地球温暖化は世界の多くの国において、解決するべき最優先課題として取り上げられているテーマの1つでもあります。
温室効果ガスが地球温暖化の要因となっていることから、2015年に定められたパリ協定を締結した国々は、低炭素化という共通のキーワードを掲げて温室効果ガス削減のために積極的な政策を推し進めています。
今回は、温室効果ガス削減の必要性、パリ協定、脱炭素化のトレンド、日本が取り組むべき温室効果ガス対策にフォーカスして説明します。
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温室効果ガスを削減する必要性
温室効果ガスとは、地球の温度を上昇させると言われているガスを指します。
- 二酸化炭素(CO2)
- メタン(CH4)
- 一酸化ニ窒素(N2O)
- フロンガス
温室効果ガスの中でも二酸化炭素が半分以上を占めているため、最優先とすべきは二酸化炭素の排出を可能な限り減らすことです。
そして二酸化炭素に続いて多いのがメタンです。 温室効果ガスにより地球温暖化が進行すると一体何が起こるのでしょうか。 地球温暖化に伴う気候の様々な変化が、環境へ悪影響を及ぼすと考えられています。
気候の変化としては、極端な気温と降水、乾燥傾向、破壊的な台風・発達した低気圧、海面上昇、海の酸性化などがあります。
日本では、紅葉の時期が遅くなったり、サンゴの白化などといった植物や海の生物への影響が出たり、猛暑日の増加などの異常気象が起きています。
IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)では、産業革命前から気温が1、2℃上がると異常気象により穀物の収穫量への影響が高くなることを示しています。
また上昇温度が3、4℃になると氷床が融けることで海面水位の上昇、生態系への悪影響など、あらゆる分野へのリスクが高くなると指摘されています。
(出典:気象庁「温室効果ガスの種類」)
(出典:環境省 COOL CHOICE「地球温暖化の影響」)
- 温室効果ガスとは、地球の温度を上昇させると言われているガス
- 最優先にすべきはCO2(二酸化炭素)排出を可能な限り減らすこと
- 地球温暖化に伴う気候の様々な変化が、環境へ悪影響を及ぼすと考えられている
パリ協定とは
2015年に定められたパリ協定は、気候変動を抑制するために世界各国で協力して取り組む事を定めた国際的な協定のことを指し、京都議定書の後継という位置付けです。
パリ協定で定められた取組合意は、下記の発行条件にて効力を発揮します。
- 55カ国以上が参加する
- 世界の総排出量の内55%以上をカバーする国が批准する
当初はこれらの条件を満たすことに時間を要すると予想されていましたが、オバマ元大統領が各国に批准の働きかけをした結果、想定よりも早く2016年11月4日に発行されることとなりました。
締結に参加した国(日本を含む)だけ見ても、世界の温室効果ガス排出量の約86%、全世界159ヵ国をカバーする結果となっています。
またパリ協定では次のような世界共通の長期目標を掲げています。 「 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く保ち、1.5℃に抑える努力をする 」
パリ協定の規定は下記の通りです。
- 発効から3年以降、国連に脱退の通告が可能
- 通告の効力発揮までに1年を要する
パリ協定と京都議定書の違いとは
京都議定書では温室効果ガスの排出量削減義務が先進国だけに限られていましたが、パリ協定は途上国を含む全ての主要排出国が対象という点が特徴です。
日本はパリ協定によって定められた温室効果ガス削減目標を掲げており、その目標数値は2030年までに2013年度と比較して26%削減することです。
(出典:資源エネルギー庁「今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?」,2017)
- パリ協定とは、気候変動を抑制するために世界各国で協力して取り組む事を定めた国際的な協定のことを指し、京都議定書の後継という位置付け
- パリ協定の世界共通の長期目標として、「 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く保ち、1.5℃に抑える努力をする 」を掲げている
- 京都議定書では温室効果ガスの排出量削減義務が先進国だけに限られていたが、パリ協定は全ての主要排出国が対象
エネルギー供給における脱炭素化の流れ
近年、世界のトレンドとなっているのは脱炭素化です。 人間が作り出す二酸化炭素の排出量=植物の二酸化炭素吸収量という構図で、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素の量をイコールにしようという取り組みのことを指します。
日本のエネルギー輸入依存は、とりわけ化石燃料が大きな割合を占めています。 この化石燃料は、二酸化炭素を多く排出することで知られています。
化石燃料が二酸化炭素を多く排出するということは、必然的に化石燃料の排出削減=脱炭素化=低炭素化につながるというわけです。
(出典:資源エネルギー庁「2019—日本が抱えているエネルギー問題(後編)」,2019)
- 近年の世界のトレンドは脱炭素化
- 日本のエネルギー輸入依存は、化石燃料が大きな割合を占め、化石燃料は、CO2(二酸化炭素)を多く排出する
- 化石燃料の排出削減=脱炭素化=低炭素化につながる
日本が取り組むべき温室効果ガス対策
温室効果ガスを今以上に削減しようとすることは、想像以上に難しいとされています。 その理由として、これ以上の削減目標を達成するためには、多くの技術分野での大きな改革が必要とされているからです。
温室効果ガス削減に有効とされるのは下記の通りです。
- 省エネ対策
- 再生可能エネルギーの導入
- 原子力発電
- 水素エネルギーの利用
日本は積極的に省エネを進め、エネルギー消費効率は世界でも高い水準となっています。
しかし1990年から2010年の20年間については、消費効率の改善が滞っていました。 今後、さらに省エネに取り組んでいくためには、産業、業務、家庭、運輸などそれぞれの部門での努力が必要です。
企業間や異なる部門が連携して省エネを進めていくことで、消費効率を上げていくがことが求められています。
(出典:資源エネルギー庁「2019—日本が抱えているエネルギー問題(後編)」,2019)
- 温室効果ガスを今以上に削減しようとすることは、想像以上に難しい
- 温室効果ガス削減に有効なのは、省エネ対策、再生可能エネルギーの導入、原子力発電、水素エネルギーの利用
- 企業間や異なる部門が連携して省エネを進めていくことで、消費効率向上を目指す
地球温暖化対策は世界中で重要な課題
近年、世界中で温暖化対策に関心が集まっています。
パリ協定という国際的な枠組みの中で、途上国・先進国を含め各国が温暖化対策のためにどのような対策を講じなければならないのでしょうか。
現時点では、アメリカがパリ協定からの脱退を宣言しています。 世界で唯一パリ協定に参加していない国となります。
離脱が有効となるまで1年を要しますが、アメリカの脱退後、地球温暖化防止のために世界各国の更なる相互協力が大切になってくることでしょう。
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