近年、LGBTの人々の存在がニュース番組などで取り上げられるようになりました。
LGBTなど多様な性のあり方を前提とした社会制度が取り入れられ、同性婚が認められている国がある一方で、日本では未だ性的マイノリティ(性的少数者)への差別・偏見、社会制度の整備の遅れが社会問題となっています。
この記事では、LGBTのうちの一つであるトランスジェンダーの意味や特徴、性同一性障害との違いやトランスジェンダーの人々が抱えている問題について紹介します。
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トランスジェンダーとは?
トランスジェンダーとは、性自認を表す言葉で、生物学的な身体の性と自分が認識している心の性が一致しない人々のことを指しています。
例えば、身体の性は女性でも、心の性が男性というトランスジェンダーは、自らの体の性に違和感を持ち、自分の性を男性として認識しているのです。
トランスジェンダーの特徴は?
トランスジェンダーの人々にはどのような特徴があるのでしょうか。
医療機関の受診をためらう
トランスジェンダーの人々は、心の性に沿った話し方や振舞い方をして過ごしている人が多いという特徴があります。
戸籍上の性ではなく心の性に沿って生活をしていることから、医療機関の受診を戸惑う人も少なくありません。
病院を受診するためには、健康保険証の提示が必要です。健康保険においては、戸籍上の性および氏名での手続きが必須となります。そのため、待合室で本名を呼ばれることで嫌な気持ちになる人も多いのです。
性別適合手術を受ける人も
自らの身体の性に違和感を持っているトランスジェンダーの中には、性別適合手術を受ける人もいます。
性別適合手術とは、男性器の切除や形成、乳房切除や子宮・卵巣の摘出といった外科手術全般を指す言葉です。
2018年4月1日に厚生労働省が行った平成30年度診療報酬改定により、性同一性障害の人が性別適合手術を受ける場合には、公的医療保険が適用できるようになりました。
実際に、2018年4月~2019年3月末までの1年間で4件の手術が保険適用にて行われています。
戸籍上の性別を変更することも認められている
性同一性障害の人々については、性同一性障害者特例法の第三条の要件を満たせば、戸籍上の性別を変更することが認められており、要件を満たしているかどうかの審判は家庭裁判所が行います。
ただ、要件の一つに性別適合手術を受けることがあります。
性別適合手術にかかる費用は、100万円~200万円程度が相場になっており、保険適用になったとはいえ、30万円~60万円程度の自己負担が必要です。
また、実際には手術をするだけでなく、自由診療となるホルモン治療を合わせて受診する必要が出てきます。
戸籍上の性別を変更するためには、法律上の要件を満たすための高額な費用を負担しなければならないのです。
差別や偏見に苦しむケースも
トランスジェンダーを含めたLGBTの人々は、学校や職場での差別や偏見に苦しむことがあります。「気持ち悪い」「近づかないで」などの差別的な言動で傷付けられたり、悪質な嫌がらせを受けたりしています。
また職場では、自らの性的指向や性自認に関するカミングアウトを理由に異動になったり、退職勧奨を受けたりするケースもあるのです。
差別や偏見の対象となることが分かっているため、学校や職場ではLGBTであることを隠して生活をしている人が多く存在しています。
(出典:厚生労働省「職場と性的指向・性自認をめぐる現状」)
トランスジェンダーと性同一性障害の違いとは?
トランスジェンダーと性同一性障害は、身体の性と心の性が一致していないという点が同じであることから、同一視されることがあります。
しかし、トランスジェンダーはあくまでも性自認を表す言葉の一つであり、医学用語ではありません。
一方で性同一性障害というのは、治療が必要な場合に使われる診断名です。
自らの身体の性に強い違和感を持ち、性別適合手術など医療的なケアが必要な場合には、性同一性障害という言葉が用いられます。
性同一性障害を治療する方法
性同一性障害の治療方法については、日本では基本的にガイドラインに沿って治療が行われています。
ガイドラインにおける治療の第一ステップは、精神科専門医への受診です。
まずは、心理的なサポートを行い、患者自身が身体の性を変える治療を望んでいる場合においても、本当に妥当かどうかを精神科医が一緒に確認していきます。
精神科医と患者自身で検討を重ねた上で、身体の性を変える必要があると判断された場合には、ホルモン補充療法や性別適合手術といった身体的治療が行われるのです。
身体的治療が行われた後で、戸籍上の性別を変更するための手続きを行う人もいます。
性同一性障害は治療すれば治るのか
精神科医による心理的サポートのもと身体的治療を進め、戸籍上の性別を変更すれば、自らの身体の性と心の性の不一致に違和感を持たなくなり、性同一性障害の症状に悩まされなくなる人もいます。
しかし治療後にも、周りからの差別や偏見に苦しみ続ける人もいるのです。
また、外観が望む性に変わっても子どもを作ることができない悩みが消えるわけではありません。
治療が行われた後も、継続的に心理的サポートが必要となることも少なくないのです。
LGBT(性的マイノリティ)とは?
性的マイノリティ(性的少数者)を表すLGBTという言葉があります。
ニュースなどでも取り上げられているため、LGBTという言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
下記では、LGBTの言葉の意味を解説します。
「L」はレズビアン
Lはレズビアン(Lesbian)の頭文字です。
レズビアンとは、女性の同性愛者を表す言葉です。レズビアンの人々の心の性は女性であり、恋愛対象も女性になります。
「G」はゲイ
Gはゲイ(Gay)の頭文字です。
ゲイとは、男性の同性愛者を表す言葉です。ゲイの人々の心の性は男性であり、恋愛対象も男性になります。
「B」はバイセクシュアル
Bはバイセクシュアル(Bisexual)の頭文字です。
バイセクシュアルとは、両性愛者を表す言葉です。男性でも女性でも、両性愛者はバイセクシュアルと表されます。
「T」はトランスジェンダー
Tは、この記事のテーマでもあるトランスジェンダー(Transgender)の頭文字です。
LGBの3つの文字は性的指向を表す言葉の頭文字ですが、トランスジェンダーは性自認を表す言葉です。
身体の性と心の性が一致せず、違和感を抱いている人々のことを、トランスジェンダーと表します。
SOGI(性的指向と性自認)とは?
性的指向(Sexual orientation)と性自認(Gender Identity)の頭文字を合わせた「SOGI(ソジ)」あるいは「SOGIE(ソジー)」という言葉があります。
LGBTが性的マイノリティを表す言葉として使われているのに対し、SOGIは「性的指向と性自認」を表す言葉です。
性的指向(セクシャルオリエンテーション)
性的指向(セクシャルオリエンテーション)とは、恋愛・性愛がどのような対象に向かうのかを表す概念のことです。
具体的には、恋愛・性愛の対象が異性に向かう場合の異性愛(ヘテロセクシャル)、同性に向かう場合の同性愛(ホモセクシャル)、男女両方に向かう場合の両性愛(バイセクシュアル)という3つの言葉を指します。
同性愛者や両性愛者は、異性愛者から差別や偏見を受けることがあり、これが社会問題となっているのです。
性自認(ジェンダーアイデンティティ)
性自認(ジェンダーアイデンティティ)とは、自分の性をどのように認識しているのかを示す概念であり、「心の性」と呼ばれることもあります。
性自認(心の性)と生物学的な性(身体の性)が一致せずに強い違和感を抱く人の中には、心の性に身体の性を近づけるために、ホルモン補充療法や性別適合手術といった身体的治療や手術を受ける人もいるのです。
手術やカウンセリングが必要な人は、性同一性障害という診断名が用いられ、家庭裁判所の審判により戸籍上の性を変更することが法律で認められています。
トランスジェンダーの性自認にはどんな種類がある?
心の性と身体の性が一致しないことに違和感を抱いている人々のことをトランスジェンダーと表しますが、性の多様性は一括りにまとめられるものではなく、トランスジェンダーにもいくつかの種類があります。
MTFとは
身体の性が男性であり、心の性が女性という人々のことをMTFと表します。
MはMale(男性)の頭文字、TはTo(~の)の頭文字、FはFemale(女性)の頭文字です。
MTXとは
身体の性が男性であり、心の性については男性でも女性でもない(Xジェンダー、無性、中性)という人々のことをMTXと表します。
MはMale(男性)の頭文字、TはTo(~の)の頭文字、XはXジェンダーの頭文字です。
FTMとは
身体の性が女性であり、心の性が男性という人々のことをFTMと表します。
FはFemale(女性)の頭文字、TはTo(~の)の頭文字、MはMale(男性)の頭文字です。
FTXとは
身体の性が女性であり、心の性については男性でも女性でもない(Xジェンダー、無性、中性)という人々のことをFTXと表します。
FはFemale(女性)の頭文字、TはTo(~の)の頭文字、XはXジェンダーの頭文字です。
トランスジェンダーの対義語は?
トランスジェンダーの対義語として「シスジェンダー」という言葉があります。
身体の性と心の性の不一致に悩むトランスジェンダーの人々は少数派です。
しかし、トランスジェンダーではない人々のことを「普通の人」「ノーマルな人」と表すことは、トランスジェンダーの人々への差別につながりかねません。
多様な性を認め合い、トランスジェンダーへの差別をなくす目的で使われるようになった言葉が「シスジェンダー」です。
トランスジェンダーに対して企業に求められることとは
トランスジェンダーの人々への差別や偏見をなくし、性の多様性を認め合うジェンダーレス社会を実現するために、企業にはどのようなことが求められているのでしょうか。
誰でも使えるトイレ
トランスジェンダーの人々は、自認している性別に沿ったトイレの使用が難しいという現状があります。自認する性別のトイレを使えないことはストレスにつながるだけでなく、トイレを我慢することにより身体的な不調にもつながりかねません。
トランスジェンダーをはじめとするLGBTの人々が気兼ねなく使えるトイレの設置は、性の多様性を認める意識を高め、誰もが働きやすい環境作りの一つと言えます。
健康診断の個別実施
検査項目が異なることや、更衣を伴うことから、健康診断の受診にストレスを抱えるトランスジェンダーの人もいます。
男女の区分による一斉実施ではなく、個別実施を導入すれば、トランスジェンダーの人々もストレスを受けることなく健康診断を受診することができるでしょう。
LGBTへの差別を禁止
採用試験や職場での昇任に関して不当な扱いを受けたことがあるというトランスジェンダーの人も少なくありません。
性的指向や性自認についてカミングアウトしたところ、採用面接を打ち切られたり、退職勧奨を受けたりする事例が実際に発生しているのです。
また、職場の上司や同僚からの差別や偏見に苦しむLGBTの人々もいます。企業においては、性の多様性を認め、LGBTの人々への差別を禁止する対策が求められています。
外見や服装に対する配慮
トランスジェンダーの人々の中には、心の性に沿った外見や服装で生活したいと望んでいる人も多くいます。しかし、上司や同僚から心無い言葉をかけられることもがあるのです。
過去には、家庭裁判所での審判によって戸籍上の性を女性に変更している労働者に対して、「女性の服装で出勤しないこと」という業務命令を出した会社がありました。この会社は女性の服装で出勤した労働者に対して「業務命令違反」として解雇を言い渡しましたが、裁判によってこの解雇が不当であることが認められました。
トランスジェンダーの人々に対する外見や服装に関する配慮は裁判でも認められています。社員一人ひとりの言動などにも気を配る必要があるでしょう。
トランスジェンダーへの理解を深めよう!
自らの性自認に悩むトランスジェンダーの人々の中は、学校や職場での差別や偏見に苦しんでいるケースも少なくありません。
実際に接する機会がある私たち一人ひとりが、トランスジェンダーの特徴や抱えている悩みを理解し、寄り添うことはジェンダー平等の社会にとって必要不可欠です。
トランスジェンダーを含めたLGBTへの理解を深め、性的指向や性自認の多様性を認め合える社会の実現を目指しましょう。
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