日本では、家族として迎えられず殺処分されてしまう猫が後を絶ちません。2023年度には6,899頭の猫が殺処分されており、一匹でも多くの命を救うため、さまざまな活動が続けられています。
そんな猫たちのために力を尽くしているのが「保護猫ボランティア」です。
「保護猫のために自分ができることを知りたい」
「ボランティア活動の内容や始め方が気になる」
そんな思いを持つ方に向けて、この記事では次の4つの内容を紹介します。
- ・保護猫とはどんな猫か
- ・保護猫ボランティアの目的と主な活動内容
- ・ボランティアに関するよくある質問
- ・ボランティア以外でできる保護猫支援の方法
あなたの行動が、保護猫たちの命を救い、未来を変えるきっかけになります。まずは自分に合った支援の方法を一緒に見つけてみませんか?
保護猫ボランティア活動の目的
保護猫ボランティアの最大の目的は、殺処分される猫を一匹でも減らすことです。令和5年度には全国で6,899頭の猫が殺処分され、そのうち58%にあたる4,036頭が子猫でした。
ボランティアは、里親探しや一時預かり、不妊去勢手術などを通じて、猫たちに新たな居場所を提供しています。
そもそも保護猫とは、飼い主がいなかったり、劣悪な環境から救出され、自治体や保護団体、個人のもとで一時的に保護されている猫のこと。2023年度には25,224頭が保護され、その多くが病気や心に傷を抱えながらも、新しい飼い主との出会いを待っています。
保護猫ボランティアの活動例
保護猫ボランティアは、さまざまな取組を行っています。主な活動は、以下の6つです。
- ・保護施設や猫カフェでのお世話
- ・一時的な預かり
- ・譲渡会・イベントのお手伝い
- ・保護猫・物資の搬送
- ・SNS発信・広報などの運営サポート
- ・不妊・去勢手術の実施
それぞれ詳しく見ていきましょう。
活動例①保護施設や猫カフェでのお世話
保護された猫は、保護施設や保護猫カフェで暮らしています。そうした猫たちの飼育を手伝うのもボランティアの大切な役割のひとつです。主な活動は、以下のとおりです。
- ・餌やりや水やりの給餌活動
- ・猫の健康維持のための運動サポート
- ・ケージや施設の掃除
- ・健康状態のチェックや動物病院への送迎
特に、ミルクを飲んでいる幼い子猫には、数時間ごとの授乳や排泄補助が必要な「ミルクケア」も行われます。
飼育経験がなくてもボランティアが可能な場合もあるため、まずは施設に問い合わせてみましょう。
活動例②一時的な預かり
保護された猫のなかには、一時的に保護施設や個人宅で飼育される場合もあります。人を怖がる猫や施設に慣れない猫にとっては、新しい家族と暮らすための準備期間として重要な役割を果たす場にもなります。
「動物を飼いたいけど事情があって飼えない」という人も、一時的な預かりボランティアとして関わることが可能です。
ただし、短期間の預かりであっても、正式な里親になるのと同じ条件が求められることがあります。治療費などを自己負担するケースもあり、簡単な活動ではありません。
また基本的には里親が見つかるまで預かることになります。
活動例③譲渡会・イベントのお手伝い
里親募集のイベントの企画や運営もボランティアの仕事です。譲渡可能な猫は、新しい家庭に迎えられるための準備が行われます。
会場を用意したり、イベントを告知したりといった業務もあります。またイベント当日には受付や案内、会場設営を行います。直接猫と関わる専門スタッフに代わって、里親希望者とのマッチングをサポートすることも大切な役割です。
活動例④ 保護猫や物資の搬送
譲渡の際に猫を新しい家へ届けたり、災害時など支援が必要な場所に物資を運んだりするのも、ボランティアの大切な役割のひとつです。
猫の搬送時には、譲渡先の家庭が安全に室内飼育できる環境かどうかを確認することも含まれます。また、通院時の送迎などでもドライバーが必要になります。
運転免許と基本的な猫の扱い方の知識があれば参加しやすい活動なので、初めての方でも挑戦しやすいボランティアです。
活動例⑤SNS発信・広報などの運営サポート
譲渡会やイベントでは、ネットやチラシを使った広報が必要です。告知サイトの運営やSNSを使った発信は、遠方からも参加しやすい支援のひとつです。
またSNSやブログで、保護猫の情報を発信するのも重要な業務となります。
活動例⑥不妊・去勢手術の実施
猫は繁殖力が高い動物です。野良猫が過剰に繁殖すると、トラブルにも発展しやすく、結果的に殺処分される個体を増やしてしまいます。そのため不妊・去勢手術は、殺処分ゼロを目指すための有効な手段とされているのです。
ボランティアは不妊・去勢手術を行う猫の捕獲や、施術後のリターンを行います。
保護猫ボランティアの探し方
動物愛護団体は、必要なボランティアの募集を出しています。気になる団体があったらサイトやSNSをチェックして、情報を集めましょう。
また、以下のようなボランティア募集サイトから応募する方法もあります。
これらのサイトでは、地域や具体的な活動内容などで検索・絞り込みができます。場所や内容を確認し、無理のない活動ができる団体を探しましょう。
保護猫ボランティアの募集・寄付を受け付けている団体4選
ここからは、保護猫を支援している団体を紹介します。ボランティア活動を希望する場合は、各団体の公式サイトで募集状況を確認してみると良いでしょう。活動が難しい場合でも、寄付という形で支援することでも、保護猫たちの命をつなぐ大きな力になります。
NPOの専門家やgooddoマガジン編集部の注目ポイントもぜひ参考にしてください。

ピースニャンコ(認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン):医療支援をもとに保護猫ボランティアをサポート
ピースニャンコは、保護猫ボランティアを医療面からサポートする活動を行っています。
自然災害や紛争の被災地支援活動を行う、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンが運営しているプロジェクトです。保護犬を支援するプロジェクトにはピースワンコがあり、既に蓄積されたノウハウがあります。
ピースニャンコでは、動物病院での診療費支援や不妊・去勢手術の費用援助を実施。ピースワンコの譲渡センターを活用した医療支援を通じて、保護猫の健康管理をサポートしています。
保護猫ボランティアの負担軽減を図りながら譲渡促進にも取り組み、1匹でも多くの保護猫が新しい家庭で幸せに暮らせる未来を目指しています。
- 不妊・去勢手術の費用や治療費の支援で、猫の殺処分を減らしている
- 災害時の緊急保護や医療支援にも対応し、猫の命を守る体制づくりに取り組んでいる
- 保護猫ボランティアと連携しながら、現場の声を反映した支援の仕組みを広げている
保護犬を殺処分から救うピースワンコの口コミを知りたい方は、こちらをご一読ください。
>>【怪しい?】ピースワンコ・ジャパンの口コミ評判は?専門家に詳しく聞いてみた
公益財団法人どうぶつ基金:保護・避妊・啓発を通じて殺処分される猫を減らす
公益財団法人どうぶつ基金は、野良猫の繁殖を抑制するための無料不妊手術事業「さくらねこ活動」を中心に活動しています。また、多頭飼育崩壊の救済支援や保護猫の里親マッチング、動物愛護に関する普及啓発活動を通じて、人と動物が共生できる社会を目指しています。
35年以上の長い歴史があり、活動報告書や会計報告書を詳細に公開していることから、信頼性の高い活動実績を持つ団体です。殺処分ゼロを目指し、多様なボランティアが協力して取り組む点が大きな特徴です。
- 無料不妊手術(TNR)という方法で殺処分をなくし、動物が人や自然と自由に幸せに共生することができる世の中をめざしている
- 広報とロビー活動を積極的に行い課題を発信している
- 行政や他団体、獣医師、ボランティアとの連携・協働により活動を広げている
どうぶつ基金の口コミが知りたい方はこちら
>>どうぶつ基金は怪しい?活動実態や口コミ評判を調べてみた
NPO法人犬と猫のためのライフボート:20,000頭以上の里親探しの実績あり
NPO法人犬と猫のためのライフボートは、保健所からの保護犬・猫の救命と譲渡を20年以上行う団体であり、今までに22,477頭の譲渡実績があります。
保護から医療、譲渡までを総合的にケアし、施設内には動物病院も併設。全国7か所の保健所と連携し、殺処分を防ぐ活動に取り組んでいます。
- 動物病院の併設により健康面のサポートしている
- 長年にわたり里親探しの実績がある
- 幅広い地域で活動している
特定非営利活動法人 犬猫みなしご救援隊:行き場のない犬猫専用の「終生飼養ホーム」を運営
一般家庭では飼養が困難な、引き取り手のない犬猫たちを積極的に保護し、命が尽きる時まで責任を持って育てる「終生飼養」や猫の譲渡活動、野良猫の不妊手術などを行っています。
動物と人間が共生できる明るい未来の実現を目指しています。
- 障害や傷病を負っていたり、人になつかない野良犬や野良猫など、引き取り手のない犬・猫たちの受け皿として、犬猫専用の「終生飼養ホーム」を運営している
- 犬や猫だけでなく、ウサギ、鹿、ハクビシンなどの動物の引き取りも行っている
- オリジナルグッズの購入を通して、活動を応援できる。エコバッグ、Tシャツ、書籍、サーモスボトルなど種類が豊富
保護猫ボランティアに関するよくある質問
保護猫ボランティアに参加したいと思ったら、まずはボランティア団体を探し、問い合わせてみましょう。保護猫ボランティアに参加する際の、よくある質問をまとめました。
- ・地域猫活動との違いは?
- ・保護猫ボランティアには報酬がある?
- ・保護猫ボランティアを辞めたくなったら?
- ・ボランティア以外に保護猫を支援する方法は?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
地域猫活動との違いは?
地域猫活動も、保護猫活動の一部と考えられています。地域猫とは、地域に住み着いた野良猫のことです。
保護された猫だけでなく、野良猫を地域全体で見守り、育てていく活動が「地域猫活動」と呼ばれます。猫に不妊・去勢手術を行ったり、居場所を清掃したりして、猫の暮らしを支える活動です。
保護猫ボランティアには報酬がある?
ボランティアは、基本的に無報酬です。ただし猫カフェのスタッフとして働く場合などは、アルバイトとして給与を得るケースもあります。
一方で交通費や、活動に必要な物品を自己負担することも少なくありません。特に預かりボランティアなどでは、猫の飼育経験や家族の同意、住宅の環境などが条件として求められます。
ただ「猫が好き」「かわいいからやってみたい」といった軽い気持ちではなく、命を預かる責任の重さを理解した上で、ボランティア活動に参加しましょう。
保護猫ボランティアを辞めたくなったら?
保護猫ボランティアでは、活動内容や組織の在り方に疑問を感じて辞める人もいます。「自分には合わないな」と感じたら、一度ボランティアから離れてみるのも良いでしょう。
ボランティアでは、自分でできる範囲ですることが大切です。組織やサポート内容によってもボランティアの負担は異なりますので、自分が納得できる方法を探してみてください。
ボランティア以外に保護猫を支援する方法は?
保護猫のサポートでは、ボランティア以外にも、以下のような方法があります。
- ・里親になる
- ・支援団体に寄付をする
保護猫ボランティアは、最終的に新しい家庭を見つけることを目指しています。もしも家庭の条件が合い、保護猫と暮らすことを希望しているなら、里親になって猫を保護するのも良いでしょう。
里親になる条件を満たせない場合や、ボランティア活動に時間を割くのが難しい場合は、支援団体への寄付という形でサポートする方法もあります。多くの団体では、寄付金の使い道を公開しているので、自身の思いや目的に合った団体を選んでみてください。
あなたにできる保護猫支援の形を見つけよう
本記事では、以下の内容をお伝えしました。
- ・保護猫ボランティアには、施設でのお世話や一時預かり、譲渡会のサポートなど多様な活動がある
- ・ボランティアは基本、無報酬であるため、無理のない範囲で参加することが大切
- ・里親になる・寄付で支援するなど、ボランティア以外にもさまざまな支援方法がある
保護猫たちの命をつなぐには、多くのボランティアの協力やさまざまな形の支援が欠かせません。しかし、時間や環境の都合で活動が難しい方もいるでしょう。
そのような場合は、支援団体への寄付やSNSでの情報発信といった方法でも、保護猫たちを救うことにつながります。
あなたの関心や小さなアクションが、一匹でも多くの保護猫を救う力になります。まずは、自分に合った支援の形を見つけてみませんか?
▼保護猫を支援するおすすめの団体
団体名 | NPOの専門家河合さん・gooddoマガジンの注目ポイント |
---|---|
ピースニャンコ | 不妊・去勢手術や治療費の支援で、保護猫の命を守り、殺処分を減らしている ・災害時の緊急保護や医療支援にも対応し、猫の命を守る体制づくりに取り組んでいる ・保護猫ボランティアと連携しながら、現場の声を反映した支援の仕組みを広げている |
どうぶつ基金 | ・無料不妊手術(TNR)で殺処分をなくし、動物が人や自然と自由に幸せに共生することができる世の中をめざしている ・広報とロビー活動を積極的に行い課題を発信している ・行政や他団体、獣医師、ボランティアとの連携・協働により活動を広げている |
寄付先の選び方ガイド:河合将生(まさお)さん
NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/日本ファンドレイジング協会・認定講師・関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー
大学卒業後、国際協力分野のNGOにボランティアスタッフとして参加。その後、国際交流・協力分野の中間支援組織へのインターンシップ、職員を経て、office musubime (オフィス ムスビメ)を2011年7月に設立。
寄り添って伴走する第三者として、身近な相談相手や多様な人・団体をつなぐ役割を通し、組織診断・組織基盤強化、ファンドレイジング支援など、各団体の支援に取り組む。
国際協力や子ども/子育て支援、まちづくり分野、コミュニティ財団などの役員、大学の非常勤講師としてNPO論やボランティア論などの担当も。
- gooddoマガジン編集部 の最近の投稿
-
【初心者向け】保護猫のボランティアは何をする?関わり方や募集の探し方を紹介
2025年6月26日 動物愛護 -
保護犬ボランティアを始めるには?活動内容や探し方、募集団体も紹介
2025年5月29日 動物愛護 -
野良猫への餌やりがダメな理由とは?適切な関わり方と地域猫活動も解説
2025年5月29日 動物愛護