環境保全

環境保全協定とは?地域ごとに具体例を紹介

現在、地球規模で温暖化や気候変動が起こっています。国や地域規模で見ても環境破壊や生物多様性の喪失などが起こり、絶滅危惧種も多数存在している状態です。

この状態が続けば私たちにも多大な影響が及ぼされ、地球は生きることが困難な環境になってしまう可能性があります。

そのような未来を迎えないために、環境保全が必要となりますが、日本の各地域では環境保全協定が結ばれ、環境を守り、再生させるための様々な取り組みが行われています。

この記事では環境保全協定について地域ごとの具体例などを紹介します。

環境保全とは?取り組み内容と知っておくべき問題点

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環境保全協定とは

環境保全協定とは廃棄物処理施設の設置や維持管理などにあたって、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るために、当該施設の設置に関して生活環境保全上の利害関係を有する県や市町村などの自治体、地元住民などと当該施設の設置者(事業者)とが取り交わすものです。

日本には「自然環境保全法」があります。

この法令では自然環境を保全することを目的とする他の法律と相まって、自然環境を保全することが特に必要な区域などの生物多様性の確保や自然環境の適切な保全を総合的に推進することを目的としています。

この法令により、自然環境保全地域を指定して事業や行為規制を行うことで、事業者に環境保全のための対策をしてもらっています。

法令だけでなく条例などでも規制は行われていますが、環境保全協定は法令や条例の規制を上回る自主的な環境保全対策を事業者に促すため、自治体と事業者の間で締結しています。

これにより、事業者の任意の協力で実現することが可能であり、地域の実態に沿った環境保全ができるだけでなく、地域住民と事業者が信頼関係を築くことにもつながります。

この環境保全協定は都道府県や市町村など自治体ごとに締結するため、その内容は地域の事業実態や環境によって異なります。

そのため地域住民と事業者で取り交わすかどうかも地域によって違いがあります。

環境保全協定の内容

地域によって結ばれる協定の対象となる事業者や事業、内容は異なります。そのため協定の内容は自治体や地方住民、事業者の間で話し合いが行われ決められます。

それに基づき「環境保全協定書」を作成して締結を行います。

ただ基本的な内容は地域の実情や廃棄物処理施設の種類、処理される廃棄物の種類などに応じて、話し合いが設けられ、内容を決定します。

(出典:名古屋市「環境保全協定について」)

公害防止協定との違い

自治体によっては「公害防止協定・環境保全協定」として締結を行うところもあります。
この公害防止協定というものも、自治体と事業者の間で交わされる約束です。

協定である以上、環境保全協定と同様に法律に基づくものではなく、任意の協力を望めるものになります。

公害防止協定は、かつての日本で起こった公害問題を回避するため工場の新規立地などに際して結ばれるのものが多く、こちらも地方住民など住民団体も関与するケースがありますが、1964年に横浜市で初めて締結されて以降、全国的に広がっています。

大都市や工業地帯では排煙脱硝装置(※1)、水質の三次処理(※2)、炭化水素類の排出防止装置など先進的な取り組みを規定したものも多いです。

公害防止協定は公害の発生を防ぐことを目的としており、環境保全協定はさらに広く、周辺環境を守っていくことを目的としているため、対象となるものが少々異なります。

しかし両方を同時に締結する自治体と事業者もあり、より効果的な対策を事業者に講じてもらっている地域もあります。

(※1)水質の三次処理:一次処理、二次処理からさらに水質をよくする行程。
(※2)排煙脱硝装置:燃料などの燃焼による排ガスから窒素酸化物(硫黄酸化物や窒素酸化物などの大気汚染の原因となる有害ガス)を除去する装置。

(出典:独立行政法人 環境再生保全機構「公害防止協定」)

  • 環境保全協定は生活環境保全上の利害関係を有する県や市町村などの自治体、地元住民などと当該施設の設置者(事業者)とが取り交わすもの
  • 公害防止協定は、かつての日本で起こった公害問題を回避するため工場の新規立地などに際して結ばれるのものが多く、1964年に横浜市で初めて締結された
  • 環境保全協定は法令や条例の規制を上回る自主的な環境保全対策を事業者に促しており、自治体と事業者の任意の協力で実現することが可能であるため、信頼関係を築くことにもつながる
  • 環境保全のために地域ごとに締結されている具体例

    下記では地域ごとに締結されている具体例を解説します。

    埼玉県吉川市

    埼玉県吉川市では2003年から環境保全協定制度を実施しています。

    産業廃棄物処分業、産業廃棄物処理施設の設置を行う事業、製造業(市の規則で定める施設を有しない場合は敷地面積が1,000㎡以上)、その他市長が認める事業を対象として市と環境保全協定の締結が必要となります。

    この制度により公害などの未然防止や対策のみならず、事業者の自主的な環境活動を促し、生活環境の保全を推進しています。

    (出典:吉川市(埼玉県)「環境保全協定制度の概要」)

    岐阜県

    岐阜県では環境保全のため岐阜県自然環境保全条例に基づき、知事と事業者の間で自然環境保全協定を締結しています。

    この協定では自然環境の改変を最小限に留めること、自然の保存、植生の保護と回復などの自然環境保全に必要な措置をとることなどを盛り込み、良好な自然環境の維持に取り組んでいます。

    協定では締結が必要な行為を指定しています。

    宅地(家を建てられる土地)の造成や鉱物の採掘または土石採取、車道や鉄道または策道(ロープウェイやゴンドラリフトなどの交通機関)の開設、土地の開墾その他土地の形質変更、発電施設の建設、廃棄物の埋立処分が対象となります。

    それぞれ事業区域面積や長さが指定されており、それを越える場合に協定を結びます。

    (出典:岐阜県「自然環境保全協定に関する手続き」)

    滋賀県野洲市

    滋賀県野洲市の環境保全協定の締結対象は製造業や加工業、廃棄物処理業、市環境条例に規定する特定事業者が営業するガソリンスタンドです。

    この特定事業者とは鉱油および植物油などの油類を「危険物の規制に関する政令」に規定する指定数量以上貯蔵、使用または製造している事業者を市環境条例で規定したものです。

    この規定には大規模小売店舗立地法に規定する大規模小売店舗や運輸業・交通業、病院(特定事業者であるなど)が含まれます。

    2010年から2019年までに111事業所と締結が完了しており、協定締結後はアフターフォロー調査なども実施しています。

    また環境保全活動の事例は、着実に成果を上げている事業所もあり、それを公に環境メールマガジンで紹介しています。

    (出典:野洲市(滋賀県)「環境保全協定」,2020)

    兵庫県

    兵庫県では大規模な事業所が集中して立地している地域において、地元市町の要請に基づいて、県または市町と主要事業所で環境保全協定を締結しています。

    協定を結ぶことで大気汚染や水質汚濁など事業活動に伴って生じる環境への負荷を低減するため、事業者が実施すべき対策を定め、自主的且つ率先的な環境保全活動を行います。

    事業者は環境関係法令を遵守するのはもちろんのこと、協定に定める環境管理組織を整備し、環境管理を徹底することで環境保全対策を実施することになります。
    この対策において適正にばい煙などの測定を実施し、県及び市町に報告するものと規定しています。

    (出典:兵庫県「環境保全協定」)

    香川県

    香川県では「みどりの保全協定」を結んでいます。こちらは開発跡地の緑化を確実に行うことを保証するために、知事と土地開発協議者が締結します。

    この協定の締結が必要な土地開発行為は地域森林計画対象民有林における土石の採掘または鉱物の掘削行為、法高20m以上または法面積2,000㎡以上の方面が形成される土地開発行為が対象となります。

    またその他知事が特に開発区域の緑化が必要と認める土地開発行為も協定の締結が必要です。
    緑化費用の保証方法は現金か組合によるもの、連帯保証人によるものがあります。

    (出典:香川の環境(香川県)「みどりの保全協定」)

  • 埼玉県吉川市では2003年から環境保全協定制度を実施しており、産業廃棄物処分業などの市長が認める事業を対象として市と環境保全協定の締結が必要となる
  • 岐阜県では環境保全のため、知事と事業者の間で自然環境保全協定を締結しており、良好な自然環境の維持に取り組んでいる
  • 滋賀県野洲市の環境保全協定の締結対象は製造業や加工業、廃棄物処理業、市環境条例に規定する特定事業者が営業するガソリンスタンドである
  • 兵庫県は地元市町の要請に基づいて、県または市町と主要事業所で環境保全法を締結している
  • 香川県では開発跡地の緑化を確実に行うことを保証するために、知事と土地開発協議者が「みどりの保全協定」を結んでいる
  • 各地域で行われる自主的な環境保全

    法令や条例などで規定し、それに基づいた対策で環境を保全していくことは可能です。高度経済成長期の公害問題、現在起こっている地球温暖化や気候変動に関する問題は日本国内だけでなく世界で深刻化しています。

    この環境問題を解決するためには、法令や条例による強制的なものだけでなく、環境に依存する事業や環境を配慮すべき事業が自主的に取り組む姿勢が重要となります。

    環境の状況や事業の実態はその地域ごとに異なるため、適した対策や取り組みが必要です。

    そのため環境保全協定はその地域の環境を保全すべき自治体も事業者にとっても適した協定と言えるでしょう。

    こちらで紹介した環境保全協定の具体例はあくまで一部です。私たち自身が住む地域の協定について、どのように定め実施しているのか知ることも、環境保全活動を始める第一歩です。

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