による大量の放出によって大気中の二酸化炭素は一気に膨れ上がります。
そうなれば地球温暖化を急速に進めてしまう要因にもなりかねません。
地球温暖化により気温の上昇が起こる可能性は高く、暖冬や猛暑日の増加にも影響を与える可能性があります。
地球温暖化の影響はそれだけではありません。気候変動へも影響を与えるため、日本で起こる豪雨や台風の大規模化にも影響する恐れがあります。
近年、日本では毎年豪雨や大型台風に襲われ、各地で被害を受けました。これは気候変動によるところが大きいのですが、さらに頻発化する可能性もあります。
その一方で、降水日の減少も起こっており、水不足への影響も考えられます。
降水日の減少や気温の上昇、それに伴う乾燥化により、日本でも起きている森林火災の発生件数がさらに増加することもありえます。
海洋への影響
二酸化炭素の増加は、陸地ばかりに影響を与えるだけではありません。海洋にも影響を与えます。
海洋は二酸化炭素や熱エネルギーを吸収する役割を持っていますが、二酸化炭素の増加や気温の上昇が起これば、それだけ海洋にも負担をかけます。
そうなると海水温の上昇や酸性化により、日本周辺の環境が変化し、魚や海洋生物が減少、あるいは日本近海から姿を消す危険性もあります。
また観光資源としても利用されるサンゴは白化の恐れもあり、森林火災による影響として関連してくる可能性があります。
生態系に関しては海だけでなく、陸や空など様々な場所で生息する生き物や、野菜や果物などの作物にも大きな影響が予想されます。
(出典:国立環境研究所「世界気象機関、オーストラリアの壊滅的な森林火災について報告」,2020)
(出典:国立環境研究所「世界気象機関、北極圏で記録的森林火災が発生していると報告」,2019)
(出典:国立環境研究所「世界気象機関、世界各地で発生している森林火災の気候影響を報告」,2019)
(出典:環境省 「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018」)
日本人もオーストラリアの森林火災に目を向けよう
大規模な森林火災が起こっているのはオーストラリアだけではありません。アメリカのカリフォルニア州やアマゾンの熱帯雨林など各地で起こっています。
大規模な森林火災による地球温暖化の加速化や生態系への影響は、日本だけでなく世界中で起こる可能性があります。
地球温暖化や気候変動は森林火災が起きやすい環境や条件を作りやすく、それによって新たな森林火災が起これば、さらに地球温暖化などを進行させてしまうため、負の連鎖となってしまいます。
しかし、この森林火災も発生件数の多くは人為的な要因によるものです。
森林火災の原因を作る私たちが、森林火災が起こらないように気をつけることこそ連鎖を止めることにもつながります。
人為的要因のほとんどは人の不注意であり、火の不始末が原因です。山や森林での作業やレジャーなどを行う際には、火の扱いに十分に気をつけることが、森林火災の発生を抑えることに貢献できると言えるでしょう。