エネルギーをみんなに そしてクリーンに

SDGs目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の取り組み内容とは?

エネルギーは、今の世界や生活を成り立たせるためにはなくてはならないものです。

産業革命以降、技術の発展により、エネルギーは常に生み出され、私たちの生活を豊かにしてきました。

しかしそのエネルギーは全ての人が享受できるわけではなく、地球の環境などにも影響を与えることもあり、課題も多く残されています。

エネルギーにおける課題の解決に向けて、SDGsではエネルギー問題を国際目標の1つとして掲げ、各国が取り組んでいます。

SDGsの目標7にある「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」のターゲットや取り組み内容を紹介します。

持続可能な開発目標・SDGsの目標7
「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」のターゲットや現状は?

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SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」とは


持続可能な開発目標(SDGs)では、国際目標として17の目標を掲げています。

貧困や飢餓、教育など、今の世界の中で問題となっている事柄を解決するため、そして持続可能な社会を作り上げるために必要な取り組みを169のターゲットと232の指標に定め、世界で協力して取り組まれている目標です。

その中にはエネルギーについて取り上げている目標もあります。

それが目標7に掲げられている「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」です。

エネルギーとは経済活動や社会活動において基礎となるインフラ設備であり、全ての人が生活していく上で必要不可欠なサービスの1つです。

教育や医療、介護などの福祉、健康でよりよい生活を維持していくために、必要な最低限のエネルギーの確保はしなければいけません。

日本では必要に足る分のエネルギーが充分に供給されていることから、エネルギーには不自由せず生活できています。

しかし世界の様々な地域では必要最低限のエネルギーが得られない、インフラが整備されていないといった地域も存在しています。

新興国であれば急激な発展により、逼迫(ひっぱく)(※)しているエネルギー事情に供給が追いついていない地域や、世界全体でも石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料に頼った発電であることから、急増する電力需要から燃料が枯渇してしまうという懸念もあります。

また化石燃料による発電は二酸化炭素を排出することから、地球温暖化にも繋がるため、いずれは私たちが生存できない世界となる恐れもあります。

そういった観点から、持続可能な社会を作り上げるためにも、継続的に利用でき、かつクリーンなエネルギーの開発およびインフラ設備の構築が世界全体で必要とされています。

そのためにSDGsでは「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」という目標を掲げ、3つのターゲットを定めて、各国の協力のもとに取り組まれています。

※逼迫(ひっぱく):行き詰まって余裕のなくなること

  • エネルギーとは経済活動や社会活動において基礎となるインフラ設備であり、全ての人が生活していく上で必要不可欠なサービスの1つ
  • 教育や医療、介護などの福祉、健康でよりよい生活を維持していくために、必要な最低限のエネルギーの確保が必要
  • 持続可能な社会を作り上げるためにも、継続的に利用でき、かつクリーンなエネルギーの開発およびインフラ設備の構築が世界全体で必要

  • (出典:国際開発センター「目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」,2018)
    (出典:国連開発計画 駐日代表事務所「目標7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに」)

    「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を達成するための取り組み

    持続可能な社会を作り上げ、継続的に安定した安全なエネルギーを利用するためには、再生エネルギー利用拡大や省エネルギーの改善努力、革新的技術と必要なインフラ投資など継続的な政策が必要とされています。

    そのため先進国、開発途上国ともそれぞれに必要な対策が実施されており、日本でも様々な取り組みが行われています。これらの取り組みについて紹介します。

    エネルギーアクセスの向上

    電力のユニバーサル・アクセス達成には時間がかかりますが、その一方で都市部と農村部の電化率は2014年までに着実に改善してきています。

    ただ電力不足はサブサハラアフリカ地域で顕著な問題となっており、電力アクセスのない人口は、同地域の人口の約62.5%にあたる6億900万人と言われています。

    またインドだけで、電力アクセスのない全世界人口のおよそ3分の1に当たる2億7000万人を抱えています。

    サブサハラアフリカやインドなどのように、インフラ設備が整わず電力が行き渡っていない人口が多い国や島嶼国などのエネルギーの確保や供給が困難な国や地域を中心として、エネルギーへのアクセス向上に向けた取り組みが実施されています。

    またインフラ設備の整備に伴い、各国の所得水準に応じた適切な電力価格に配慮し、可能な限り低炭素化技術を活用した電力の提供も行われています。

    エネルギー供給量の増大と信頼性向上への取り組み

    先ほども触れたように電化率は増加してきているものの、電化率が比較的高くても1人あたりの電力消費量が依然として低い国があります。

    これはエネルギー供給量が不足していること、停電率や電力ロス等が原因であり、エネルギー効率の改善率を倍増させることが求められてきました。

    そこでこれらの改善について、民間事業者の参画も含め、政策・制度面などの協力を通して、民間投資を促進し、改善に向けた取り組みが行われています。

    低炭素化・脱炭素化を含む気候変動対策

    温室効果ガスの排出量が多い国やエネルギー効率の低い国、今後温室効果ガスの排出増が予想される国を中心として、気候変動対策に向けた協力が展開されています。

    再生可能エネルギーの導入や省エネを含めた効率化を促進していますが、特にエネルギー効率の改善は温室効果ガス削減など環境面への効用、エネルギー安全保障の強化にも繋がります。

    そのためエネルギー効率が改善や再生可能エネルギーをより活用できる新技術の開発や導入を促進するため、科学技術協力を戦略的に取り入れて実施されています。

    特に先進国である日本では2050年までに温室効果ガスを80%削減することを掲げており、エネルギー転換による脱炭素化への取り組みを進めています。

    エネルギー基本計画を策定し、再生エネルギーの主力電源化や原子力発電、火力発電などの今後の在り方などについて方針を立て、計画達成に向けた取り組みが行われています。

    エネルギーミックスの実現

    前述した2050年までに達成すべきエネルギー転換と脱炭素化の動きに伴い、エネルギー計画の方針の下、2030年に向けてエネルギーミックスの確実な実現にも取り組まれています。

    いきなり再生可能エネルギーを主力電源化できないため、まずは現行の発電エネルギーと再生可能エネルギーのバランスを取りながらミックスし、徐々に再生エネルギーの比率を高められるように強化していく方針です。

    2030年までに再生可能エネルギーが電源構成比率の22~24%、原子力発電が20~22%、化石燃料による火力発電が56%となるように計画が立てられています。

    また消費する電力を抑えることも必要となるため、2018年に改正省エネ法や支援策を一体化して実施し、徹底した省エネを進めることで実質エネルギー効率を35%削減させる取り組みも行われています。

  • サブサハラアフリカやインドなどのように、インフラ設備が整わず電力が行き渡っていない人口が多い国や島嶼国などのエネルギーの確保や供給が困難な国や地域を中心として、エネルギーへのアクセス向上に向けた取り組みが実施されている
  • エネルギー基本計画を策定し、再生エネルギーの主力電源化や原子力発電、火力発電などの今後の在り方などについて方針を立て、計画達成に向けた取り組んでいる
  • 2018年に改正省エネ法や支援策を一体化して実施し、徹底した省エネを進めることで実質エネルギー効率を35%削減させるように取り組んでいる
  • (出典:国際開発センター「目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」,2018)
    (出典:経済産業省「新しくなった「エネルギー基本計画」、2050年に向けたエネルギー政策とは?」,2018)
    (出典:国際協力機構「資源・エネルギー」)

    誰もが安心して使えるクリーンなエネルギーを届けるために


    エネルギーは私たちが生活する上でなくてはならないものであり、より良い生活を世界中で目指すのであれば、誰もが公平にエネルギーにアクセスできなければいけません。

    またエネルギーが地球温暖化や気候変動に影響を及ぼすのであれば、将来的な私たちの生活に悪影響を与えるため、よりクリーンで環境にも優しいエネルギーでなくてはなりません。

    そうした安心して使えるクリーンなエネルギーを全世界に届けるためには、今後も良く練られた計画と新技術の開発・普及が各国、関連機関などでされなければならず、支援として開発途上国などにも提供されることが重要です。

    私たちには技術開発などはできませんが、省エネを意識することや、再生可能エネルギーの導入はできます。

    エネルギーについて知り、できることから始めてみるのも良いかもしれません。

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