地震

地震保険とは?万一の対策として知っておくべき基礎知識

  • 2020年3月13日
  • 2024年5月7日
  • 地震

地震はいつ起こるかわからない恐ろしい災害です。私たちが住む日本では他国と違い地震が起こる可能性が高く、いつ起こってもいいように災害に備えておく必要があります。
しかしその備えは防災グッズや避難場所の確認だけでなく、金銭的な補償を受けられる地震保険も必要になってきます。
こちらの記事では地震保険について、知っておくべき基礎知識を紹介します。

地震・震災の対策や津波発生時の注意点は?地震保険や南海トラフ巨大地震の想定被害も解説

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日本に住むなら重要な地震保険

災害 防災

日本は地震大国と言われています。なぜ日本で地震が多いのか、それは日本が島国であり、4つの固い岩盤(プレート)の上に乗っているためです。

プレートには大陸プレートと海洋プレートがあり、海洋プレートは大陸プレートの下に潜り込んでいくため、プレートとプレートの境目に圧力がかかり、そのエネルギーに耐えられなくなって境界部分が崩壊することで地震が発生します。
これが海溝型地震の特徴です。もちろん地震はこれだけが原因ではありません。陸側では日本を乗せている陸のプレートの内部に強度が弱い場所である断層があり、これがずれて地震が発生します。これが内陸型地震であり、ずれをおこす断層が活断層です。

東日本大震災や、今後起こると予測されている南海トラフ巨大地震は海溝型地震、大阪府北部地震や北海道胆振東部地震は内陸型地震です。

日本では4つのプレートに囲まれていること、そして2,000ほどある活断層の存在により、地震が起こる要因が多く、大小様々な地震が起こっています。

普段報道されないだけで小さな地震は日々起こっていますし、海溝型地震は大規模なものになりやすく、比較的規模が小さいことが多い内陸型地震でも大規模なものが起こる可能性があるという前例ができたことから、いつ起こってもいいように警戒し、防災意識を高めておくことは大切です。
そして地震が起こったときに、私たちの生活を支えてくれるのは地震保険制度の存在です。地震が多い日本では地震保険は重要な支援制度なのです。

(出典:国土交通省「日本で地震が多いわけは?」)
(出典:国土交通省「活断層とは何か?」)

  • 日本は島国であり、4つの固い岩盤(プレート)と2,000ほどある活断層の存在により、地震が起こる要因が多く、地震大国と言われている。
  • 普段報道されないだけで小さな地震は日々起こっており、いつ地震が起こってもいいように警戒し、防災意識を高めておくことは大切になる。
  • 地震が多い日本で復興のとき、地震保険は私たちの生活を支えてくれる重要な支援制度である。
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    地震保険制度とは?


    地震が起こったとき、家財や財産など様々なものに被害が及びます。その被害額は貯金だけでは賄えないことが多く、地震から復興をするにしても途方に暮れてしまうことが多いです。
    そんな状況を補償・支援してもらい、一日も早い復興を行うために必要なのが地震保険制度です。
    地震保険の概要としては、その対象が居住用の建物と家財とされています。
    ただし地震保険だけでの加入はできません。地震保険は火災保険に付帯する方式で契約します。火災保険だけでは地震を原因とした火災やそれによる損害、地震により延焼・拡大した損害は補償されません。
    そのため火災保険の加入に付帯して地震保険をつけることで、火災も地震もどちらも補償してもらえるようになります。

    既に火災保険に契約しており、地震保険に加入していない場合でも、契約期間の途中から地震保険に加入することができます。

    地震保険制度の歴史

    地震保険制度が始まったのは1966年です。20世紀の日本では1923年に関東大震災、1927年に北丹後地震、1930年に北伊豆地震、1933年に昭和三陸地震と10年間で大規模な地震が相次いで起こりました。

    しかしこのときは地震保険制度がなく、火災保険による保険金の補償がなされなかったため、地震保険の必要性が訴えられました。
    そこで1934年に国営で火災保険への強制付帯を骨子とする法案がまとめられましたが、強制付帯であったことから難色を示す動きがあり、法案提出にはいたりませんでした。
    1948年にも同様の法案がまとめられましたが、こちらも同じ理由で法案提出までいたっていません。

    そのような失敗と挫折を繰り返しましたが、1964年に新潟地震が起こったこともあり、本格的な議論が開始され、ついに1966年6月に地震保険に関する法律が施行され、地震保険制度が誕生しました。

    地震保険は政府による再保険

    地震保険制度は政府による再保険であると規定されています。
    そもそも地震保険は、「地震などによる被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任の一定額以上の巨額な地震損害を政府が再保険することにより成り立つ」とされています。

    この再保険とは民間保険会社が被保険者と契約した元受保険において、責任の一部または全部を他の保険者に移転し、その移転された保険者がそれを受ける損害保険を言います。
    つまり民間保険会社が火災保険とともに地震保険を被保険者と契約したら、地震保険に関しては政府にその責任を移転し、損害の一部を補償するということです。
    これにより政府は管理・運用のほかに民間のみでは対応できない巨大地震発生時には再保険金の支払いを行うため、地震再保険特別会計において区分経理することになっています。

    ただし1回の地震などにより政府が支払うべき再保険金の総額は、毎年度国会の議決を経た金額を超えない範囲内のものでなければならない、とされています。
    万が一、この額を超える被害地震が発生した場合は、被害の実態に即して「被災者生活再建支援制度」の活用など他の施策も考慮しつつ、適時適切に政策判断が行われると政府は回答しています。

    (出典:財務省「地震保険制度の概要」)
    (出典:財務省「地震保険の歴史と今後の課題について」)

  • 地震保険だけでの加入はできないため、地震保険は火災保険に付帯する方式で契約する。
  • 1964年に新潟地震が起こったことで本格的な議論が開始され、1966年6月に地震保険に関する法律が施行され地震保険制度が誕生した。
  • 民間保険会社が火災保険とともに地震保険を被保険者と契約したら、地震保険に関しては政府にその責任を移転し、損害の一部を補償する。
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    地震保険の補償内容と支払いについて


    地震保険は地震の被害であれば無制限に補償されるわけではありません。当然ですが、補償内容には規定があります。基本的には居住用に供する建物および家財(生活用動産)であるとされています。
    ただし、工場や事務所専用の建物など住居として使用されていない建物や、1個または1組の総額が30万円を超える貴金属・宝石・骨董、通貨、小切手や株券など有価証券、預貯金証書、印紙、切手、自動車などは対象外となります。
    地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で決定することができますが、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度です。

    地震保険の支払い

    地震保険の支払に関しては、その建物あるいは家財が全損、半損、一部損に区分され適用されます。
    建物の場合、全損は地震などにより損害を受け、土台や柱、壁などの主要構造部の損害額が、時価額の50%以上となった場合や、燃焼もしくは流失した部分の床面積が延焼面積の70%以上となった場合を言います。
    半損は上記の時価額が20%以上50%未満、燃焼面積が20%以上70%未満となった場合、一部損は時価額の3%以上20%未満、床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水を受け、全損または半損に至らない場合と規定されています。

    基準
    全損 地震などにより損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根など)の損害額が、時価額の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上となった場合
    半損 地震などにより損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根など)の損害額が、時価額の20%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上70%未満となった場合
    一部損 地震などにより損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根など)の損害額が、時価額の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水を受け、建物の損害が全損・半損に至らない場合

    このような基準で建物の被害が判定されます。
    また家財の被害基準は全損だと地震などにより被害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の80%以上となった場合と規定されています。
    半損は時価額の30%以上80%未満、一部損は10%以上30%未満となっています。
    これらの規定に基づいて損害が判断され、保険金額が決定されます。全損なら時価額を限度として地震保険の保険金額の100%、半損なら時価額の50%を限度として保険金額の50%、一部損なら時価額の5%を限度として保険金額の5%とされています。

    (出典:財務省「地震保険制度の概要」)

  • 地震保険は地震の被害であれば無制限に補償されるわけでなく、補償内容には規定があり、基本的には居住用に供する建物および家財(生活用動産)とされている。
  • 地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で決定することができるが、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度となる。
  • 地震保険の支払に関しては、その建物あるいは家財が全損、半損、一部損に区分され適用される。
  • 地震保険の保険料などについて


    地震保険の保険金額は火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で決められることは先ほど触れましたが、支払う保険料は保険対象である居住用建物や家財を収容する建物の構造、所在地により算出されます。
    そのため都道府県ごと、建物の構造により保険料は変わるということです。
    例えば東京都で建物がイ構造(※)の場合、保険期間1年につき25,000円となります。他にも千葉県、神奈川県、静岡県は同様の金額で最も高くなっています。
    それに対して秋田県では、同じイ構造でも保険期間1年で7,100円となっており、差が大きいことがわかります。他には山形県、栃木県、群馬県、富山県、石川県、福井県、長野県など多くの県がこの金額を保険料として支払うことになります。

    ※イ構造:耐火建築物、準耐火建築物、省令準耐火建築物などに該当する建築構造

    また保険期間は短期、1年および2~5年の長期から選べ、長期契約の場合は期間が長くなるほど長期係数を乗じて算出されます。2年であれば1.90、5年であれば4.60の係数を掛けます。
    さらに建築年割引や耐震等級割引、免震建築物割引、耐震診断割引の4種類が割引制度として設けられています。
    地震保険料は地震保険料所得控除制度により確定申告にて所得税が最高5万円、住民税が最高2万5千円を総所得金額などから控除できます。

  • 支払う保険料は保険対象である居住用建物や家財を収容する建物の構造、所在地により算出されるため、都道府県ごと、建物の構造により保険料は変わる。
  • 建築年割引や耐震等級割引、免震建築物割引、耐震診断割引の4種類が割引制度として設けられている。
  • 地震保険料は地震保険料所得控除制度により確定申告にて所得税が最高5万円、住民税が最高2万5千円を総所得金額などから控除できる。
  • (出典:財務省「地震保険制度の概要」)

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    地震保険は被災後の生活を守るためにも大切


    地震は恐ろしい災害であり、被災すれば多くのものを失う可能性があります。それは大切な人や思い出の場所など様々です。
    できることなら失わないことに越したことはありませんが、無常にも地震はいろいろなものを奪う可能性があります。
    そうなったとき、震災後に生活を取り戻すため、失意の中でも復興に取り組んでいかなければいけません。
    多くのものを失い、住む場所にも生活に必要なものにも被害を受けている状況では、日常を取り戻すのも一苦労であり、心にも金銭的にも大きな負担になります。
    せめてその金銭的負担を少しでも和らげるために、地震保険は入っておくことを推奨する保険です。滅多に起こらない地震ですが、いつ起こるか分からないからこそ防災の準備とともに加入しておくことをおすすめします。

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    この記事を書いた人
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