東南アジアの国の1つである東ティモールはアジアで最も新しい国です。その歴史はまだ始まったばかりですが、既に世界の最貧国の1つとして数えられるほど貧しい国となってしまっているのです。
なぜそのような状況になっているのか、東ティモールの現状や行われている支援とともにご紹介します。
5億人以上が貧困と言われるアジアの現状、原因、対策について解説
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東ティモールの国とは
東ティモールとは「東ティモール民主共和国」が正式名称であり、オーストラリアに近く北東にある東インド諸島の小スンダ列島最東端に位置しています。
ティモール島の東半分を占め、全13県から構成される国で、日本と経度がほぼ変わらないことから時差はありません。
面積は1万4,900万k㎡であり、これは日本の東京、千葉、埼玉、神奈川の合計面積とほぼ同じです。
2015年時点での人口は約118.3万人、その大半がメラネシア系の民族でテトゥン族と呼ばれています。他にマレー系や中華系、ポルトガル系を主とする欧州人やその混血の人が暮らしています。
首都はディリという都市で、政体は国名からも分かるとおり共和制です。人民または人民の大部分が統治上の最高決定権を持つとされているため、君主ではなく元首が選挙によって選ばれます。
通貨はアメリカドルを採用していますが、硬貨は独自の通貨であるセンタボを使用しています。
産業はコーヒーの栽培が主であり、アメリカやドイツ、日本にも輸出されています。
また天然ガスも産出されるため、パイプラインを通じオーストラリアから輸出を行っています。
(出典:外務省公式サイト)
(出典:独立行政法人 国際協力機構)
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東ティモールが貧困状態にある理由は?
東ティモールは小さな島国であり、人口もそれほど多くありませんが、2008年の1人あたりのGDPも368.8ドルと低いため、アジアの最貧国として数えられています。
東ティモールが貧困となってしまった原因は独立の前後にまで遡ります。
大航海時代にポルトガルが植民地として全島を支配しましたが、17世紀半ばにはオランダがティモール島の西半分を占領し東西に分断。
1942年には日本軍が全島を支配しましたが、第二次世界大戦の終結とともに西ティモールはインドネシアの一部として独立し、残った東ティモールは再びポルトガルに支配されることになりました。
1974年に東ティモール国内では政治クーデターが発生し、政権崩壊が起こったことで、ポルトガルが植民地支配権を放棄し、独立に向けた動きが活発化。この動きは内乱にまで発展しました。
多くの人の命を奪ったこの内乱は、それまで構築されたインフラの70%以上、そして学校や保健施設をはじめとした公共サービスを崩壊させ、失う結果となりました。
この内乱を経て2002年5月20日に大統領選挙や国連東ティモール支援団の設置を行い、独立することとなったのです。
しかしその歩み始めは問題に満ちていました。内乱で失われたインフラなど復興開発を前に、政府への不満を持った若者や、差別を受けたとする兵士によるデモが行われたのです。
このような治安悪化を受け、15万人もの住民が避難民となる事態にもなりました。
治安が回復したのは2007年ごろであり、復興開発が遅れに遅れ2009年を「インフラの年」としてやっと本格的な国づくりに着工したのです。
しかしここまで続いた闘争や治安悪化は東ティモールの国土を荒廃させ、唯一の産業である農業でさえ満足にできない状態で、主食などを近隣国から輸入せざるを得ない状態なのです。
産業はコーヒー豆の生産を行っていますが、商品作物としての価値は他国と比べても低く、輸出高は大きく引き離されている状態で、収入源がほとんどありません。
農業が主な産業であるとどうしても国際競争力は弱いため、財政再建の目処も立てられず、東部と西部の住民間にある軋轢や高い失業率による暴動など政治的な不安もあり、貧困問題はより深刻で、その対策もままならない状態になってしまっています。
(出典:外務省公式サイト)
東ティモールの貧困の現状とは
このように長く続いた復興への遅れは貧困問題をますます深刻化させることなりました。
2016年には人口のおよそ40%が1日に1ドル以下での生活を余儀なくされており、45.8%が多次元貧困に陥っていると言われています。
この「多次元貧困」というのは低所得によるものだけではなく、健康状態や教育、暴力の脅威など複数の項目で貧困の実態を把握するための指標です。
これにより5歳未満の子どもの47%が発育不足、12%が衰弱であるとの報告もされています。
雇用情勢は首都ディリでさえ15~34歳の失業率が6割以上とも言われ、かなりの高さになっています。
そもそも国民の7割が30歳以下の若年層で占められており、産業が少ないことから就労の機会が少なく、また技術や経験を持つ中年層や高年層が少ないこと、また産業が農業以外にないことから人材育成や産業育成、雇用創出が大きな課題となっており、対策が必須となっています。
東ティモールで行われている支援活動
このような東ティモールの情勢を受け、日本やオーストラリア、ポルトガル、米国が援助を行っています。
特に日本では内乱で失われてしまった教育や人材育成、制度つくり、インフラの整備とその維持管理、産業となっている農業や農村開発、産業の多様化の促進などの支援を継続して行っています。
また国連やNGO・NPOなどの団体も取り組みを進めています。
こちらは主に食糧などの提供を行っており、特に深刻な子どもの重度の栄養不良、発育不足などを速やかに改善できるよう栄養強化ペーストなどを含む緊急食糧支援から、保護者に向けた食事の指導などを実施しています。
さらに産業の低迷が起きている原因であるコーヒー豆の輸出には、国同士のやり取りではなく、生産者と購入者の間で適切な価格の取引ができるフェアトレードを進める団体もあります。
主となるコーヒー栽培が発展しないのは国際競争に対応できず、不適切な価格での取引で生産者の収入が極端に少ないことが問題となります。
そのため今の情報社会の強みを活かし、ネットを介して消費者が直接生産者から購入できるシステムを構築してフェア(平等)トレードを促進することで、生産者である東ティモールの人々の収入を上げ、貧困を改善しようとする試みも行われています。
(出典:外務省公式サイト)
(出典:国連WFP 公式サイト)
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東ティモールの現状を知り、私たちにできることを考えよう
東ティモールは独立して時間もそれほど経っておらず、国民も全体的に若いため多くの支援を必要としています。
これからの発展のため、先述した国や関係機関、国際的な組織、民間団体など様々な支援の手が伸びています。
東ティモールで行われている支援活動に、私たちも寄付により間接的に参加することが可能です。一人でも多くの人を貧困から救うために、私たちの寄付が大きな力となるのです。
まずはこの国の現状を知り、私たちにできることから取り組んでいくみてはいかがでしょうか。