ピースウィンズ・ジャパン(以下PWJ)は、紛争や災害、貧困などの脅威にさらされている人々に対して支援活動を行うNGO団体です。
日本の国内外、世界32カの国と地域で活動してきたPWJが、日本の地域でどのような活動を行っているかを詳しく解説します。
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンとは?活動内容や支援方法を解説
ピースウィンズ・ジャパンとは?
PWJの持つビジョンは、「人々が紛争や貧困などの脅威にさらされることなく、希望に満ち、尊厳を持って生きる世界を目指す」としています。
「緊急支援」、「復興・開発支援」、「国内事業」の3つの軸を中心に活動しており、2004年の設立から述べ158万人以上、27,000組以上もの家族を支援してきました。
実際に災害が起きた地域での調査、被災地への生活必需品の支援、住宅の建築やトイレなどの衛生設備の設営、日本における伝統芸能の継承、世界で起きている問題を日本中で伝える宣伝活動など、活動内容は多岐にわたります。
世界各国で始まった小さな取り組みは、災害などで苦しむ人たちの大きな力となっています。
ピースウィンズ・ジャパンが日本で行っている支援活動
PWJの活動範囲は、決して世界各地だけとは限りません。
日本で起きた災害支援から、地域復興・教育などの支援を積極的に行っているのです。
今回は、過去にPWJが国内で支援を行った活動をご紹介します。
災害緊急支援
PWJは日本で起きた甚大な被害のあった災害の地域・被災者に対して支援を行っています。
2017年7月 九州豪雨
九州を襲った豪雨は、福岡県朝倉市と東峰村で甚大な被害を及ぼしました。
豪雨による死者は34人を数えます。
PWJは福岡県朝倉市で行方不明者が多数出ていることを受けて、災害救助犬2頭と、レスキューチームを現地に派遣して捜索活動を行ったのです。
その他にも、報道されていない実際の現場を調査し、実態を発信することで、緊急募金なども募ってきました。
また、避難生活を強いられていた地域住民は、寝床は体育の授業で使うマットの上という環境であったり、入浴できないなどの問題が多くありました。
また、食料などの継続的な支援も必要な状態でした。
「硬い運動用マットでの睡眠」「着の身着のまま逃れてきていて、着替えがない」などの問題を抱えていることを感じたPWJは、三井住友科学株式会社から寄付を受けたマットレス100枚を支援。
他にもグンゼ株式会社からは肌着軽1800枚、靴下1203足などの寄付を受け、支援しました。
食料支援などは多くの団体や人々から申し出がありますが、実際に求められている支援と乖離していることも考えられます。
このようなことがないように、PWJでは実際の現場に赴き、「どんな支援が必要なのか」を目で確かめて支援しています。
(出典:ピースウィンズ・ジャパン公式サイト)
2018年9月 北海道胆振東部地震
2018年9月6日に北海道で起きた大規模地震では、発生直後から現地で支援を続けています。
現在も特に被害の大きかった厚真町・安平町・むかわ町と、北広島市の1市3町において、PWJは家電の支援を続けています。
現地の提携団体と業務委託契約を結び、支援を進めている他にもPWJスタッフが定期的に現地に入り、情報を収集しています。
支援の数は、時間が経つにつれて少なくなっていきます。
これは、実際にニュースで報道される回数が少なくなるのに比例しています。
時間が経っても、仮設住宅で生活を余儀なくされている人も多く、継続した支援は必要です。
PWJは、このようなメディアに取り上げられなくなった災害の支援も継続します。
地域復興・教育
「地域復興」という言葉には様々な意味が込められています。
地域の伝統産業を公にアピールするものもあれば、過去に起きた災害をサポートするものもあります。
東日本大震災 復興支援
東日本大震災は、1万人以上の死傷者を出した日本で起きた最大級の災害です。
2011年に発生した災害ですが、2019年現在も支援を必要としている人が多くいます。
しかし、実際には災害が起きた当時に比べ、震災が起きた日にだけフォーカスされるようになり、募金額なども減少しています。
PWJは震災があった翌日から三陸海岸に入り、最大30人体制で食料や衣類、寝具、衛生用品などの配布にあたりました。
他にも被災者たちが避難所から仮設住宅に移るタイミングに合わせて、生計支援から心のケア、基幹産業だった漁業の立て直しにも関わりました。
その他にも、宮城県南三陸町では、地域コミュニティの再生を支援する拠点施設「ハレバレー」を立ち上げ、各種の創作活動や書道、グラウンドゴルフなどの活動がどんどん活発化しています。
2019年になった今、壊滅的な被害を受けた街は、PWJを含めた多くの団体の支援もあり、少しづつ活気を取り戻しています。
(出典:文部科学省公式サイト「東日本大震災について」)
2016年4月 熊本地震
熊本県を震源に発生した地震は、多くの住民が避難生活を強いられる大規模なものとなりました。
そして熊本地震においても、PWJは精力的な支援を継続して行っています。
PWJとパートナー団体が運営する熊本県益城町のユニットハウス村では、今後の生活再建に向けての話や仮設住宅への引っ越しの話なども耳にするようになりました。
この場所では、1週間に2名ずつ薬剤師が訪れます。
薬剤師は1週間滞在し、入居者の体調不良への対応、衛生面や薬についてのアドバイス、共用設備の清掃、保健師や医師の巡回対応など多様な活動を行っています。
また、避難している方々に少しでも楽しい気持ちになってもらうために、8月18日に「納涼祭」を開催。コーヒーやソフトドリンク、韓国料理などがふるまわれました。
熊本県出身のコロッケさんのものまねスペシャルステージも行われ、会場は大いに盛り上がりました。
仮設住宅入居世帯への電化製品支援、仮設団地に防犯対策の街灯を設置するなど、震災が起きてから数年経った今でも継続的な支援は続いています。
佐賀県 ピースクラフツSAGA 伝統工芸支援
ピースクラフツSAGAは、佐賀県内で作られている伝統工芸品の素晴らしさを発信しています。
その他、生活様式や生活者の意識の変化に対応した商品づくりから、海外市場を見据えた商品開発や展示会の開催なども行っています。
実際に、佐賀県下の工芸事業者7組が、5月4日から8日まで仏パリで開催された国際工芸フェア「レベラション(REVELATIONS)」に出展しました。
この試みは、ピースクラフツSAGAが推進する海外市場開拓事業の一環であり、事業者や作家が仏人コーディネーターやデザイナーからデザインやアドバイスを受け、自身の伝統的な技法や表現力を進化させて斬新に仕上げた作品を出品しました。
ピースクラフツSAGAの展示ブースには、多くのバイヤーや収集家が連日訪れ、商談を繰り返しました。
また、会場を訪れたデザイナーや建築家、アーティストも作品に関心を寄せ、事業者や作家と交流を深め、昔からある伝統産業を進化させて、新しいものに昇華させたのです。
過去の伝統を継承するだけではなく、新しいものを取り入れる佐賀の伝統工芸は、PWJの取り組みによって新たな魅力をまとっています。
ピースウィンズ・ジャパンを支援し活動をサポートしよう
ここまでは、日本で行っている活動について解説しました。
日本の中でも、幅広く支援活動を行っていることを理解いただけたかと思います。
次に、実際にPWJへ支援する方法について解説します。
継続寄付(ピースサポーター)
例えば震災などの災害支援の場合は、食料などの消耗品に大きな費用負担が発生します。
このような継続的に発生してしまう費用を賄うために、安定的な継続支援が必要です。
支援金額は毎月1,200円、1,500円、2,000~10,000円、12,000円、15,000円、20,000円の中から選択可能、また1201円以上の任意の金額を指定することも可能です。
最小は一日あたり40円程度の寄付額となるため、負担が少なく支援することができます。
継続支援を行う方を、PWJでは「ピースサポーター」と呼んでいます。
ピースサポーターになると、3ヶ月に1度発行しているニュースレターと、毎年5月頃に年次報告書が送付されます。
実際に支援した金額がどのように使われているのかを細かく報告しているのです。
また、認定NPO法人であるPWJへの支援は、税制上のメリットがあり、1年間で寄付を行った金額のうち2000円を超える部分について、最大で40%が税額から控除されます。
(出典:ピースウィンズ・ジャパン公式サイト)
今回のみ寄付
もちろん「1回の寄付からでも」支援は可能です。
支援を行いたいタイミングで、寄付額を自由に決めることができ、支援したい活動を選ぶことも可能です。
北海道地震活動支援、西日本豪雨支援、東日本大震災 復興支援、佐賀(伝統工芸支援)、レスキューチーム支援、保護犬・災害救助犬育成支援などの国内支援のほかにも、世界に向けた支援も選択できるのです。
支払い方法はクレジットカード、銀行・郵便局から寄付する方法などが選べます。
ふるさと納税
PWJを指定して広島県神石高原町にふるさと納税(寄付)をすると、寄付額の98%がPWJの活動に利用されます。
そして、寄付金のうち2000円を除いた額が、確定申告によって所得税や住民税から差し引かれる税制の優遇措置が受けられます。
またふるさと納税の返礼品を受け取ることもできます。
ピースウィンズ・ジャパンの日本での活動を応援しよう!
今回は、PWJが行っている日本での支援活動について解説しました。
災害支援はどんなに年月が経っても、継続した支援が必要です。
この記事が、日本の災害支援について知るきっかけになれば幸いです。