南アジアにあるネパールは多くの民族が住む国として知られています。
そしてネパールには貧困問題が根強く残っており、その原因は歴史的なものや、民族的、社会的なものなど様々です。
この記事では、ネパールの貧困の原因や現状、そして必要な支援について見ていきます。
5億人以上が貧困と言われるアジアの現状、原因、対策について解説
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ネパールの国とは
ネパールは正式名称を「ネパール連邦民主共和国」といい、中国のチベット自治区南方に隣接する内陸国です。
国の面積は14.7k㎡と北海道の1.8倍の大きさがあり、首都はカトマンズ、2017年時点で2,930万人が住んでいます。またパルバテ、ヒンドゥー、マガル、タルー、タマン、ネワールなど多くの民族が住んでいる国になります。
そしてネパール語を母国語としており、通貨はネパール・ルピーを使用。主な産業としては農林業を中心に貿易や卸売業、交通・通信業を行っています。
輸出では工業製品や既製服、カーペット、豆や香辛料などの食品をインドやアメリカ、トルコ、ドイツ、イギリスを主要相手国としています。
(出典:外務省公式サイト)
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ネパールの抱える問題とは?
ネパールは様々な問題を抱えており、100を超える多様な民族の共生や昔からあるカースト制度、母国語以外の多種多様な言語によるものが多いとされています。
そして、それらの問題の矛先となるのは先住民族や貧困世帯の子ども、障がいのある子ども、女の子など弱い立場にある人々です。
例えば乳幼児保育の体勢が整っておらず、子育てができない、子どもの栄養が足りていない状態です。また教育に関する政策は整備されているものの教員や施設の不足から就学率は低いままであること、また子どもの保護に関する法令が機能せず、人身取引や児童労働に多くの子どもが巻き込まれていることなどが挙げられます。
他にも障がいのある子どもや女の子の性的暴力といった性と生殖に関する健康が脅かされている実態や、ジェンダーに関する暴力があるのも問題視されています。
さらに2015年に起こった地震では首都カトマンズをはじめ多くの地域で建物が崩壊するなどの自然災害に対する危機管理が十分にできていないと言う問題も浮き彫りとなりました。
特に児童婚や児童労働・売買が深刻
女の子の性的暴力などを挙げましたが、ネパールでは児童婚や児童労働も問題になっています。
ネパールでは1963年から児童婚を法律で禁止していますが、それに対しての取り締まりはほとんどなく、役所でも児童婚の受理が平然となされてしまっているのです。
結婚したことがある20〜24歳の女性のうち、37%が18歳未満で、10%が15歳未満で結婚しています。これはアジアの中でも3番目に高い児童結婚率であり、経済的、社会的あるいは民族的な背景など様々な理由で結婚を余儀なくされます。
また2003〜2006年に行われた調査では、18歳より前に結婚もしくは事実婚状態になった20~24歳の男性の割合も16%となっており、男の子の児童婚についても問題となっています。
そして貧困などを理由に子どもたちの児童労働も横行しており、親元を離され、不当な労働を行わなければいけない現状もあるのです。
(出典:日本ユニセフ 公式サイト)
ネパールの貧困の現状、背景は?
ネパールの貧困の背景にはいくつかの要因が挙げられます。
歴史的な背景としては職業下層カーストやカマイヤの存在です。職業下層カーストは今も残る差別的なカースト制度であり、憲法で禁止された今でも根強く残っています。
靴の修理人や伝統的仕立て屋、鍛冶屋などの職業に従事している人はそれにあたり、所得が低く成人識字率なども国内水準を大きく下回る傾向にあります。
また先住民族のタルー族の農業労働者がカマイヤと呼ばれ、自らの土地を持たず返済できるあてのない債務を背負って地主の下で日々重労働を強いられる農業労働者の人々です。
こうした職業下層カーストやカマイヤがネパール固有の貧困層として問題になっているのです。
また先ほど挙げた児童婚や児童売買により子どもが教育を受けられず、国も就学の義務をかしていないため、2017年に発表された識字率は男性が90%、女性が80%となっており、世界平均の男性92%、女性85%より低いことも貧困が多いことにつながります。
子どもの教育がなされないことにより、産業が発展せず、結果として将来を担う若者が育たないのです。そうなれば経済成長も止まるどころか後退する可能性も出てきます。
他にもインフラの整備レベルが低いことや経済をけん引する有望な産業が育たないなど、貧困を脱することができない要因がいくつもあることが分かります。
(出典:独立行政法人 国際協力機構JICA公式サイト)
(出典:外務省公式サイト)
(出典:ユニセフ「世界子供白書2017」)
ネパールで必要な対策や支援とは
ネパールの現状を改善するために必要な対策は様々です。
インフラの整備や産業を発展させるための支援は、貧困の改善および経済成長させるためには必要ですが、それは国家間での支援が必要となります。
そして児童婚や児童労働をなくすための支援は、民間レベルで行われる支援も必要です。
そこでNGO・NPOはこのような問題を解決するため、各地域で取り組みを行っています。
教育支援
子どもに対する教育不足が、児童婚や児童労働、カースト制度などの様々な問題を引き起こす原因の1つとなっています。
また識字率の低さからもわかるように、教育が受けられないことによって将来的に収入が得られず、貧困を脱することができない人が増えてしまうのです。
そのような状況をなくすために、識字能力向上に向けた教師の研修や、就学に対する家族あるいは地域のサポート強化の啓発、質の高い安全な学習環境の構築などを行っています。
食糧・衛生支援
さらに貧困による栄養不足や不衛生な環境の改善をはかるため、食糧支援や安全な水を得られる水道・井戸の建設、衛生的なトイレの設置なども必要に応じて行われています。
貧困な家庭では食事や衛生面の配慮もされずに、子どもの健康で丈夫な体が作られないことが多い傾向にあります。
そのためこのような支援によってできる限り健康な状態で教育を受けられる環境づくりをしています。
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私たちにもできることを考えよう
ネパールの貧困に苦しむ人々、特にその影響を受ける子どもは今も大勢います。
支援を行う団体により教育が行き届くようになり、少しずつ改善には向かっていますが、まだまだ貧困問題は残っています。
私たちもNGO・NPOへ寄付を行うことで、間接的な支援を行うことができます。
まずはネパールの現状を知り、私たちができることを考え、行動に移していくことが、彼らを助ける近道になるのではないでしょうか。