「病児保育に取り組んでいるNPOはあるの?」
「どのようなNPOが病児保育に取り組んでいるの?」
このように悩んでいる方に向けて、本記事では下記の内容を紹介します。
- ・病児保育の現状と課題
- ・病児保育の課題に取り組むNPO団体
- ・病児保育に取り組むNPO団体を支援する方法
病児保育は、共働き世帯やひとり親世帯の増加に伴いニーズが高まっています。
しかし、採算性の確保が難しく赤字経営の施設が多いのも事実です。
行政のサポートも十分とは言えず、病児保育に取り組むNPOにとっては寄付が重要な収入の1つになっています。
病児保育に取り組むNPOを支援したいと考えている方は以下を参考にしてください。(ページ内で該当する見出しに移動します)
>>病児保育で子育てをサポートしているNPOなどおすすめの寄付先団体3選
病児保育の現状
病児保育とは、子どもが病気の際に自宅で保育することが難しい場合に一時的に保育することです。
病院や保育所に付設されているものや単独で病児保育を行っている施設、自宅訪問型といった形で実施されています。
厚生労働省の資料によると平成30年には3,130か所*で実施、利用児童数は100万人を超えており、平成23年と比較すると7年で2倍以上に増えています。
出典:病児保育事業|厚生労働省
病児保育が増加している背景には共働き世帯やひとり親世帯の増加が考えられます。
共働き世帯・ひとり親世帯では子どもが急に発熱したり体調を崩したりした場合、看病のために仕事を休まざるを得ません。そうすると仕事に支障が出るだけでなく、非正規雇用で働いている場合は収入にも影響します。
子どもが体調不良になっても安心して預けることができて、親が働き続けることができる病児保育は現代社会において不可欠なインフラになりつつあるのが現状です。
*出典:病児保育事業|厚生労働省
病児保育の課題
病児保育の課題は、赤字経営の施設が非常に多いということです。
赤字経営になってしまう原因として、支出面では人件費の負担が大きいこと、収入面では利用者数の変動が大きいことが挙げられます。
病児保育には保育士、看護師、調理師といった専門資格を有するスタッフが必要です。また、病児の状況によっては隔離が必要なケースが発生するため、十分に対応できる職員の確保もしなければなりません。
一方で、利用する病児の数は常に変動し利用料による収入も変動します。十分な数の職員を配置する必要があるものの、キャンセルが発生することもありロスが発生しやすいのも病児保育の特徴です。
病児保育事業の収入は補助金が大きな割合を占めていることが多いですが、自治体からの補助も十分とはいえません。
人件費の負担とそれをまかないきれない不安定な収入により、多くの病児保育事業は赤字で経営しています。
病児保育の実施数は年々増加しているものの、十分な数とは言えません。
しかし病児保育事業の採算性が不透明で赤字経営になる可能性が高いため、新規参入が難しく病児保育普及の壁になっているのです。
病児保育の課題に取り組んでいるNPOがある
赤字経営の克服は病児保育事業にとって重要な課題です。そのためには安定した収入の確保が欠かせません。
認定NPO法人フローレンスでは月会費制を導入することでその問題をクリアしました。
また、認可外で病児保育施設を立ち上げ、実績で病児保育の必要性を訴え自治体の認可獲得を実現しました。
ここでは、病児保育の課題に向き合ったフローレンスの取り組みを2つご紹介します。
自動車保険型の月会費制で安定した収入を確保
病児保育事業においては利用者数の変動やキャンセルの発生による収入の変動が課題の一つです。
フローレンスの訪問型病児保育では、利用回数と子どもの年齢に合わせて月会費が自動車保険のように変動します。
それにより、利用者数の少ない時期でも安定した収入を確保することができ、スタッフ確保のための人件費や育成のための研修費に充てられます。
安定した収入はほぼ100%の保育スタッフ派遣の保証にもつながっており、保護者が安心して子どもを任せられる仕組みができているのです。
病児保育施設が足りない都市部で認可外施設を開設
採算性の見通しがつきにくい病児保育事業は新規参入が難しい一方、共働き世帯の多い都市部ではニーズが高いのが現状です。
人口が増えているにもかかわらず定員4名の病児保育室が1つあるのみで新設も検討されてこなかった豊洲エリアで、フローレンスは2019年に認可外の病児保育室をオープンさせました。
地域の保護者の声を元に、使いやすい病児保育のシステムを整え稼働率をあげることで病児保育が地域にとって必要な施設であることを訴えました。
2019年10月に病児保育室は区の委託事業となり、新たな病児・病後児保育施設の増設など区の子育て政策の充実が図られることとなりました。
フローレンスは病児保育を社会の重要インフラととらえ、病児保育事業や自治体・政府への提言を通して子育てと仕事を両立できる社会の実現に取り組んでいます。
>>フローレンスについて詳しく見る
病児保育に取り組むNPOを支援する方法
病児保育は現代社会において、なくてはならない事業になりつつあります。
しかし、事業の経営は赤字になることが多く施設などの数も足りていないのが現状です。
それでも病児保育に取り組むNPOに対して私たちができることは2つあります。
- ・お金の寄付をする
- ・物の寄付をする
以下で具体的に紹介します。
お金の寄付をする
病児保育に取り組むNPOを支援する方法の1つ目は、お金の寄付をすることです。
病児保育事業は収入の不安定さが課題の1つなので、寄付という収入の柱を作ることができれば事業の安定につながります。
寄付を通して病児保育の普及を支援することができるのです。
また、寄付金は病児保育そのものへの支援だけでなくアドボカシーと呼ばれる、個人では難しい政府への提言活動を実施する資金源としても活用されます。
社会を変えるアクションの原資として活用されているのです。
物の寄付をする
病児保育に取り組むNPOを支援するには、物の寄付という方法もあります。
団体に直接物の寄付をする場合、寄付できるものには条件がある可能性があります。団体によっては物の寄付を受け付けていないこともあります。
そのため、物の寄付を検討するのであれば事前にホームページをチェックしたり団体に連絡したりして、物の寄付を受け付けているのか、寄付を検討しているものが受け入れ可能なのか確認するのがおすすめです。
フローレンスでは、寄付を仲介するサービスを利用した物の寄付を受け付けています。書籍や不用品を仲介するサービスが買い取り、フローレンスにお金が寄付される仕組みです。
NPO団体を支援するならお金の寄付がおすすめ
病児保育に取り組むNPOを支援するなら、お金の寄付がおすすめです。
お金の寄付であれば、受け取るNPO団体は使途が限定されないのでその時々に応じて柔軟に利用することが可能です。
また、継続寄付なら団体の安定した収入になるため、病児保育を受ける子どもや保護者に対する支援の充実や施設の増加・拡充にもつながります。
例えばフローレンスの病児保育事業では、寄付金を利用してひとり親向けの低価格帯プランを運営しています。
寄付する側も、お金の寄付なら一定条件を満たすことで寄付金控除を受けることが可能です。
寄付金控除については以下の記事をご確認ください。
>>寄付金控除の仕組みとは?確定申告の方法も紹介
お金の寄付は多くの団体が受け付けているので、選択肢が増え「自分が支援したい」と感じられる団体を選べる可能性が高まります。
一方で選択肢が増えるとどのように寄付先を選んだらいいか悩んでしまうかもしれません。
そこで、寄付アドバイザーの方に聞いた「寄付先の選び方」を紹介します。寄付先に悩んだら参考にしてみてください。
病児保育に取り組む寄付先団体の選び方
「寄付する団体はどのように選んだらいいのだろう?」
このように悩んでいる方もいるかもしれません。
そこで、さまざまなNPOに詳しい寄付アドバイザーの河合さんに、「寄付先の選び方」をお伺いしました。
はじめまして。寄付アドバイザーの河合です。
ここから、みなさんの寄付先選びをサポートしていきますね。
はじめにお伝えしたい重要なことは「寄付に失敗はない」ということです。
寄付とは誰かにあなたの想いを託すこと。
それに良いも悪いも、成功も失敗もないのです。
また「何にあなたの想いを託すか」という点が寄付の奥深い魅力的な部分です。
信頼性や活動内容、実績や成果、挑戦、コミュニケーションなど様々な価値観があります。
また、あなたの原体験を軸に考えるのも素晴らしい選び方だと思います。
その上で、これから寄付を始める人のために、3つの選び方を解説します。
おすすめする団体の選び方3つ
- 信頼できるところに寄付する
- 自分が問題だと思うことに取り組む団体に寄付する
- 寄付の使い道がわかりやすいところに寄付する
もちろん、選び方に該当しない団体を否定する訳ではありません。あくまで選び方の一例としてご覧いただければ幸いです。
病児保育で子育てをサポートしているNPOなどおすすめの寄付先団体3選
ここからは「病児保育に取り組むNPO団体に寄付したい」と考えている方に向けて、おすすめの寄付先団体を3つご紹介します。
【寄付先1】認定NPO法人 フローレンス:強固な組織による課題解決集団
フローレンスはこんな人にオススメ!
- ・これからの日本には古い価値観や仕組みにとらわれないイノベーションが求められていると思う
- ・日本から子どもの虐待死がなくなって欲しい
- ・障害のある子どもやその親が幸せに暮らせる社会になって欲しい
フローレンスは、親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決するため、病児保育、小規模保育園、障害児保育・支援、特別養子縁組、子ども宅食、ひとり親支援などの事業に取り組んでいます。
自宅訪問型の病児保育は「子どもの看病を理由に仕事を休んだら退職を迫られた」という保護者の声をきっかけに2005年からスタート。
病児保育件数は業界最多を更新しつつ重大事故ゼロの安心安全な病児保育に取り組んでいます。
活動を通して、「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指しています。
寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!
- 新たな価値を創造するイノベーター集団、社会問題解決集団と掲げるように社会問題への「小さな解」を、事業として次々と生み出す
- 政治や行政と共に「小さな解」を政策にし、全国に拡散する
- 内閣府「子ども・子育て会議」委員を務める代表理事 駒崎弘樹さんの発信力
ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】フローレンスの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
【寄付先2】認定NPO法人ノーベル:名前の由来は国際的な賞
ノーベルは、子どもの急な発熱で困っている親子に安心・安全の訪問型病児保育を提供しています。
経済的な困窮を抱えるひとり親家庭と、預かりに専門性が必要となる障がい児家庭には、低価格で病児保育を提供。寄付を財源に「どの親子も」利用できる仕組みを実現しています。
ノーベルは大阪府より認定NPOの認証を受けています。また、マサチューセッツ工科大学ソーシャルインパクトアワードのファイナリストに選出(2022年)されたり、ファンドレイジング大賞を受賞(2016年)したりと、社会から活動が高く評価されています。
活動を通じて「子どもを産んでも当たり前に働ける社会」を目指しています。
寄付アドバイザーが見た注目ポイント!
- ノーベルの名前の由来(ノーベル賞のように、何年・何十年もかかって認められたり、成果が出てくるものばかり、各団体や個人が夢やビジョンを追い続けて、築く信念。そんな団体でありたい)に特徴
- ニーズに対して必要な事業展開と着実な成果、これからの10年は次の段階に向けて新たなチャレンジ
- 特徴ある【ドノ親子ニモ応援団プロジェクト】とノーベルの活動全体を支援する2つの寄付方法
【寄付先3】認定NPO法人ポケットサポート:病気を抱える子どもたちの学習・復学・自立を支援
ポケットサポートは、長期にわたる入院や治療、療育が必要な子どもたちに学習支援や復学支援を行っている団体です。
学習支援やイベント活動、コミュニティ作りなどの活動を通して、子どもたちが将来への希望を持って安心して生活できる地域や社会を目指しています。
寄付アドバイザーが見た注目ポイント!
- 非営利団体の信頼性・透明性を評価する「グッドガバナンス認証マーク」を岡山県で初めて取得。当事者と支援者の声から改善につなげたり、ニーズ調査、社会課題の啓発等に対して丁寧に取り組んだりしている。
- 小児期に闘病経験のあるスタッフや大学生が第三者的なお兄さん、お姉さんという立場で接することで安心できる場をつくるなど、病気の子どもたちの気持ちに寄り添う支援が行われていることが特徴。
- 長期入院などにより学習・体験の機会を失ってしまう子どもたちの空白を「ポケット」と呼び、入院から復学までの間の切れ目のない支援を実施。ICTを活用した双方向の学習支援、不足しがちな社会体験を補うイベント活動、交流、ピアサポートを通して支援を行う。
病児保育は子育ての強い味方!寄付を通じて子育て家庭を支援しよう
ここまで、病児保育に取り組むNPO団体について解説しました。ここで、紹介した内容をまとめます。
- ・病児保育は共働き世帯やひとり親世帯の増加に伴い社会のニーズが高まっている
- ・病児保育事業の運営は採算性が不透明で赤字経営も多く新規参入の壁になっている
- ・病児保育に取り組むNPO団体を支援するならお金の寄付がおすすめ
病児保育は現代に必要不可欠な事業であるものの、経営の難しさから需要に対して供給がまだまだ追いついていません。
この現状に問題意識を感じたら、病児保育に取り組むNPO団体にお金の寄付を検討してみてはいかがでしょうか。
病児保育やそれに関する行政への提言に取り組む団体を支援することで病児保育の普及、つまり子育て家庭の支援につながります。
寄付先に迷ったら今回紹介したおすすめの団体や選び方も参考にしてみてください。
▼病児保育に取り組むおすすめの寄付先団体
団体名 | 寄付アドバイザーが見た注目ポイント |
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フローレンス | ・新たな価値を創造するイノベーター集団、社会問題解決集団と掲げるように社会問題への「小さな解」を、事業として次々と生み出す ・政治や行政と共に「小さな解」を政策にし、全国に拡散する ・内閣府「子ども・子育て会議」委員を務める代表理事 駒崎弘樹さんの発信力 |
ノーベル | ・ノーベルの名前の由来(ノーベル賞のように、何年・何十年もかかって認められたり、成果が出てくるものばかり、各団体や個人が夢やビジョンを追い続けて、築く信念。そんな団体でありたい)に特徴 ・ニーズに対して必要な事業展開と着実な成果、これからの10年は次の段階に向けて新たなチャレンジ ・特徴ある【ドノ親子ニモ応援団プロジェクト】とノーベルの活動全体を支援する2つの寄付方法 |
記事の内容は以上です。もし、今あなたが
「どの団体に寄付するか決めかねている・・・」
「寄付先の選び方を知りたい・・・」
とお思いなら、寄付アドバイザーが「あなたに合う寄付先の選び方」を解説する人気記事をおすすめします。
気になる方はぜひ以下をご一読ください!
>>寄付先のおすすめNPO団体は?失敗しない選び方を専門家が一覧から徹底解説!
NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー大学卒業後、国際協力分野のNGOにボランティアスタッフとして参加。その後、国際交流・協力分野の中間支援組織へのインターンシップ、職員を経て、office musubime (オフィス ムスビメ)を2011年7月に設立。
寄り添って伴走する第三者として、身近な相談相手や多様な人・団体をつなぐ役割を通し、組織診断・組織基盤強化、ファンドレイジング支援など、各団体の支援に取り組む。
大阪マラソンチャリティ事務局担当や、国際協力や子ども/子育て支援、まちづくり分野、コミュニティ財団などの役員、大学の非常勤講師としてNPO論やボランティア論などの担当も。