地球温暖化とヒートアイランド現象はどちらも気温を上昇させる現象です。
しかしこの2つには明確な違いがあり、対策も異なります。影響を及ぼすことで、さらなる変化がもたらされていることもあります。
この記事では、地球温暖化とヒートアイランド現象の違いなどを紹介します。
地球温暖化のメカニズムや原因、現状は?私たちへの影響やすぐにできる対策も解説
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地球温暖化とヒートアイランド現象
地球全体の温度が上がっているのは地球温暖化の影響だと言われています。
一方で気温が上昇する現象としてヒートアイランド現象というものがありますが、この2つには明確な違いがあります。
しかし気温が上がるのは地球温暖化のせいなのか、それともヒートアイランド現象のせいなのか、区別がつかず混同されることもあります。
地球温暖化とヒートアイランド現象とはなにが違うのか、そして関係があるのか、それぞれの内容を理解しておきましょう。
地球温暖化とは
地球温暖化は18世紀半ばに起こった産業革命以降、人間活動による温室効果ガスの増加である可能性が極めて高いと言われています。
大気中に含まれる二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスには、海や陸といった表面から地球の外へ放出される熱を大気に蓄積し、再度地球の表面に戻すという温室効果の性質を持っています。
この二酸化炭素などの温室効果ガスが化石燃料の使用や森林の減少によって、その濃度を急激に増加させたことで、大気の温室効果が強まり、地球温暖化が進行しました。
この地球温暖化は平均的な気温の上昇だけでなく、熱波などの異常高温や大雨・干ばつの増加など様々な気候変動にも影響を与えています。
早い春の訪れによる生物活動の変化、水資源や農作物への影響など、自然生態系だけでなく私たち人間社会にも影響は出ているのです。
このまま対策をせず、将来地球の温度がさらに上昇することになれば、水や生態系、食料、沿岸域、健康など広い範囲で深刻な影響が生じると考えられています。
ヒートアイランド現象とは
草木や森林などの植生域は保水力が高く、そこから蒸発する水分が熱を多分に消費することから、太陽から放射される熱を消費するため、地表面から大気へ与えられる熱が少なくなります。
そのため植物や水場など自然が多い植生域では日中の気温の上昇が抑えられるのです。
一方で人工被覆域では植生域と比べて日射による熱の蓄積が多くなります。また温まりにくく冷めにくい性質もあるため、日中に溜まった熱を夜間になっても保持し、大気へ放出し続けることになります。これが夜間の気温の低下を妨げる原因です。
都市部の高層化や高密化によって、天空率が下がることになるため、地面からの放射冷却が弱まります。風通しも悪くなることから、余計に地表面に熱がこもりやすくなることで、日中の気温の低下を妨ぎます。
このように人工的な建造物や地表面被覆による蓄熱と排熱を要因として気温が上昇する現象がヒートアイランド現象です。
この現象の広がりは都市を中心とした限定的なものとなっています。
これは都市部でのビル群やアスファルトの増加、人口が集まることによって多様な産業活動に伴う熱の排出が原因であると言われています。
(出典:気象庁「地球温暖化問題とは」)
(出典:気象庁「地球温暖化の原因」)
(出典:気象庁「ヒートアイランド現象」)
(出典:気象庁「ヒートアイランド現象」)
地球温暖化とヒートアイランド現象の違い
地球温暖化とヒートアイランド現象は大きな違いがあります。どちらも人間活動が原因で気温の上昇をもたらしているという点は同じです。
しかしその仕組みや規模は異なります。
規模で見ると地球温暖化は地球規模で起こっているのに対して、ヒートアイランド現象は都市部など限定的な場所で起こるのです。
これは日本でいえば東京になりますが、海外でも同様にヒートアイランド現象が起こる都市はあります。
都市部に人口が集まることで高層建造物が多く建ち並ぶようになり、舗装のためにアスファルトで被覆されることで熱の蓄積や排熱の長期化、風の弱まりが原因となるため、植物が多い場所ではヒートアイランド現象は起こりません。
一方で地球温暖化は、大気中の二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスが増加することで起こる現象であり、自然の多さに関わらず広域で影響を与えます。
日本でも全国の観測所で長期的な気温の上昇が確認されていますが、これは地球温暖化によるものだと考えられています。
(出典:気象庁「地球温暖化問題とは」)
(出典:気象庁「地球温暖化の原因」)
(出典:気象庁「ヒートアイランド現象」)
(出典:気象庁「ヒートアイランド現象」)
地球温暖化とヒートアイランド現象の影響
地球温暖化とヒートアイランド現象は、気温を上昇させ、相乗効果で気温がさらに上がる危険性もあります。
実際に都市部の猛暑日の日数や熱帯夜の日数を見てみるとここ100年ほどで変化が見られます。
日本でヒートアイランド現象が囁かれ始めたのは1970年代になってからです。2020年までの50年間の変化を見ると、猛暑日の日数は各都市部で増加しています。
例えば名古屋は、1990年以降に猛暑日の日数が大きく増加しており、100年間のトレンド(長期変化傾向)でも10年あたりで1.0日ほどです。
2019年には猛暑日の日数が35日を超えるなど、非常に多くの日数を記録しています。
京都でも猛暑日の年は多く、100年間のトレンドでも10年当たり1.3日の割合で増加しているのです。
熱帯夜の日数であれば、東京は2010年に55日以上を記録し、大阪では1993年に60日近くを記録、その後も数年おきに50日前後の熱帯夜を迎えている年があります。
全国的に見ても猛暑日や熱帯夜の日数増加は発生頻度の少ない札幌を除いて有意な増加傾向が見られており、各都市での長期的な変化は都市化による気温上昇の影響も現れていると考えられているのです。
つまり地球温暖化による全体的な気温上昇に加えて、都市部ではヒートアイランド現象も加わることで猛暑日や熱帯夜が増える傾向にあることが伺えます。
このまま策を講じなければ、人口が集中しやすい都市部での猛暑日や熱帯夜による熱中症の被害増加や、冷房器具の使用による電力消費が増え、二酸化炭素の排出増加につながり、地球温暖化を助長することにもなりかねません。
(出典:気象庁「大都市における猛暑日日数の長期変化傾向」)
(出典:気象庁「大都市における熱帯夜日数の長期変化傾向」)
地球温暖化だけでなくヒートアイランド現象にも注意を
ヒートアイランド現象は都市部で発生する現象ではあるものの、現象そのものは私たちを危険にさらすものです。
地球温暖化と違い、土地利用そのものが大きく影響しているため、すぐに打てる対策は多くはありません。
しかし地球温暖化に加えてヒートアイランド現象も起こることで、さらに気温が上昇する危険性があり、真夏日や猛暑日のさらなる増加も危惧されます。
そうならないためにも、できることから対策を進めていくことが重要です。
ヒートアイランド現象への対策は難しくても、地球温暖化への対策は身近なものからできるものも多いため、将来的な気温の上昇を防ぐためにもできることから始めていきましょう。
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