交通事故によって、親が亡くなったり重度障がいを負ったりした家庭の子どもを「交通遺児」と言います。交通遺児は精神的に大きな負担を抱えるだけでなく、金銭面でも困難な状況に陥ることが少なくありません。
公益財団法人交通遺児育英会のデータによると、交通遺児家庭の8割以上は父親が事故に遭っています。加えて、交通遺児家庭のシングルマザーは約半数が非正規雇用。このことからも、交通遺児家庭の収入面や雇用状態は不安定であることがうかがえます。
交通遺児の教育環境や暮らしを守る助けとなるのが、交通遺児のための寄付です。
この記事では、交通遺児に寄付できる団体の紹介や、交通遺児の寄付に関する疑問への回答を紹介します。
交通遺児に寄付できる団体をいますぐ知りたい人はこちら
>>交通遺児へ寄付するには?支援している団体を2つ紹介!
交通遺児を支援するなら寄付先はどこが良いのか、選び方を紹介!
寄付先としておすすめの支援団体を紹介する前に、どのような視点で選んだら良いかNPOの専門家に解説していただきます。
はじめまして。寄付アドバイザーの河合です。
ここから、みなさんの寄付先選びをサポートしていきますね。
はじめにお伝えしたい重要なことは「寄付に失敗はない」ということです。
寄付とは誰かにあなたの想いを託すこと。
それに良いも悪いも、成功も失敗もないのです。
また「何にあなたの想いを託すか」という点が寄付の奥深い魅力的な部分です。
信頼性や活動内容、実績や成果、挑戦、コミュニケーションなど様々な価値観があります。
また、あなたの原体験を軸に考えるのも素晴らしい選び方だと思います。
その上で、これから寄付を始める人のために、3つの選び方を解説します。
おすすめする団体の選び方3つ
- 信頼できるところに寄付する
- 自分が問題だと思うことに取り組む団体に寄付する
- 寄付の使い道がわかりやすいところに寄付する
もちろん、選び方に該当しない団体を否定する訳ではありません。あくまで選び方の一例としてご覧いただければ幸いです。
交通遺児へ寄付するには?支援している団体を2つ紹介!
ここでは「交通遺児へ寄付したい」と考えている方へ向けて、寄付アドバイザーの河合さんのおすすめコメントとともに、子どもを支援している3つの団体を紹介します。
【寄付先1】公益財団法人交通遺児育英会:交通遺児に無利子の奨学金を支援
交通事故が原因で親を亡くしたり親に重い障害が残ったりした方の子どもで、経済的に苦しい状況にある子どもを、無利子の奨学金で支援しています。
子どもの高校・大学進学を支援し、社会に役立つ人材の育成を目的に活動しています。
寄付アドバイザーが見た注目ポイント!
- 1969年の設立から50年以上の歴史を有する公益財団法人。寄付は税制優遇の対象となる。
- 財団設立に先立つ任意団体「交通事故遺児を励ます会」では、街頭募金やチャリティーショー、チャリティーバザーなどで交通遺児の窮状を訴えるかたわら、遺児家庭を訪問して実態を調査。一様に生活苦にさいなまれている各家庭の母親が「子どもを高校にだけは進学させたい」と訴えていることを知り、その救済策の一つとして育英事業の実現を目標に活動を続けてきたことが、政府や国会を動かし、同様の全国調査や財団設立と奨学金事業の実現につながり、今日まで続く活動につながっている
- 1999年以降、5年単位の長期事業計画を継続して立案し、それをベースに単年度の事業計画に従って交通遺児の修学支援策の充実を進めるとともに、貸与型に加えて給付型の修学支援事業の開始と拡大、コロナ禍での対応策や交流の場の検討と実施など、社会状況に対応した取組みもしている。
【寄付先2】公益財団法人交通遺児等育成基金:コミュニティを通してメンタル面をサポート
交通遺児になり生活・教育環境が損なわれてしまった子どもたちを、金銭支援や同じ境遇の人が集まるコミュニティを通して、経済的・精神的に支援しています。
交通遺児等の健やかな育成を願って、1980年の発足から今日まで一貫して交通遺児の支援活動を行っております。
寄付アドバイザーが見た注目ポイント!
- 自動車事故による被害者の支援を目的として1980年に設立され、41年の歴史を有する公益財団法人。寄付は税制優遇の対象となる。
- 独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)や日本損害保険協会、損害保険会社、損害保険料率算出機構及び全国共済農業協同組合連合会、(公財)交通事故紛争処理センター、(公財)日弁連交通事故相談センターなど、協力団体も多数。
- 交通遺児が満19歳になるまで給付金が支給される「基金制度」が特徴的。これまで3,500人以上もの交通遺児が加入し、育成給付を受けてきた実績がある。また、特に生活が困窮している交通遺児の家庭に対して、入学金や進学費用の支給事業を行ったり、交通遺児とその家族が交流する「交通遺児友の会」活動を行うなど、メンタル面のサポートも行っている。
交通遺児を支援するために行われている活動
交通遺児を支えるために行われている様々な活動を紹介します。
奨学金給付・貸与
冒頭でも説明したように、交通遺児家庭の8割以上は父親が事故に遭っており、残された母親は約半数が非正規雇用。収入面や雇用状態が不安定なため、進学を諦めざるを得ない子どもたちも多くいます。
このような家庭を、様々な団体が奨学金で支えています。
心のケア
交通事故で親を亡くした子どもたちは大きな心の傷を負います。身体症状としてあらわれるほか、対人関係や社会生活にも影響を与える場合もあります。
学習支援
遺児家庭では、経済状況により塾に通えなかったり、片親のため保護者が仕事などで忙しく、家庭で学習をサポートを受けられない場合が多くあります。
交通遺児とその家族向けの交流事業
同じような心の傷を負い、似たような環境に身を置く交通遺児とその家庭同士が交流する場を提供する支援が行われています。
各々が抱えた気持ちを癒したり、情報交換の場となっています。
交通遺児に寄付する2つの方法
ここでは、交通遺児に寄付する2つの方法をご紹介します。
- 毎月の継続寄付
- 都度寄付
上記について詳しく説明します。
継続寄付
毎月決まった額を継続的に寄付します。
寄付の金額は、500-1,000円以上から設定できる団体が多いです。
一般的にはクレジットカードや自動口座引き落としでの支払いが可能です。
寄付者特典を用意している団体もあります。
都度寄付
寄付したいと思った自分のタイミングで、単発の寄付もできます。
こちらも500-1,000円以上から好きな金額を寄付できる団体が多いです。
一般的にはクレジットカードや銀行振り込みに対応しています。
交通遺児への寄付は長期的に支えられる継続寄付がおすすめ!
交通遺児への奨学金支援は、学校を卒業するまで長期でサポートが必要です。また、心のサポートも長い時間をかけて寄り添うことが大切です。
支援団体の長期的な活動を可能にするのが、継続寄付です。
また、団体によっては子どもたちからの近況報告を届けてくれるところもあり、子どもや団体とのつながりを感じることができます。
初めての寄付は不安だという方は都度寄付から始めてみるのもおすすめですが、交通遺児に寄り添い、しっかり長期的に支えていきたいと考える方には、継続寄付がおすすめです。
交通遺児の寄付に関するよくある3つの疑問
ここまで、交通遺児を支援できる3つの団体をご紹介しました。とはいえ、交通遺児の寄付に慣れていない場合、さまざまな疑問を抱くこともあると思います。
そこで、交通遺児の寄付についてよくある疑問を3つまとめました。
- 交通遺児に対する公的支援はある?
- 交通遺児への寄付は少額でもOK?途中でやめても問題ない?
- お金以外のモノは寄付できる?
さっそく見ていきましょう。
1.交通遺児に対する公的支援はある?
交通遺児への公的支援には、たとえば次のような制度が一例として挙げられます。
最初に一時金として155,000円、その後月々20,000円の貸付を無利子で行う制度です。交通遺児家庭から希望があれば、小学校・中学校入学時に一時金44,000円の貸し付けも行っています。無利子貸付は中学校卒業までの交通遺児が対象です。
交通遺児の拠出金を交通遺児育成基金が運用し、利益とともに交通遺児へ還元する制度です。交通遺児は、受け取った損害賠償金などの一部を運用資金として拠出します。資金は国や民間からの援助金も合わせ、低リスクで安全に運用されます。
他にも、新年を迎える際にもらえる生活支援金や、高校進学を援助する支援金などがあります。
2.交通遺児への寄付は少額でもOK?途中でやめても問題ない?
交通遺児への寄付は少額でもOKです。少額の支援であっても、交通遺児にとっては大きな助けに繋がります。
また、途中で寄付をストップすることも問題ありません。仮に途中で寄付をストップしても、いつでも寄付を再開できます。寄付金の送り方はさまざまなため、単発で寄付することも可能です。
3.お金以外のモノは寄付できる?
支援団体によっては、お金以外の寄付を受け付けている場合があります。例えば、未使用の切手や商品券などの寄付を受け付けている団体もあります。
ただし、寄付できるモノ・できないモノは団体によって取り決めが異なります。お金以外を寄付したい場合は、各支援団体の公式サイトや問い合わせ窓口でチェックするのが確実です。
モノの寄付は、団体にとって換金や管理にコストがかかる場合があります。
その点お金の寄付は、その時に一番必要な支援にすぐ換えることができるのでおすすめです。モノの寄付と同時に、お金の寄付も検討してはいかがでしょうか。
>>食料や服の寄付は支援に役立てにくい?実際のところを専門家が解説!
寄付で交通遺児を支援できる!
今回は、交通遺児の寄付についてお伝えしました。記事の内容を以下にまとめます。
- 交通遺児を支援する団体は複数あり、一般からの寄付を受け付けている
- 交通遺児を支援する1つの方法として支援団体へのお金の寄付がある
- お金の寄付の中でも、持続的に子どもの教育支援ができる継続寄付がおすすめ
「交通遺児に寄付したい」と考えている方は、ぜひ参考にしてくださいね。気になった団体があれば、この機会にぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
記事の内容は以上です。もし、今あなたが
「どの団体に寄付するか決めかねている・・・」
「寄付先の選び方を知りたい・・・」
とお思いなら、寄付アドバイザーが「あなたに合う寄付先の選び方」を解説する人気記事をおすすめします。
気になる方はぜひ以下のリンクからどうぞ!
寄付先のおすすめNPO団体は?失敗しない選び方を専門家が徹底解説!
寄付先の選び方ガイド:河合将生(まさお)さん
NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー
大学卒業後、国際協力分野のNGOにボランティアスタッフとして参加。その後、国際交流・協力分野の中間支援組織へのインターンシップ、職員を経て、office musubime (オフィス ムスビメ)を2011年7月に設立。
寄り添って伴走する第三者として、身近な相談相手や多様な人・団体をつなぐ役割を通し、組織診断・組織基盤強化、ファンドレイジング支援など、各団体の支援に取り組む。
大阪マラソンチャリティ事務局担当や、国際協力や子ども/子育て支援、まちづくり分野、コミュニティ財団などの役員、大学の非常勤講師としてNPO論やボランティア論などの担当も。