日本に住んでいれば病気になったとき病院へ行き、治療を受け、場合によっては予防などを行うことができます。
本来は高額な医療費がかかりますが、保険や控除により支払い可能な金額で予防や受診が可能であり、健康維持に必要なサービスを利用することができているのです。
しかし、世界ではこのような医療やサービスを受けられないどころか、最低限の医療行為さえも受けられない人がたくさんいます。
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)は、そのような人々を含め世界中の全ての人に、健康を維持していくための保健医療サービスの享受を目指しています。
この記事ではユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)について解説します。
持続可能な開発目標・SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」のターゲットや現状は?
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ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは
世界ではユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)が重要視されています。
これは「全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」ことを意味しています。
UHCを達成することが、持続可能な開発目標(SDGs)の目標3を達成することにもつながり、そのためターゲットの1つとして位置づけられるほど重要視されているのです。
全ての人が基礎的な保健医療サービスを適切な費用で受けられることで貧困に陥るリスクを未然に防ぐことが必要です。
そして、それを実現するためにサービスを提供する保健人材の育成や、病院・人材育成学校といった施設や機材の整備、水や衛生環境の改善などが世界で求められています。
(出典:独立行政法人 国際協力機構「ゴール3の達成に向けたJICAの取組方針」)
(出典:厚生労働省「2018年世界保健デーのテーマは「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」です。」)
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)はなぜ必要?
ではなぜ世界ではUHCが必要であり、重要視されているのでしょうか。
そこには貧困国や紛争地域、差別など様々な要因が挙がっています。
2015年時点で、妊産婦の約30万人、5歳未満児の約600万人が死亡しているとされ、世界の子どもの4人に1人が栄養不良による低成長とされています。
また世界三大感染症と呼ばれるエイズ、結核、マラリア、またはその他感染症での死亡者は減少しているものの、未だに950万人が年間で死亡し、3,800万人が非感染性疾患で亡くなっています。
他にも高齢化に伴う認知症は4,680万人、精神疾患は世界的に見て10人に1人が鬱や不安神経症になっているとの報告もあります。
このような状況により保健医療サービスへの支出は年々増加しており、公的支出だけでなく直接的な家計にも影響してきます。
日本では保健制度が確立されていることから、公的支出に賄われている部分が大きいですが、途上国では医療支出の多くが個人負担となっており、医療費の支払いにより1億人が貧困に陥っているとされています。
また、過剰な医療費負担によりサービスを受けられず健康格差を起こす原因になるほか、貧困国や地域で医療格差が起こり医療へのアクセスの不平等が起こる原因となっているのです。
このような保健医療サービスにより貧困に陥る、適切なサービスを受けられないという現状を是正するために、UHCの実現が重要視され、包括的な保健システムの強化の必要性が訴えられています。
(出典:独立行政法人 国際協力機構「ゴール3の達成に向けたJICAの取組方針」,2016)
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に向けて必要なこと
UHCの実現に向けて必要なことは主に3つに分かれます。
それが「物理的アクセス」、「社会習慣的アクセス」、「経済的アクセス」によるものです。
これらを改善することで、提供されるサービスの質は高まり、UHCを実現することができます。
それぞれの項目について少し詳しく見ていきましょう。
物理的アクセス
UHCの実現において物理的アクセスの改善は不可欠です。物理的アクセスによる問題は以下のような状況を指します。
保健医療サービスを受ける上で、まずそのサービスが提供される場所や機材、人材がいないのでは改善はできません。
医療施設や医薬品、医療器材、医療スタッフのどれか1つでもそろっていなければ質の高いサービスは提供できませんし、これが不足している地域が実際にあることから健康格差が生まれてしまっています。
経済的な問題だけでなく、これらを整備することが重要です。
国や地域ごとに差があってはアクセスの不平等が起こるため、改善が求められています。
社会習慣的アクセス
社会習慣的アクセスでは、主に医療を受ける人に対する課題が挙げられています。
保健医療サービスは老人や障害者介護もその一環であるものの、即時に命に関わる疾患でないと医療サービスを受ける重要性や必要性を感じない国・地域も存在します。
仮に家族の誰かが重要性や必要性を知っていたとしても、経済的理由など様々な要因で家族からサービスを受ける許可を得られないと言った状況も見受けられます。
またサービス提供者に言語が通じないなど、コミュニケーションが取れないために受診を諦めるケースもあると言われています。
経済的アクセス
経済的アクセスについては以下のような課題があります。
先述したように、途上国では医療費を自己負担しなければいけないところもあります。医療費は高額なために、保健医療サービスへのアクセスが遠のいてしまう原因にもなります。
また物理的アクセスの「近所に医療施設がない」に関連しますが、遠くの医療施設に行かなければ行けないとなると、一回受診するだけでも高い交通費を負担しなけません。
病気にかかると仕事へ行けないことで収入減に陥ってしまうことも課題として挙げられており、経済的アクセスがどれも改善されなければ、貧困への負のスパイラルに陥るのです。
これら保健医療サービスを受ける上でどうしても発生する経済的損失を改善することがHUCを実現する上での目標となっています。
(出典:独立行政法人 国際協力機構「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」)
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現が必要な地域とその現状
UHCの実現が必要な地域は途上国に多く見られます。途上国、特にアフリカや南アジアの貧困国では設備や人材などの整備が行き届いておらず、医療費も自己負担であり、満足に保健医療サービスを受けられない現状にあります。
これにより同じくこのような地域で深刻な問題となっている感染症への対策ができない状況に陥っています。
また母子保健についても多くの途上国で課題となっており、これらの向上も必須となっています。
(出典:独立行政法人 国際協力機構「ゴール3の達成に向けたJICAの取組方針」)
母子保健
世界では妊産婦の約30万人、5歳未満児の約600万人が毎年死亡しているとされ、子どもの4人に1人が栄養不良による低成長とされています。
1990年の時には5歳児未満の死亡数が1260万人であったことに比べれば死亡率は下がっていますが、それでも未だ多くの子どもが命を落としています。
子どもや妊産婦の死亡者数は保健医療サービスの充実、そしてUHCの実現によってさらなる改善が期待されています。
(出典:独立行政法人 国際協力機構「ゴール3の達成に向けたJICAの取組方針」)
(出典:独立行政法人 国際協力機構「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」)
感染症
エイズ、結核、マラリアの三大感染症を含む多くの感染症が世界で猛威を奮っています。
感染症は保健医療サービスが不足している、あるいはアクセスができないなど健康格差が問題視されている国や地域で広がっており、多くの人の命を奪っています。
これらの感染症から人々を救うためにも、UHC実現は急務であり、途上国での保健医療サービスの充実や平等なアクセスが不可欠なのです。
途上国での改善はその周りや世界への感染拡大も抑制、そして三大感染症の根絶にも近づけることが可能です。
(出典:独立行政法人 国際協力機構「ゴール3の達成に向けたJICAの取組方針」)
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)について理解しよう
近年UHCについての認知度が国際的な高まりを見せています。またこの実現のために多くの国や機関が動いています。
世界規模での活動が必要であり、先進国が途上国を援助するなど取り組みは様々ですが、私たち個々人もこのUHCについて理解しておく必要があります。
自分には関係ない、と思うのではなく身近にある課題として認識し、UHCについて理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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