児童労働は世界に存在する問題の一つとして挙げられています。
2025年までに撲滅することを目標としてSDGsでもターゲットに掲げられており、そのために国際労働機関を中心として各国で取り組みが行われているのです。
この記事では、児童労働の撲滅に向けて行われている取り組みについて、代表的なものを紹介します。
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児童労働の定義と現状
児童労働の定義から触れていくと、法律で定められた就業最低年齢を下回る年齢の児童によって行われる労働を意味します。
国際基準となっている就業最低年齢は15歳であり、健康や安全、道徳を損なう恐れのある労働については18歳を原則としています。
この児童労働は基本的に禁止されているのですが、それは子どもに身体的、精神的、社会的または道徳的な悪影響をおよぼし、教育の機会を阻害するという懸念があるためです。
2016年に公表されたデータによると5~17歳による児童労働者数は1億5,200万人と言われており、うち7,300万人は危険有害労働に従事しているとされています。
これは世界の5~17歳の子どものうち10人に1人が児童労働に従事していることになるのです。
またこれを地域ごとに見ると、アフリカで7,200万人、アジア太平洋で6,200万人、南北アメリカで1,000万人、ヨーロッパ・中央アジアで553万人、アラブ諸国で116万人という結果が出ています。
特にアフリカには多くの児童労働者がいることが分かりますが、この人数は地域の子ども全体に占める割合に換算すると19.6%であり、アフリカの約2割の子どもが児童労働に携わっているということになります。
またどのような仕事で児童労働が行われているのかという内訳は、コーヒーやゴム、カカオの生産など農林水産業が全体の70.9%と圧倒的な割合を占めています。
ほかにはインドやパキスタンでも有名となっているサッカーボールの手縫いなど縫製や製造といった工業系の仕事が11.9%、酒席での接待や特殊遊興的接客業務などサービス業に関わる仕事が17.2%となっています。
(出典:国際労働機関「児童労働」,2016)
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児童労働をなくすために行われる取り組み
児童労働は世界的な問題とされています。
これはSDGs(持続可能な開発目標)の目標8にも解決すべきターゲットとして次のように掲げられています。
強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。
(引用:外務省「SDGグローバル指標(SDG Indicators)」)
このように児童労働は2025年までに撲滅すべき重大な課題なのです。
そのため、児童労働をなくすための取り組みが世界中で行われています。どのような取り組みが行われているか見てみましょう。
国際労働機関による児童労働に対する取り組み
2019年の国連総会で、2021年を児童労働撤廃国際年とすることが採決されました。
これにより2021年は、加盟国による児童労働撤廃の重要性への認識を高めるための行動を通じ、国際年の遵守やベストプラクティスの共有が求められているのです。
このベストプラクティスとはある結果を得るために最も効率が良い技法や手法、プロセス、行動などを意味します。
最善慣行や最良慣行とも訳されますが、国際年を通してその共有を行っていこうという年になります。
また国際労働機関は毎年6月12日を児童労働反対世界デーとして定めており、様々なキャンペーンを行っているのです。
国際労働機関は以前から児童労働に関する取り組みを主導しており、政府や労使団体、国際機関、NGOなどの協力のもと世界各国の児童労働に関する法整備がなされてきました。
その結果として、2000年以降現在に至るまで児童労働は半数以上減少しましたが、それでも未だに1億5,200万人の児童労働者がいます。
ガーナで行われている児童労働に対する取り組み
ガーナはカカオの一大生産国であり、世界のカカオの生産はガーナを含む西アフリカで多く賄われています。
日本もガーナから多くのカカオを輸入している国の一つですが、このカカオの生産には多くの児童労働者が関わっているのです。
これは国際的にも問題視されており、ガーナ政府も問題解決のため児童労働フリーゾーンという制度を開始しました。
この児童労働フリーゾーンは、子どもを危険な労働から守り、子どもの権利や福祉を保障するための総合的で一貫性のある取り組みが、継続して実施されている地域を指します。
また各種システムが機能し、児童労働がない状態を維持することが可能な地域も含まれます。
そのため政府だけでなく地域が一丸となり児童労働の現状や世帯状況の把握、児童労働者の特定や保護・救済・行動計画の策定と実施など様々な取り組みを行っているのです。
ガーナのカカオ・セクターを中心とした児童労働に係る情報収集や確認調査には日本のJICAも関わっており、児童労働フリーゾーンの普及支援などが行われています。
フィリピンで行われている児童労働に対する取り組み
フィリピンでは金の採掘などが盛んに行われていますが、危険が伴う採掘場で児童労働が行われているのです。
この児童労働に対して、国際労働機関と関連団体が協力して問題の根本的な原因である貧困や脆弱性、児童労働を伴う種の仕事が公認されていないことへの取り組みを進めています。
児童労働が起こる要因は貧困を主として、社会構造の脆弱性や災害の多さ、大人のディーセント・ワーク不足などが挙げられます。
日々の食事をはじめ、家族が生きていくための最低限のものを揃える収入がないことから、子どもも生計を立てるために働かざるを得ない状況にあるのです。
その子どもが金鉱で作業する状況に置かれており、重い荷物を運び続けることによる身体の変形や障がい、水銀に過度にさらされることで引き起こる腎臓や呼吸器系の衰弱などにつながり、最悪の場合は死に至ることもあります。
そういった状況を改善し、子どもたちを児童労働から解放するための取り組みが進められています。
インドで行われている児童労働に対する取り組み
インドでは児童労働をなくすために、ストリートチルドレンや児童労働に従事している子どもを保護する支援活動を行っています。
主な取り組みとしては識字教室の開催や貯金プログラム、保健プログラムなど子どもが教育の機会を得る場が設けられているのです。
そして健康な生活を送るために、雇用主による暴力から保護するだけでなく、子ども労働組合や子ども会議など、子ども自身が自らを守るための力をつける取り組みも行われています。
また貧困になりがちな農村の子どもたちの支援として、国の法案作りや情報提供を重視した支援活動も行われているのです。
児童労働をなくすためのフェアトレード
特定の国や地域というわけではなく、世界の様々な国で行われているのがフェアトレードです。
そもそも農業国や農村が貧困に陥る原因の一つには、正当な貿易が行われず適正な価格での売買が行われないことが問題としてあります。
そこで導入され、注目されているのがこのフェアトレードです。
ガーナのカカオやブラジルのコーヒーなど、特産品として輸出される商品を適切な価格で取引することで、生産者や労働者が十分な収入を得たうえで貧困から脱してもらおうという取り組みです。
児童労働だけに絞った取り組みではないですが、このフェアトレードが当たり前に行われるようになれば、子どもが働き、教育を受けられない状況を改善できる可能性があります。
(出典:厚生労働省「2021年児童労働撤廃国際年」について」)
(出典:JICA「児童労働撤廃に向けて力を結集 ガーナ」,2020)
(出典:国際労働機関「フィリピンの金鉱で働く児童労働への取組み」,2017)
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児童労働をなくすためにできる取り組みを始めよう
児童労働を撲滅するために様々な取り組みが行われています。
それは政府、自治体、関連団体、あるいは民間レベルで行われているものまで多種多様ですが、どれもが児童労働をなくしていくため、そして予防するために必要な取り組みです。
私たちは、児童労働について知り、実際に行われている取り組みについてできるものから参加・協力していくことが重要です。