2018年9月に事業を開始した「グラミン日本」。
この記事では、グラミン日本の支援方法や融資を受ける方法、またグラミン銀行の仕組みなどについて紹介します。
グラミン日本とは
グラミン日本は、1983年にバングラデシュで設立されたグラミン銀行の日本版だと位置づけられています。
国民の6人に1人の割合で貧困ラインより下の生活をしているという日本で、シングルマザーや生活困窮者を中心に自立を支援するために設立されたのが、グラミン日本です。
設立日に会見を行ったグラミン日本理事長である菅正広は、「働いて生活をステップアップしたい人、前向きに生きていきたい人で互助グループ(5人1組)を作れる人が融資対象」と話しています。
融資の限度額は初回は20万円となり、返済している期間はグラミン日本のスタッフと毎週会合(センターミーティング)に参加することになります。
(出典:グラミン日本公式サイト)
グラミン日本が目指す社会
日本は世界の中でも先進国として知られており、事実そういった扱いを受けているのですが、実際には国民の約6人に1人、数にして約2,000万人が貧困ラインよりも下の生活をしていると言われています。
一度貧困状態に入ってしまうと、なかなか抜け出せないというサイクルに陥ってしまうことに加え、病気・怪我・失業などによって、急激に貧困に陥ることもあります。
グラミン日本は、そのような貧困状態にある人に、低金利や無担保で融資を行うことで、起業や就労を促し貧困状態から抜け出して自立への支援を理念としています。
これまでにあった団体と違っているのは、貧困状態にある人々に一時的に生活資金を支援するのではなく、「起業や就労」のために融資をするということです。
そしてその設立には以下の「ユヌス・ソーシャルビジネス7原則」を根本の理念としています。
グラミン銀行とは
グラミン日本のようなグラミン銀行の流れを組むプロジェクトは、世界中に広がっています。
そのもととなったグラミン銀行について紹介します。
グラミン銀行が創設された背景
1974年にバングラデシュで飢饉が起こったとき、「ムハマド・ユヌス氏」が、農村などの貧困者にも銀行サービスを広げていくことで、融資システムを構築していくための可能性についてのプロジェクトを立ち上げたのが起源です。
バングラデシュ中央銀行の支援もあり、徐々に広がりを見せていったこのプロジェクトは1983年に出されたバングラデシュの政令によって独立銀行として認定され正式にグラミン銀行が発足しました。
グラミン銀行の仕組み・システム
グラミン銀行のシステムは当初はドナー機関から資本の提供を受けることで活動を行っていましたが、1990年代半ばごろからはバングラデシュ中央銀行から資本の提供を受けています。
近年では資金の調達のために債券が発行されています。
グラミン銀行の特徴として、借り手の約97%が女性であり、その高い返済率が注目されています。
また、そのシステムはマイクロファイナンスと呼ばれているものです。
マイクロファイナンスとは、以下の通りです。グラミン銀行はその代表的なものとされています。
マイクロファイナンスと一般的な消費者金融の違いは、マイクロファイナンスが「起業や就労のため」の準備資金であるということです。
融資された金額を生活費に充てて一時的にしのぐというものではありません。
また、グラミン銀行はその理念として「4つの原則」と「16の決意」を公表しています。
4つの原則とは「規律」「団結」「勇気」「勤勉」であり、16の決意の内容は以下の通りです。
これらは、世界中に広がるグラミン銀行団体の根本の理念とされています。
グラミン銀行の実績
グラミン銀行は過去に「ノーベル平和賞」を受賞した実績を持っています。
これは企業としては唯一のもので、「底辺からの経済的および社会的発展の創造に対する努力」が認められたためです。
2006年10月13日にグラミン銀行および創設者のムハマド・ユヌスが受賞したもので、その受賞はバングラデシュで熱狂的に迎え入れられました。
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グラミン日本でも融資を行っている
グラミン日本でもグラミン銀行と同様に、貧困状態にある人々に低金利・無担保で少額の融資を行っています。
この融資によって起業や就労の準備資金とし、貧困状態から脱却して自立することへの支援を目的としています。
その資本は「グラミンアメリカ」を参考として7億円を目途としており、「寄付・基金・賛助会員会費・クラウドファンディング」などによって資金を調達しています。
このグラミンアメリカでは、すでに約10年の間に約12万人を支援対象にして12.4億ドルの融資が行われており、それに関連して12万件を超える雇用が創出されるなど、大きな成果をあげています。
グラミンのこのシステムは、先進国、開発途上国を問わず世界中で取り入れられています。
(出典:グラミン日本公式サイト)
支援対象者(メンバー)の条件
グラミン日本の融資である「グラミン・ローン」を受けることができる対象者には規定があります。
それが以下の項目です。
融資される資金は、消費されていく生活資金に使用することはできません。
起業や就労によって所得を創出することができるものに対してのみ融資されます。
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貧困のない社会を目指すグラミン日本
先進国と言われている日本であっても、近年貧富の差が拡大傾向にあると言われています。
それは病気や怪我、失業だけでなく、配偶者との離別や死別など、急激に生活環境が変わることによって、誰にでも起こり得ることです。
そして、一度貧困状態に陥るとなかなかそこから抜け出せない構造であるのが現状です。
グラミン日本では、このような状況のために貧困状態から抜け出すための支援をしているのです。
シングルマザーやワーキングプアの人々に、一時的な生活資金ではなく、「起業や就労」のために準備資金を支援することで自立を促し、貧困状態から抜け出すことを目的に活動しています。
こうした活動によって、貧困のない社会を作ることを目指しているのがグラミン日本なのです。
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グラミン日本を支援する方法
グラミン日本では、事業運営に関して広く寄付等による支援をお願いしています。
グラミン日本の理念や活動に共感している人々からの支援を運営資金としているのです。
支援には以下のように様々な方法があります。
寄付で支援
寄付の仕方にもいろいろとありますが、分かりやすいのはその都度金額を指定して寄付をするというものです。
寄付の仕方にはインターネットからクレジットカードを使用しての寄付や銀行振り込みによる寄付があります。
特別ややこしい手続きなどは必要なく、簡単な作業で寄付を行うことができます。
寄付の使い道
支援する人々から集められた寄付は「グラミン・ローン」と呼ばれるグラミン型マイクロファイナンス事業の活動費に使用されます。
グラミン日本でも、グラミン銀行やグラミンアメリカと同じシステムで、借り手が5人1組となって互助グループを作り、励まし合いながらローンを返済し、自立した経済活動を行うことを目指していきます。
消費者金融などのように、貸した後はどうお金が使われているのかは不明ということではなく、融資された後には毎週1回センターミーティングが行われ、グラミン日本のスタッフが助言しながらフォローをしていきます。
そのため、非常に高い返済率があるのもグラミン型マイクロファイナンスの特徴です。
基金による支援
基金による支援という方法もあります。
基金はグラミン日本でいう資本金に当たります。
グラミン日本では、ユヌス・ソーシャルビジネス7原則に基づいて運営がなされているために、株式のような配当金などはありません。
事業利益は配当はされずに、グラミン日本の事業改善や事業拡大に使用されます。
現在は東京から活動が行われているグラミン日本ですが、大阪や名古屋、福岡といった大都市や東北や熊本のような復興地域にも活動の輪を広げていく計画です。
基金に参加を申し込む場合は、公式HPの「問い合わせ」から申し込みを行うと「基金募集要項」「基金申込書」が送付されてきます。
賛助会員(団体・個人)として支援
一時的な寄付ではなく、賛助会員になるということも可能です。
団体賛助会員は、単に資金を寄付するというだけでなく、グラミン日本と共に理念を追求していく「パートナー」という立場になります。
グラミン日本とパートナーとなった団体賛助会員で貧困のない社会をつくることを目指していくのです。
ここでは、パートナー同士のビジネスマッチングなどが行われる「パートナーコミッティ」で、より緊密な関係を作ることができます。
個人賛助会員に対しては、以下を通じてグラミン日本との関係性の強化と交流の機会がもたれています。
SDGsコンソーシアムを設立
SDGsとは「持続可能な開発目標」を指し2015年の国連で採択され、内容は17の目標で成り立っています。
1番目の目標であり、最優先されているのが「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」というもので、それぞれの国の貧困状態にあるすべての年齢、性別の人が対象となります。
発展途上国だけに限らず、アメリカや日本のような先進国もSDGsの対象です。
グラミン日本も、こうした人々を支援するために活動を始めたわけですが、そのSDGsを実現するためにこれまでに2回の「SDGsコンソーシアム」が実施されています。
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グラミン日本について理解を深めよう
グラミン日本は2018年9月にシングルマザーや生活困窮者を中心に自立を支援するための事業を開始しました。
シングルマザーやワーキングプアの人たちに、一時的な生活資金ではなく、「起業や就労」のために準備資金を支援することで自立を促し、貧困状態から抜け出させることを目的に活動しています。
グラミン日本の活動は、日本社会の貧困という問題を解決するだけでなく、埋もれた能力を発掘できる可能性も秘めています。
こうした活動は、社会全体において有益であることは確かであり、多くの人の支援により支えられます。
まずはグラミン日本の活動やグラミン銀行のシステムなどについて理解を深めることも支援の一歩となります。