世界の三大感染症として恐れられ、多くの人々の命を奪っているのがエイズ、結核、マラリアです。
これらの感染症には多くの国や国連機関、NGO・NPOが協力して予防や治療などの対策をしています。この対策がSDGsの目標3の達成にも不可欠となってくるため、グローバルファンドの設立も行われています。
これほどまでに対策を講じられる三大感染症とはどのようなものなのか見ていきます。
持続可能な開発目標・SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」のターゲットや現状は?
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世界三大感染症とは
感染症とは、病気を引き起こす目に見えない生物「病原菌」が体内に侵入することで様々な症状が発生する病気のことです。
病原菌は大きさや構造によって分類され、細菌やウイルス、寄生虫、真菌などが該当します。
ただし病原菌が体内に侵入したからといって発症するとは限りらず、病原体の感染力と抵抗力のバランスによって決まり発症することで感染症となります。
感染症の感染経路は主に垂直感染と水平感染の2種類があります。垂直感染は妊娠中や出産のときに病原体が赤ちゃんに感染することを言い、垂直感染は風疹やトキソプラズマはを起こす可能性があるとされています。
水平感染は人や動物、物などから以下の4種類の方法で感染します。
また、世界中に多種多様な病原菌や感染症が存在し、上記のような方法で感染し発症して猛威を振るい、最悪の場合は命を奪います。
そんな中でも特に深刻で大問題となっているのが、エイズ、結核、マラリアの三大感染症です。
三大感染症は途上国を中心として毎年およそ300万人以上の命を奪っており、その感染力の高さから次々に広がっていくため対策に多大な負担がかかります。
これにより国家単位での解決は困難であり、世界各国での協力が不可欠である地球規模の問題であることから、三大感染症と呼ばれています。
(出典:厚生労働省委託事業AMR臨床リファレンスイセンター「感染症の基本|感染症とは」,2017)
(出典:外務省「報道発表 世界エイズ・結核・マラリア対策基金に対する拠出」,2016)
(出典:外務省「保健・医療 三大感染症について」)
HIV/エイズ、結核、マラリアはどんな病気?
世界で猛威を奮い、人々の命を奪っているのが三大感染症です。
症状や危険性についてはそれぞれの感染症で違いがあるため、3つの病気についてそれぞれ見ていきましょう。
HIV/エイズ
まずはHIV/エイズ(AIDS)を説明する上で知っておいた方が良い点はHIVとエイズの違いです。
エイズは「後天性免疫不全症候群(Acquired ImmunoDeficiency Syndrome)」の略称であり、HIV(ヒト免疫不全ウイルス:Human Immunodeficiency Virus)が体内にあるリンパ球(CD4)に感染することで起こる病気です。
つまりエイズは病名であり、HIVはエイズを発症させる可能性があるウイルスということになります。
エイズの症状は体内の免疫力が破壊されることで免疫機能が低下することですが、これが人体にとって大きな脅威となるのです。
免疫機能は体の健康を維持するためになくてはならないものですが、免疫機能が低下すると感染力や症状が弱い病原菌やウイルスが体内で猛威を奮いだします。これによって様々な症状を引き起こして合併症で人命を奪っていきます。
HIV状況は感染してもすべての人が発症するわけではない
ただしHIVがリンパ球に感染したとしてもほとんどの人はエイズを発症しません。症状が出ない「無症候性キャリア」が長く続き、一生症状が出ないこともあります。
つまりHIV感染がエイズ発症に確実につながるわけではないのです。
HIV感染後、免疫機能の低下が見られ、健康な状態では感染症を起こさないような病原体が原因で発症する日和見(ひよりみ)感染が起こることを「エイズの発症」と言います。
日和見感染症に指定された病気は23種類あり、そのいずれかがわかればエイズ発症と認定されます。
HIVの感染力は凄まじく、2016年の時点で世界での感染者数は3,670万人であり年間180万人の新規感染者を生んでいます。
また、この感染からエイズを発症し、亡くなる人が100万人と言われており、深刻な問題となっています。
HIVの感染力の高さは感染方法に起因しているとされており、輸血などの血液製剤の使用、注射器の共用、性交渉、授乳により感染することがあります。
接触感染や空気感染はしないものの、性交渉や授乳による感染で広がってしまい、今も世界中で特に途上国での感染、死者数が増えている状況です。
(出典: 世界保健機関(WHO)「HIV/AIDS」,2019)
(出典:厚生労働省NIID国立感染症研究所「AID(後天性免疫不全症候群)とは」,2018)
結核
結核は空気感染によって細菌が体内に侵入し発症する病気です。
結核菌が肺に侵入し、内部で増殖することで咳や痰、発熱、呼吸困難など風邪のような症状を起こすことが多いため、初期は風邪と間違えやすいと言われます。
しかし肺以外にも腎臓やリンパ節、骨、脳など様々な臓器が冒されることで影響を及ぼす可能性があります。
結核の死亡率は2018年時点で50%程度(無治療の場合)と非常に高く、医療が発達した現在でも骨を冒され髄膜炎を発症してしまった場合には、30%の死亡率とされています。
治療が成功し治ったとしても後遺症を残すことがあること、小児の場合は症状が現れにくく全身に及んで重篤な結核につながる可能性があるなど、危険な病気です。
日本では2018年におよそ1万5,000人の結核患者が登録されており、世界で見ても2016年時点で結核患者が1,040万人、死亡数は130万人と多くの人々を苦しめ命を奪っています。
(出典:厚生労働省「健康・医療 結核(BCGワクチン)」)
(出典:厚生労働省NIID国立感染症研究所「WHO Global Tuberculosis Report 2017」,2017)
マラリア
マラリアは流行している地域が限定的です。熱帯や亜熱帯地域に分布していますが、これは原因となるマラリア原虫をもつ蚊(ハマダラカ)がこの地域に生息しているためであり、この蚊に刺されることで感染します。
感染すると1週間から4週間の潜伏期間があり、その後発熱や寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などの症状を発症します。
一口にマラリアといっても種類があり、熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリア、サルマラリアの5種類に分類されます。
この中でも特に熱帯熱マラリアは非常に危険とされ、発症後24時間以内に治療しなければ重症化し死に至ることもあります。他にも脳症や腎症、肺水腫などの合併症を起こすこともあります。
マラリアは地域限定での感染でありながら感染力の高さから、2018年には年間約2億2,000万人が感染し推計で43万5,000人が死亡しています。
また、熱帯、亜熱帯地域への渡航などにより日本でも60人前後の輸入感染症が報告されています。
(出典:厚生労働省検疫所FORTH「マラリアに注意しましょう!」)
世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)とは
世界の脅威となっている三大感染症は生命への危機はもちろんのこと、経済的損失や社会崩壊、政治的不安などを引き起こしかねません。
それほど危険な感染症なだけに先述したように一国だけでは対策できず、世界規模で各国が協力して解決に向けて動いていかなければならない問題となっています。
感染症による問題は30年以上前から世界中で対策が講じられており、その相対に公衆衛生の専門家によって予防や治療に対しての極めて有効な対策が打ち出され、多くの成果を生み出しています。
しかしこれらの対策を世界中で実施するためには莫大な資金が必要となります。
そこで2002年に資金を獲得し、世界規模での取り組み強化を行うために設立されたのが「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)」です。
グローバルファンドでは三大感染症の予防や治療などの対策のために世界各国の拠出や民間財団の寄付などによる資金調達を行い、それを分配して低・中所得国に対策のための資金提供を行うことなどを目的としています。
(出典:外務省「「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」について【第2章】グローバルな基金の必要性」)
(出典:グローバルファンド日本委員会「グローバルファンドの概要」)
グローバルファンドの実績
グローバルファンドでは既に大きな実績をあげています。
2002年の設立以降、この基金が支援する国々で三大感染症による死亡者数は40%減少したと言われています。
そのうち、エイズは56%、結核は22%、マラリアは46%の減少を見せていると報告されました。
2018年の1年間で1,890万人が抗レトロウイルス剤によるHIV治療を受け、そのうち71万9000人が母子感染を回避できたとされています。
また、結核治療は530万人が受け、マラリアの感染防止のため蚊帳が1億3100万張配布されました。
(出典:グローバルファンド日本委員会「グローバルファンド 2019年の成果報告書をリリース」,2019)
SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」達成のための課題
三大感染症は多くの国や人の努力により、感染率は減少しています。
しかしその一方でHIVの年間感染者数は未だに多く、170万人の人が新規で感染しているといわれています。
また、結核は新規感染者が1,000万人と言われておりそのうちの36%が診察や治療を受けられていません。
マラリアに関しても、感染リスクが高い熱帯・亜熱帯地域の国々では感染ケースが増加しています。その要因の一つとして蚊帳に最も多く使われる殺虫剤への耐性が確認されています。
これはSDGsの目標3である「すべての人に健康と福祉を」の達成にとっても大きな課題となっており、2030年まで流行の終息を目指すためには感染症への対策強化を行う必要があります。
対策のために必要な資金の更なる調達、データシステムや保健システムの強化、保健医療従業者のトレーニングから生涯にわたり包括的なケアを受けるための統合された医療システムの提供・構築に対しての投資など、目標達成のために必要な対策はまだまだある状況です。
(出典:グローバルファンド日本委員会「グローバルファンド 2019年の成果報告書をリリース」,2019)
三大感染症に関する問題意識を持ち、できることを考えてみよう
三大感染症は私たちの身近に潜み、いつ感染するとも分からない大病です。当然自らの身は自分で守れるよう、予防や早期診察などに取り組まなければいけません。自分の身を守ると同時に周りへの感染も防ぐことになります。
世界全体での対策に関して、危機意識・問題意識を持つことが対策の第一歩につながります。
その意識を持った上で、私たちに何ができるのか、知識をつけてできることを考えていくことがその次のステップとなります。
三大感染症の流行終息を目指すためにも、私たちができることを考え、行動に移してみましょう。
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