多くの生物が生まれ育まれている海ですが、ここに住む海洋生物の中には絶滅危惧種と認定されるほど個体数が減っている種がいます。
これは自然に起こることではなく、私たち人間の行動が大きな影響を与え、様々な種の個体数を減らしてしまっています。
どのような活動が原因となり、絶滅危惧種が増えているのか、この記事で対策とともに紹介します。
海の絶滅危惧種とは?レッドリストにある魚・海洋生物の種類・数、原因と対策についても紹介!
「プラスチックごみ問題の解決に取り組む」
活動を無料で支援できます!
30秒で終わる簡単なアンケートに答えると、「プラスチックごみ問題の解決に取り組む」活動している方々・団体に、本サイト運営会社のgooddo(株)から支援金として10円をお届けしています!
設問数はたったの4問で、個人情報の入力は不要。あなたに負担はかかりません。年間50万人が参加している無料支援に、あなたも参加しませんか?
絶滅危惧種が増える海の現状とは
地球の約7割は海であり、そこには多くの生物が生息しています。全ての海を調査できるわけではないため、私たちの知らない、まだ発見されていない生物も存在する可能性も有ります。
生命が生まれたのも海であるとされており、命を育む環境として私たち人間もその恩恵を享受しています。
しかしそんな海に住む生物も現在は様々な理由で絶滅の危機に瀕している種が存在し、今も増え続けています。
全ての種を調査できていない以上、知らず知らずのうちに絶滅してしまった海洋生物も存在するかも知れませんが、私たちが知る海洋生物の中にも絶滅危惧種は存在します。
海洋生物に限りませんが、生物全体で1975年から2000年までの25年間で年間平均4万種、13分毎に1種の生物が絶滅したとも言われています。
恐竜が存在した時代でも絶滅は1000年に1種程度と言われていることから、急速に種の個体数が減少していることが分かります。
ニホンウナギの絶滅危機
日本人の食文化に大きく関わる海洋生物の中でもポピュラーな部類に入るのがウナギです。
毎年7月に土用の丑の日にウナギを食すという文化もあります。
しかしここで消費されるウナギは近年、インドネシアウナギなど海外のウナギを用いることが増えています。
これは本来日本近海に生息する「ニホンウナギ」が絶滅危惧種IB類(※)に指定されるほど、その個体数を減らしているためです。このまま個体数を減らしていけば、いずれニホンウナギは絶滅してしまう可能性もあります。
(※)絶滅危惧種IB類:近い将来における野生での絶滅の危険性が高い
(出典:京都府「レッドデータブックとは」,2015)
(出典:消費者庁「限りある資源を大切に、食品ロスからウナギを守る取組」)
海の絶滅危惧種が増える原因
魚を含む海洋生物の中に絶滅危惧種が増える原因はいくつかありますが、その根幹にあるのは私たち人間の生産活動によるものです。
海は生命を育む場所であると紹介しましたが、それも環境が整っていなければ成り立ちません。
本来であれば生物が生きていくための健全な環境が海にはあったはずですが、私たちが何十年と続けてきた急速な開発や生産活動、環境破壊などにより海は汚染されてしまいました。
また絶滅危惧種を増やす要因は間接的なものだけでなく、直接的なものもあります。以下は直接的・間接的な要因をまとめたものになります。
海洋汚染 | 地球温暖化による影響 |
---|---|
|
|
海洋汚染
海洋汚染は様々な要因で起こります。その中でも最も深刻なのはプラスチックごみによる汚染です。
私たちの生活の中でペットボトルから容器包装、家庭用品やおもちゃなど様々な場所でプラスチックは利用されています。
それだけ便利な物ではありますが、ポイ捨てや不適切に処理されたプラスチックごみが大量に海に流出し、海洋生物に悪影響を与えています。
海洋生物にプラスチックゴミを認識する力はありません。そのため餌と一緒に誤飲してしまい、体内で詰まらせ死に至ることもあります。
また釣り糸やロープなどが絡まり、簡単に外れないことから海洋生物に被害を与えています。
劣化して5mm以下に細かくなったマイクロプラスチックと呼ばれる粒子も海洋を漂うことから、魚などに取り込まれ蓄積してしまうことから、食物連鎖に取り込まれ生態系全体に影響を及ぼすことが懸念されています。
海洋に漂うごみはプラスチックだけではありませんが、特に大きな被害をもたらしていると言えます。
油や工場・生活排水による影響もあります。油は海洋そのものを汚染するだけでなく、それを取り込んだ、あるいは付着してしまった生物の機能不全を起こさせる要因にもなります。
海鳥の中には海洋に流れ出した油が身体に付着して飛べなくなり、死んでしまうという例も報告されています。
また工場排水や生活排水は富栄養化を引き起こし、プランクトンを大量発生させる原因になります。
プランクトンが増えると海洋生物によっては餌が増えることにもなりますが、海洋中の酸素を大量に消費してしまうことにもつながり、結果として魚の大量死などを引き起こす原因にもなります。
地球温暖化
地球温暖化による影響も懸念されています。
地球温暖化を引き起こすのは温室効果ガスであり、その主成分には二酸化炭素が含まれます。
海洋はこの二酸化炭素を吸収してくれる働きもありますが、正常な排出量であれば大きな影響を受けないものの、現在のように大量に排出されている状況では、二酸化炭素の吸収も多大な影響を受けます。
二酸化炭素を吸収することで海洋の酸性化が起こります。これにより海洋生物にも影響を与えてしまいます。
この海洋酸性化に加え、地球温暖化によって引き起こされる気温上昇の影響を大きく受けるのが、サンゴと言われています。
サンゴは酸性化した海水、そして海水温の上昇により白化すると研究により明らかになりました。白化が長期的に続けばサンゴは死滅してしまうと言われています。
もちろん海洋酸性化や海水温の上昇は他の生物にも影響を与えます。例えばサケは地球温暖化とそれによる気候変動によってサケの小型化や高齢化が顕著になると予想されています。
乱獲や開発、外来種の持ち込み
乱獲による個体数の減少も懸念されてきました。海洋資源として生物を乱獲することは、その種の個体数を減らすことにつながるだけではなく、生態系のバランスの悪化にもつながります。
また希少種の混獲(※1)やゴーストフィッシング(※2)などが起こることもあり、漁業をする上で海洋生物に配慮した漁獲が必要となります。
海洋環境の保全を含め、その担い手となるのが漁業者なのですが、近年は漁業に携わる人が減少しており、漁業に関する問題も発生しています。
人の手による開発も海洋生物に影響を与えます。干潟や砂浜はウミガメなどの海洋生物にとっては産卵場としても利用されますが、そのような場所の開発による埋め立てや汚染によって産卵できる環境が減少しています。
陸地で行われる開発工事などにより、川から海に赤土が流れ出し、それが海洋生物の生育に悪影響を及ぼすこともあります。
他にも外来種を持ち込むことにより、生態系が変化してしまい、在来種が減少してしまうという例も報告されています。
(※1)混獲:漁獲対象に混ざって、対象外の魚や海獣種などが一緒に漁獲されること
(※2)ゴーストフィッシング:放置された漁具が海洋生物に危害を与えること
(出典:政府広報オンライン「海のプラスチックごみを減らし、きれいな海と生き物を守る!」)
(出典:環境省「海のめぐみってなんだろう?」)
(出典:環境省「気候変動による影響」)
(出典:気象庁「海洋酸性化」)
絶滅危惧種が増えないよう海洋生物を保護するための取り組みや対策
海洋生物は私たち人間の活動によって多くの種が絶滅に瀕しています。
このまま次々と海洋生物が絶滅していけば、私たちにも多大な影響を与えることになります。
そうならないためにも、国際機関や政府、関係機関が中心となり海洋生物を保護する活動が進められています。
例えば日本政府は生態系や生物多様性を保全するために、海洋保護区を設定しています。これは日本だけでなく、世界的に行われている取り組みでもあります。
設定の基準などが定められているわけではないですが、日本では自然公園や自然海浜保全地区などが多数存在しています。
また開発事業を行う際も、事前に環境への影響を調査、予測、評価を行い、適切な環境保全を行うことにも取り組まれています。
漁業に関しても海洋資源を適切に保存し、管理すること、そして漁具や漁法などの制限や規制区域・期間の設定、主要な魚種に対する漁獲可能量などを設定して対応しています。
外来種の問題についても、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」を策定し、駆除と抑制にあたっています。
(出典:環境省「海とのつきあい方:”海洋保護区”で守る」)
(出典:環境省「わたしたちにできること:国の取り組み(2) -海の生物多様性への影響要因の解明とその軽減策の実施-」)
絶滅危惧種を守るために私たちにできること
政府では様々な取り組みが行われていますが、絶滅危惧種を保護する取り組みを国や関係機関だけに任せておくだけでは根本的な解決にはなりません。
絶滅危惧種を出している要因の多くは私たちの生活から発生しています。プラスチックゴミや二酸化炭素の排出はその最たるところです。
これらを抑制するなどの取り組みを一人ひとりが意識的にしていかなければ、絶滅危惧種や海洋環境の保全はできません。
では絶滅危惧種を保護するためにどのような対策が取れるのか紹介します。
二酸化炭素を含む温室効果ガスの抑制
私たちの生活の中には二酸化炭素を排出するものが多く存在します。地球温暖化の原因である温室効果ガス、その主となるのが二酸化炭素である以上、この排出抑制が何よりも必要です。
私たちができることとしてはカーテンによる太陽光の調節やクールビズ・ウォームビズにより冷暖房機の使用を控えることや、温度を控えめに設定することが挙げられます。
これらの機器は電力を多く消費することから、発電所でより多くの発電が必要になり、そこで化石燃料が消費されることで多くの二酸化炭素が排出されてしまいます。
冷暖房気に限らず、電化製品の主電源をこまめに切る、長時間使わないものはコンセントから抜くなど節電を心がけることが大切です。
また通勤や通学、買い物を行うときには自家用車の使用は控え、バスや鉄道などの公共交通機関、自転車などを利用することも有効です。
自家用車を利用する際にもアイドリングストップなどのエコドライブを実践することで、二酸化炭素の排出量を抑えられます。
プラスチックゴミを減らす
プラスチックゴミは私たちの生活の中から生まれます。そのため私たちが意識的に行動できるかどうかが、海洋プラスチックゴミを減らせるかどうかにも影響します。
例えばよくあるのは買い物の際にもらうレジ袋ですが、ゴミになる可能性が非常に高いです。そのためマイバックを持参することで、レジ袋をもらわない工夫が必要です。
またマイボトルやマイ箸を持ち歩くことで、プラスチックのカップやスプーン、フォークの使用を減らすことができます。プラスチック製のストローやラップの使用を控えること、シャンプーなどは詰め替え用ボトルを利用することも有効です。
さらに海や川、山のレジャーではゴミを持ち帰ることや、屋外で出たゴミは持ち帰って適切に処理することも大切です。間違ってもポイ捨てや不法投棄などはしないようにしましょう。
海洋生物や海洋保全の取り組みに参加する
全ての海洋環境を保全することは一個人には難しいことですが、多くの人が集まり取り組めば、汚染された環境を改善することは不可能ではありません。
例えば沿岸地域のゴミ拾いなどに参加するのもその1つです。
生物多様性が生まれる干潟や砂浜の保全はゴミ拾いを行うことも必要となります。
1人で拾うこともできますが、拾い砂浜や干潟を清掃しきるのは困難ですが、このような地域活動に参加することで力になることができます。
またエコラベルが貼られている海産物を購入するのも海洋生物を守る活動につながります。
エコラベルとは水産資源の持続的利用や環境に配慮した漁業・養殖業を行っていることを証明するものです。
つまりこれが貼ってある商品は適切な海洋資源の運用と海洋保全がなされている商品です。このような商品を買うことで、海洋生物と環境を守る漁業者を手助けすることになります。
(出典:気象庁「地球温暖化を緩やかにするために私たちにできること」)
(出典:政府広報オンライン「海のプラスチックごみを減らし、きれいな海と生き物を守る!」)
(出典:環境省「わたしたちにできること:国の取り組み(3) -海域の特性をふまえた施策の推進-」)
(出典:水産庁「水産エコラベルをめぐる状況について」)
生命を育む海と、そこに住む絶滅危惧種や海洋生物を守るために
私たちは海と海洋生物なしには生きていくことはできません。普段はあまり意識ないかもしれませんが、海や海洋生物から受ける恩恵は多いです。
その恩恵が失われれば、今度は私たちが絶滅危惧種となる可能性も否定はできません。
こちらで紹介したように、絶滅危惧種を含め、海洋生物を守るためにできることは多いです。
海の近くに住んでいなかったとしても、私たちの普段の生活が海や海洋生物に大きな影響を与えます。
まずは一人ひとりが絶滅危惧種を守る取り組みを知り、できることから始めてみましょう。
「プラスチックごみ問題の解決に取り組む」
活動を無料で支援できます!
30秒で終わる簡単なアンケートに答えると、「プラスチックごみ問題の解決に取り組む」活動している方々・団体に、本サイト運営会社のgooddo(株)から支援金として10円をお届けしています!
設問数はたったの4問で、個人情報の入力は不要。あなたに負担はかかりません。年間50万人が参加している無料支援に、あなたも参加しませんか?