私たちが普段使うエネルギーは、主に化石燃料を燃やすことで電力を得る火力発電によって供給されています。
国内では最も安定して電力が供給できる一方で、化石燃料を必要とすることや二酸化炭素の排出などが問題となります。
現在のエネルギー事情を解決できる可能性があるのが、次世代のエネルギーであるクリーンエネルギーの存在です。
この記事ではクリーンエネルギーとはどういったものか紹介します。
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クリーンエネルギーとは?
まずはクリーンエネルギーがどのようなエネルギーなのか、その概要を紹介します。
クリーンエネルギーとは、エネルギーを生成する際に温室効果ガスを排出しない、あるいは排出量が少ないエネルギーです。
化石燃料などを必要とせず、設備さえあれば国内で生産できることから、重要な低炭素の国産エネルギー源でもあります。
クリーンエネルギーの明確な定義はありませんが、自然エネルギーや再生可能エネルギーがクリーンエネルギーにあたります。
再生可能エネルギーはどれも二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しないことから、環境に優しい「クリーンな」エネルギーということです。
日本では今まで石油や液化天然ガスが乏しく、海外の化石燃料資源に頼らざるをえませんでした。
2017年の日本のエネルギー自給率は9.6%とOEDC諸国の中では低い水準です。そのため疫病の蔓延や紛争など国際情勢が傾くと、安定したエネルギー確保が難しくなる可能性もあります。
さらに日本のエネルギー源の大部分を占め、化石燃料に依存する火力発電は、二酸化炭素などの温室効果ガスを多く排出するため、地球温暖化の原因となります。
地球温暖化を防ぐために、国産のエネルギー源を生み出すことが必要とされており、温室効果ガスの排出を抑えられるクリーンエネルギーの開発および利用が必要不可欠なのです。
クリーンエネルギーの分類
クリーンエネルギーは1つではなく、いくつか種類があります。利用するものは異なりますが、どれも温室効果ガスの排出量が少ない、あるいは排出しないことが確認されています。
それぞれの特徴を紹介します。
水力発電
クリーンエネルギーの中で、昔から利用されているのが水力発電です。現在の日本でも全体の7.6%を水力発電によって電力を供給しています。
太陽光発電
他には最近新築の家の屋根や、広い土地を利用して太陽光パネルを設置し、発電を行うところが増えています。
この太陽光発電もクリーンエネルギーです。シリコン半導体で受けた光を電気エネルギーに変換し、利用します。太陽電池による直接変換であるため、二酸化炭素などは一切放出しません。
日本の太陽光発電の導入実績は、世界でも非常に高い水準となっています。
その他
他にも風車を使った風力発電や、火山帯を利用し地熱による発電を行う地熱発電、動植物などから生まれた生物物質を直接燃焼、あるいはガス化などを行って発電するバイオマス発電があります。
バイオマス発電は燃焼を行うものの、二酸化炭素を排出しないため、環境にも優しい発電方法となっています。
水素ガスや原子力による発電はクリーンエネルギーか?
ここでクリーンエネルギーの分類に入れるかどうかで議論になるのが、水素ガスや原子力による発電です。
水素ガスについては酸素と結びつくことでエネルギーを発生します。ロケットのエンジンにも水素が使われており、相当のエネルギーを得られることは証明されています。
エネルギー発生時の有害物質は発生しないものの、水素ガスを生み出すために膨大なエネルギーを必要とするため、温室効果ガスなどが発生してしまいます。
水素ガス自体は様々な資源から作ることができるため、今後温室効果ガスを出すことなく少ないエネルギーで取り出すことができれば、クリーンエネルギーの1つとして利用することができる可能性もあります。
一方原子力発電も二酸化炭素を排出しません。ただ日本がかつて経験したように、大災害時の深刻な事故に見舞われれば、放射性物質により甚大な被害を受ける可能性があります。
また、燃料棒自体の処理も問題であり放射線の問題がつきまとうため、安全性という意味でクリーンエネルギーとは言い切れない部分があります。
(出典:経済産業省資源エネルギー庁「再生可能エネルギーとは 総論」)
(出典:経済産業省資源エネルギー庁「日本が抱えているエネルギー問題(前編)」,2019)
(出典:経済産業省資源エネルギー庁「再生可能エネルギーとは」)
(出典:経済産業省資源エネルギー庁「国内外の再生可能エネルギーの現状と 今年度の調達価格等算定委員会の論点案 」,2018)
(出典:経済産業省資源エネルギー庁「「水素エネルギー」は何がどのようにすごいのか?」)
クリーンエネルギーのメリットとデメリット
クリーンエネルギーの普及がなぜ急がれるのか、その理由は先にも触れてきたとおりです。
温室効果ガスを出さないメリットが注目されるクリーンエネルギーですが、メリットだけでなくデメリットもあります。
クリーンエネルギーのメリットとデメリットについて解説します。
クリーンエネルギーのメリット
クリーンエネルギーは設備さえあれば化石燃料などの特殊な資源をほとんど必要とせず、国産のエネルギーとして発電できます。
そのため化石燃料のように輸入相手との取引が紛争や疫病などによって滞ることはなく、問題なく発電できるメリットがあります。
また地球温暖化防止の観点でもクリーンエネルギーの恩恵は大きいと考えられます。
現在日本だけでなく、様々な国で火力発電を行っており、二酸化炭素を放出しています。
二酸化炭素は温室効果ガスの1種であり、地球温暖化の主たる原因の気体でもあることから、大量に排出し続ければ、温暖化がより進むことになります。
クリーンエネルギーのほとんどは二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化防止や気候変動の緩和にもつなげることができます。
クリーンエネルギーのデメリット
クリーンエネルギーは、メリットばかりではありません。クリーンエネルギーの安定供給、供給量、コストが高いものが多いといった様々な課題があります。
例えば太陽光発電は、以前よりも導入しやすい発電方法に進化しました。それは新技術の開発や生産ラインの確保など、様々な努力によるものです。
しかし未だに導入コストは高めであり、一般家庭への導入には価格の問題で断念されることもあります。
また気候条件に左右されるため、安定した発電出力が得られない可能性もあります。特に日本には梅雨と秋雨の2期に渡って長期的な雨が降ることがあり、太陽光を得られない日が続く可能性もあります。
天候により左右されるという点では、風力発電や水力発電に関しても同様です。
他にも水力発電や地熱発電は発電できる場所が限られており、設備をおく地域の住民や地元関係者との調整が必要な点も導入の上ではリスクになります。
これらの課題がクリアすることができれば、クリーンエネルギーは安定供給ができる純国産エネルギーとして大きく期待が持てる発電方法となるでしょう。
(出典:経済産業省資源エネルギー庁「再生可能エネルギーとは」)
世界のクリーンエネルギー事情
日本では水力発電や太陽光発電が、現在利用している再生エネルギーの筆頭でした。では世界のエネルギー事情はどうでしょうか。
まず水力発電についてはカナダが非常に高い比率で利用しています。
カナダは水源が多いこともあり、国内全体の56.7%が水力発電による電力供給になっています。世界的にも、ここまで水力発電によるエネルギー比率を記録している国はありません。
主要先進国の中でも2番目に水力発電の比率が高いのがイタリアの16.2%で、次いでスペインの10.1%、フランスの9.7%が続きます。
しかし全体的に見ても、水力発電による電力供給は各国ともそれほど多くありません。
水力発電以外の再生可能エネルギーの比率を見てみると、日本が6.9%なのに対して、ドイツ、スペイン、イギリス、イタリアは軒並み20%を越える比率となっています。
ヨーロッパでは再生可能エネルギーの導入が進んでいる国も多いようです。ただフランスだけは6.7%に留まっています。
フランスは発電を主に原子力発電に委ねており、再生可能エネルギーの導入はあまり進んでいないのです。
(出典:経済産業省「2018-日本が抱えているエネルギー問題」,2018)
クリーンエネルギーの普及でSDGs目標7の達成を
世界では今、様々なエネルギー問題を抱えています。日本のように火力発電による二酸化炭素の排出や、原子力発電の是非を問われている状況は、他の先進国でも同様に問題となっています。
また開発途上国においては、経済的な問題などによりインフラの整備が行われておらず、エネルギーへのアクセスすらままならない国や地域もあります。
SDGsの目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」は、誰もがエネルギーにアクセスでき、そのエネルギーが環境破壊することなく作り出すことを目指しています。
エネルギーは生活していく上で重要であり、誰もがアクセスする権利があります。
クリーンエネルギーであれば、環境を破壊することなくエネルギーを作り出すことが可能です。課題はたくさんありますが、コスト面の解決や安定的に供給できる技術が開発されれば、広く導入できる可能性が高くなります。
クリーンエネルギーはこれからの世界になくてはならないものであり、今後の発展が期待されるエネルギーでもあります。
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