私たちが生活で使っているもののなかに、地球温暖化対策のための税金がかけられていることを知っていますか。
地球温暖化の原因となるのは二酸化炭素などの温室効果ガスであり、特に二酸化炭素は化石燃料を使うことによって発生することが分かっていますが、それを抑えるために導入された税制です。
私たちは直接的にその税金を払っているわけではありませんが、生活のなかで家計の負担となっています。
この記事では、地球温暖化対策のための税金について説明します。
地球温暖化のメカニズムや原因、現状は?私たちへの影響やすぐにできる対策も解説
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地球温暖化対策としての税金とは
地球温暖化は今や気象や災害に影響を与えるほど深刻なものとなりました。
夏になれば真夏日や猛暑日が増加し、北極圏や南極でも氷床が解け、日本では台風の大型化や豪雨の増加などにより被害が出ています。
地球温暖化は、18世紀半ばに起こった産業革命以降、急速に増加した温室効果ガスが原因だと言われています。
温室効果ガスは人間活動を行っていくうえで発生し、私たちの生活が豊かになるのと比例するかのように排出量は増加していきました。
その影響は目に見えるものとして現れるようになり、世界では大きな問題として取り上げられています。
温室効果ガス、特に二酸化炭素の排出を削減することを、先進国を中心として取り組みが進められています。
日本でも二酸化炭素排出削減、そして低炭素社会の実現のために再生可能エネルギーの導入や省エネ対策などをはじめとした地球温暖化対策を進めてきました。
特にエネルギーを起源とする二酸化炭素の排出は多く、全体の半分以上を占めているため、対策が不可欠でした。
二酸化炭素を排出する自動車への対策としてエコカー減税の導入や、国民に二酸化炭素排出削減の取り組みへの協力を呼びかけたり、自治体や企業と連携した取り組みがなされています。
クールビズやウォームビズといった運動の働きかけなども行ってきましたが、それだけでは抜本的な解決にはならず、2030年度までに2013年度比で26%の二酸化炭素、2050年度までに80%の温室効果ガスの排出削減の目標に達しない可能性も出てきました。
そこで政府は2012年10月から「地球温暖化対策のための税」を段階的に施行し、2016年4月までに最終税率へ引き上げる政策を打ち出したのです。
この税制の導入により、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料に対して、環境の負荷による広く公平な負担を求めることになりました。
地球温暖化対策のための税金と税制のグリーン化
化石燃料を使用するものに対して、環境への負担に応じた税金を課すことが地球温暖化対策のための税金です。
化石燃料の使用を抑えることを目的としており、環境への配慮を進めていくための措置でもあります。
その一方で、環境浄化につながるものに関しては税金を軽くする措置もとられました。
それが「税制のグリーン化」です。
この制度は地球温暖化対策のための税金よりも前から導入されていました。導入当初は電気自動車やハイブリットカー、圧縮天然ガス自動車などに対して自動車税や自動車取得税の軽減が行われています。
エコカー減税やグリーン化特例という形で自動車重量税や自動車取得税、自動車税、軽自動車税の軽減などが行われており、今後も環境浄化につながるものの導入には適用される可能性があります。
(出典:環境省「地球温暖化対策のための税の導入」,2015)
(出典:環境省「気候変動対策について」,2018)
(出典:経済産業省「エコカー減税」、「グリーン化特例」が延長!」,2019)
地球温暖化対策のための税金の仕組み
地球温暖化のための税金は、化石燃料ごとの二酸化炭素排出原単位で、それぞれの税負担が二酸化炭素排出量1トンに対し289円となるように、キロリットルまたはトンの単位量の税率を設定しています。
この税率は大きな負担とならないよう、3年半で3段階の引き上げがされました。
結果として石油は1キロリットルあたり760円、石炭は1トンあたり670円、ガス状炭化水素は1トンあたり780円となっています。
また全化石燃料を課税ベースとする石油石炭税を活用して、地球温暖化対策のための税金を上乗せされています。
例えば原油や原油製品は2,040円の石油石炭税でしたが、そこに1キロリットルあたり760円の税金が上乗せされるということです。
つまり2016年以降は合計で2,800円の税金がかけられるようになったのです。
地球温暖化対策のための税金による家計の負担
地球温暖化対策のための税金では家計負担も発生しています。
税金の負担が当たり前となっていますが、3段階の税率がすべて上がった想定だと平均的な世帯で100円程度、年間1,200円程度の負担が想定されます。
化石燃料が対象になるため、それに頼った生活をしている私たちにも負担があるのは当然です。主に自動車のガソリン、灯油、電気、都市ガス、LPG(液化石油ガス)などを使用していると負担になります。
これはあくまで平均的な負担であり、より多くの化石燃料を消費していれば負担はそれだけ多いです。
海外での地球温暖化対策のための税金の導入状況
海外でも地球温暖化対策のための税金は導入されています。海外では炭素税や環境税など呼び名は違うものの、二酸化炭素の排出削減を目的として税金の導入を進めてきました。
日本は導入してきた国のなかでも遅いほうですが、世界初の導入を決めたのがフィンランドです。
フィンランドは1990年に炭素税を導入し、暖房用や輸送用燃料ともに二酸化炭素1トン当たり1.12ユーロで税率を設定しました。
しかしこれが2018年時点では二酸化炭素1トン当たり62ユーロまで税率が引き上げられ、約60倍も上がっています。
1997年と2011年にはエネルギー税制改革を実施し、二酸化炭素の排出量は1990年を100としたとき、2015年時点で78まで減少しています。
途中増減を繰り返しましたが、2010年以降は順調に減少している状況です。
同じ北欧にあるスウェーデンではフィンランドが炭素税を導入した1年後に二酸化炭素税を導入しました。
導入時と2000年代前半にそのほかの税の負担を減らすことによって、税制改革も実施しています。この国は2018年時点で、二酸化炭素1トンあたり119ユーロという世界最高の税率を設定しています。
その効果もあってか、1990年を100とすると2015年には71まで排出量が減少しているのが分かります。
またデンマークでは1992年に化石燃料、廃棄物に課税する二酸化炭素税を導入し、当初は産業や工業用途に対して軽減税率を適用したものの、徐々に引き上げられ、2010年には一本化されました。
その結果として1990年を100としたとき、2015年時点で63と税制を導入したなかでは最も大きな下げ幅を記録しています。
このような成功例もあるなかで、アイルランドやポルトガル、カナダのブリティッシュコロンビア州など増加の傾向にある国もあります。
(出典:環境省「地球温暖化対策のための税の導入」,2015)
(出典:環境省「諸外国における炭素税等の導入状況」,2018)
地球温暖化対策のための取り組みは税金以外でも必要
化石燃料の使用を抑え、二酸化炭素の排出量を削減するために税金の導入を行っていますが、これは日本に限ったことではありません。
海外でも同様に行われている国があり、効果を発揮している国も見られます。
しかし税制の導入は一時的に化石燃料の使用を減らすことはできても、抜本的な解決策にはなりません。
使用量を減らせるように心がけなければ、持続的な二酸化炭素の排出削減にはつながらず、地球温暖化は進行していくことになります。
税制の導入はあくまでも取り組みの一つに過ぎません。将来的なことも考えて、低炭素社会や脱炭素化社会を目指した取り組みに協力していくことが重要です。
そのために必要な知識を備え実践していけるように、地球温暖化についての理解を深めていきましょう。
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