女性差別とは、女性に対する性差別のことです。
近年ではジェンダーレス社会を目指していこうという動きが高まっていますが、裏を返せば、性別の差による偏見や不平等さを感じている人々がまだまだ多い証とも言えます。
この記事では、女性差別について、そしてミソジニーの意味や女性蔑視について解説します。
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女性差別とは
女性差別とは、女性であることを理由に女性に対して差別することを指します。
過去の日本では、女性の地位の方が高いとされていましたが、江戸時代の頃になると女性が軽視される傾向が高くなりました。
ミソジニーとは
ミソジニー(misogyny)とは、女性や女性らしさに対する嫌悪や蔑視のことです。
女性に対する嫌悪や蔑視は、男性が女性に対して持つだけではなく、女性が同性に対しても持つことがあると言われています。
女性蔑視とは
女性蔑視(じょせいべっし)とは、女性をばかにすること、蔑む(さげすむ)ことです。
なぜ女性差別が起きるのか、女性は蔑視されるのかという理由を男女雇用機会均等法の内容から読み解くと、生物学的性差(体力的な差や妊娠・出産など)が原因の一つになっていることが分かります。
男女雇用機会均等法とは雇用に関する法律です。「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」として1985年に制定され、1986年に施行されました。
男女雇用機会均等法によって定められた内容の一部は以下の通りです。
これらのことが法律によって禁止されたということは、法律が施行されるまでの間、このようなことが実際に起こっていたということになります。
女性差別は、時代的な背景や男らしさ、女らしさという固定観念から起こる部分もあるのです。
また、骨格・筋力・体力的に差がある、女性だけが妊娠・出産をすることができるなどの生物学的な男女の違いを理由として、「体力がある男性を採用したい」「出産して辞める可能性がない男性を採用したい」という会社が実際にあり、雇用に関する女性差別につながっていったと考えられます。
世界で起きている女性差別の現状
2020年時点、女性や子どもたちに対する差別は、日本だけでなく世界中で起こっています。
女性に対する暴力や虐待、性犯罪
日本において、ドメスティックバイオレンス(DV)は配偶者間であっても犯罪と認められているため、法律で罰することができます。しかし、世界ではDVが犯罪だと認められていない国も存在しているのです。
また、女性に対する犯罪は、DVだけではありません。警察庁及び総務省統計局の資料によると、平成26年の女子人口10万人における強姦の認知件数は1,250件、強制わいせつの認知件数は、男性被害者が214件なのに対して女性被害者は7,186件と性犯罪の被害者は圧倒的に女性が多いです。
性犯罪の認知件数は平成17年以降は減少傾向にありますが、平成21年以降はやや横ばいで、被害を受けても誰にも相談することができない女性も多く、実際には認知件数以上の女性が性犯罪に巻き込まれていると考えられます。
(出典:法務省「性犯罪に関する総合研究 第2章 性犯罪の動向」)
雇用や賃金条件における男女格差
待遇、賃金条件など雇用に関しての男女格差は世界的にも問題になっています。
日本は2015時点、男性労働者の所定内給与額を100%としたときの、女性労働者の所定内給与額の値は72.2%でした。
一方で諸外国のデータは、2014年時点でスウェーデン88.0%、フランス84.9%、アメリカ82.5%、イギリス82.4%となっており、ほかの国と比較しても日本の男女の賃金格差が大きいことが分かります。
2020年のフルタイム労働者の男女間賃金格差を見ると、日本が22.5%なのに対し、スウェーデン7.4%、オーストラリア9.9%、イギリス12.3%、アメリカ17.7%となっており、ほかの国と比較しても日本の男女の賃金格差が大きいことがわかります。
日本は様々な法律や規定などにより、この差を埋めるための取り組みを行っていますが、まだまだ不十分だと言えるでしょう。
また、諸外国も日本より差は少ないとはいえ、男性の方が給与が高い傾向であるため、世界中でこの男女の賃金格差を縮めることが求められているのです。
(出典:厚生労働省「男女労働者それぞれの職業生活の動向」)
(出典:労働政策研究・研修機構 データブック 国際労働比較2022)
教育環境における男女格差
教育環境においても男女格差は世界中で起こっています。
2016年時点で、世界では日本の小学生にあたる初等教育就学年齢の子どもたちの9%(11人に1人)、人数で表すと約6,300万人もの子どもたちが学校に通っていません。また、そのうちの54%に相当する約3,400万人が女の子です。
女の子の教育を妨げる原因には、「社会、文化的習慣や規範」「不十分な法整備」「家庭の経済的問題」「プライバシーが守られた男女別のトイレが整備されていない」「安全が確保された教室が整備されていない」「女性教員の不足」などがあります。
教育は、国に関係なくすべての子どもが持つ権利でなければいけません。しかし現実は、今なお教育を受けられない子どもたちが存在しています。
すべての子どもたちが平等な教育を受けられるようにするためには、解決しなければいけない問題が数多く残っているのです。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「ジェンダーの平等」)
日本における女性差別の現状は?
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律として、男女雇用機会均等法が1985年に制定され、1986年に施行されました。
しかし30年以上の年月が経過しても、74.2%の人が男性は女性よりも優遇されていると考えています。
実際に平成30年(2018年)の非正規雇用の比率は男性が22.2%なのに対して、女性の比率は56.1%と、女性の半数以上が非正規雇用となっています。
年齢別の階級で見ると、15~24歳までと65歳以上では非正規雇用の男女差はあまりありませんが、25歳~64歳までは非正規雇用の割合の男女差が大きいです。
(出典:男女共同参画局「ひとりひとりが幸せ社会のために」)
日本における男女の職業分離度
日本における男女の職業分離度を調べてみると、男性は様々な職業に就いていますが、女性の場合は就いている職業に偏りがあります。
女性の場合は事務職が最も多く、次いでサービス業、専門的・技術的職業、販売業となっており、管理職、保安業、輸送・運転、建築といった仕事は極端に少ないです。
高度な専門職における女性の割合を見ても、女性の医師、研究者、大学の教員の人数が、諸外国と比較してみても極端に少ないという現実があります。
2018年に医学部医学科の不正入試問題が発覚しましたが、複数の医学部医学科の入試選抜において「女性差別」「年齢差別」とも言えるような不適切な取扱いが行われていたことが判明しました。合格の基準の点数に達しているにもかかわらず、年齢が高いことが理由で不合格になったケースや、得点が高い女性が不合格になり、不合格になった女性よりも点数が低かった男性が合格するといったケースなど合格率においても男性が有利になっていることが確認されたのです。
このような女性差別をなくすために「受験者の氏名や年齢、性別などを削除した資料を用いて、成績順位に基づき正規合格者・補欠合格者を決定する」などの処置を取る大学が増え、女性に対しても差別のない公正な判断ができるよう改善されてきています。
各分野の指導的地位における女性の割合
「政治」「行政」「司法」「雇用」「農林水産」「教育・研究」「その他の専門的職業」の分野における、女性の指導的地位の割合を調査した結果があります。
政治分野
行政分野
司法分野
雇用分野
農林水産分野
教育・研究分野
その他の専門的職業分野
この結果からも、薬剤師を除いたほかの職業の女性の指導的地位は、男性よりも圧倒的に少ないことが分かります。男女は平等でなくてはいけないという意識が高まってきてはいますが、どの分野においても男女格差はまだまだ埋まっていないのです。
(出典:男女共同参画局「各分野における「指導的地位」等に占める女性の割合」)
日本における男女の賃金格差
令和3年の厚生労働省の調査結果によると、日本における男女の賃金格差は、男性の給与額を100%としたときの女性の給与額が75.2%と、男性よりも約3割近く女性の給与が低いことが分かります。
また先述したように、日本は諸外国の男女の賃金格差を見てみてもその差が大きい国の一つであり、女性の場合は非正規雇用労働者として働いている比率が男性よりも高いことも原因となっています。
ひとり親家庭の給与所得を比較した場合も、平成28年(2016年)の母子世帯の平均年収が243万円に対して、父子世帯の平均年収は420万円と、母子世帯の平均年収は父子世帯のわずか57%という結果が出ているのです。
母子世帯の場合は、子育て、家事、仕事のすべてを両立しなければいけないため、特にシングルマザーの貧困は、近年深刻な課題になっています。
(出典:厚生労働省「男女労働者それぞれの職業生活の動向」)
(出典:厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査の概況)
(出典:厚生労働省「平成28 年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要」)
日本の教育にも男女格差がある?
世界中には、日本の小学校にあたる初等教育を受けられない子どもたちもいますが、日本では高校への進学率は男女ともに96%を超えており、高校までの教育に関しては男女の違いによる格差はほとんどありません。
しかし大学への進学率を見ると、女子が48.2%、男子が55.6%と男子の方が7.4%高くなっており、女子の場合は短期大学や専修学校(専門学校)に進学する人が男子生徒よりも多くなっています。
大学での専攻分野を男女別に比較してみると、人文科学、薬学・看護学、教育学科では女子生徒の割合が高くなっていますが、理学、工学の分野では男子生徒の割合が高く、専攻分野によって男女に偏りがありました。
日本では高校教育までは男女による教育の格差はほとんどありませんが、大学以降になると男女の違いで短期大学、専修学校(専門学校)などへの進学率や専攻分野に違いが生じていることが分かります。
女性差別を生む原因への意識に差がある
内閣府の調査によると、「社会で男性が優遇されているのはなぜか」という問いに対して、「社会通念・慣習・しきたりなどが根強いから」と回答した人が最も多く、続いて「仕事優先、企業中心の考え方が根強いから」と回答した人が多いという結果が出ました。
男女別の回答を見てみると、「仕事優先、企業中心の考え方が根強いから」という回答は女性よりも男性が多く、「育児・介護等の制度が整備されていないから」、「男女の平等について男性の意識が低いから」という回答をした人は女性の方が多いです。この回答から、何が原因で男女の格差を生んでいるのかという意識に差があることも男性が優遇される理由だと考えられます。
少子高齢化が深刻な状態になっており、社会全体で子どもを育てなければいけないという考え方がある一方で、働く女性の妊娠、出産、子育てを行うことができる制度が整備されていないと感じている人は、男性よりも女性の方が多いです。
これは、出産や育児のために一定期間の休暇を取ることは好ましくないという社会通念、慣習などが仕事優先、企業中心という考え方につながり、その結果、男性が優遇されている社会になっていると言えます。
女性差別のない社会に向けた政策とは?
女性差別のない社会にするために、国では様々な政策を掲げています。
暴力やセクハラへの対策
女性に対する性犯罪・性暴力の対策として、警察庁は「ワンストップ支援センター」を開設しました。ワンストップ支援センターでは、性犯罪・性暴力被害者に対し、被害直後から以下のような対応を行っています。
これらの総合的な支援を可能な限り1ヶ所で提供する(当該支援を行っている関係機関・団体につなぐことを含む)ことにより、被害者の心身の負担を軽減し、その健康の回復を図るとともに、被害の潜在化を防止すること等を目的として設置されました。
ワンストップ支援センターは各都道府県に1ヶ所(千葉県は2ヶ所)設置されています。
セクハラ被害を受けた場合は、各都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)などに相談することが可能です。また労働基準法等の法律に違反の疑いがある場合は、行政指導等の権限を持つ担当部署に取り次いでもらうことができます。
暴力やセクハラなどの被害を受けた場合は、一人で悩まずに公的な窓口に相談してみましょう。
職場における雇用条件や待遇の改善
職場における不公平がなくなるよう、雇用条件や待遇改善のための法律や労働施策基本方針が閣議決定されました。
同一企業内の正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差をなくすことを目的に、2020年4月1日に「パートタイム・有期雇用労働法」が施行されています。これは、いわゆる「同一労働、同一賃金」と呼ばれているものです。
以前は同じ仕事をしていても正社員と非正規雇用者(パートタイムや派遣社員など)と賃金の格差がありましたが、パートタイム・有期雇用労働法の施行により、同じ仕事をしている人であれば正社員、非正規雇用者に関係なく、同一賃金にすることが法律によって定められました。
また、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策推進法)」に基づき、2018年12月28日に「労働施策基本方針」が閣議決定されています。
- 労働時間の短縮等の労働環境の整備
- 均衡のとれた待遇の確保、多様な働き方の整備
- 多様な人材の活躍促進
- 育児・介護・治療と仕事との両立支援
- 人的資本の質の向上、職業能力評価の充実
- 転職・再就職支援、職業紹介等の充実
- 働き方改革の円滑な実施に向けた連携体制整備
以上の7つの基本事項を軸に、多様な人材の活躍促進などを目的として、「男女雇用機会均等法の履行確保や実効性確保のための検討」「女性活躍推進法に基づく行動計画策定等の企業の取組の促進」「女性活躍情報の見える化の徹底及び必要な見直しの検討」「子育て中の女性等への就職支援」などの内容が盛り込まれました。
女性の地位向上・活躍促進
2022年7月8日、女性活躍推進法等の一部を改正する法律が成立し、同日に施行されました。
前回の法律の改正により、以前は常時雇用する労働者が301人以上の事業主が対象であった、女性活躍に関する情報公表の義務の対象が101人以上の事業主に拡大され、「職業生活に関する機会の提供に関する実績」「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」の各区分から1項目以上の公表が必要になってます。
今回の法改正では、労働者が301人以上の事業主は、初回「男女賃金の差異」について、施行後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表する必要があります。
また、女性活躍推進法「見える化サイト」では、男性の育児休業取得率が高い企業、残業時間が少ない企業、管理職に占める女性の割合などのデータを見ることができるようになっています。
(出典:厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)」)
(出典:男女共同参画局「女性活躍推進法 見える化サイト」)
(出典:厚生労働省 「女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定),2022」)
女性差別のない社会の実現に向けて私たちができることをしよう
女性差別のない社会の実現に向けて私たちができることとしては、現状を知ることではないでしょうか。
女性差別のない社会に向けて、国からも様々な対策や施策が公表されていますが、未だに男女格差や女性差別は存在します。
女性差別のない社会を実現するためには、「女性差別をなくすための法律」「法改正の内容」「女性差別のない社会に向けた政策」などを把握し、私たち一人ひとりが正しい知識を持ち、不合理な待遇を受けたときは然るべきところに相談をして変えていくという気持ちを持って行動していくことが大切です。
『紛争・貧困などによって困難に直面する子どもたち』
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