世界では地球温暖化の脅威を抑えるべく、その原因となっている温室効果ガスの排出削減に取り組んでいます。
しかしただ単に各国が取り組みを行っているわけではなく、世界全体で目標を立て協力するための枠組みとなるパリ協定のもとに対策を行っています。
この記事ではパリ協定における各国の目標や日本のエネルギー政策について紹介します。
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パリ協定とは
パリ協定は、気候変動問題について2020年以降の温室効果ガス削減に関する国際的な枠組みになります。
この協定は、55ヶ国以上が参加し、世界の温室効果ガス総排出量のうち、55%以上をカバーする国が批准することが発行条件となっていました。
日本で成立した京都議定書の期限が切れること、そして京都議定書を受けての現状を鑑みたうえでの新しい枠組みが必要となったことから、2015年にパリで開かれたCOP21(第21回国連気候変動枠組条約締約国会議)で発効要件とともに合意されました。
その結果として、主要排出国を含む多くの国が参加することとなり、2017年8月までで159ヶ国および地域、世界の温室効果ガス排出量の約86%をカバーすることになりました。
パリ協定の長期目標と画期的なポイント
パリ協定では世界共通で次の長期目標があります。
世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる
(引用:経済産業省資源エネルギー庁「今さら聞けない「パリ協定」~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~」,2017)
これらを達成することで地球温暖化を抑えることができると考えられていますが、このような目標は当然、京都議定書でも掲げられていました。
しかしパリ協定は京都議定書と比べ、非常に画期的であるとの評価を受けています。
その画期的なポイントの一つが、途上国を含むすべての参加国に、排出削減努力を求めるという枠組みです。
京都議定書では、排出量削減の法的義務は先進国にのみに課せられていましたが、1997年以降から今日までに途上国の急速な経済発展があり、その影響で排出量の急増が見られました。
途上国に排出量削減の法的義務は課せられていなかったため、参加国の間に不公平感が募り、脱退する国も出始めました。
また当時最大の排出国だったアメリカが議定書の内容を疑問視し、批准しなかったこともあり、京都議定書の実効性は疑いのあるものとなったのです。
この反省から、パリ協定では途上国を含むすべての参加国に、2020年以降の温室効果ガス削減目標および抑制目標を定めています。
それに加えて長期的な「低排出発展戦略」を作成して、提出するよう努力すべきであると規定しています。
パリ協定には、もう一つ画期的なポイントがあります。
京都議定書では先進国のみにトップダウンで定められた排出削減目標が課せられるアプローチを採用していたのに対して、パリ協定では公平性と実効性の観点から、各国に自主的な取り組みを促すためボトムアップのアプローチが採用されているのです。
これは協定の合意に至るまでの国際交渉において日本が提唱してきたものであり、このアプローチによって各国の削減・抑制目標は、各国の国内情勢などを織り込み、自主的に策定することが認められることになりました。
(出典:経済産業省 「今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~」,2017)
パリ協定における各国の目標と取り組み
パリ協定では各国で取り組みを行ううえでの目標が定められています。
今回は主要となるドイツ、フランス、イギリス、カナダ、アメリカ、そして日本について紹介します。
ドイツの目標と取り組み
ドイツの掲げた目標は2050年までに1990年比で温室効果ガスを80~95%削減するというものです。
そのための戦略の位置付けとして、すべての関係者に必要な方向性を示す長期的な気候変動対策の基本方針を打ち出しています。
またそれに伴い石炭火力発電の段階的な削減を行い、長期的には電力のほぼすべてを再生可能エネルギーで補えるように電力コストを抑えた需給バランスの確保と、設備の拡充が行われています。
加えて温室効果ガスのなかでも主となる二酸化炭素を排出する燃料から、CO2フリーな燃料への代替、廃棄物などの二次資源の再利用を進めるための政策的支援も進めているのです。
そのほかの取り組みを含め、ドイツでは経済界や研究機関、市民社会を含むすべての関係者に必要な方向性を政府が示し、部門ごとに2030年までのマイルストーンおよび対策と削減目標を設定して、確実に遂行されるように国家全体で対策を行っています。
フランスの目標と取り組み
フランスでは2050年までに達成する目標として、1990年比で温室効果ガスの75%削減を掲げています。
そのために2050年まで毎年平均900万~1,000万トンの二酸化炭素を削減し、累積1億4,000万トンの二酸化炭素を削減するという明確な目標が立てられています。
それと同時に、目標達成に向けた全体的な枠組みと解決法の明確化を進めてきました。
具体的な取り組みとしてはエネルギー分野では火力発電への投資のコントロールからバイオマスなどの再生可能エネルギーや廃熱利用とそのための地域熱供給の拡大などを行っています。
また産業分野では低炭素エネルギーへの代替を進め、リサイクルによる低炭素素材への転換を推進、運輸分野でも電気自動車やバイオ燃料、天然ガス自動車、バイオガスの普及の支援などを行い、脱炭素化を目指しています。
イギリスの目標と取り組み
イギリスは1990年比で温室効果ガスを80%以上削減することを2050年までに課しています。
この目標に際し、経済成長の拡大と温室効果ガス排出量の削減をもたらす「クリーン成長」の加速化を目指した政策および提案を包括的に示したものを2017年10月に発表しました。
そのうえで、エネルギー部門からの温室効果ガスの排出をほぼゼロにするため、再生可能エネルギーや原子力などの低炭素電源から80%以上供給し、石炭火力発電をフェードアウトさせるように政策が進められています。
またエネルギー多消費産業でのバイオマスなどの燃料転換や2040年までに従来型のガソリン車やディーゼル車の新車販売を終了することも進めるほか、短距離移動であれば徒歩や自転車の促進など市民による取り組みも推奨されています。
カナダの目標と取り組み
カナダでは欧州主要各国と異なり、2005年比で温室効果ガスの排出量を80%削減することを2050年までの目標として掲げています。
2016年11月には政府からカナダ長期温室効果ガス低排出発展戦略が提出され、その戦略に従った取り組みがなされているのです。
主にはエネルギー部門による低炭素電力システムの拡大であり、再生可能エネルギーや原子力発電による脱炭素化を進めており、消費の効率改善や乗用車の電気自動車化、クリーンな電力による冷暖房、照明の導入などが進められています。
アメリカの目標と取り組み
アメリカもカナダと同様に、2005年比での温室効果ガス排出量を80%以上削減することを2050年までの目標として掲げています。
そのための戦略として低炭素なエネルギーシステムへの転換や森林などの二酸化炭素除去技術を用いたCO2隔離、二酸化炭素以外の排出削減の3分野での取り組みの推進が盛り込まれました。
取り組みによって再生可能エネルギーが急伸しているほか、エネルギー効率や新たな材料、製造法への移行、電化が困難な航空や船舶、長距離トラックなどの燃費改善も進められています。
日本の目標と取り組み
日本はパリ協定を批准した際に、2030年までに2013年度比で温室効果ガスを26%削減するという中間目標を、そして2050年までに基準年なしで80%削減することを長期目標に掲げています。
そのためにエネルギー部門では再生可能エネルギーによる主力電源化などエネルギー転換や脱炭素化を進めるために、様々な選択肢の追求を行っているのです。
また温室効果ガスを多く排出する産業分野に関しても、二酸化炭素フリー水素の活用や、バイオマスによる原料転換、人口光合成、省エネなどの抜本的な対策、中期的なフロン類の廃絶などが進められています。
運輸分野でも日本車について世界最高水準の環境性能の実現やビッグデータ・IoTなどを活用した道路交通システムを目指して取り組まれてきました。
私たちの暮らしや地域についても、可能な地域や企業などから2050年を待たずカーボンニュートラルを実現していくこと、そのためにライフスタイルの転換やストック平均でZEB・ZEH(※)相当を進めるための技術開発や普及促進なども進められています。
※ZEB・ZEH:ZEB(net Zero Energy Building)とZEH(net Zero Energy House)であり、建築物における一次エネルギー消費量を建築物や設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用などによって削減し、年間での一次エネルギー消費量が賞味でゼロまたはほぼゼロとなる建築物のこと
(出典:環境省「各国の長期戦略の概要について」)
(出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルを巡る国内外の動き」,2020)
(出典:外務省「パリ協定長期成長戦略のポイント」)
パリ協定の目標を達成するための日本のエネルギー政策
パリ協定の目標を達成するために、日本では様々な取り組みを行っていますが、そのなかでもエネルギー政策は重要な位置付けとされています。
エネルギー革新戦略として打ち出されたのは、エネルギーミックスを実現するうえで、オイルショック後並みの35%効率改善といった徹底した省エネや、2017年時点から倍増する形で再生可能エネルギーの導入を最大にするなどの拡大を進めています。
再生可能エネルギーの拡大には国民負担の抑制と最大限の導入を両立させるために、FIT法の改正による電気買取などが政策として実施されているのです。
また系統制約の解消による運用ルールの整備や、世界最大の7MW浮体式洋上風力の運転による研究開発なども進められています。
加えて新しいエネルギーシステムの構築もエネルギー政策の要となっているのです。
電力分野の新規参入と二酸化炭素排出抑制の両立を目指すために、電力業界の自主的枠組みを作り上げ、省エネ法や高度化法、透明性担保措置などによる参入の後押しなども実施されています。
また再生可能エネルギーと省エネ融合型のエネルギーシステムの立ち上げとして、エネルギー機器の通信規格の整備やネガワット取引市場創設のルール策定も進められてきました。
このように日本では多角的な政策を策定して実施することで、エネルギー革新戦略を進め、再生可能エネルギーへの転換などを推進しています。
(出典:経済産業省「地球環境政策について」,2017)
パリ協定の目標達成のために私たちにもできることから始めよう
パリ協定は温室効果ガスの削減を、各国が掲げた目標を達成するための枠組みです。
2020年からの国際的な枠組みではあるものの、それ以前から目標に向けた取り組みは進められてきました。
それは日本でも同様のことですが、長期的な目標である2050年までの削減目標を達成するためには、国や企業だけでなく私たち一人ひとりが目標への意識を持ち、行動していかなければなりません。
まずは目標の具体的な数値や現在行われている取り組みを知り、自分たちにできることから進めていきましょう。
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