健康状態が悪化する原因は、個人の生活習慣や遺伝的な要因によるものだけではありません。昨今では、健康な状態を保つためには、経済的・社会的な要因についても考える必要があると言われています。
例えば、相対的に貧困な家庭では、糖尿病などの生活習慣病に罹る割合が高い傾向があるなど、経済的な要因が健康状態に影響を与えるのです。
つまり、経済的・社会的な格差が健康状態の差にもつながるということです。
この記事では、健康の格差の問題に対して、どのような対策や取り組みが行われているのかについて解説します。
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健康格差とは
健康格差とは、「地域や社会経済状況の違いによる集団における健康状態の差のこと」を言います。健康は遺伝子や生活習慣だけでなく、その人の社会経済的な地位をはじめとする社会的な要因によっても左右されます。
例えば、生涯で受ける教育の年数が短い人は、年数が長い人より、死亡リスクが約1.5 倍高く、所得が少ない人は、所得が多い人より死亡リスクが2倍近く高いという研究結果も発表されています。
こうした差は健康格差と呼ばれ、先進諸国でも重要な問題として認識されるようになっています。日本でも、後述する健康日本21(第2次)において、健康格差の是正の必要性が述べられており、実際、健康格差を是正するための取り組みもなされています。
しかし、健康格差についてはこれから広く認知される必要があります。
そこで以下では、健康日本21(第2次)の内容について詳しくみていきましょう。
(出典:文部科学省科学研究費新学術領域研究「社会階層と健康」)
健康日本21(第2次)とは
健康日本21(第2次)とは、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会を実現し、その結果、社会保障制度が持続可能なものとなるよう、国民の健康の増進の総合的な推進を図ることを目的に、日本政府が定めた「二十一世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本 21(第二次)」のための一連の施策のことです。
この施策は、もともと世界保健機関(WHO)が2008年に加盟国に対して健康格差是正に向けた取り組みを推進するよう勧告したことに由来します。
この勧告を受けて、厚生労働省は2012年に生活習慣病などを予防するために、平成13~22年度にわたって策定・実施された「国民健康づくり運動プラン」に、所得や地域差などを要因とする「健康格差の縮小」を初めて明記。
健康21(第2次)は、平成25年度から10年間かけて行われる一連の施策で、その基本となる方針や理念、具体的な目標などについては、健康増進法第7条に基づき厚生労働大臣が定めます。
この施策は、国民や企業などに健康づくりの取り組みを浸透させ、一定程度の時間をかけて、健康増進の観点から理想とする社会に近づくことを目指す運動です。
日本では、高齢化の進展によって、医療や介護に関する負担がより一層増すことが予測されています。
しかし、これまでのように高い経済成長が望めない可能性もあるなかで、こうした状況下で活力ある社会を実現するためには、生活習慣病を予防し、社会生活を営むために必要な機能の維持・向上によって、健康づくりを推進することが重要だと考えられています。
健康格差という視点から見れば、個人の健康状態は家庭や学校、地域、職場などの社会環境の影響を受けるため、社会全体で個人の健康を支え、守る環境づくりが重要です。
(出典:厚生労働省「健康日本21(総論)」)
日本の健康格差の現状は?
日本は高度経済成長期に飛躍的な経済成長を実現しました。その結果、世界でも有数の経済大国となり、国民の生活も豊かになりました。
しかし、バブル崩壊以降の長引く不況の下で経済成長率は鈍化し、失業率も上昇するなど、国民生活の水準は低下傾向が続いています。
また少子高齢化の進展や、アジアを中心とした新興国の台頭などに伴う国際競争の激化など、構造的な課題も抱えています。こうした環境のなかで、日本でも健康格差が広がっていると言われており、日本は健康格差を是正する必要があるのです。
健康格差につながる要因
健康格差を是正するためには、まず地域における生活や健康の状況について評価し、健康格差の大きさや、特に健康状態が悪かったり、健康リスクが高かったりする地域を明らかにする必要があります。
以下では、健康格差につながる要因について詳しく説明していきます。
社会格差
日本に限らず、社会階層が低くなるほど、平均寿命は短くなり、疾病の発症リスクが上昇する傾向があるとされています。
これは、低い社会階層に所属する人ほど、預金などの資産が少なく、貧しい住環境に暮らし、教育の程度も低い結果として、不安定な仕事に就労せざるをえないなど、社会的・経済的なストレスが多い状況での生活が影響していると考えられています。
こうした社会格差が広がることによって、健康格差も広がっていきます。
所得格差
健康格差につながる要因は一つだけではありません。所得格差も健康格差につながる一因です。例えば、低所得層に属する人は、高所得層に属する人と比較して、うつ状態の割合が5倍に上るという調査があります。
こうした結果は、経済的・社会的なストレスを抱えることによって、心身の健康が蝕まれやすくなるからだと言われています。
さらに、世帯収入が300万円未満など、「生活困難」の条件に該当する家庭の子どもは、虫歯が5本以上ある割合が、そうでない家庭の子どもの約2倍にのぼるといった報告があります。
また、麻疹・風疹の予防接種を受けていない割合も、同様に生活困難世帯の子どもがそうでない家庭の子どもの約2倍であったという研究結果もあります。
このように、所得格差がひろがることによっても健康格差は広がっていくのです。
(出典:内閣府「日本の子供の貧困に関する先行研究の収集・評価」)
仕事や職場のストレス
慢性的なストレスは、様々な病気になるリスクを高くします。実際、男性では中規模(従業員数 300~999 名)の企業に勤めている人が、最も高い割合でストレスを感じていました。
さらに、仕事のストレスが小さい男性と比較して、仕事のストレスが大きい男性は、脳卒中のリスクが約 3倍高いことが報告されています。
ただし、仕事のストレスと脳卒中の関係は、ホワイトカラーと管理職では確認されませんでした。この関係は、ブルーカラーと非管理職の男性にのみ確認されています。
その他にも、仕事のストレスが小さい女性管理職と比較して、仕事のストレスの大きい女性管理職は脳卒中のリスクが約5倍高いという結果も出ています。
このように、仕事や職場のストレスは、各人の健康状態に影響を与えるため、どのような職場でどのような仕事をしているかによっても、個人の健康状態は左右されます。結果として、職場の環境は健康格差に直結していると考えられています。
(出典:文部科学省科学研究費新学術領域研究「社会階層と健康」)
健康格差を解決するために必要な対策・取り組み
健康格差を解決するために、日本政府は様々な取り組みを行っています。現在は、健康格差を是正するために、目指すべき社会の姿を、全ての国民が共に支え合い、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会として取り組みが行われています。
先に説明した健康日本21(第2次)の基本的な方向としては以下の5つの取り組みを行うこととしています。
- 健康寿命の延伸と健康格差の縮小
- 主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防
- 社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
- 健康を支え、守るための社会環境の整備
- 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善
こうした取り組みによって、個人の生活習慣の改善、及び個人を取り巻く社会環境の改善がなされ、生活習慣病の発症予防・重症化予防を可能とするとともに、社会生活機能低下の低減による生活の質の向上を図ります。
また、健康のための資源へのアクセスの改善と公平性の確保を図るとともに、社会参加の機会の増加による社会環境の質の向上を図るとしています。
健康格差は私たちにとっても重要な課題
健康格差は、日本に住んでいる私たちにとっても非常に重要な課題です。健康格差が是正される措置がとられなければ、格差は広がっていくばかりです。
しかし、健康格差の問題は、経済的な要因だけではなく、社会的な要因も関わっていることから、多面的なアプローチによってしか問題を解決することはできません。
私たちにできることは、まずは健康状態が単に個人の生活習慣や遺伝的要因によってのみ決まるのではなく、社会的な要因によって左右されるということを理解することが大切です。
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