少子化

日本がこれまで行ってきた少子化対策とは?

  • 2020年2月17日
  • 2022年12月20日
  • 少子化

少子化は今なお続く日本の問題の1つです。この少子化は1990年代に問題視され、その後日本政府によって様々な対策が行われてきました。

しかし歯止めは利かず、新しい施策を行い、少子化を抑止するための取り組みが進められています。この記事では日本がこれまで行ってきた少子化対策について紹介します。

日本の少子化問題とは?原因や将来への影響を知り対策を考えよう

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日本の少子化の始まりと推移

少子化とは、合計特殊出生率が人口を維持するのに必要な水準を相当期間下回っている状況と定義されています。

この少子化という言葉は1992年に出された国民生活白書の「少子社会の到来、その影響と対応」というテーマで使用され、少子社会の現状や課題を説明する上で政府の公的文書内で初めて解説・分析が行われました。

また1990年に前年の出生率が1.57であるという報告を行ったことで起こった「1,57ショック」によって、一般的に少子化問題が認知されるようになります。
この少子化の始まりは1970年代から始まったとされています。1949年は第一次ベビーブームにより4.32と高い出生率を誇っていました。

そこから出生率は落ちていきますが、1973年には再びベビーブームが到来し、2.14まで回復しています。

そしてオイルショックや人口増加の影響、バブル崩壊による不況、そしてそれによる未婚化や晩婚化、晩産化や無産化が増加し、出生率は低下していき、1989年の1.57を記録することになったのです。

これは1966年に記録した出生率1.58を下回り、当時の過去最低出生率となったことにより、世間を驚かせました。

そこから多くの対策や取り組みが行われましたが、未だこの低下に歯止めがかけられておらず、2005年には出生率が1.26と過去最低を更新し、2020年のデータでも1.33と低い水準となっています。

  • 少子化とは合計特殊出生率が、人口を維持するのに必要な水準を相当期間下回っている状況と定義されている
  • 1990年に前年の出生率が1.57であるという報告を行ったことで起こった「1,57ショック」によって、一般的に少子化問題が認知されるようになった
  • 2005年には出生率が1.26と過去最低を更新し、2020年のデータでも1.33と低い水準のままである

(出典:内閣府「第1部 少子社会の到来とその影響」)
(出典:厚生労働省「少子化社会対策基本法の概要」)

日本政府が行った少子化への施策

1990年の1.57ショック以降、日本政府は少子化を止めるために、様々な法整備や施策を実施してきました。

どれも少子化を止めることはできていないものの、これらを実施しなければ、出世率の低下などはもっと急激なものになっていた可能性もあります。

日本政府がどのような少子化対策を行ってきたのか、代表的なものを紹介します。

エンゼルプランと新エンゼルプラン

1990年の1.57ショックと1992年の国民生活白書での報告を受け、1994年に当時の文部省、厚生省、労働省、建設省の4大臣合意の下に始まったのがエンゼルプランです。

正式には「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」という施策であり、仕事と子育ての両立支援など子どもを生み育てやすい環境づくりに向けての対策の検討をはじめ、1995年から10年間に取り組むべき基本的方向と重点施策として実施しました。

このエンゼルプランは1995年から1999年の5年間行われました。それまでの施策への評価から1999年に少子化対策推進基本方針を閣議決定し、この方針に基づく重点施策の具体的実施計画として「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」定めた新エンゼルプランが策定されています。

これは当時の大蔵省、文部省、厚生省、労働省、建設省、自治省の6大臣合意によるものであり、2000年から2004年の後半5年間で実施されました。

少子化対策基本法と次世代育成支援対策推進法

新エンゼルプランの満期を迎える2004年に向け、2003年には少子化対策に向けた2つの法整備が行われました。

1つが少子化対策基本法になります。この法律は国民生活に深刻かつ多大な影響をもたらす急速な少子化の進展への対策を目的しており、少子化社会において講じ、行える施策の基本理念を
明らかにし、少子化に的確に対処するための施策を総合的に推進することを規定しています。

また第7条では後述する少子化社会対策大綱を策定し、概ね5年後を目処に見直しを行っていくことが決められています。

もう1つが次世代育成支援対策推進法です。こちらは家庭や地域の子育て力の低下に対応して、次世代を担う子どもを育成する家庭を社会全体で支援する観点から、地方公共団体及び企業における2003年から10年間の集中的かつ計画的な取り組みを促進するために策定されました。

この法律では地方公共団体および事業主が、次世代育成支援のための取り組みを促進するために、それぞれ行動計画を策定し、実施していくことを狙いとしたものです。

2014年に法改正され、有効期限が更に10年間延長されるとともに、新たな認定制度の導入など内容の充実が図られました。

少子化社会対策大綱

1994年の少子化社会対策基本法の施行に伴い、施策実施のためにこの少子化社会対策大綱が策定されました。

この大綱は少子化社会対策基本法に基づく総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策の指針として定められています。

2004年に最初の閣議決定がなされ、2010年、2015年、2020年に再度閣議決定されました。
2009年には内閣府に「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、「“みんなの”少子化対策」という提言をまとめています。

その後同年に発足した「子ども・子育てビジョン(仮称)検討ワーキングチーム」において検討が行われ、翌年少子化社会対策基本法に基づく新たな大綱「子ども・子育てビジョン」が閣議決定されました。

2020年においては時代の変遷に伴い
「『希望出生率1.8』の実現に向け、令和の時代にふさわしい環境を整備し、国民が結婚、妊娠・出産、子育てに希望を見出せるとともに、男女が互いの生き方を尊重しつつ、主体的な選択により、希望する時期に結婚でき、かつ、希望するタイミングで希望する数の子供を持てる社会をつくる」
ことを基本目標として数値的な目標などを定め、策定されました。

子ども・子育て応援プラン

子ども・子育て応援プランは2004年に閣議決定された少子化社会対策大綱に盛り込まれた施策の効果的な推進を図るために実施されたプランです。

正式には「少子化社会対策大綱に基づく具体的実施計画について」を決定し、国が地方公共団体や企業などとともに計画的に取り組む必要がある事項について、2005年度から2009年度までの5年間に講ずる具体的な施策内容と目標を掲げています。

待機児童の解消に向けた取組

待機児童は都心部を中心に深刻な問題になっていたことから、問題解消の取り組みを加速させるため、2013年度から2017年度末までに約40万人分の保育の受け皿を確保することを目標とした「待機児童解消加速化プラン」を新たに策定しました。

これは2015年度からの子ども・子育て支援新制度の施行を待たずに、待機児童解消に意欲的に取り組む地方自治体に対してはその取り組みを支援しています。

その結果として待機児童解消に向けた「緊急集中取組期間」である2013年度及び2014年度において、目標値の20万人を上回る約22万人分の保育の受け皿拡大を達成しました。

働き方改革などにより女性の就業がさらに進むと考えられ、2017年度までの整備量を上積みして40万人から50万人とすることとし、待機児童の解消を目標とした取り組みです。

放課後子ども総合プラン

保育所を利用する共働き家庭などにおいては、児童の小学校就学後も、その安全・安心な放課後などの居場所の確保という問題があります。

これは「小1の壁」と言われており、これを打破するため児童が放課後などを安全・安心に過ごすことができる居場所についても整備を進めていくことが大切です。

加えて共働き家庭などの児童に限らず、全ての児童が放課後などにおける多様な体験・活動を行うことで次代を担う人材の育成することが重要であり、全ての児童を対象として総合的な放課後対策を講じる必要があります。

このような考え方から文部科学省および厚生労働省が連携して2014年に「放課後子ども総合プラン」を策定し、2019年までに放課後児童クラブについて、約30万人分を新たに整備することなどを目指し、取り組みが行われていました。

この取り組みは順調に進み約30万人分の放課後児童クラブが整備されました。しかし、近年の女性就業率の上昇等により、更なる共働き家庭等の児童数の増加が見込まれるため、新たな目標として「新・放課後子ども総合プラン」が策定されました。

このプランでは、
・2021年度末までに約25万人分の放課後児童クラブを整備し待機児童解消を目指す
・女性就業率の上昇を踏まえ2023年度末までに計約30万人分の受け皿を整備
といった目標が掲げられています。

ニッポン一億総活躍プラン

2015年10月より、「夢をつむぐ子育て支援」などの「新・三本の矢」の実現を目的とする「一億総活躍社会」の実現に向けたプランとして、2016年に「ニッポン一億総活躍プラン」が取りまとめられ閣議決定されました。

このプランでは経済成長の妨げとなる少子高齢化に正面から立ち向かうこととし、「希望出生率1.8」の実現に向け、若者の雇用安定・待遇改善、多様な保育サービスの充実、働き方改革の推進、希望する教育を受けることを妨げる制約の克服などの対応策を掲げています。

働き方改革実行計画

働き方改革は上述した「ニッポン一億総活躍プラン」において、一億総活躍社会に向けた最大のチャレンジと位置付けられた改革です。

この働き方改革は時間外労働の上限規制の在り方などの「長時間労働の是正」、同一労働同一賃金の実現などによる「非正規雇用の処遇改善」などをテーマに討議が行われ、2017年に「働き方改革実行計画」という取り組みが行われました。

子育て安心プランと新しい経済政策パッケージ

女性の社会進出促進により25歳から44歳の女性就業率の上昇や、保育の利用希望の増加が見込まれることから公表され実施されているのが「子育て安心プラン」です。

このプランは2018年度から2022年度末までに女性就業率80%にも対応できる約32万人分の保育の受け皿を整備することとしています。

さらに2017年に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」では、これを前倒しして2020年度末までに整備することが目標です。

その新しい経済政策パッケージは少子高齢化という最大の壁に立ち向かうため、「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪とする施策として閣議決定しました。

このうち「人づくり革命」については、幼児教育の無償化、待機児童の解消、高等教育の無償化など、子育て世代、子どもたちへ大胆に政策資源を投入することで、社会保障制度を全世代型へと改革することとしました。

  • 日本政府は、少子化対策及び子育て支援として、エンゼルプランや新エンゼルプランを策定した
  • エンゼルプランの後には、少子化対策基本法や次世代育成支援対策推進法などを対策として策定している
  • 日本政府は、「夢をつむぐ子育て支援」などの「新・三本の矢」の実現を目的とする「一億総活躍社会」の実現に向けたプランとして、2016年に「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定し実行している

(出典:内閣府「国の取組み」)
(出典:内閣府「少子化社会対策大綱」)

今も続く少子化問題との戦い

少子化問題は今もなお続いています。これまで様々な施策を行ってきましたが、決定的な改善にはいたっていません。

それでも時代の変遷や施策の評価と調整により、一定の成果は上げています。それでもまだ不足しているとなれば、さらなる施策や取り組みが必要となります。

少子化を止めるのは簡単にできることではありません。それでもできることを1つずつ進めていくことが大切です。

私たち一人ひとりも無関係ではなく、私たちが住む日本社会の将来に関わります。少子化問題について知り、できることを探してみることをおすすめします。

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この記事を書いた人
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