健康福祉

付き添い入院とは?断れない・しんどい理由と私たちにできること

付き添い入院とは、幼い子供が入院した際に、保護者が病室に泊まり込んで24時間つきっきりで世話することです。

「付き添い入院になる可能性がある。何がしんどいか知りたい」」
「付き添い入院が社会問題になっていると聞いた。私たちにできることはある?」

このように感じている方に向けて、この記事では下記の内容を紹介します。

  • ・付き添い入院の現状
  • ・現在提供されているサービス
  • ・付き添い入院で困難を感じる人を支援する方法

付き添い入院について備えたい、支援したいと考えている方はぜひご一読ください。

付き添い入院が「しんどい」原因・理由


付き添い入院は家族にとって経済的にも精神的にも大きな負担を強いています。

ここでは、支援団体「NPO法人キープ・ママ・スマイリング」の調査を参考に、付き添い入院の以下の5つの課題について解説します。

  • ・制度上は任意だが、病院の多くが付き添いを要請
  • ・満足に食事や睡眠が取れない
  • ・家族の入浴・シャワーの環境が十分ではない
  • ・コロナ禍では交代すらままらなかった
  • ・長期の付き添いで休職や離職に追い込まれる

制度上は任意だが、病院の多くが付き添いを要請


出典:入院中の子どもに付き添う家族の生活実態調査 2022<概要>(キープママスマイリング)

NPO法人キープ・ママ・スマイリングが、病気の子どもに病院で付き添う経験した人を対象にインターネット上で約3,600人にアンケート調査を行ったところ「希望するしないに関わらず付き添いが必須だった」と回答した人が70.8%にのぼりました。

このことから、家族の希望を問わず付き添わざるを得ないケースが多い状況がうかがえます。

満足に食事や睡眠が取れない


出典:入院中の子どもに付き添う家族の生活実態調査 2022<概要>(キープママスマイリング)

前述のアンケートによると、付き添い中に子どものケアに費やした時間(1日あたり)が「12時間以上」と答えた人はあわせて61.3%に上りました。付き添い中に行ったケアの内容として「食事の介助」や「吸引・吸入」、「バイタル確認」、「心電図モニターの取り付け」、「胃管交換」など、身の回りの世話から医療的ケアを含むさまざまなケアを担ったとの回答がありました。このことから、子どもの入院に付き添う親が心身ともに休まる時間はほとんどないことが伺えます。

また、病院から付きそう親へ食事が提供されるケースは、実施されている病院も一部あるものの、まだ少ないのが現状だとされています。院内外のコンビニや売店、スーパーで済ませている人が70%を超えていて、親が十分に健康を気遣った食事をできていないのが現状です。

簡易ベッドや布団セットは有料レンタルであることが多く、家計の大きな負担となっていることが推測されます。節約するために子どもと同じベッドで寝ていた親が5割を超えています。さらに、泊まり込んでいる人の9割以上は夜間に子どものケアや世話を担い、熟睡できない人は8割を超えました。

家族の入浴・シャワーの環境が十分ではない

アンケート回答者の約半数の人は、入浴・シャワー浴に使える時間が15分未満と短くなっています。入浴・シャワー浴中に子どもを見守ってもらえる環境が十分でなかったり、その利用ルールや設備も快適とは言い難いことが理由です。

コロナ禍では交代すらままらなかった

2020年4月の調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療機関の種別、規模、立地にかかわらず、いずれの施設も院内感染を防ぐために面会時間の短縮、面会回数や面会者の制限などが実施されたことがわかります。

前述のアンケートには以下のような回答が見られます。

  • ・感染を防ぐため、「原則 24 時間付き添い」または「完全に預ける」という選択肢を示される
  • ・患児の父や祖父と付き添いを交代していたが、1日一人のみの付き添いになったので、子どもにずっと付き添っていて心身ともに大変
  • ・感染が怖くてほぼ病棟から出ていない

このことから親子ともに精神的・身体的なストレスが増加した実態がわかります。また、付き添いを継続するために利用せざるを得なかった個室料など、経済的な負担も増加したことがわかります。

長期の付き添いで休職や離職に追い込まれる

入院に付き添うため有給休暇、介護休暇、看護休暇を取得する人のほかに休職、転職、退職している人も一定数おり、付き添いによって仕事が続けられなくなっていることがわかっています。また、年単位の長期入院になると育児休暇、介護休暇、看護休暇を使い果たして退職に追い込まれる人が目立ち、現状の制度では不十分であることも推測されました。

付き添い入院で困難を感じる人を支援するには


このように付き添い入院を続ける家族には大きな負担がかかっており、社会問題となっています。こうした問題を解決するために活動する非営利団体も存在しており、今も支援が求められています。

ここからは「付き添い入院の課題に取り組むNPO団体に寄付したい」と考えている方に向けて、編集部おすすめの寄付先団体を3つご紹介します。寄付アドバイザー河合さんのオススメポイントも併せてご一読下さい。

寄付アドバイザー :河合将生(まさお)さん
NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー
寄り添って伴走する第三者として、各団体(NPOなど)の支援に取り組んでいます。

認定NPO法人 フローレンス:強固な組織による課題解決集団

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フローレンスはこんな人にオススメ!

  • ・これからの日本には古い価値観や仕組みにとらわれないイノベーションが求められていると思う
  • ・日本から子どもの虐待死がなくなって欲しい
  • ・障害のある子どもやその親が幸せに暮らせる社会になって欲しい

フローレンスは、親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決するため、病児保育、小規模保育園、障害児保育・支援、特別養子縁組、子ども宅食、ひとり親支援などの事業に取り組んでいます。

現在付き添い入院の課題について、保護者に代わって病院で子どもをお預りする方法や制度設計を模索しています。

活動を通して、「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指しています。

寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!

  1. 新たな価値を創造するイノベーター集団、社会問題解決集団と掲げるように社会問題への「小さな解」を、事業として次々と生み出す
  2. 政治や行政と共に「小さな解」を政策にし、全国に拡散する
  3. 内閣府「子ども・子育て会議」委員を務める代表理事 駒崎弘樹さんの発信力
寄付金控除の対象団体です

ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】フローレンスの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説

>>フローレンスに関する記事一覧はこちら

NPO法人キープママスマイリング:子どもの付き添い入院をする家族を支援


キープママスマイリングは、約10年に渡り付き添い入院の問題解決に取り組んでいます。

病気の子どもや発達がゆっくりな子どもを育てるお母さん・家族が笑顔でいられる社会、地域で安心して子育て・生活ができる社会を目指しています。

寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!

  1. 医療の隙間に落ちる課題「付き添い家族の置かれる過酷な環境」に、理事長の実体験から団体・活動を開始。小児病棟で付き添い家族を「食」で支援するミールプログラム「ミールdeスマイリング」は特徴的。
  2. 子どもの入院への付き添いや家族に関する調査を定期的に実施。今まで可視化されてこなかった実態を明らかに。2022年末の調査は3,600人以上の付き添い経験者が協力し、このテーマでは過去に例のない大規模な調査となった。
  3. 2022年3月25日 「Forbes JAPAN」5月号で“すぐれた非営利団体30選”に選出されるなど、メディアにも多く取り上げられている。応援団・サポーターをスマイルキーパーズと呼び、支援企業も多い。

公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン:子どもの治療に付き添う家族のための滞在施設を運営


ドナルド・マクドナルド・ハウスは病気の子どもの治療に付き添う家族のための、滞在施設を提供しています。日本では11か所で施設を運営。

病気の子どもに付き添う家族が、自宅にいるようにゆったりすごせるように、どんな時でも家族が一緒にいられるようにという願いのもと活動しています。

寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!

  1. ハウスの運営は寄付100%とさまざまな支援で成り立っている。マクドナルド店頭や公式アプリからに加え、様々な募金方法や物品寄付での協力方法がある。子どもたちを支えるご家族の負担を減らし、心から安らげる場所として1人1日1,000円で提供されている。
  2. ハウスを利用するご家族は、遠方から、時には海外からの利用者もあり、様々な思いと希望をもってハウスを利用していることが、ファミリーヒストリーとして紹介されている
  3. 1974年アメリカ・フィラデルフィアで世界初の『ドナルド・マクドナルド・ハウス』が誕生して以来、2023年6月現在、全世界で約380ヵ所を開設。日本では、全国12か所に病院に隣接し、すぐ病院に行ける距離にハウスが建てられている。

付き添い入院についてのよくある疑問


付き添い入院は、ある日突然始まります。今後のために少しでも知っておきたいという方に、よくある疑問について解説します。

付き添い入院を断ることはできる?

付き添い入院を断ることは可能です。しかし、2021年6月の国会で「付き添いが強制されている例もある」との指摘を受けたこともあり、断り切れない事例もあるようです。

実際、付き添い入院している人の約8割は、病院から要請されたという調査結果が出ています。

付き添い者(回答者)の8~9割は、食事介助、排泄ケア、清潔ケア、服薬、見守り、寝かしつけ、遊び、精神的支援など多岐にわたる世話やケアを担っており、その中には看護要員(看護師、准看護師、看護補助者)が対応すべき世話やケアも散見されています。

このことから、安心して医療者に子どもをまかせられる医療体制が不十分であり、子どもの安全面を考えると付き添い入院を断り切れないことが多いようです。

付き添いに便利なグッズ・持ち物は?

ここでは、キープママスマイリングが運営する『つきそい応援団』というクチコミサイトを参考に、付き添い入院をするときにあると便利なものを紹介します。

こちらのサイトでは、付き添い入院が始まる前に知っておいた方がいい内容や、地域別の支援団体の紹介がされているので、子どもの付き添いが決まった!という方はぜひ参考にしてみてください。

食事編

・ごはん・パン・麺などの主食(レトルトご飯、長期保存可能なパン)
・おかずなどの副菜(レトルトカレーやシチュー、缶詰)
・薬、漢方、サプリメント

食器・調理器具編

・カトラリー類(使い捨ての箸、スプーンなど)
・マグカップ・水筒・プラコップ
・お皿・サランラップ・スポンジ・洗剤・タッパー・ジップロック・輪ゴムなど
・電気湯沸かし器・ポット(持ち込めないところもあるので病院に確認)

洗面・入浴・肌ケア・洗濯編

・洗面用具(シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ、洗顔石鹸、水のいらないシャンプー、体拭きシート、メイク落とし、歯ブラシ、歯磨き粉、鏡、くし、ドライヤーなど)
・肌ケア用品(基礎化粧品、リップクリーム、ハンドクリーム、フェイスパックなど)
・洗濯用品(洗剤、ランドリーネット、現金洗濯物干し)

生活用品

・生活するために必要なもの(ティッシュ、おしり拭き、ハンカチ、ビニール袋、ゴミ袋、エコバッグ、立て置きの時計、マスク、爪切り、小さいライト、延長コード、コロコロ、文房具)
・整理収納グッズ
・スマホ関連グッズ(ポケットWi-Fiなど)
・ネット関連グッズ

衣服・靴・寝具

・衣服(普段着、寝巻き、下着、靴下)
・履き物(スリッパ、クロックス、サンダル)
・安眠グッズ(アイマスク、耳栓、着圧ソックス)
・寝具・タオル(持ち込みがOKな場合はアウトドア用のベットマットなど)

お金(現金、銀行のカード)

現金しか使えないことが多いです。必ず現金を持っていきましょう。また病院やコンビニにはATMもあることが多いので、銀行のカードも持っていくと安心です。

疾患や状態によって助成金などももらえる可能性があるので、対象のものがあるかソーシャルワーカーや自治体に確認しましょう。

授乳・搾乳グッズ

お子さんがNICUに入院した場合、また母乳を注入できる場合などには搾乳して冷凍母乳を運ぶ必要があります。搾乳機や授乳パックを持っていきましょう。

子ども・大人の暇つぶしグッズ

病院で過ごす時間はとても長いです。お子さんの年齢や状態に合わせて持ち込みましょう。大人もお子さんの就寝後などに、短時間かもしれません自分の時間ができます。

まとめ:付き添い入院で困難を感じている人のために私たちにできることを始めよう

本記事では付き添い入院について解説しました。ここで紹介した内容をまとめます。

  • ・付き添い入院は、希望に関わらず必要性に応じて行う親が多い状況
  • ・付き添い入院においてのサポートは、現状まったく十分でなく、体調を崩す親が5割を超えている
  • ・問題解決に取り組む団体に寄付をすることで、子どもの付き添い入院に困難を感じる人をサポートできる

付き添い入院に関しての課題はまだ明らかになったばかりで、サポート体制は十分でないのが現状です。
放っておいてはいけない社会全体で取り組む必要のある課題であり、私たちも課題解決に関わることができます。

まずは知ることから始め、いつでも対応できるようにしておきましょう。

▼付き添い入院の課題解決に取り組むおすすめの寄付先団体

団体名 寄付アドバイザーが見た注目ポイント
フローレンス ・新たな価値を創造するイノベーター集団、社会問題解決集団と掲げるように社会問題への「小さな解」を、事業として次々と生み出す
・政治や行政と共に「小さな解」を政策にし、全国に拡散する
・内閣府「子ども・子育て会議」委員を務める代表理事 駒崎弘樹さんの発信力
寄付先の選び方ガイド:河合将生(まさお)さん

NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー大学卒業後、国際協力分野のNGOにボランティアスタッフとして参加。その後、国際交流・協力分野の中間支援組織へのインターンシップ、職員を経て、office musubime (オフィス ムスビメ)を2011年7月に設立。
寄り添って伴走する第三者として、身近な相談相手や多様な人・団体をつなぐ役割を通し、組織診断・組織基盤強化、ファンドレイジング支援など、各団体の支援に取り組む。
大阪マラソンチャリティ事務局担当や、国際協力や子ども/子育て支援、まちづくり分野、コミュニティ財団などの役員、大学の非常勤講師としてNPO論やボランティア論などの担当も。
この記事を書いた人
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