広島県神石高原町に本部を置き、国内外で自然災害、あるいは紛争や貧困など人為的な要因による人道危機や生活の危機にさらされた人びとを支援する国際NGO団体「ピースウィンズ・ジャパン」。
この団体は世界に向けた支援の他にも「ふるさと納税」を利用した支援を行っています。
今回の記事ではふるさと納税支援における方法や活動内容について解説します。
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンとは?活動内容や支援方法を解説
ふるさと納税でNPO団体を支援できる仕組みとは
寄付金控除の対象となるものを「特定寄付金」と呼んでおり、その範囲は税法上定められています。
ふるさと納税と認定NPO法人に対する寄付のうち、一定のものはどちらも所得税寄付金控除の対象となっています。
ふるさと納税の税額控除との違いは?
所得税と住民税の算出方法には違いがあります。
まず、所得税については認定NPO法人に対する寄付が所得控除又は税額控除のいずれかを選べますが、ふるさと納税では所得控除のみの適用です。
しかし、住民税についてはふるさと納税の方が優遇されます。
これは、ふるさと納税制度の普及を目的とした「特例控除」という控除枠が別に設けられているからです。
特例控除が適用されることで、認定NPO法人への寄付よりも一般的には多くの住民税が控除されることを覚えておきましょう。
NPO法人への寄付とふるさと納税の寄付を同じ年に行っても問題なし
ふるさと納税と認定NPO法人への寄付を同じ年に行うことに問題はありません。
ただし、これらの寄付金控除を受けるためには、確定申告が必要になります。
確定申告は、2月16日から3月15日までに確定申告書に必要事項を記入します。
住所地を管轄する税務署へ提出することにより行います。
ふるさと納税でピースウィンズ・ジャパンを支援しよう
ピースウィンズ・ジャパンを指定して、「広島県神石高原町」にふるさと納税(寄付)すると、寄付金額の98%がPWJの活動に活用されます(残り2%は町の事業に利用)。
また「佐賀県NPO支援」から佐賀の伝統工芸品を選択し納税すると、95%がピースウィンズ・ジャパンへ交付され、佐賀県の伝統工芸振興を支援する事業に充てられます。
そして、寄付金のうち2000円を除いた額が、確定申告によって所得税や住民税から差し引かれ、ピースウィンズジャパンからもお礼の品が届く仕組みです。
(出典:ピースウィンズ・ジャパン公式サイト「ふるさと納税」)
(出典:ピースクラフツSAGA公式サイト「ふるさと納税」)
ふるさと納税で支援できるピースウィンズ・ジャパンの活動は?
ピースウィンズ・ジャパンは、日本にあるNGO団体の中でも幅広い支援を行っています。
そんな幅広い支援を行えるのも、多くの人からの寄付金が元になっているからです。
この項目では、実際にピースウィンズ・ジャパンが行っている支援活動について解説します。
ピースワンコ・ジャパンの「殺処分ゼロ」
ピースワンコ・ジャパンとは?
「人と犬が力を合わせて、社会を元気にする日本初の三位一体モデルを創る」をコンセプトに、以下のような活動を行っています。
まだまだ多い「犬の殺処分」
犬・猫の殺処分件数は、年々減少傾向にありますが、2017年度も全国で4万3000頭を超え、大きな社会問題になっています。
ピースワンコ・ジャパンの本拠地である広島県は、2011年に犬・猫を合わせた殺処分数が8,340頭に登り、全国ワーストを記録したのです。
2013年秋から取り組みを始めた「広島の犬の殺処分ゼロ1000日計画」に沿って、2016年4月に広島の殺処分対象犬の全頭引き取りを開始し、犬の「殺処分ゼロ」に成功しました。
(出典:環境省 統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」)[
「殺処分ゼロ」を実現する為に拡充する設備
現在、広島県神石高原町などにある4箇所のシェルターには、計約4200平方メートルの庭付きの犬舎を確保しています。
また、これと別に計約8000平方メートルのドックランもあり、犬たちがストレスを感じることなく自由に走り回れる環境を整えています。
殺処分ゼロを実現した2016年以降、増設した犬舎の面積は約3400平方メートルに拡大し、譲渡センターも、2014年の広島、湘南(神奈川)に始まって現在は7箇所に増えています。
施設拡充と共に増大する費用
このような施設の拡充と共に、スタッフも段階的に増加しています。
現在は、獣医師を含む100人を超える専属スタッフに加えて外注の清掃業者スタッフや、多数の登録ボランティアの方々の協力があります。
その他にも、保護頭数の増加に伴ってフード代を中心とした養育費や、医療費も増加しています。
2018年度は養育費に約7900万円、医療費に約1億3400万円がかかっています。
ふるさと納税は、このような継続的に掛かる費用のために必要な支援となるのです。
(出典:ピースワンコ・ジャパン「活動を知る」)
佐賀県の伝統工芸振興を支援する事業
佐賀県の伝統工芸を発展させる
ひとつひとつが手作りで作られる工芸品。
作り手によってこだわりや作品への想いは異なりますが、その工芸品を「より多くの人に知ってもらいたい」という想いは一緒です。
その想いをカタチとして届けるために、ピースクラフツSAGAでは佐賀の伝統工芸をまだ知らない人に向けての活動を行っています。
具体的には情報発信、チャネル開発、生活様式や生活者の意識の変化に対応した商品づくり、海外市場を見据えた商品開発や展示会の開催など多岐にわたる活動です。
これまでの歩み
ピースウィンズ・ジャパンは、商品・作品開発プロジェクトを2016年から開始。フランス人コーディネーターの協力を依頼し、フランスからデザイナーを招待しました。
また佐賀県の工芸事業者7組の工房を訪れ、伝統的な技法や素材を進化させるデザインを提案し、新しいものづくりに果敢に挑戦したのです。
そして、翌年の2017年5月にはフランス・パリで行われた「レベラション2017」に出展。
彼らの商品・作品を展示し、多くのバイヤーから高評価を得ました。
2018年には再度、国内のデザインプロデューサー、デザイナー、アーティストらが協力クリエイターとなり、工芸事業者6組が商品、作品開発に挑戦しました。
工芸事業者6組はこれまでの先達より工芸品に込める強い意思を受け継ぎ、自ら磨いた技法や表現力を基礎に工芸の未来のために商品開発に取り組んだのです。
そして2018年9月に、新たな作品が完成すると、その作品は山口祥義佐賀県知事に高く評価される結果となりました。
このような商品群をふるさと納税の返礼品に加え、地場産業の未来を支える収入として「ふるさと納税」が活用されているのです。
(出典:ピースクラフツSAGA公式サイト)
寄付金の主な使い道
ピースクラフツSAGAに対して行われた「ふるさと納税」の寄付は、返礼品に当てる伝統工芸品の購入、生活者のニーズ調査・市場調査、国内外デザイナーらとの商品開発、ウェブサイト・SNSでの情報発信、国内外展示会・見本市への出典、新規販路開拓などに使われます。
ふるさと納税でピースウィンズ・ジャパンの活動をサポート!
今回の記事ではピースウィンズ・ジャパンでの「ふるさと納税」について説明しました。
「ふるさと納税」と一口に言っても使われる用途は様々です。
各NGO団体の活動をチェックしながら自身が共感できる団体にぜひ、「ふるさと納税」を行ってみてはいかがでしょうか。