地球温暖化は私たちの生活を脅かす現象として問題視されています。ただ気温が上がるだけでなく、様々な影響を与え、そのままにしてしまえばさらに深刻な事態へと発展してしまいます。
それを防ぐべく世界では議論がなされ、各国でその対策を行っているのですが、日本でも同様に取り組みがなされています。
この記事では、地球温暖化対策において日本政府が行っている取り組みなどを紹介します。
地球温暖化のメカニズムや原因、現状は?私たちへの影響やすぐにできる対策も解説
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地球温暖化と温室効果ガスの関係は?
地球温暖化とはその名の通り、気温の上昇により地球全体が温暖化されていくことを意味します。
この主たる原因は温室効果ガスです。このガスは二酸化炭素や一酸化窒素、メタン、フロンガスなどで構成されており、特に二酸化炭素がその大半を占めています。
これらが大気中に増え、層のような役割を果たすことで、本来夜間には地球外に逃げていくはずの熱が蓄積されてしまい、地球を温めてしまっています。
温室効果ガスがないのは問題ですが、現在のように過多になりすぎても弊害があります。 温室効果ガスがない場合、地球の熱は全て外に放出されてしまうので、気温は-18℃になってしまうと言われています。
これが適度に地球を覆っていれば、平均気温は15℃程度に保たれるので、生物にとっては快適な気温となります。 温室効果ガスが地球温暖化を引き起こす主な原因であり、ただ地球を温めるだけならそれほど問題視はされません。
しかし実際にはこの現象が起こることで、自然界のバランスを崩し、気候変動を引き起こす要因となってしまっています。
今のスピードで温室効果ガスが増え続け、気温の上昇が起これば、地球の環境はさらに悪化し、人間を含む動植物の生活や健康などに甚大な被害をもたらす可能性があります。
(出典:東京都環境局「地球温暖化ってなに?」,2018)
日本の温室効果ガス排出量は?
世界各国がこの温室効果ガスの排出を抑制するよう目標を立てて、取り組みを行っています。
地球温暖化の進行を防止するための対策ではありますが、当然日本でも様々な取り組みを進めています。そんな日本は現状どれだけの温室効果ガスを排出しているのでしょうか。
2020年度の温室効果ガスの排出量の報告によれば、この年度は二酸化炭素換算で総排出量11億5,000万トンものガスを排出したと言われています。
単位だけ見ると、非常に多くの温室効果ガスを排出しているように思えますが、前年度の総排出量は12億1,200万トンで5.1%(6,200万トン)減少していることがわかります。
また2013年度の総排出量14億1,000万トンと比較しても18.4%(2億5,900万トン)の減少が見られます。
環境省の発表によれば、温室効果ガスの総排出量は2014年から7年連続で減少しており、実質GDPあたりの温室効果ガスの総排出量は、2013年から8年連続で減少しているとされています。 まだまだ排出量は多いですが、着実に排出量を減少させるよう対策を行っていることがわかります。
(出典:環境省「2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について」,2020)
地球温暖化対策のために日本が行っている取り組み
このように温室効果ガスの抑制に徐々に効果を見せている地球温暖化対策ですが、実際にはどのようなことを行っているのかも紹介していきます。
日本では地球温暖化対策計画を立案し、そちらを元に政府や関係各所は取り組みを行っています。 目標を立て、部門ごとに細分化された対策を打ち出し、様々な分野の必要な取り組みを進めていますが、どのような目標や部門ごとの対策を行っているのか2021年に5年ぶりに改訂された球温暖化対策計画を元に見ていきます。
日本の地球温暖化対策における目標
日本の温暖化対策では2つの目標を立てています。 まず打ち出されているのが中期的目標であり、こちらは温室効果ガスの排出削減および吸収量を2030年度までに2013年度比で46.0%の水準にすることと定めています。
もう1つが長期的目標として見据えられたものであり、こちらは2050年までに温室効果ガスの排出ゼロを目指すというものです。
温室効果ガスの排出削減は世界中で取り組まれていることであり、主要排出国がその能力に応じた排出削減に取り組むように国際社会を主導し、地球温暖化対策と経済成長を両立させることも長期的目標には盛り込まれています。
部門別に対策を実施
この目標をもとに部門別の対策を策定し、実施しています。その部門は5つに分けられ、それぞれ対策は異なりますが、それぞれを達成することで中期目標を達成していけるよう道筋を明らかにしています。
また各部門ごとに取り組みは示されているものの、分野横断的政策や基盤的施策、国際協力の推進なども同時に進められており、協力体制の下、目標達成に向けた取り組みが行われています。
産業部門(製造事業者等)
日本の温室効果ガスの3割を占める部門。2013年度から2019年度にかけて約10.9%減少を実現しました。
温室効果ガスの主となるガスは二酸化炭素です。そのため産業部門ではその元となる炭素の削減を目指し、低炭素社会実行計画を策定して着実な実施と評価、検証を行っています。
またエネルギーを生み出す火力発電でも温室効果ガスが発生することから、設備や機器の省エネとエネルギー管理の徹底も対策として盛り込まれています。
これにより省エネ性能の高い設備や機器の導入、そしてエネルギーマネジメントシステムの利用も進められています。
業務その他部門
業務その他部門では2013年度から2019年度にかけて約10.9%の二酸化炭素排出量減少を実現しました。
この部門でも省エネ対策を主に行っています。新築建造物省エネ基準適応義務化を行い、新しく建てる建造物には省エネを導入していくことを示し、既存の建造物に関しても省エネ改修を実施しています。
また機器の省エネ化としてLEDなどの高効率照明のストックを2030年までに100%にすることやトップランナー制度による省エネ性能向上を進めています。省エネ診断によるエネルギー管理の徹底も同時に進行中です。
家庭部門
家庭部門では、2013 年度から 2019年度にかけて約23.3%の二酸化炭素排出量減少を実現しました。要因は、電力の二酸化炭素排出原単位(経済活動量1単位あたりのCO2排出量のこと)の改善や省エネ等だとされています。
家庭部門では私たち国民の活動が欠かせません。そのため国民運動の推進を取り組みとして進めています。
また住宅の省エネ対策として、先ほどの新築建造物省エネ基準適応義務化や既存住宅の断熱改修なども行っています。 LEDなどの2030年ストック100%はもちろん、家庭用燃料電池の530万台の導入やトップランナー制度による省エネ性能向上も進められています。
スマートメーターを利用した徹底したエネルギー管理も実施されています。
同部門からの二酸化炭素排出の約2/3が電力由来であることから、削減に向けて電力分野の脱炭素化が重要とされています
運輸部門
運輸部門では、2013年度から2019年度にかけて約8.2%の二酸化炭素排出量減少を実現しました。主な要因は、主な減少要因は、自動車の燃費改善や貨物輸送における輸送量の減少だとされています。
運輸においては温室効果ガスを排出する輸送機、機器の使用は欠かせません。これらを抑制するために、EVやFCVなどの次世代自動車の普及や燃料の改善などが進められています。
新車販売においてはこれら次世代自動車が占める割合を5~7割にすることを目標としています。 また交通流対策の推進やエコドライブ、公共交通機関の利用促進、低炭素物流の推進なども取り組まれています。
エネルギー転換部門
エネルギー転換部門部門では2013年度から2019年度にかけて約15.9%の二酸化炭素排出量減少を実現しました。
現状エネルギーは温室効果ガスを排出する火力発電を主としています。 エネルギーを火力発電から再生可能エネルギーへ転換していくだけでも大きな効果を得られることから、最大限の導入を行っています。
また全ての火力発電をすぐさま停止し、再生可能エネルギーに変えられるわけではないため、火力発電の高効率化も同時に行っていき、排出量を極力抑えられるよう対策を実施中です。
さらに国内では厳しい声が飛ぶ原子力発電も温室効果ガスの排出を抑えた発電であり、安全性が確認されたものについては活用をしていくことも検討されています。
その他温室効果ガス及び温室効果ガス吸収源対策
温室効果ガス、とりわけ二酸化炭素の吸収源は森林などの植物です。そのため健全な森林の整備や保安林などの適切な管理、保全などの推進などを進めています。
また森林だけでなく、有機物を継続的に施用などした土壌では炭素貯留が増大していることから、農地および草地土壌の有機物施用による土作りの推進や都市緑化などの推進も合わせて取り組まれています。
(出典:環境省「地球温暖化対策計画の概要」,2016)
(出典:環境省「地球温暖化対策計画」,2021)
地球温暖化対策において私たちにもできること
地球温暖化が進み、地球の環境がさらに悪化すれば、人間や動植物の生活、健康などに甚大な被害をもたらす可能性があります。
人間や動植物たちを守るため、日本では地球温暖化対策計画を立案し、政府や様々な方々や団体が地球温暖化問題に対する取り組みを行っています。
しかし、継続して活動を行うには資金や人材がまだまだ足りていません。
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