様々な国と地域で多くの子どもたちが命を落としています。
SDGsが掲げている「すべての人に健康と福祉を」も、子どもたちの命を救うための重要な目標です。
ここでは子どもの死亡率やそれを下げるためにどのような取り組みが行われているのかなどを紹介します。
持続可能な開発目標・SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」のターゲットや現状は?
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年間540万人の5歳未満児が死亡
2018年に発表された報告書によると、5歳の誕生日を迎えることなく亡くなる子どもは年間540万人にものぼっています。
これは5.8秒の間に一人、1日に約1万5,000人もの5歳未満児が命を落としている計算です。
また、5歳未満の死亡者の中でも特に新生児の割合が高く、生後28日(4週)以内に命を落とす新生児は年間で250万人にもおよび、1日に7,000人もの新生児が亡くなっていることを意味しています。
そして、2017年の世界の5歳未満児死亡の半数がサハラ以南のアフリカ地域、30%が南アジア地域となっており、一部の地域に集中していることがわかります。
(出典:国連・死亡率推計に関する機関間グループ(IGME)「2018年度版 子どもの死亡における地域(開発レベル)別の傾向」
小さな子どもが命を落としてしまう原因は?
これらの地域で小さな子どもが命を落としてしまう原因として、最も多いのが「伝染病、感染病」です。
小さな子どもたちは抵抗力が弱く、ジフテリア、はしか、百日咳、破傷風といった病気にかかってしまうと死につながるリスクも高まります。
栄養不足や予防接種の不足、衛生環境の悪さなどが原因となっているものばかりで、これらの病気は適切な予防や治療ができれば防げるものですが、それが受けられないために多くの子どもたちが命を落としています。
栄養不足
子どもが健康を保ち成長するために十分な食料が安定して供給されていないことから、子どもたちは栄養不足となってしまいます。
栄養不足によって体力や免疫が低下し、感染症に対する抵抗力も弱まります。
飢餓状態にある地域では、年齢に対して成長が遅い、体重身長が足りない子どもが多いことも栄養不足が関係しています。
水・衛生環境が悪い
また、「安全な水」が不足していることも挙げられます。水は生活していく上で必ず必要なものですが、生活している地域に安全な水がない場合は、遠くまで水を汲みに行かなければなりません。
そして、その水も地域によっては泥や動物の排泄物が混じっているなど、汚れた水を飲んで生活していることもあるのです。
汚れた水には雑菌が繁殖していることも多く、水を飲むことで病気を発症することもあります。小さな子どもは対抗力も弱いために菌に負けてしまうのです。
またトイレなども整備されておらず、屋外で排泄したり菌が繁殖しているトイレで用を足さなければならず、そこから病気が蔓延することもあります。
医療サービスが受けられない
現在問題となっている感染症の多くは適切に予防接種や治療を受けることができれば防げるものです。
こういった国や地域ではワクチンが不足していたり、人口に対して医師や医療施設が不足していることが原因で医療サービスが受けられないことが多いのです。
(出典:日本ユニセフ 公式サイト)
SDGsで目指すべきラインは?
子どもの死亡原因は栄養のある食料が安定して供給され、予防接種を的確に行い、正しい知識を教育し、衛生環境を改善することで減少させることができるものばかりです。
特にサハラ以南のアフリカや南アジアではその割合が高くなっており、2017年にはサハラ以南のアフリカで13人に1人の子どもが5歳未満で亡くなっています。
高所得国と比較すると14倍の高さとなっています。
世界中の国が高所得国と同じ水準に達することができれば、年間540万人出ている死亡者を100万人にまで減らすことが可能となるのです。
持続可能な開発目標(SDGs)では「エイズ、結核、マラリアその他の感染症の蔓延を2030年までに食い止める」という誓約を定めています。
その目標に向かって様々な取り組みが行われており、すでに一定の成果が出ています。
1990年の時点では、年間に1,260万人もの5歳未満児が命を落としていました。そして、1990年時点では5歳未満児の約9%が死亡していましたが、2016年には約3%まで減少しています。
SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」のなかでは、新生児死亡率を「少なくとも出生約1%以下にまで減らし、5歳以下の死亡率を少なくとも2.5%以下にまで減らす」ということが挙げられています。
また、国連の事務次長は「最も脆弱な新生児、子ども、および母親を支援し格差を是正することが、持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる子どもの予防可能な死を根絶し、誰ひとり取り残さないことを確実にするという目標の達成のために必要不可欠」であることを宣言しています。
10年前、20年前と比べると多くの人が健康な生活をおくることができるようになったものの、予防可能な病気で亡くなる人はまだ数多くいます。
このような人々を救うためにはその国や地域と協調的で持続的な取り組みを進めることが必要です。
妊産婦の死亡率の低下も目標の一つ
また、妊産婦の死亡率についても改善が必要です。近年死亡率は低下しつつあるものの、2015年に発表された報告書によると年間約30万人の妊産婦が、妊娠もしくは出産中の合併症で命を失っています。
高所得国では医療専門家が付き添い、医療設備の整った場所での出産ができていますが、発展途上国の村落部などでは十分な医療設備がない場所で医療専門家の立ち合いがないまま出産を行っています。
世界で出産時に医療専門家の立ち合いがある確率は80%ほどにまで上昇しているものの、そういった国や地域、特に都市部ではない村落部などでは56%ほどでしかないため、その改善が求められています。
(出典:国連・死亡率推計に関する機関間グループ(IGME)「妊産婦死亡の動向:1990-2015」
(出典:独立行政法人 国際協力機構JICA公式サイト)
1人でも多くの命を救うために必要な支援は?
多くの命を救うための取り組みは様々な分野にわたって展開されています。
医療面について
子どもの死亡に大きく直結している医療の面に関しては多くの取り組みが行われています。
医師団の派遣や予防接種ワクチンの供給・実施、また医療施設が不足している地域では施設を作るだけでなく、利用するための交通インフラの整備もされるようになりました。
発展途上国の村落部などでは医療機関が著しく不足しており、妊産婦の出産時にも医療専門家が立ち合っていることが全体の半数ほどしかないということも問題です。
こうした状態を解決するために医師の派遣や移動を可能にする交通アクセスの改善などが行われています。
(出典:独立行政法人 国際協力機構JICA公式サイト)
栄養面について
飢餓による栄養不足に苦しむ子どもたちを救うためには、安定した食料の生産、供給が欠かせません。
それは一時的な食料の支援ではなく、長期的に国や地域の人々が自立して生産、供給できるシステムを作るということが重要になります。
そこで現在、生産しやすい作物の生産システムの構築や作物の安全な貯蔵、保存方法の確立、生産地から消費地までの輸送インフラの整備などが進められています。
自分たちで生産し、それを販売することで経済的な基盤を固め、購入力をつけることで自立し、持続的可能な発展の基礎を作っていくのです。
水衛生について
安全で健康な生活をおくるためには、安全な水と水回りの衛生環境は非常に重要です。
きれいな水が供給されていない地域には井戸を作ったり、給水設備が整備されたりすると同時に衛生的なトイレや下水処理施設の建設が行われています。
また、長期的にその地域でサービスを行っていくためには安定して収益を上げるということも必要です。そこで下水や汚物処理のサービスを行っている企業が、その地域で集めた糞便からバイオマス燃料を製造して販売して収益を安定して上げるという取り組みも行われています。
そうして収益を上げることで下水や汚物処理にかかるコストを下げることができているのです。
私たちの寄付が子どもたちの命を救う!
世界では食料や安全な水が手に入らないことで、命を落とす子どもや妊産婦が多くいます。
SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」では、あらゆる年齢の全ての人が健康的な生活を確保し、福祉を受けられるために設定されています。
現在、様々な機関や団体が1人でも多くの命を救うために懸命な支援活動を行っています。私たちはそうした活動を寄付することでサポートし、間接的に多くの人を助けることができます。
まずは世界の現状や行われている支援を知り、私たちも目標達成に向けてできることを考えてみてはいかがでしょうか。
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