動物を取り扱っている業者は営利、非営利に関わらず動物取扱業者と呼びます。
この業者は様々な業種がありますが、どれも法律により厳しい規制があり、営利目的であれば登録申請なども必要です。
この記事では、どのようにすれば動物取扱業者になれるのか、その申請方法や規制内容などを合わせて紹介します。
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動物取扱業者とは
動物取扱業者とは、動物の繁殖から飼育、保管、貸し出し、展示、販売、競りあっせん、譲受飼養を行う人のことを言います。
動物の命を扱う仕事である以上、動物愛護保護法によって規制が設けられており、動物の適正な取り扱いを確保するための基準などを満たしたうえで、都道府県知事や政令指定都市の長による登録を受けることが必要です。
ただしこれらの業種を営利目的で行い、登録が義務付けられているのは動物取扱業者のなかでも第一種に分類されるものであり、第二種は登録ではなく届出が義務付けられています。
(出典:環境省「動物愛護管理法の概要」)
第一種動物取扱業者の規制
第一種動物取扱業者は、事業所や業種により都道府県知事か政令指定都市の長の登録を受けなければいけません。
また第一種は動物を扱うプロであることから、より適正な取り扱い、動物の保管方法や飼養施設の規模、構造などの基準を守ることが必要です。
第一種動物取扱業者は業種によって該当する業者が異なります。
業種が販売であれば小売業者や卸売業者、および販売目的の繁殖または輸入を行う人が該当します。
保管であればペットホテル業者や動物を預かるサービスを伴う美容業者、ペットシッターです。
貸し出しはペットレンタル業者、映画や撮影などのタレント動物の動物派遣業者、展示は動物園や水族館、移動動物園、動物サーカス、乗馬施設、訓練であれば動物の訓練・調教業者、出張訓練業者が該当します。
会場を設けて行う動物オークションは競りあっせん業、老犬老猫ホームは譲受飼養業です。
このような業種および業者が営利目的で営業する場合は、始めるにあたり登録が義務付けられています。
また代理販売やペットシッター、出張訓練など、動物の所有や飼養施設がなくても規制の対象になります。
第一種動物取扱業者で犬や猫の販売、販売のための繁殖は、犬猫等販売業者として犬猫等健康安全計画の策定と遵守、獣医師との連携など追加の義務もあります。
ほかにも飼養する品種や繁殖者名、生年月日などを記載した帳簿の作成と5年間の保存、およびその報告を、登録を受けた都道府県などに毎年届出をすることが必要です。
(出典:環境省「第一種動物取扱業者の規制」)
第一種動物取扱業者の登録申請方法
第一種動物取扱業は営業を始めるにあたり、事業所がある所管の都道府県あるいは政令指定都市の長に登録の申請を行う必要があります。
これは同一の事業所であっても複数の種別の業種を営む場合は、種別ごとに登録が必要なため注意してください。
また第一種動物取扱業者は、事業所ごとに1名以上の常勤で専属の動物取扱責任者の選任や、重要事項などを説明するために職員を事業所ごとに配置することも義務付けられています。
登録申請には必要書類を準備しなければいけません。
複数種別を申請する場合には、種別ごとに申請書を1通ずつ用意しなければいけないので注意が必要です。
書類は全部で以下の8つになりますが、業種によって必要な書類が異なります。
書類名 | 販売 | 保管 | 貸し出し | 訓練 | 展示 | 競りあっせん | 譲受飼養 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 第一種動物取扱業登録申請書 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 第一種動物取扱業の実施の方法 | 〇 | 〇 | |||||
3 | 「動物の愛護及び管理に関する法律」第12条第1項第1号から第6号までに該当しないことを示す書類 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
4 | (飼養施設を有する場合) 飼養施設の平面図及び飼養施設の付近の見取図 |
△ | △ | 〇 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
5 | (申請者が法人の場合) 登記事項証明書 役員の氏名及び住所 |
△ | △ | △ | △ | △ | △ | △ |
6 | 事業所及び飼養施設の土地及び建物について事業の実施に必要な権原を有することを示す書類 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
7 | 動物取扱責任者研修の修了証の写し | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
8 | 犬猫等健康安全計画 (犬猫等販売業者に限る) |
△ |
※〇は必須、△は条件に該当する場合のみ必須
(出典:東京都福祉保健局「第一種動物取扱業の登録手続き」)
必要な書類に加えて、申請手数料も必要です。手数料は1種別につき1万5,000円ですが、同時に複数の申請を行う場合は、2種別以降プラス1万円の申請手数料となります。
つまり2種別同時申請は2万5,000円、3種別同時申請は3万5,000円ということになります。
また登録証の郵送を希望することができますが、簡易書留で送付されるため、申請者が別途支払う必要があります。
登録証が1種別の場合は、460円の切手を貼った角2号封筒。登録証が2種別以上の場合は530円の切手を貼った角2号封筒または520円のレターパックプラスが必要になります。
これらの準備を済ませたら、所管の動物愛護センターの本所か支所、保健所の窓口で手続きを行います。事前に電話で相談をしたうえで、窓口に向かってください。
登録は過去に動物取扱責任者研修の課程を修了した人を動物取扱責任者に選任します。
申請書類の提出と申請手数料の支払いが終わると、施設の検査が入ります。そこで無事検査を通過することで、登録証が交付され、営業または広告の開始ができます。
この時点ですでに動物取扱業者としての登録が済んでいることになりますが、年1回以上の動物取扱責任者研修の受講や5年ごとの登録更新申請を行うことが必要です。
(出典:東京都福祉保健局「第一種動物取扱業の登録手続き」)
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第二種動物取扱業者の規制
第二種動物取扱業者は飼養施設を営利目的とせず、一定数以上の動物の取り扱いを行う人です。飼養施設を設置している都道府県知事または政令指定都市の長に届出をする必要があります。
届出の対象は、人の居住部分と区別できる飼養施設において、馬や鹿、牛などは3頭以上、犬や猫は10頭以上と、規定が設けられた品種とそれに伴う頭数を飼養あるいは保管する場合です。
動物愛護団体による動物シェルターや公園などでの非営利の展示などはこれに該当します。
第二種動物取扱業者のうち、犬猫の譲渡を行う場合は、飼養する個体に関しての品種や繁殖者名、生年月日などを記載した帳簿を作成し、5年間の保存が必要です。
また守るべき基準として、正しく動物の飼養をするため、飼養に必要な設備、逸走の防止や清潔な飼養環境の確保、騒音などの防止が義務付けられています。
これらの規制は必要に応じて都道府県などの動物愛護管理担当者が立ち入り検査を行い、基準が守られていない、動物の管理・施設が不適切と判断された場合は、改善の勧告や命令を行います。
(出典:環境省「第二種動物取扱業者の規制」)
第二種動物取扱業者の届出方法
第二種動物取扱業者の場合は届出のみのため、手数料は無料です。
ただ必要な書類を用意したうえで、所管の動物愛護センターの本所か支所、保健所に届け出る必要があります。
必須となる書類は、第二種動物取扱業届出書、飼養施設の平面図、飼養施設付近の見取図の3つです。
これに譲渡業や貸し出し業の場合は第二種動物取扱業の実施の方法、届出が法人からの場合は3ヶ月以内に取得した登記事項証明書の原本も必要です。
また複数の業種の届出を行う場合は、その業種ごとに届出書を作成する必要があります。しかし、飼養施設の平面図や付近の見取図は同一の飼養施設であれば、共通する添付書類として各1部の提出でも構わない都道府県もあります。
第二種動物取扱業届出書や第二種動物取扱業の実施の方法は2部必要な都道府県もあるため、届出の書類を作成する前に所管の役所などに確認しておくと良いでしょう。
(出典:埼玉県「第二種動物取扱業の届出」)
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動物取扱業者になるには法律の規制をよく理解することが必要
動物取扱業は第一種、第二種ともに厳しい規制のもとで行われています。
これは動物が命あるものであり、人ではないからと蔑ろにして良い存在ではないためです。
そのためルールを厳格化し、また登録や届出、定期的な研修や検査、更新などを行うことで品質を保ち、適正な飼養のなかで動物が取り扱われるように定められています。
これから動物取扱業者を目指すのであれば、動物愛護保護法などをよく理解し、申請や届出をしっかりと行うようにしましょう。