「ディーセント・ワーク」は国際労働機関(ILO)が提唱する働きがいのある人間らしい仕事を意味する言葉です。
世界では現在、このようなディーセント・ワークをすべての人が行えるよう取り組みが行われています。
その背景には性別や差別など様々な要因で、働きがいのある仕事ができない現状があるためです。
これにより経済成長が停滞してしまっているとの見方もされています。
この記事ではディーセント・ワークについて、また実現されるためにどのような取り組みが行われているのかなどを紹介します。
持続可能な開発目標・SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」のターゲットや現状は?
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ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)とは
ディーセント・ワークとは「公正な所得、安心できる職場と家族の社会保障、自己啓発と社会的統合のよりよい見通しを提供できる生産的な雇用を誰もが得られる機会」を意味します。
要約すれば働きかいのある人間らしい仕事を表す言葉です。
この言葉は1999年の第87回国際労働機関(ILO)の総会で、ファン・ソマビア事務局長の報告において用いられたといわれています。
これをすべての人が享受できる社会を実現していくことを目指して活動が行われており、ILOに加盟する188カ国が批准の有無に関わらず遵守する道義的責任を負っています。
ディーセント・ワークの条件
ディーセント・ワークは就労していることが基本となりますが、その仕事が権利や社会保障、社会対話が確保されており、自由と平等が保障され、働く人々の生活が安定する、つまり人間として尊厳を保てる生産的な仕事であることが条件となります。
この中から条件を抽出すると、「権利」「社会保障」「社会対話」「自由と平等」の4つの確保と「生活の安定」の5つの条件を満たしていなければディーセント・ワークとはいえないということになります。
ディーセント・ワークが生まれた背景
この目標が定められた背景には、失業者数や貧困率の問題があります。
2018年時点では、全世界の失業者数は1億9,200万人と推計されています。これは2015年の2億400万人よりは改善したものの、2007年より2,200万人も増加しています。
また例え雇用されたとしても、1日2米ドルという貧困ライン未満で暮らす人々が22億人近くにも達しており、雇用の減少やそれに伴う労働条件の悪化、所得格差、ジェンダーによる差別など労働問題の顕在化があったためだといわれています。
これを解決するためILOによって提唱されたのが、ディーセント・ワークが生まれた背景となっており、日本を含め世界各国で推進されています。
(出典:国際連合広報センター公式サイト)
(出典:国際労働機関(ILO)公式サイト)
ディーセント・ワークを普及させるために必要なこと
ディーセント・ワークは現在世界中で推進さており、ILOでは各国の実情に応じて国別の計画に従い支援を提供しています。
この計画は各国の政府関係者が連携してまとめており、優先課題と目標を定め、先約目標を推進する効率的な事業活動ができるようなものとなっています。
また世界レベルの行動も必要となっており、グローバル経済における機関や関係者が連携し、専門知識や重要な政策手段の提供も行う必要があるでしょう。
当然国内では政府による法律や国の制度の整備などを行う必要があります。特に若者がディーセント・ワークに就く最善の機会を与えるために、可能な限り質の高い教育に投資する必要があり、労働市場に見合うスキルを提供しなければいけません。
さらに雇用形態に関わらず、社会保障と基本サービスを利用できるようにするとともに、公平な競争条件を確保することも大切です。
これらは国だけでなく企業の努力も必要です。
また国や企業だけでなく、私たち個人が普及に協力できることもあります。それは一人ひとりが声を挙げ、第3者にこのディーセント・ワークを伝えることや、周りに雇用、あるいはその環境で悩んでいる人がいたら相談に乗るなどのアクションを起こすことです。
これらを行うだけでもその声は広がりを見せ、普及につながる可能性があります。
(出典:国際連合広報センター公式サイト)
(出典:国際労働機関(ILO)公式サイト)
ディーセント・ワークを広めるために身近なことから始めよう
ディーセント・ワークは今働いている人々にとって、またこれから社会に出る人々にとって何よりも大切で達成すべき目標なのです。
経済活動を行うのは私たち一人ひとりであり、それなくして経済成長は見込めません。特に充実した生産活動を行っていけなければ、停滞してしまう可能性もあります。
働きがいのある人間らしい仕事をすべての人ができるということは、経済成長の促進を見込めることでもあるのです。
それらは現在だけでなく、未来を担う子どもたちも同じ状況下で働けるようにならなくてはいけません。
そのためにも今から働きがいのある労働環境を作り上げていけるように、私たちができる身近なことから取り組んでいく必要があるのです。
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