少子高齢化は日本における重大な問題として存在します。世界を見てみると先進諸国では日本同様に少子化や高齢化が進んでいますが、その中でも日本は群を抜いて少子高齢化が加速しています。
大きく問題視され対策が行われている少子高齢化問題とは何なのか、少子高齢化問題の現状や課題について解説します。
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少子高齢化とは
少子高齢化は日本で起きている深刻な社会問題です。
少子高齢化は、少子化と高齢化を合わせて作られた言葉ですが、その定義について説明します。
まずは少子化ですが、1992年に発表された国民生活白書によれば、合計特殊出生率が人口を維持するのに必要な水準を相当期間下回っている状況と定義しています。
合計特殊出生率とは15歳から49歳までの女子の年齢別出生率を合計したものです。
続いて高齢化ですが、これは0~14歳を年少人口、15~64歳を生産年齢人口、65歳以上を高齢者人口としたとき、総人口に占める高齢者人口が増大していることを表します。
実は高齢化には国際的に明確な定義がなく、高齢化率を国際的に共通した尺度として使用しているのです。
日本政府の見解では、高齢化社会という用語は1956年の国連報告書において、当時の欧米先進国の水準をもとにしながら、仮に7%以上を「高齢化した(aged)」人口と呼んだことに由来するのではないかとしています。
そのため高齢化率を基準として、7%以上を高齢化社会、14%以上を高齢社会、21%以上を超高齢社会に分類しています。
日本の少子高齢化の現状
日本の少子高齢化がどこまで進行しているのか知るために、現在の各層における人口とその割合を以下に記します*。
総人口 | 1億2550万人 |
---|---|
年少人口 | 1,478万人(11.8%) |
生産年齢人口 | 7,458万人(59.4%) |
高齢者人口 | 3,558万人(28.1%) |
上記数値は2022年時点でのデータであり、割合は各層の人口が総人口に占めるものを算出しています。高齢者人口の割合が年少人口の割合よりも高いことが分かります。
出生数と合計特殊出生率についてですが、第1次ベビーブームがあった1949年の出生数は269万人で合計特殊出生率は4.32と過去最高でした。それに対して第2次ベビーブームがあった1973年はそれぞれ209万人、2.14と減少しています。
2020年の出生数が84万人、出生率が1.33となり、出生数は過去最低を記録しました*。
日本の総人口は2010年の1億2,806万人をピークに減少の一途を辿り、人口を維持するために必要な出生率の水準を下回っていることになります。
このデータから現在の日本は少子化が急速に進み総人口の減少が抑えられず、高齢者人口の大幅な増加により超高齢社会に突入していると言えます。
- 少子化とは、合計特殊出生率が人口を維持するのに必要な水準を相当期間下回っている状況
- 高齢化とは、総人口に占める高齢者人口が増大していること
- 現在の日本は少子化が急速に進み総人口の減少が抑えられず、高齢者人口の大幅な増加により超高齢社会に突入している
*出典:内閣府「令和4年版 少子化社会対策白書」
少子高齢化による問題
少子高齢化は非常に深刻で、経済、自治体、社会保障制度それぞれに影響を及ぼします。
経済への影響
経済活動は労働力人口に左右されますが、人口急減・超高齢化に向けた現状のままの流れが継続していくと、労働力人口は加速度的に減少していきます。
急速な人口減少により国内市場の縮小がもたらされると、投資先としての魅力を低下させてしまいます。
加えて、労働力不足解消のための長時間労働の深刻化やワーク・ライフ・バランスが改善されないことにより、少子化がさらに進行していくという悪循環が生ずる恐れも懸念されています。
こうした少子化による人口急減と超高齢化による経済へのマイナスの負荷が、需要面や供給面の両面で働き合って、マイナスの相乗効果を発揮してしまいます。
一度経済規模の縮小が始まると、さらに縮小を招くという負のスパイラルに陥るおそれがあります。国民負担の増大が経済の成長を上回り、実際の国民生活の質や水準を表す一人当たりの実質消費水準を低下させ、国民一人ひとりの豊かさが奪われるような事態が訪れる可能性もあるのです。
自治体への影響
市区町村毎の人口動向を地域ごとの出生率で見ると、急速に低下しています。
地方圏から大都市圏への人口移動が現状のまま推移する場合、地方圏以上に出生率が低い東京圏への人口流入が続いていくことにより、人口急減・超高齢化の進行に拍車をかける危険性が指摘されています。
超高齢化になると、地方圏を中心に4分の1以上の自治体で行政機能をこれまで通りに維持していくことが困難になる可能性があります。
さらに東京圏では現状が継続することで、これまで地方圏で先行してきた人口減少と高齢化が、今後は大都市圏、特に東京圏においても急速に進行していくとされています。
人口が集中する東京圏での超高齢化の進行によって、グローバル都市としての活力が失われ、多数の高齢者が所得や資産はあっても医療・介護の受け入れ先が不足し、サービスを受けられない事態を招きかねません。
社会保障制度への影響
1960年の日本では高齢者1人を支える労働者人口の人数は11.2人でしたが、少子高齢化により2014年では2.4人となりました。
少子高齢化がこのまま続くと2060年には高齢者1人に対して労働者人口が約1人で支えることになります。仮に合計特殊出生率が回復したとしても2060年に1.6人、2110年には2.1人で支えると推計されています。
このような少子高齢化の進行による影響により、医療・介護費を中心に、社会保障に関する給付と負担の間のアンバランスは一層強くなります。
- 労働力人口は加速度的に減少していく
- 超高齢化になると、地方圏を中心に4分の1以上の自治体で行政機能をこれまで通りに維持していくことが困難になる可能性がある
- 医療・介護費を中心に、社会保障に関する給付と負担の間のアンバランスは一層強くなります
(出典:内閣府「第2章 人口・経済・地域社会の将来像」)
少子高齢化がもたらす日本の未来
少子化と高齢化が進んでいくとどうなるのでしょうか。
国立社会保障・人口問題研究所では日本の人口規模や年齢構成等の人口構造の推移を推計しています。
それによれば合計特殊出生率は、2015年の1.45という実績値から、2024年の1.42、2035年の1.43を経て、2065年に1.44へ推移すると仮定されています。これだけ見ると合計特殊出生率はほぼ横ばいであると想定できます。
この間に死亡者が出ることを考えると、総人口は2053年には1億人を割って9,924万人となり、2065年には8,808万人になると予測されています。
年少人口、生産年齢人口、高齢者人口の年齢3区分別の人口規模及び構成の推移をみると、年少人口は、2056年には1,000万人を割り、2065年には898万人の規模になるものと推計されています。これは総人口に占める割合が、2065年にはわずか10.2%となることを意味します。
また生産年齢人口は、2056年には5,000万人を割り、2065年には4,529万人となると推計されているため、総人口に占める割合は2065年時に51.4%となる予想です。
高齢者人口は、2042年に3,935万人でピークを迎えた後は減少し、2065年には3,381万人となることから、総人口に占める割合は38.4%となることが考えられています。
少子高齢化の加速により、未来を担う年少人口は1割程度しかおらず、高齢者人口が4割近くを占める未来が待っていることになります。
- 少子高齢化の加速により、未来を担う年少人口は1割程度しかおらず、高齢者人口が4割近くを占める未来が待っている
出典:内閣府「令和4年版 少子化社会対策白書」
少子高齢化への対策
先述したような少子高齢化を止めるため、日本政府は様々な施策を行ってきました。
それらの施策は一定の効果はあるものの、現状を見る限り少子化および高齢化を止めるのに有効な手段とは言い難く、歯止めが利いていない状態です。
これまで少子化や高齢化に対してどのような施策が行われてきたのか、紹介します。
少子化への取り組み
少子化への取り組みとして2015年に「少子化社会対策基本法」を定め、少子化社会対策大綱を策定しています。その中で2016年から2020年までの5年間を集中取組期間と位置づけ、重点課題を設定して取り組みの方針を定め、実施しました。
その後、2020年度の「少子化社会対策大綱」が閣議決定されました。
以下が基本的な考え方です。*
- ・結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる
- ・多様化する子育て家庭の様々なニーズに応える
- ・地域の実情に応じたきめ細かな取組を進める
- ・結婚、妊娠・出産、子供・子育てに温かい社会をつくる
- ・科学技術の成果など新たなリソースを積極的に活用する
少子化社会対策大綱の数値目標の一部を紹介します。**
認可保育所等の定員を306万人(2019年)から320万人(2024年度末)へ
- 第1子出産前後の女性の継続就業率を53.1%(2020年)から70%(2025年)へ
- 男性の育児休業取得率6.16%(2019年)から30%(2025)
- 男女の働き方改革
- 地域の実情に即した取組強化
これらの目標に対して、2021年度に行われた取り組みの一部は以下の通りです。***
- ・2021年度~2024年度、運営費529億円(当初額)を確保し、約14万人分の受け皿の確保
- ・育児休業等取得に積極的に取り組む中小企業に対する50万円の助成事業の創設
また、民間団体も子育て支援を行っています。例えば認定NPO法人 フローレンスでは小規模保育や病児保育を提供しています。
フローレンスの政策提言により「小規模認可保育所」が実現。待機児童問題は解決に向かっています。
*出典:内閣府「少子化社会対策大綱」(概要)
**出典:内閣府「少子化社会対策大綱」別添2 施策に関する数値目標 進捗状況(令和3年3月31日時点)
***出典:内閣府「少子化社会対策大綱」少子化社会対策大綱の推進について<令和3年度における主な取組>
高齢化への取り組み
高齢化への対策としては基本的な枠組みを作り、就業・所得、健康・福祉、学習・社会参加、生活環境、研究開発・国際社会への貢献など、全ての世代の活躍推進、の6つの分野に分けて取り組んでいます。
基本的枠組みは、1995年に施行された「高齢社会対策基本法」に基づき、高齢社会対策を推進するための基本的考え方を踏まえた上で、先の6つの各分野に分けた基本的施策に関して中期に渡る指針を定めました。
就業・所得分野ではエイジレス(年齢にこだわらず)に働ける社会の実現に向けた環境整備、公的年金制度の安定的運営、資産形成などの支援や施策を実施していきます。
健康・福祉分野では、健康づくりの総合的推進や持続可能な介護保険制度の運営や介護サービスの充実(介護離職ゼロの実現)、認知症高齢者支援施策の推進などが実施されています。
研究開発・国際社会への貢献などの分野では、先進技術の活用及び高齢者向け市場の活性化や研究開発などの推進と基盤整備、諸外国との知見や課題の共有などを図っています。
特に研究開発においては、高齢者に特有の疾病や健康増進に関する調査研究など、医療・リハビリ・介護関連機器などに関する研究、高齢社会対策の総合的な推進のための調査分析などが行われています。
そして、全ての世代の活躍推進では全ての世代の人々が高齢社会での役割を担いながら、積極的に参画できる社会を構築するための施策の推進を図るとともに、各分野でニッポン一億総活躍プラン、働き方改革実行計画、新しい経済政策パッケージなどとの連携も進めています。
少子化社会対策大綱の基本的な考え方
- 結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる
- 多様化する子育て家庭の様々なニーズに応える
- 地域の実情に応じたきめ細かな取組を進める
- 結婚、妊娠・出産、子供・子育てに温かい社会をつくる
- 科学技術の成果など新たなリソースを積極的に活用する
- 高齢化への対策としては基本的な枠組みを作り、以下の6つの分野に分けて取り組んでいる
- 就業、所得
- 健康、福祉
- 学習、社会参加
- 生活環境
- 研究開発、国際社会への貢献など
- 全ての世代の活躍推進
出典:内閣府「少子化社会対策大綱(令和2年5月29日閣議決定)」
出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
このような少子化対策は実を結んでいるのか?
「少子化対策は失敗している」という視点に立ったこちらの本では、失敗だと考える理由、その背景にある日本人の価値観が解説されています。より詳しく知りたい方はぜひチェックしてみてください。
日本の将来を切り開くために私たちができること
日本は今、少子高齢化によって人口減少と将来の経済や社会の担い手の減少、社会保障制度の持続など様々な問題に直面しています。
いろいろと施策されていますが決定的な解決策はなく、このまま進行して行けば、日本社会を維持していくことが困難となる危険性もあります。
このような日本の危機的状況を変えるためには、政府や関連機関、企業はもちろんのこと、日本に住む私たちも一丸となって問題に取り組む必要があります。
例えば、認定NPO法人 フローレンスでは、子育てがしやすい社会を目指し、病児保育、小規模保育園などを行っています。
1ヶ月1,500円(1日あたり約50円)の寄付で、日本の子どもの福祉や子育て課題の解決のための活動をサポートできます。
そのためにはまず少子高齢化問題の現状や課題を知ることから始めていくことが大切です。現状や課題を知ることで、より効果的な対策が見つかるかもしれません。
誰もが関わる問題として、解決策を共に考えていきましょう。
少子高齢化の現状に悲観的になってばかりはいられません。こちらの本では国としてどのような方向を目指せば明るい未来があるのか、日本に長年住む外国人経営者/金融専門家の視点で解説されています。
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