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【リビア洪水】必要とされている支援は?被害が拡大している原因も解説

  • 2023年9月20日
  • 2024年10月16日
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2023年9月、リビアで大規模な洪水が発生しました。ニュースで流れる衝撃的な映像に心が痛めた方もいるでしょう。

被災地ではまだ支援が必要とされています。

力になりたいと思うも、

・なぜここまで被害が広がっているのだろう?
・どのような人道支援が必要とされている?
・私たちにできることは何?

と疑問を感じることと思います。

そこでこの記事では以下の内容を紹介します。

  1. リビア洪水の原因と被害状況
  2. 支援活動の状況と、被災地で必要とされている支援
  3. 私たちにできること

支援活動の状況が知りたい、自分にできることを知りたいという方はご一読下さい。

リビア大洪水に関する現状(2024年10月更新)

イメージ写真

2023年9月11日、前日10日から続く豪雨により北アフリカのリビア東部で大きな洪水が発生しました。

被害の中心は港町デルナとその周辺です。デルナでは一部の地区が丸ごと水に流されたと言われています。

死者は5,923人以上、44,862人が避難生活中、行方不明者は数千人と言われています。また、25万人以上が緊急人道支援が必要な状態だったとされています(2024年9月10日 国際連合人道問題調整事務所のレポートより)。

大雨で2つのダムが決壊し、大規模な洪水が発生したことが大きな原因です。一部の地域では洪水の高さが最大3メートルに達し、まるで津波のようだったという人もいます。

リビアでは2011年に、42年続いた独裁政権が崩壊し、その後2度の内戦が起こりました。2度目の2014年の内戦以降は1国2政府状態が続いています。

国内情勢が長年混乱し、インフラが適切に維持されてこなかったこと、ダムの安全対策を綿密に監視してこなかったことが、多くの死者を出す甚大な被害につながった、と指摘する声もあります。

今回洪水が起きたのは「東部政府」が統治しているエリアです。一方、首都トリポリがある地域を統治しているのは国際的に承認された「国民統一政府」です。

国内の分断は続いていますが、国民統一政府は被災地に救急隊や医師の派遣、物資の供給を行っています。しかしそれでも、情勢の混乱が救援活動に与える影響を懸念する声が聞かれます。

リビア近年の情勢についてはこちらの記事でも触れています。より詳しく知りたい方はご一読下さい。
>>リビア内戦の原因と現在の状況は? | アフリカで現在も起きている紛争は?原因と現状についても解説

*出典:UN News Libya floods aftermath: Response continues amid the wreckage

リビアはどこにある?

リビアはアフリカ大陸の北部に位置します。

地中海を隔てて、イタリアに近接しています。

リビアの洪水発生3日前に地震が起こったモロッコも近くに位置しています。

リビア洪水の原因は?ここまで被害が拡大している理由


WMO(世界気象機関)は、今回の洪水の原因は「メディケーン*」と呼ばれる、台風のような低気圧がもたらした豪雨が、原因だとしています。

また、大雨により市街地の上流に位置する2つのダムが決壊し川が氾濫しました。そのため被害が一層拡大しています。

メディケーンに対する警報・注意報は出されていましたが、ダム決壊の恐れについては注意喚起がされていませんでした

世界気象機関(WMO)の事務局長は、リビアの気象当局が警報を出せていたら死者の大半は助かったのではないかという見解を示しています。不安定な情勢が原因で、気象当局は機能していなかったと言われています。

*メディケーン:地中海を意味する「メディタレーニアン」とハリケーンを組み合わせた造語

救助活動は困難を極めている

(2023年9月、洪水発生直後の情報です)

救援活動の現況は様々な理由で活動は困難を極めています。

被災地へのアクセス
周辺の道路が泥やがれきで閉鎖され、橋は倒壊し利用できません。また通信も寸断されています。そのため救助活動や物資供給が難航しています。
デルナに通じる7つのルートのうち、2ルートしか利用できず、救援隊や支援団体の現地入りが阻まれています

遺体の収容場所
デルナ唯一の病院には700体以上の遺体が置かれています。そのため患者を受け入れられなくなっています。

地雷に警戒しながらの活動
3年前まで続いていた内戦で使用されていた地雷などが洪水で流れた可能性もしてきされています。住民が注意しなければならないのも去ることながら、救助隊も地雷に警戒しながら活動しなければいけない状況です。

このように、救援活動が思うように進まないため、被害の全容もなかなかつかめない状況です。

リビアで必要とされている支援


(2023年9月末時点の情報です)

リビアの被災地では、現在、各支援団体が緊急の医療支援、物資支援とともに状況の調査、必要な支援の分析を始めています。

今後必要になるとみられる支援は以下の通りです。

  • ・支援ニーズの調査
  • ・遺体の搬送および埋葬
  • ・食料、飲料水、衛生用品などの物資支援
  • ・医療物資や医療サービスなどの医療支援
  • ・避難場所の提供
  • ・子どもや弱者への心理社会的ケア
  • ・学校に行けなくなってしまった子どもたちへの教育支援
  • ・長期的な復興支援

詳しく紹介します。

支援ニーズの調査

被災地にアクセスするには、がれきを撤去したりしてルートを確保するところから始める必要があり、困難を要します

このような状況下でも各支援団体が現地スタッフや現地パートナー団体と協働で各地に足を運び、被災者とコミュニケーションを重ねていきます。

必要な支援を必要とされる場所に届けるため、正確なニーズの把握が不可欠なのです。

食料、飲料水、衛生用品などの物資支援

生活を維持するための食料、飲料水に加え、乳児向けの食料やオムツ、衣類、生理用品などが必要とされています。特にデルナでは清潔な飲料水の確保が困難になっていると言われています。

また、感染症のまん延を防ぐための衛生用品の配布も不可欠です。

遺体の搬送および埋葬

悲劇的な数の方が亡くなっています。次から次へと発見される遺体を搬送する必要があります。

また埋葬場所の確保も必要になっています。

医療物資や医療サービスなどの医療支援

病院が集積された遺体であふれ、怪我人の手当が難しくなっています。医療行為を行える場所の確保が必要です。

また、収容されないままの遺体ががれきの下や海中などに残っていたり、井戸が汚染されていたりするため、感染症による病気や下痢のリスクが高まっています。今後さらに医療サービスが必要とされる見込みです。

避難場所の提供

家を失った人は3万人以上にもなると言われています。

家を失くしてしまった人たちが、安心して過ごせる避難場所が必要です。

子どもや弱者への心理社会的ケア

洪水のトラウマ、これからの生活の不安など、被災地の人々は心理的に不安定な日々を過ごしています。

深刻な精神的苦痛を受けている人々に対する、心理的ケアが必要です。

特に、保護者と離れ離れになってしまったり、周囲の大人が様々な対応に追われる中「助けてほしい」と言い出せない子どもたちは大きな不安を抱えています。

学校に行けなくなってしまった子どもたちへの教育支援

リビア教育省によると、デルナでは6つの学校が損傷を受けています。また、住んでいた地域以外で避難生活を送る子どもたちは、学校に通うことが困難になっています。

子どもたちの学びを止めないためにも、緊急物資支援がひと段落した段階で早急に教育支援が必要になってきます。

長期的な復興支援

緊急支援がひと段落する数か月後には、日常を取り戻すための長期的な復興支援が必要となる見込みです。

インフラの再整備や住まい、建物の再建のみならず、あらゆる産業の再建や多くの人々の職業復帰、経済的再自立への支援が必要となります。

さらに同じような災害を繰り返さないためにも防災の仕組みづくり、街づくりが求められます。

リビア洪水の被害者のために行われている支援

国連世界食糧計画(国連WFP)をはじめとした国連機関や各国政府が救援隊の派遣を開始。既に現地で食料配付や負傷者の手当、遺体の搬送などが行われています。

民間では、日本を含めた各国のNPOなどの団体が続々と現地へのスタッフ派遣を進めています。

日本政府が行っている支援

2023年9月15日、日本政府はリビア政府の要請に基づき、国際協力機構(JICA)を通じ、テントや毛布などの緊急援助物資支援することを決定しました。

また、洪水発生前から計画されていた、国際連合世界食糧計画(WFP)を通じ日本が供与する食糧援助の大部分(約160万ドル)を今回の洪水の被災者への支援として活用することが発表されています。

私たちができる支援

臨機応変に動けるNPOには期待が寄せられますが、活動には資金が必要です。

日本に住む私たちが今すぐできる支援は、リビアの人々のために活動する団体へのお金の寄付です。

お金の寄付であれば、今この瞬間にインターネットを通じてクレジットカードで行うことができます。また、現地で活動する支援団体が判断し、その時に一番必要とされる支援に使われるので効果的です。

団体によっては継続寄付を受け付けている団体もあります。

食料や物資の支援により混乱を乗り越えた後は、復興のための持続的な支援が必要となります。

リビア洪水の被災者を支援できる寄付先:ユニセフ

リビア洪水の被災者の支援を行っている、信頼できる寄付先、ユニセフを紹介します。

2023年9月10日、暴風雨「ストーム・ダニエル」がリビアを直撃。強風と、突発的な豪雨がもたらした大洪水が、北東部を中心に複数の地域で深刻な被害をもたらしました。OCHA(国際連合人道問題調整事務所)による9月18日時点の発表では、約4,000人の死亡が確認され、9,000人以上が行方不明となっており、30万人近くの子どもたちが影響を受けています。

ユニセフは1957年以来、リビアの子どもたちのために、同国内での活動を続けてきました。洪水発生直後より被災した人々への緊急支援活動を展開し、1万人分の命を守る医療物資、1,100個の衛生キット、3万2,000錠の浄水剤、500人分の子ども用衣類キットなどの配布を始めています。9月17日時点で、被災地デルナへ向けて27トンの支援物資を発送し、2023年9月24日までに計67トンの支援物資を届ける予定と発表しています。

ユニセフは関係機関と協力し、安全な飲料水、医療物資、移動式保健チーム、心理社会的支援の提供、および家族の捜索を当面の優先課題として、被災した子どもたちや家族のための活動を続けていきます。

寄付金控除の対象団体です

私たちにもできることがある!多くの支援が必要とされているリビアの洪水被害


この記事では、リビア洪水の被害拡大の理由、必要とされているや行われている支援、洪水の被害に遭った人々のために私たちができることを紹介しました。

記事の内容をまとめます。

  • ・大雨による2つのダムの決壊が大洪水の原因となった
  • ・食料や水の他に、安心して過ごせる避難場所、医療物資、心理サポートなどが必要とされている
  • ・私たちも寄付でリビアの人々を助けることができる

「リビアで洪水の被害に遭った人々のために今すぐ自分にできることをしたい」と考えている方は、ぜひ紹介した団体のホームページを確認してみてください。

災害の復興支援について詳しく知りたい方はこちらの記事もご一読ください。
>>災害や紛争の復興支援にはどんな活動がある?あなたにできることを紹介

この記事を書いた人
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