昨今、日本での貧困問題が話題になっていますが、40代の女性の貧困も深刻な状況となっています。
40代女性は若者にはない原因から貧困に陥る場合があります。
貧困の実状を知るためには原因をよく理解することが大切です。
そして貧困の状況に応じて行政をはじめとした適切な機関に相談し、手当や支援を受けることで少しずつ貧困を解消していくことができます。
まずは40代女性の貧困の現状把握から始めましょう。
独身女性の貧困が深刻化し非正規雇用の生活で老後への不安も拡大。
対策や支援団体はあるのか?
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40代の女性の貧困率は?
はじめに40代女性の貧困率(収入から税金や社会保険料を引いた可処分所得を高い順に並べ、中央の額の半分に満たない人が全体に占める割合)と平均年収を紹介します。
図は男女別・年齢階層別相対的貧困率を表しています。
(引用:男女共同参画局「平成24年版 男女共同参画白書」)
20代から30代にかけては、女性よりも男性の貧困率がわずかに高くなっていました。それが30代で逆転し、40代になると男性よりも女性の貧困率の方が3%ほど高くなっています。50代の一時点で男女の割合が逆転することこそあれ、30代以降は基本的に女性の方が貧困率の割合が高いのです。
また、20代の女性よりも40代の女性の貧困率の方が高い数値を出していることもわかります。
これには歳を重ねたからこそ発生する支出が大きく関係しています。40代女性が貧困に陥る理由を説明します。
理由は以下の男女別の平均給与を確認することでわかります。
まずは以下の年齢階層別の平均給与を表した図をみてください。
(引用:国税庁 平成29年分「民間給与実態統計調査」)
40代の男女の平均給与をまとめると以下のようになります。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
30~34歳 | 461万円 | 315万円 |
35~39歳 | 517万円 | 313万円 |
40~44歳 | 569万円 | 308万円 |
45~49歳 | 630万円 | 310万円 |
(出典:国税庁 平成29年分「民間給与実態統計調査」)
このように40代になるに連れて男女間の給与格差は非常に大きなものとなります。
40~44歳の時点で約260万円、45~49歳になると320万円の開きがあり、男性の給与が女性の2倍となるのです。
さらに女性の平均給与が年齢と共に上昇しない点も問題となっています。
昨今は男女ともに婚姻率が低下しているため、未婚女性がいかに厳しい状況に置かれているかがわかるでしょう。
こうした給与格差は女性の非正規雇用割合が高いことや女性の管理職が少ないことによって起こっていると考えられます。こうした問題は個人の力ですべてを解決するのは難しいのが現状です。
- 20代の女性よりも40代の女性の貧困率の方が高い数値を出している
- 女性の非正規雇用割合が高いことや女性の管理職が少ないことによる給与格差が生じる
- 女性の平均給与が年齢と共に上昇しない点も問題である
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40代の女性が貧困になってしまう原因は?
男女の貧困率および平均給与に大きな差があるとわかりましたが、貧困になる理由について考えてみましょう。
以下では4つの視点から原因を探っていきます。20代の若者が貧困に陥る原因とは異なる点や、貧困に陥るのが必ずしも未婚女性やシングルマザーに限らないなどの特徴が見られます。
住宅や車のローン、子どもの学費などの支出の増加
40代の既婚女性であっても貧困に陥る原因としては、以下のものが挙げられます。
- 住宅ローンの支払い
- 車のローンの支払い
- 子どもの学費、生活費
40歳代から50歳代にかけての世帯は子供が成長し、授業料や学習参考書代、仕送り金、塾の費用などの教育関係費の支出が他の年代に比べ多くなることがわかっています。
そのほか、家庭や家族を維持するために必要な支出が増えるのです。
一方で、先述したように女性の平均給与は年齢とともに上昇しないのが現実です。
その中で生活費が上昇することで40代の女性の貧困が生まれてしまいます。
(出典:総務省統計局「年齢階級別に見た暮らしの特徴」,2018)
離婚により収入源が自分のみになる
40代の女性が離婚をするとさらに状況は深刻になります。年齢とともに収入が上昇しない中で収入源が自分のみとなるため、より生活が苦しくなるのです。
特にシングルマザーとなった場合は生活を維持することに重点を置くため、子どもを進学させることが難しくなるケースも増えます。
親の介護や身内の世話
さらに40代になった頃から起き始めるものとして、親の介護や身内の世話があります。
介護施設を利用しようにも費用が高いため女性が非正規雇用となり労働時間を減らして介護にあてる時間を確保する場合が多いのです。
そうなると世帯収入が低下する一方で介護のための費用は上昇するため貧困につながります。
さらに介護のために自宅をリフォームする必要が生じた場合、家計は大きく圧迫されるでしょう。
病気やケガで退職
介護の必要性に加えて40代から女性特有の病気やケガが増えるといった事情も貧困を招きます。
具体的な病気としては以下のものが挙げられます。
- 更年期障害
- 卵巣がん
- 乳がん
- 子宮頸がん
特にがんについては40代から注意が必要です。こうした検診や治療による支出が増えることも既婚、未婚に関係なく40代女性の貧困を推し進めます。
特に女性は乳がんや子宮がん、卵巣がん、子宮頸がんになりやすいとされ、30代後半から40代後半にかけてその確率も高くなるとされています。
このように40代になると、20代の頃にはなかった支出が重なり相対的貧困につながることも考えられます。
政府資料によると、先ほどみた貧困率のグラフにおいて、20代女性の貧困率と40代女性の貧困率に大きな違いがなかった点はこうした支出の増加によると言われています。
- 40代になると家庭や家族を維持するために必要な支出が増える
- 40代にをすぎると親の介護や身内の世話をする必要も出てくる
- 女性の平均給与は年齢とともに上昇しない
(出典:がん対策推進企業アクション「がんの動向」)
(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」,2019)
(出典:国税庁「民間給与実態統計調査」)
シングルマザーには様々な支援も
以上のように40代の女性は既婚、未婚を問わず貧困に陥る恐れがあります。しかし、シングルマザーの状況は特に深刻といえるでしょう。
もちろん離婚した元夫から養育費を受け取ることができますが、それでまかなえるのは子どもの最低限の生活費および教育費となります。
それ以外の支出を女性の一馬力でまかなうのは決して簡単ではありません。
結婚・出産を機に一度正社員を退職してパート・アルバイトになった後に離婚するともう一度正社員に復帰するのが難しい場合が多いのです。
こうしたシングルマザーにおいては以下のような手当および支援を利用するという方法もあります。
- 児童扶養手当
- 母子家庭の住宅手当
- 母子家庭の医療費助成制度
- 生活保護
- 母子家庭の遺族年金
- 児童育成手当
各種手当や支援を受ける要件については、自治体ごとに異なるため事前に市区町村役場で確認しましょう。
- 結婚・出産を機に一度正社員を退職してパート・アルバイトになった後に離婚するともう一度正社員に復帰するのが難しい
- 児童扶養手当、母子家庭の住宅手当などの支援がある
- 各種手当や支援は自治体ごとに異なるため事前に市区町村役場で確認が必要
(出典:厚生労働省「母子家庭等関係」)
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貧困の要因によっては行政の手当や支援がもらえる可能性も
今回の記事では40代女性の貧困について解説しました。彼女らの貧困率は20代女性のものと変わりません。
そして既婚者であっても住宅ローン、介護費用および病気の治療費によって支出が増えて貧困に陥る場合があります。
特にシングルマザーの状況は深刻であり、必要に応じて行政の手当や支援を受ける必要があります。介護、病気といった原因は自身の努力では避けられない側面を持つため、まずは市区町村役場の窓口に相談し、少しずつ生活を立て直すことが重要です。