太陽光発電は、国内で普及が進んでいる再生可能エネルギーであり、一般家庭でも導入されています。日中多くの電力を得られることから、家庭によっては余剰電力が生まれます。
余剰電力は使わなければもったいないエネルギーですが、それをほかの電力供給に回せるよう電力会社が買い取る制度があります。
この記事では、太陽光か発電の売電について、買取価格や買取期間などを解説します。
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一般家庭でも普及している太陽光発電
世界の各地で再生可能エネルギーの導入が進められていますが、これは地球温暖化の進行を抑えるため、温室効果ガス、特に二酸化炭素の排出を削減することを目的とした動きです。
18世紀に起こった産業革命以降、私たちの生活は発電によるエネルギーの恩恵を受けて、急速に発展しました。
しかしその分だけ二酸化炭素が大量に発生し、温室効果ガスが地球を覆い、気温を上昇させるだけでなく、気候変動や様々な異常気象を起こすことになりました。
私たちにとって、そしてこれからの世界にとっても、このまま二酸化炭素の排出を続けていけば、さらに危機的な状況に陥るとの見解が持たれています。その対策のために再生可能エネルギーに注目が集まったのです。
再生可能エネルギーは二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを発生させません。また石炭や石油、天然ガス、ウランなど特別な資源を必要とせず、それぞれの発電が可能な条件がそろえば、国内の様々な場所で発電が可能です。
これは国内でもエネルギーが生産できるということであり、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源として期待されています。
再生可能エネルギーには太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマス発電などがあります。
この中でも特に日本で導入が進んでいるのが、太陽光発電です。
2017年時点で太陽光発電の日本の導入状況は全体の発電量の5.2%を占め、導入実績はドイツや中国とともに世界をリードする発電となっています。
(出典:経済産業省「なっとく!再生可能エネルギー」再生可能エネルギーとは 総論)
(出典:経済産業省「なっとく!再生可能エネルギー」再生可能エネルギーとは 太陽光発電)
(出典:経済産業省「国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案」,2019)
太陽光発電の売電とは
太陽光発電は、太陽が昇ってから沈むまで、太陽光が太陽電池に当たっている間は常に発電します。そのため太陽電池を接続したモジュール(ソーラーパネル)が多いほど、発電できることになります。
太陽光発電の普及により、屋根で発電を行うという一般家庭も増えてきていますが、日中発電された電力は主に自宅の電力として消費します。
しかし中には、電力が消費しきれず余っているという家庭もあります。そういった余剰電力を買い取ってくれる制度が「固定価格買取(FIT)制度」です。
固定価格買取(FIT)制度
正式には「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」と呼ばれるこの制度は、再生可能エネルギーで発電した電力を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が保障する制度です。
太陽光発電はもちろんのこと、風力発電や水力発電、地熱発電、バイオマス発電も対象となっており、この5つのいずれかを使って、国が定める用件を満たす事業計画を策定して、その計画に基づいて新たに発電を始められる人が対象になります。
ただしこれは事業者の要件であり、一般家庭用の条件はそれほど厳しくありません。
また事業者の場合は発電した電力の全量が買取対象となりますが、住宅のに設置する10kW(キロワット)未満の太陽光の場合や、ビルや工場に設置する10~50kWの太陽光の場合は、自身で消費した残りの余剰分が買取対象となります。
つまり、一般家庭であれば電力会社と買取契約を結べれば、余剰電力を自動的に買い取ってもらえるということになります。
太陽光発電は普及も進み、コストも下がってきているとはいえ、初期費用やランニングコストはかかります。
しかしこの制度により、発電した電力を少しでも買い取ってもらえるのであれば、コストの回収ができる可能性があるということです。
こういった売電は、電力会社から余剰電力を売った家庭に買取費用が支払われますが、この負担を行うのは、電気を利用している私たちです。
私たちが利用する電力の中に、この余剰電力として買い取られた分が含まれていることから、FIT制度に則り、電力の使用者から再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)(※)が集められ、余剰電力の買取費用の支払が賄われています。
この再エネ賦課金の単価は全国一律となるように調整されており、余剰電力の買取価格を踏まえて経済産業大臣により決定されています。
ここで余剰電力の買取価格が出てきましたが、FIT制度では買取価格と買取期間にも決まりがあります。
買取価格と買取期間
太陽光発電の買取価格と買取期間は、発電の規模と電源により決定されます。
住宅用太陽光発電であれば、10kW未満の規模が対象になります。2019年までは出力制御対応機器設置義務の有無でも買取価格が異なりましたが、2020年はその有無に関係なく価格が決定されています。
参考までに2019年の1kWh(キロワット時)あたりの買取価格は、出力制御対応機器設置義務なしの場合は24円、ありの場合は26円でした。
それに対して2020年の1kWhあたりの買取価格は一律で21円となっています。
この価格で買取期間は10年間と定められているため、2020年に契約すれば1kWhあたり21円の買取を10年間してもらえることになります。
またビルや工場に置く事業用太陽光発電では、10kW以上50kW未満の規模が対象となり、1kWhあたりの買取価格が2019年では14円(税抜)、2020年では13円(税抜)となっており、買取期間は家庭用より長く、20年間に設定されています。
50kW以上250kW未満の場合であれば、1kWhあたりの買取価格が2019年は14円(税抜)で同じですが、2020年は12円(税抜)となっており、買取期間は同様に20年間となっています。
ただし10kW以上50kW未満は自家消費型の地域活用要件が設定されているので、発電した全量ではなく余剰電力の買い取りという条件があります。
事業用太陽光発電の中でも250kW以上は入札により買取価格が決定されるので、電力会社との契約次第で価格が変わります。
固定価格買取(FIT)制度についてよくある質問
FIT制度は2009年から開始されました。その時点で家庭用太陽光発電の余剰電力の買取期間は10年間で契約しています。
そのため2019年時点で10年を迎え契約が満了する人が出てきていますが、その時点で終了すると勘違いされる人もいたようです。
契約期間が満了した際、電力会社との契約にもよりますが、契約が自動継続となっている場合は、新しい単価で継続して買い取りが行われます。
また契約が自動契約となっていないのであれば、ほかの電力会社と新たに契約を結ぶこともできますし、自家消費だけに留めることもできます。
ただ契約満了となったときに、買取契約を結ばない限りは、買取者が不在となってしまうため、余剰電力が一般送配電事業者へと送られ、無償で消費されることになります。
もちろん、同じ電力会社と再度契約して買い取りを行ってもらうこともできますし、買取期間満了までに自身の希望に合うプランがある電力会社に移ることもできます。
気をつけなければいけないのは、自家消費を拡大する場合、蓄電池や電気自動車などと組み合わせて利用するなど、何かしらの策を講じなければ余剰電力となってしまいます。
買取期間満了の4~6ヶ月前に契約満了や必要な手続きについて記載した通知などが届くので、それをもとに今後どうするかを早めに決めて動く必要があります。
※再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金):FIT制度の費用を、利用者が電気料金の一部として負担するもの
(出典:経済産業省「なっとく!再生可能エネルギー」固定価格買取制度 制度の概要)
(出典:経済産業省「なっとく!再生可能エネルギー」固定価格買取制度 買取価格・期間等(2020年度以降),2020)
(出典:経済産業省「FIT制度における2020年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました」,2020)
(出典:経済産業省「よくあるご質問」,2019)
太陽光発電の余剰電力を売電して賢く利用しよう
太陽光発電は、初期費用やランニングコストなどがかかることから高いイメージがありますが、普及を促進するため余った電力を買い取ってもらえるという制度があることから、コストを抑えることができる可能性があります。
太陽光発電を賢く利用できれば環境への負担を減らしつつ、生活を潤すことができるでしょう。
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