児童虐待はどこかで日常的に起こっている行為です。
この虐待により、命を落とした子どもや、健やかに育てなかった子どもがいます。
そのような子どもを守るために、児童虐待は明確な定義を持ち、取り締まりが行われているのです。
この記事では、児童虐待の定義やしつけとの違いなどを解説します。
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児童虐待とは
児童虐待、あるいは子ども虐待と呼ばれる行為は、年々増加している傾向にあります。
この児童虐待については定義化が進み、その境界も明らかになってきました。
厚生労働省では、児童虐待を以下のように記しています。
子ども虐待は、子どもの心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、次の世代に引き継がれるおそれもあるものであり、子どもに対する最も重大な権利侵害である。
(引用:厚生労働省「第1章 子ども虐待の援助に関する基本事項」,2007)
これは児童虐待防止法の改正が行われた2006年にも確認されている内容であり、この法律の目的において、定義されている児童虐待を防止することなどに関する施策を推進する旨が明記されています。
もう少し具体的な定義に触れていきましょう。児童虐待とは主に4つに分類することができます。それが身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクトです。
身体的虐待
身体的虐待は児童虐待の防止等に関する法律によって、以下のように定義されています。
児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること
(引用:八王子市「児童虐待の定義」)
具体的には殴る、蹴る、叩く、投げ飛ばすあるいは落とす、骨折させる、やけどを負わせるなどの体を傷付ける暴力行為です。そのほかにも溺れさせる、激しく揺さぶる、異物を飲ませる、外へ締め出す、縄などで拘束するなどの体への影響が強い行為も含まれます。
生命の危険がある暴行以外にも、外傷を与える行為や意図的に子どもを病気にさせることは身体的虐待とされています。
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心理的虐待
心理的虐待は児童虐待の防止等に関する法律によって、以下のように定義されています。
児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
(引用:八王子市「児童虐待の定義」)
具体的なものとしては「産まなければ良かった」など子どもの存在を否定する言葉を投げかけることや脅し、無視、兄弟間での差別、子どもの見ているところで家族に暴力をふるうDV(ドメスティック・バイオレンス)が挙げられます。
このDVという言葉も用いられることが多くなりましたが、配偶者や親密な関係のパートナーからの暴力のことです。
主には殴る蹴るなどの身体的暴力や怒鳴ったり侮辱したりする言葉の暴力、無視や行動の制限などの精神的な暴力、性的行為の強要などの性的暴力、生活費などを渡さないなどの経済的な暴力があります。
DVは心理的虐待だけでなく、身体的虐待にもつながっています。母子ともに暴力にさらされている場合だけでなく、殴られている母親が子どもを殴るなどの暴力の連鎖が起こることもあるのです。
暴力をふるわれなくても、子どもが夫婦間の暴力を目撃することで心理的なダメージを受け、深刻な影響を与えることも問題視されています。
性的虐待
性的虐待は児童虐待の防止等に関する法律によって、以下のように定義されています。
児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること
(引用:八王子市「児童虐待の定義」)
年長者の性器を見せたり、触らせたりすること、性交を見せることも性的虐待です。
また子どもへの性交や性的暴力、性的行為の強要や示唆なども含まれます。
ほかにも、子どもの裸の写真、つまりポルノグラフィーの被写体を強要することも性的虐待として扱われます。
ネグレクト
ネグレクトとは養育の放棄や怠慢という意味を持ちます。
ネグレクトは児童虐待の防止等に関する法律によって、以下のように定義されています。
児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
(引用:八王子市「児童虐待の定義」)
具体的には家に閉じ込める、食べ物や飲み物を与えない、不潔・不衛生なまま放置すること、病院に連れて行かず医者に診せない、また自動車の中に放置する行為もネグレクトになります。
児童虐待に発展する可能性があるマルトリートメント
児童虐待の4つの定義以外にマルトリートメントというものがあります。
マルトリートメントは、児童虐待の定義されているもの以外に今後、児童虐待に発展する危険性のあるものが含まれます。
子どもへの適切でない養育などに対して、より広く認識して早期に対応することにより、問題の深刻化を防止することにつなげるものです。
(出典:厚生労働省「第1章 子ども虐待の援助に関する基本事項」,2007)
(出典:厚生労働省「児童虐待の定義と現状」,2014)
(出典:かすみがうら市「子育て」)
(出典:八王子市「児童虐待の定義」)
どこからが児童虐待で、どこまでがしつけなのか
しつけと児童虐待の境界線がはっきりしないという問題がしばしば出てきます。
しつけのつもりで行った行為が児童虐待であったという例も少なくありません。これは児童虐待の定義だけでなく、しつけとの明確な違いを理解していないために起こります。
しつけと児童虐待の明確な違いは、それを行う側の感情にあります。
児童虐待とは、その定義にある行為を行うことを指し、大人が感情的に子どもをコントロールするものと分類されています。
それに対してしつけは、大人は感情的にならずに、子どもが自分の感情や行動をコントロールしていくことができるように教えることです。
どれだけ子どものことを思っていると主張しても、子どもの心や体を傷付ける教え方はしつけとは言えません。
子どもが自分で社会生活を送れるように導くことがしつけです。感情のまま子どもを責めるのではなく、まずは自分自身の感情をコントロールして、子どもを諭すことや褒めること、ときには感謝を伝えることがしつけであると言われています。
児童虐待が及ぼす影響
しつけは子どもにプラスの影響を与える一方で、児童虐待は子どもにマイナスの影響を与えます。
身体的虐待の影響は表面に現れますが、心理的虐待や性的虐待も子どもに与える影響は深刻です。
例えばDVを見て育った子どもの脳を調べたところ、視覚野が小さくなっていることが明らかになっています。
これは母親がDVを受けていることを見ないように脳が適応したためです。これにより、今後の生活に支障をきたす可能性もあります。
また暴言虐待(心理的虐待)を受けた子どもの聴覚野にも、暴言などを聞かないように脳が適応したという事例も報告されています。
ほかにも性的虐待では一次視覚野の有意な容積減少、厳格な体罰(身体的虐待)では前頭葉の発達に影響を及ぼしたという例がありました。
(出典:奈良県「どこまでが『しつけ』で、どこからが『虐待』??」)
(出典:かすみがうら市「子育て」)
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どこからが児童虐待なのか知ることで子どもを守っていく
児童虐待は最悪の場合、子どもの命を危険にさらす行為です。
しかし家庭内という周りの目が届きにくい場所では気付かれにくい行為でもあります。本来であれば正しいしつけのもとに、虐待をしないように保護者が気を付けなければいけません。
もし周りが気付くことがあれば、ためらいなく相談窓口などに連絡することが大切です。
児童虐待から子どもたちを守るために、私たちができることをしていきましょう。