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働き方改革関連法の中小企業への適用時期や定義について解説

この記事を要約すると

働き方改革を推進するために、2019年4月1日より働き方改革関連法が施行されました。
これにより、企業は法律に定められた様々な改正内容を実施していかなければいけません。

しかし、適用時期は大企業と中小企業では異なっています。
働き方改革関連法の適用時期や定義について解説します。

働き方改革とは?関連法の内容や施行時期について解説

働き方改革関連法の実施時期は大企業と中小企業で異なる


2019年4月1日より働き方改革関連法の施行が開始されました。

働き方改革関連法は、従来の働き方とは異なり、現代の様々な事情に応じた多様な働き方を選択できる社会の実現に向けた改革を総合的に推進するための法律です。

長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保などの措置を講じることを目的としています。
企業は、規模の大中小問わず働き方改革に合わせた労働環境の変更、あるいは改善に向けた取り組みを行わなければいけません。

改正法が施行されれば、順次実施を行わなければいけないのですが、実施時期については大企業と中小企業では異なります。

中小企業および小規模事業者は日本の雇用の7割を担っており、より着実に実施することを目的として、内容によっては、中小企業は大企業よりも遅めの実施時期となっているものもあります。

  • 2019年4月1日、働き方改革関連法が施行された
  • より着実に実施することを目的に、内容によっては中小企業は大企業よりも遅めの実施時期となる
  • 中小企業および小規模事業者は日本の雇用の7割を担っている

(出典:厚生労働省「働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~」)

働き方改革関連法の中小企業の実施時期は?


働き方改革関連法では様々な施策が実施されます。先にも触れたように中小企業は内容によって実施時期が異なるため、これを事業主も労働者もしっかり把握しておく必用があります。

それぞれの実施内容と実施時期についてまとめました。

労働時間法制の見直し

労働時間の見直しは働きすぎを防ぎつつ、ワークライフバランスと多様で柔軟な働き方を実現することを目的にした制度です。

残業時間を規制する長時間労働を禁止し、また年次有給休暇を取得しやすくするなど個々の事情に合わせて仕事と生活の両立ができるバランスを実現することを目指しています。

残業時間の上限の規制

この制度の1つが残業時間の上限の規制です。

残業時間の上限は原則月45時間、年360時間とし臨時的な特別の事情がなければ超えてはいけないと定められています。
臨時的な特別の事情については、労使が合意する場合の特別条項であっても以下のような上限規制が定められています。

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 複数月の1ヶ月あたり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月が限度

残業時間の上限の規制は、大企業は2019年4月1日から施行されますが、中小企業は事情に配慮しながら助言指導を行うため2020年4月1日からの施行となっています。

また上限規制には適用を猶予・除外する事業・業務もありますが、基本的にはどの中小企業も大企業での実施から1年の猶予があります。

年5日間の年次有給休暇付与の義務づけ

年次有給休暇について、以下の条件を満たした労働者は年10日付与されることになっています。

  • 半年間継続して雇われている
  • 全労働日の8割以上を出勤している

このうちの年5日間については使用者が労働者の希望を踏まえた上で時季を指定し付与しなければいけないという義務化が実施されます。
これを「年次有給休暇の時季指定」と言い、大企業・中小企業問わず2019年4月1日からの施行となります。

高度プロフェッショナル制度の創設

高度専門知識を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者を高度専門職と呼びます。この職については労働時間や休息、休日および深夜割り増し賃金に関する規定から外し、新たな規制の枠組みが創設されます。

これは主に労使委員会の決議および労働者本人の同意を前提としており、年間104日以上の休日確保や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置を講ずるというものです。

ただし制度の導入には法律に定める企業内手続きが必要となります。
こちらも大企業・中小企業ともに2019年4月1日からの実施となります。

フレックスタイム制の拡充

制度の拡充により、労働時間の調整が可能な清算期間において、これまでは1ヶ月だったのに対して、改正後は3ヶ月となりました。

これまでは1ヶ月の中で法定労働時間を超えていた場合は、割増賃金を支払う必要がありました。
しかし改正後は、1ヶ月で30時間の時間外労働があった場合、翌月の労働時間を30時間短くして調整することにより、割増賃金を支払う必要はなく、所定労働時間働いていない月も欠勤扱いされなくなります。

これにより、6月に多く働いた分、子どもが長期休みとなる8月に労働時間を調整し、子育てする時間を確保するなどの多様な働き方ができるメリットが生まれます。
フレックスタイム制の拡充は大企業・中小企業ともに2019年4月1日から実施されています。

勤務間インターバル制度の導入

1日の勤務終了時刻から、翌日の出社までの間に一定時間のインターバル(休息時間)を確保する制度を導入します。

始業時刻が8時の企業でインターバルを11時間確保するならば、前日23時まで残業した場合、始業時刻を10時とする制度です。
勤務間インターバル制度の導入は大企業・中小企業ともに2019年4月1日から実施されています。

労働時間の客観的な把握の義務づけ

裁量労働制が適用される人や管理監督者を含め、すべての人の労働時間の状況が客観的な方法やその他の適切な方法で把握されるように義務付けられた制度です。

これまでは裁量労働制が適用される人は対象外となっていましたが、今回の改正から義務付けられることになりました。

これにより長時間働いた全ての労働者に対して、医師による面接指導を確実に実施できるようになります。
労働時間の客観的な把握の義務づけは大企業・中小企業ともに2019年4月1日から実施されています。

産業医・産業保健機能の強化

事業主から産業医への情報提供や産業医などによる労働者の健康相談などが強化されます。
これにより長時間労働者の状況や労働者の業務状況を、事業主は産業医へ情報提供しなければならないと定められました。

また事業主は産業医から受けた勧告に関して、事業場の労使や産業医で構成される衛生委員会に報告する義務を負います。

他にも事業者は労働者が産業医などに健康相談できる体制整備をし、労働者が安心して事業場における健康相談や健康診断を受けられるようにすることが定められています。
産業医・産業保健機能の強化は大企業・中小企業ともに2019年4月1日から実施されています。

月60時間超の残業の割増賃金率の引上げ

これは中小企業に限った制度ですが、割増賃金率が25%から50%に引き上げられる制度です。

月60時間を超える残業割増賃金は、大企業はこれまで50%でしたが中小企業は25%でした。それを大企業、中小企業問わず50%に引き上げるという内容です。
月60時間超の残業の割増賃金率の引上げは2023年4月1日より実施される予定です。

雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

この改正は、同一企業内における正社員と非正規社員の間の不合理な待遇の差をなくすことを目的としています。

どのような雇用形態を選択していても、待遇に納得して働き続けられるようにすることで多様で柔軟な働き方を選択できるようにするとしており、「同一労働同一賃金」を目指しています。

不合理な待遇差をなくすための規定の整備

同一企業内で、正社員と非正規社員間の基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されました。
もし裁判となった場合、判断基準となるのが整備された以下の2つの法律になります。

均衡待遇規定 不合理な待遇差を禁止しており、職務内容(業務の内容+責任)や職務内容・配置の変更の範囲、その他の事情などの違いに応じた範囲内で待遇を決定する必要があります。
均等待遇規定 差別的取り扱いを禁止しており、職務内容(業務の内容+責任)や職務内容・配置の変更の範囲が同じ場合、待遇について同じ取り扱いをすることが必要となると定められています。

不合理な待遇差をなくすための規定の整備、大企業は2020年4月1日、中小企業は2021年4月1日から実施となります。
(出典:厚生労働省「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」)

労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

これまで非正社員には待遇に関する内容の一部、または全部の説明義務について規定がありませんでした。

特に有期雇用労働者に関しては全ての説明義務の規定がなく、パートや派遣労働者も待遇差の内容や理由、不利益取扱いの禁止については規定が設けられていませんでした。

この改正により、以下の項目について非正規社員に対する説明義務が規定されました。

  • 雇い入れ時の雇用管理上の措置の説明
  • (説明の求めが合った場合)待遇決定に際しての考慮事項
  • (説明の求めが合った場合)待遇差の内容・理由
  • 不利益取扱いの禁止

待遇に関する説明義務も、大企業は2020年4月1日、中小企業は2021年4月1日からの実施となります。

行政による助言・指導等や行政ADRの規定の整備

改正により行政の助言や指導など裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定が整備されました。これにより都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続きを行うことが可能です。
また有期雇用労働者と派遣労働者について行政ADRの根拠規定が整備され、均衡待遇や待遇差の内容・理由に関する説明についてもその対象となっています。
行政による助言・指導等や行政ADRの規定の整備も大企業は2020年4月1日、中小企業は2021年4月1日からの実施となります。

  • 働き方改革関連法の内容によって、中小企業は大企業と実施時期が異なるため、事業主も労働者も把握する必用がある
  • 労働時間法制の見直しが行われた
  • 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保を目指す

(出典:厚生労働省「働き方改革関連法の主な内容と施行時期」,2019)

(出典:厚生労働省「働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~」,2019)

中小企業の定義


中小企業については明確な規定があり、以下の表にまとめた「資本金の額または出資総額」または「常時使用する労働者数」が該当する企業が中小企業です。

業種 資本金の額または出資総額 常時使用する労働者数
小売業 5000万円以下 50人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他
(製造業、建設業、運輸業、その他)
3億円以下 300人以下

基本はこの基準によって判断されますが、個人事業主や医療法人など出資金の概念が無い場合は、労働者数のみで判断されることになります。

  • 中小企業については規定がある
  • 「資本金の額または出資総額」または「常時使用する労働者数」が該当する企業が中小企業
  • 個人事業主や医療法人など出資金の概念が無い場合は、労働者数のみで判断

(出典: 厚生労働省「働き方改革関連法の主な内容と施行時期」,2019)

中小企業・小規模事業者に行われている支援


中小企業や小規模事業者には今回の働き方改革関連法の施行に伴い、厚生労働省はいくつもの支援を行っています。

例えば働き方改革や人手不足に関して、根本的にどうすべきか悩んでいる場合には「よろず支援拠点」や「働き方改革推進支援センター」といった相談窓口が設けられており、専門家が無料で相談に応じてくれます

人手不足への対応には、「中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン」という成功事例や好事例が整理された事例集が用意されています。

他にも生産性向上や業務効率化に対して「ものづくり・商業・サービス補助金」、「IT導入補助金」などの補助金を受けられる制度や、魅力ある職場づくりと社員育成に「両立支援等助成金」、「キャリアアップ助成金」など多くの助成金や事業での支援が行われています

  • 働き方改革や人手不足に関して相談窓口が設けられており、専門家が無料で相談に応じる
  • 人手不足への対応には、成功事例や好事例が整理された事例集が用意されている
  • 生産性向上や業務効率化、魅力ある職場づくりと社員育成に多くの助成金や事業での支援がある

(出典:厚生労働省「働き方改革支援ハンドブック」,2019)

不安なことやわからないことは無料相談窓口へ


働き方改革は、まさしくこれまでの働き方からの変革であり、中小企業事業者、労働者ともに不安やわからないことなども出てくるでしょう。

全てを理解して把握することは困難であり、専門家などの力も借りなければ、法律に従った整備や労働は難しくもあります。

そのような状況に陥らないように、先ほども触れた「よろず支援拠点」や「働き方改革推進支援センター」などの相談窓口があります。不安などがあればすぐにでも相談窓口で相談して、正しい対応を取ることが大切です。

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