海洋生物はこの広い海に生息し、それぞれが生態系を維持するために存在しています。形成されている食物連鎖の中にあって、支えあいながら共存しています。
その範囲は広く深いことから、全てを把握できるわけではありません。
人類がまだ知らない生物も存在すると言われていますが、一方で知られている生物の中には絶滅の危機に瀕している海洋生物もいます。
この記事では絶滅危惧種に指定されている海洋生物を世界規模で紹介します。
海の絶滅危惧種とは?レッドリストにある魚・海洋生物の種類・数、原因と対策についても紹介!
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絶滅危惧種とレッドリスト
世界には私たち人間を含む、様々な生物が存在しています。日本だけでも何万もの生物が生息しており、それぞれの生息地で生きていますが、今その存在が脅かされています。
それは地球温暖化や気候変動、森林伐採や海洋汚染などの環境破壊にあります。
主となる原因は私たちの活動です。
これにより生物の中には住む場所を追われ、適した環境を失い、絶滅に瀕している種もあります。
恐竜を例として生物の絶滅はこれまでもありましたが、現在はかつてないスピードで多くの生物が絶滅しつつあります。
一度絶滅してしまえば地球上に戻ることはなく、生物の絶滅は生態系のバランスを崩し、自然環境全体に大きな影響を与えてしまうことになります。
もちろんその影響は私たちに及ぶ危険性があり、危機感を持たなければいけないことです。
その現状を知ってもらうため、あるいは調査・研究に利用するために作成されているのが「レッドリスト」という存在です。
レッドリストとは
レッドリストとは「絶滅のおそれのある野生生物の種」のリストの別称です。既に絶滅してしまったものを含め、生物学的な観点から個々の種の絶滅の危険度を評価してリスト化したものになります。
このリストはIUCN(国際自然保護連合)という組織が国際的に取りまとめたものを作成しています。また日本国内においては環境省や地方公共団体、NGOなどが作成を行っています。
このIUCNは1948年にスイス・グランで設立された社団法人であり、自然及び天然資源の保全に関わる国際的な連合体として、生物や環境、資源の保全分野で専門家による調査研究を行い、関係各方面への勧告や助言、支援などを実施しています。
IUCNでまとめられたレッドリストは毎年更新されており、2019年12月に更新されたものでは112,432種が記載され、うち30,178種が絶滅危惧種と評価されています。
またその調査の過程で絶滅危惧種が多い国の上位10カ国は以下のようになりました。(2017年時点)
順位 | 国 |
---|---|
1 | エクアドル |
2 | アメリカ合衆国 |
3 | マダガスカル |
4 | インドネシア |
5 | マレーシア |
6 | メキシコ |
7 | タンザニア |
8 | 中華人民共和国 |
9 | インド |
10 | ブラジル |
特にエクアドルにはダーウィンが「種の起源」を発表するきっかけとなったガラパゴス島が属しています。
ガラパゴス島には太古から今に至るまで多くの生物が種を絶やさず存在してきましたが、現在の地球環境に大きく影響を受け、絶滅の危機に瀕している種が多数存在しています。
このままにしてしまえば生物学的にも希少であり、私たち自身も二度と目にすることができない生物が地球上から消えてしまう危険性が高い状況にあります。
(出典:環境省「日本の絶滅危惧種と生息域外保全」)
(出典:外務省「絶滅危惧種の多い国」,2017)
(出典:外務省「エクアドルという国-日本・エクアドル外交関係樹立100周年」)
(出典:外務省「国際自然保護連合(IUCN)」,2019)
絶滅危惧種に指定されている海洋生物
絶滅危惧種に登録されている海洋生物の中でも特に多いのがサメとエイです。サメ科の生物は海洋生態系の中でも食物連鎖のトップにいることから個体数が少なく、繁殖率も低いことから絶滅の危機に瀕しやすい生物ではあります。
IUCNのレッドリストには以下のサメが絶滅危惧種として評価されています。
絶滅危惧IA類 | アカシュモクザメ(Sphyrna lewini) インドメジロザメ(Carcharhinus hemiodon) ヒラシュモクザメ(Sphyrna mokarran) ホンカスザメ(Squatina squatina) |
---|---|
絶滅危惧種IB類 | アオザメ(Isurus oxyrinchus) オオヒレメジロザメ(Lamiopsis temminckii) ジンベイザメ(Rhincodon typus) トラフザメ(Stegostoma fasciatum) ニシオンデンザメ(Somniosus microcephalus) |
絶滅危惧II類 | ホホジロザメ(Carcharodon carcharias) |
準絶滅危惧種 | イタチザメ(Galeocerdo cuvier) |
これはあくまで一部でしかありませんが、現生最大の種であるジンベイザメは温帯にも生息するため日本でも有名なサメです。
このジンベイザメやアオザメは最高級食材であるフカヒレとしても取引されることもあり、絶滅の危機に瀕しています。
もちろん絶滅危惧種に指定されている海洋生物はサメ科以外の生物もいます。例えばガラパゴスオットセイ(Arctocephalus galapagoensis)はその名の通りエクアドルのガラパゴス諸島の固有種であり、絶滅危惧IB類と評価されています。
また太平洋や大西洋、インド洋などに広く生息するイワシクジラ(Balaenoptera borealis)も絶滅危惧IB類と評価されています。
(出典:IUCN「RED LIST」)
絶滅危惧種や海洋生物を守るための世界的な取り決め
海洋生物は人間の生産活動などによる海洋の汚染や乱獲によって、その個体数を減らしています。
現状日本を含め、海を利用する国の多くは様々な条約や行動計画などを遵守し、この海洋生物を保護する取り組みが行われていますが、抜本的な解決には至っていません。
しかしこういった取り決めを定め、推し進めていかなければ海洋生物はいずれ絶滅し、私たちを取り巻く環境は大きく変わってしまう可能性もあります。
世界では海洋生物を含め、生物の乱獲や移動を制限するために世界で結ばれた条約が「ワシントン条約」であり、海洋環境の保全を行うために取り組まれているのが「陸上活動からの海洋環境の保護に関する世界行動計画(GPA)」です。
ワシントン条約
ワシントン条約は1973年に採択された野生動植物の国際取引の規制のための条約です。日本は1980年に締約国となり、2019年時点で182カ国と欧州連合がこの条約を締結しています。
この条約では野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、絶滅のおそれのある野生動植物の保護を図ることを目的とし、商業取引の禁止や規制などを3種類に分けて取り締まりを行っています。
基準 | 規制内容 | 対象種の例 |
---|---|---|
絶滅のおそれのある種で、取引による影響を受ける、あるいは受けるおそれのあるもの | ・商業目的のための取引禁止 ・学術目的(繁殖目的を含む)の取引は可能 ・輸出国、輸入国双方の許可書が必要 |
ジャイアントパンダ アフリカゾウ トラ チンパンジー クモノスガメ アジアアロワナなど |
現在は、必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅の危機のおそれがあるもの | ・商業目的の取引は可能 ・輸出国政府が発行する輸出許可書が必要 |
ホッキョクグマ トモエガモ カメレオン ピラルクなど |
締約国が自国内の保護のため、他の締約国の協力を必要とするもの | ・商業目的の取引は可能 ・輸出国政府の発行する輸出許可書、または原産地証明書などが必要 |
ワニガメ(アメリカ) セイウチ(カナダ) ハナガメ(中国) タイリクイタチ(インド) |
陸上活動からの海洋環境の保護に関する世界行動計画(GPA)
この計画は1995年に陸上活動からの海洋環境汚染の防止により海洋の保全や、持続可能な海洋利用の促進を図ることを目的として採択されました。
国際連合環境計画(UNEP)が主導となり、140カ国以上を対象として、この計画の条約あるいは行動計画を通して共通の海洋・水資源を保護するため地域海計画を策定し、海洋・沿岸環境の持続可能な管理と利用を通して悪化を増す世界の海洋・沿岸地域の環境問題に取り組んでいます。
これにより資源としてだけでなく、海洋生物の保護にもつながっています。
(出典:政府広報オンライン「希少な野生生物を守る 「種の保存法」」)
(出典:外務省「ワシントン条約」)
(出典:国際連合広報センター「海洋環境の保全」)
(出典:文部科学省「海洋をめぐる国内外の情勢」)
日本で行われている海洋生物を保護するための活動
世界的な取り組みはもちろん、日本でも独自に海洋生物を保護するため、そして海洋環境を保全するための取り組みが行われています。
例えば沖縄県周辺の海などに生息するサンゴ礁とその周りの環境を保全する計画として「サンゴ礁生態系保全計画」が策定され、取り組まれています。
また漂流や漂着したごみの対策や、周辺を陸地に囲まれた内湾などの水質汚染の問題などへの対策も行われています。
そしてなによりも海洋生物を保護する活動として行われているのが「海洋生物多様性保全戦略」です。
(出典:環境省「海洋生物多様性保全戦略公式サイト」)
(出典:環境省「海洋生物多様性保全戦略」)
海洋生物多様性保全戦略
この戦略は2008年に成立した生物多様性基本法に基づき策定されたものであり、海洋の生態系の健全な構造と機能を支える生物多様性を保全して、海洋の生態系サービス(海の恵み)を持続可能なかたちで利用することを目的としています。
そのために関係省庁や地方公共団体、研究者、市民団体などと連携して海洋環境や生態系などの情報収集を行い、陸からの環境汚染や海での油・有害化学物質・廃棄物の排出、廃棄物の投棄による汚染や事故などの防止などが進められています。
また乱獲などによる絶滅を防ぐため、漁具・漁法などの制限や規制区域・期間の設定、主要な魚種に対する漁獲可能量(TAC)などが設定され、水産資源の持続可能な利用を目的として、漁業者による自主的な規制や管理が全国的に実施されています。
他にも海洋保護区の設定と推進を保護区間のネットワーク化、あるいは海洋保全の取り組みの普及や地域での取り組み支援など幅広い海洋生物保全のための活動が行われています。
絶滅危惧種を守り海洋生物を保護することは私たちの未来にもつながる
絶滅危惧種は海洋生物だけに留まらず、陸や空に生きている生物に関しても同様に存在しています。
もちろん全ての生物に対して保護や保全を行わなければいけませんが、海洋生物は特に生命の源となる海洋環境を守る役割も果たしており、重要な資源でもあります。
そういった海洋生物を守ることは、私たちがこれから生きていく未来を守ることにもつながります。
海洋生物の多くを絶滅の危機に追いやっている要因は様々ですが、1つでも解決できるように取り組んでいかなければいけません。
私たちができるのは地域の取り組みに参加することや、海洋生物を保護する団体などを支援していくことです。
絶滅危惧種について理解を深め、できることに取り組んでいくことが重要です。
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